視察研修の最終日となる3日目は、佐賀県佐賀市の【佐賀市清掃工場】における「バイオマス産業都市・佐賀市が目指す 持続可能な脱炭素・資源循環のまちづくり」について、市環境部循環型社会推進課3R推進係 羽立参事と小早川主任から説明をいただきました。
佐賀市清掃工場は、平成の大合併(1市6町1村)をきっかけに、ごみ処理施設の統合へと動きが進み、周辺地域の合意を得て平成26年に4か所あった施設を佐賀市清掃工場に集約し一括処理することとなった。
地域の理解を得るために、地域にとって有益な施設とするための施設統合の効果であるコスト縮減、バイオ資源の増加を周辺地域に還元することを目指して、地域産業の創出を実践することとし、『バイオマス産業都市構想』へと展開していった。平成26年 ‟廃棄物がエネルギーや資源として循環するまち” として『バイオマス産業都市』の認定を受けた。
取り組み内容は、1.清掃工場二酸化炭素分離改修事業 2.木質バイオマス利活用事業 3.下水浄化センターエネルギー創出事業 4.微細藻類培養によるマテリアル利用及び燃料製造事業 5.家畜排せつ物と事業系食品残差との混合堆肥化事業 6.事業系食品残差と有機性汚泥の混合利用事業 となっている。
「バイオマス産業都市さが」の基本方針は ①既存の施設を活用する ②市が仲介役を果たし企業の連携を実現する ことにある。その方向性は「これまで処理に費用をかけていたものを相互に有効利用する仕組みを構築し、処理費軽減による市内企業の経営の改善と、バイオマスの有効活用による(新)産業を育成することだ。この取り組みとして、佐賀市は仲介役に徹することとした。一つは、行政が関係者の想いや技術をつなぎ、それぞれにとってメリットのある関係を構築すること。二つは、域内の資源融通により、廃棄物量や処理費用、域外からの資源購入を抑制し、新たな価値を生み出すことで域内経済を活性化すること。
画期的ともいえる、ごみ処理施設におけるCCU事業の取り組みについて。(※CCU事業:処理施設から排出されたCO2を他の気体から分離して集め、新たな製品の製造に利用するプロセス) 平成28年、ごみ焼却施設から発生した二酸化炭素を分離回収する設備を、環境省から15億円の補助金を得て日本初として稼働し、そのCO2を植物の成長促進に実用化している。例えば、(株)アルビータによる藻類培養、クリーンラボ(株)によるバジル栽培、ゆめファーム全農SAGAによるキュウリ栽培等の実績があり、清掃工場周辺は増設・新設も含め、次々と産業が集積している。
二酸化炭素分離回収事業による経済波及効果は、54億1,300万円と算定されている。今後の事業展開は、佐賀市の取り組みを全国、そして世界に広げたい!! CO2回収設備の普及と回収したCO2の利活用で、サーキュラ(バイオ)エコノミーの浸透を図っていくことを目指している。
ごみ処理が目的であったとしても、そこに向かうプロセスの中で環境への負荷を軽減し、利益に転化することにとどまらず、雇用も生み出す高度な政策立案と展開は、目を見張るものがあります。三豊市におけるバイオマス資源化センターをより効果的に活用するためのCCU事業を立案していく必要性に気づかされた視察研修でした。
以上で、会派清風会の視察研修報告を終わります。