令和3年第3回定例会一般質問・4

4件目  「『みどりの食料システム戦略』と三豊市型農業について」

質問  農水省が本年策定した『みどりの食料システム戦略』は、有機農業用地の割合を2050年までに全国で100万haに拡大する目標を打ち出している。今、国が有機農業転換を急ぎ、進める背景には、温暖化ガス削減による脱炭素や環境配慮に対する世界的な意識の高まりがあるためだ。しかし、有機農業への転換には乗り越えなければならない大きな課題があるという。『みどりの食料システム戦略』を基本構想にした、市民の健康と農業者の収益確保、自然環境の向上の実現を目指す、三豊市型農業の施策展開について問う。

 

答弁  『みどりの食料システム戦略』は、中長期的な観点から戦略的に取り組む政策方針とされている。この戦略の一つに、有機農業を全農地の25%、面積にして100万haに拡大する目標が掲げられている。

一方、三豊市の目指す農業の方向については、市農業振興計画後期計画に定めているが、脱酸素や有機農業に特化した取り組みは定められていない内容だ。そうしたことから、今後の国の方針を受け、それぞれの地域の実情に応じた取り組みの基本計画をつくることとなるため、地域や農家の皆さんの声を聞きながら進めていく。

 

質問  農水省の支援策や助成制度はこれからだが、その前提として有機農業の抱える問題や普及しにくい課題、クリアしなければならないことが3点ある。

①農業としての技術的な困難さによる若い農業者の離農

②有機農業作物や有機食品が消費者に浸透していないことによる販売機会ロス

③日本の有機農業が小規模であることからの、輸送コストのスケールメリットがないための価格上昇

これらの課題解決の考えを問う。

最後に、本市で着手している薬用作物の栽培で得られた有機、減農薬栽培技術やノウハウの、他の農作物への横展開の考えを問う。

 

答弁  一点目については、市内にも有機JAS認証を取得し、有機農業を実践して生計を立てている方がいるとともに、有機農業の勉強会もある。この出会いや機会の中で志を同じくする仲間づくりを支援するなど、有機農業を続けていけるような仕組みをつくっていきたい。

二点目は、有機農業の拡大には、マーケット、消費者の理解が必要不可欠だと考える。国の方針や県の指導を受ける中で、有機表示ができる有機JAS認証の取得に向けた取り組みを支援していきたい。

三点目は、先ずは消費者の多くいる地域のニーズをマーケティング調査する。それを反映しながらよりよい方法で流通できるよう検討する。

有機野菜の横展開は、既存の農法に取り入れる部分があると考えられるし、有機農業の考えを薬用作物栽培の参考にできることもあろうと思うので、事例紹介等を行いたいと考える。

 

以上で、4回に渡っての一般質問報告を終わります。

令和3年第3回定例会 一般質問・3

二件目  「『地域プロジェクトマネージャー制度』について

質問  国の令和3年度地方財政措置として、『地域プロジェクトマネージャー制度』の創設がある。市町村が重要プロジェクトを実施する際に、外部専門人材、地域、行政、民間などが連携することが不可欠だ。しかし、そうした関係者間を橋渡しいてプロジェクトをマネジメントできるブリッジ人材が不足している。そこで、市町村がそうした人材を地域プロジェクトマネージャーとして任用することを後押しするための制度だ。

『地域プロジェクトマネージャー制度』を活用し、必ず解決し達成しようと考える地域課題や、重要プロジェクト及び政策は何かを問うとともに、制度の活用の考えを問う。

 

答弁  三豊市第2次総合計画で定める基本方針に基づき、地域おこし協力隊や地域活性化企業人などの制度を活用し、外部人材の持つ知見や人脈を生かして、様々な地域課題の解決に取り組んできた。

農業や観光、教育、子育て、健康、移住定住など、解決すべき課題を洗い出し、目標を達成すべく事業に取り組んでいる。その中で、目標達成のためにはどのような人材が必要か、地域プロジェクトマネージャーを活用してどのように取り組みを展開していくのかを、現在、令和4年度の人材確保に向けて各部署で検討しているところだ。

行政と地域、民間の間の関係を構築しながらプロジェクトを推進し、地域の課題解決に向けて取り組んでいく。

令和3年第3回定例会 一般質問・2

2件目 「『新国富指標』について」

質問  『新国富指標』とは、国連のSDGs採択によってこれまでのGDP(国内総生産)では、国や地域の豊かさを見る指標としては不充分だとの観点から提唱されたものだ。現在、自治体経営でSDGsとESGが欠かせない視点だといわれて、その運営手法として『新国富指標』に注目が集まりつつある。

健康や教育、自然など、これまで数値化できなかった要素を経済価値に換算するというものだ。言い換えれば、『新国富指標』は見えない経済価値を測る指標だといえる。『新国富指標』の価値観を取り入れた自治体運営の取り組みの考えを問う。

 

答弁  GDPには、市場で取引された財やサービスの生産のみが計上されており、市場で取引されない活動は含まれていない。物的な豊かさのみに焦点が当てられてきた指標といえる。

今後、市が持続発展していくためには、従来の物差しだけでなく、SDGsの観点からも様々な指標を使用してまちづくりに取り組んでいく必要がある。

既に一部の自治体では、実際に推計を行った『新国富指標』を基に予算編成を行っていると聞く。本市の抱える重要課題解決のための有効な指標になりうるのではないかと考える。さらに、既存の経済指標を組み合わせることで、さらなる解決策を見出すことも可能になるとも考える。

『新国富指標』の算出方法や活用方法等の調査研究から取り組んでいく。

 

令和3年第3回定例会 一般質問・1

令和3年第1回定例会では、三豊市議会会派清風会の会長として代表質問をしました。令和3年第3回定例会における一般質問は、本当に久しぶりのこととなりました。7町が合併して誕生した三豊市の行く末を、創造するための質問を行いました。まちの豊かさとは何か、市民の皆さんの幸せとは何か、を探求するための4件の質問を行いました。

 

一件目 「人口減少・少子化対策のこれまでの検証と今後の展開について」

質問  三豊市は、7町合併により誕生して15年が経過した。この間、まちの成長と繁栄を人口減少・少子化対策みよる定住人口の安定確保に向け、市を挙げて取り組んできた。

このような経緯の末に、2020年(令和2年)の国勢調査の結果から、県が発表した速報は、県の中で人口減少数が最も多い自治体だったという衝撃的なものだった。さらに、疑うような数字は合併年には500人台だった出生数が、318人であったというものだ。三豊市が、他自治体よりも先手で着手してきた数々の対策の効果は雲散霧消に帰したということなのか。

この現実に対する検証を行い、これまで着手してきた人口減少・少子化対策の各種施策の総括を踏まえた、これからの政策の方向性を問う。

①20年国勢調査の人口動向結果をどのように捉えているのか

②これまで取り組んできた子育て支援や若者定住施策等の人口減少対策にかかる政策の評価について

③それらの検証に基づく政策転換の考えと展望は

④人口の増減数がまちの豊かさの指標ととらえているのか

以上の点について質問する。

 

答弁  指摘の通り、本市にとって衝撃的な数字だと痛感している。平成30年に策定した第2次総合計画の基本構想の中で、人口目標を63,500人プラスと掲げており、高い人口目標を設定することで、減少する人口予測をただ受け入れるのではなく、持続発展し続ける三豊市を目指し、人口減少・少子化対策を念頭に置いて、各種事業に取り組んでいる。

特に子育て支援や若者定住施策に注力してきた。子育て支援施策については、待機児童対策としてアクションプランを策定し取り組んでおり、待機児童の発生を抑制することができている。また、子育て世代包括支援センター「なないろ」の対象年齢を18歳までに拡充し、連携して包括支援に取り組んでいる。

若者定住施策については、40歳未満の住宅取得に補助金を交付し、912世帯3,131人の定住に繋がっている。

日本全体の人口が減少している中、今後は人口の減少を緩やかにしたり、少ない人口でも活力ある社会を維持することが重用になってくる。

内閣官房まち・ひと・しごと創生本部が行った調査によると、出生数や出生率の向上している自治体は、若者が安心して結婚し、子どもを産み育てるために家庭、子育てと仕事を両立しやすい環境であること、経済的な安定が得られる就業、生活環境であること、住み続けたいと思える魅力や文化環境、安心感を持てることが重用だとある。

安心して子どもを産み、育てられる環境づくりを行い、住みやすいと思ってもらえる、まちづくりを考えていく必要がある。加えて、市民の一人一人が自分の求める豊かさを実現することで、三豊市を今以上に好きになってもらうことだと思う。

人口減少問題の解決方法に正解が見いだせない中、自分の生活の場所を誇りに思うシビックプライドの醸成は突破口になると考える。発想の転換も含めた新たな視点から施策を考えていく。

 

質問    答弁にもあったように、人口の減少を緩やかにするとともに、少ない人口でも活力ある社会を維持することが、これからの大きな課題だと思うとともに、そのための発想の転換も含めた新たな視点からの施策立案も重要なことだと思う。

結論は、人口減少にかかわらず、そこに住む人が幸せであると実感できる社会であればいいのだということだ。その人々が幸せと感じるからたくさんの人が引き付けられ、定住するし、安心して子どもを産み育てたいと思うのだ。ならば、このまちが誕生して以来、これまで積み重ねてきた各種施策と事業に、発想の転換による新しい価値を見出して、つなぎ合わせればよいのではないかということだ。

私から一つの具体的な提案だが、三豊市が誇るコミュニティーバス路線網を活かした、コミュニティーバスのサブスクリクションやAIによるダイナミックコースティング等を展開することによって、移動の自由を構築することで、シビックプライドにもつながるのではないかと考える。

このような考えを根幹とした、発想の転換と政策展開の考えを問う。

 

答弁  指摘の通り、人口の増減にかかわらずそこに住む人が幸せであると実感できる社会の実現が重要になってくると思う。教育、健康、福祉、環境、安全など、あらゆる施策において部署の垣根を越え、何が市民の幸せかということを念頭に置き、全職員が一丸となって取り組んでいかなくてはならない。コミュニティーバス路線に関する提案もあったように、現行制度に付加価値を加えた新たな制度の構築も重要だ。こいれは、三豊市にとってウイークポイントだと考えることも、逆転の発想でそれが豊かさにつながるよう新たな視点から考えることだと思う。

三豊市で育つ子どもたちが、夢を諦めることなくチャレンジできる環境をつくり、進学等で三豊を離れてもふるさとに帰りたいと思えるようなまちづくりを目指し、職員自身が色々なアイデアを出し合い、楽しく生き生きと仕事に取り組むことが、ひいては市民の皆さんの幸せにつながると信じ、行政、市民の皆さんが一緒になってまちづくりに取り組んでいこうと考えている。

 

次回も続いて、一般質問の報告をします。