総務常任委員会視察研修(R7年度) 報告3

「公益社団法人ふるさと回帰・移住交流推進機構」は、東京都有楽町の東京交通会館にあります。母体となる「ふるさと回帰支援センター」は2002年に設立され、今年で23年目を迎えていますが、2023年に「移住交流推進機構JOIN」と組織統合され現在の体制になっています。

 

高橋理事長と香川県担当の廣原うどん県移住コーディネーター他から説明を受けた。

組織統合の最大の狙いは、全国約1,700自治体の半数の850自治体を移住促進運動に巻き込むことだ。現状、「行きたい人がいるのに、よい場所が見つからない」ということだ。バブル崩壊以降の30年間で進行した格差拡大や貧困等の克服の一助となることが期待されている。

センター内には全国44都道府県のブースが常設され、相談員が配置されている。移住者の傾向と重視する点は、「仕事があるところ」が圧倒的に多く、次いで「自然環境が良いところ」「住む場所があるところ」「交通の便が良いところ」と続く。今は若い働き盛り世代が増えている。昨今は、ファミリー層が減少し、40~60歳の単身男性が多い傾向にある。女性の移住相談も増加している。

 

センターからは三豊市が会員になることで、再び以前に行っていたセミナーを再開するなどして、「空き家バンク」が充実していることや、市民が当たり前だと思っていることが当たり前ではなく、実は大きな価値のあることを積極的に発信することが効果的だと、提案をいただきました。

 

総務常任委員会視察研修(R7年度) 報告2

佐渡市は、佐渡島全域を市域とし、平成16年に10市町村が合併して人口68,000人余で誕生したが、現在は36,000人余である。島の面積が855㎢で東京23区や淡路島の1.5倍の大きさがある日本海側最大の島だ。

調査事項である『集落支援員・二地域居住の取り組みについて』、佐渡市役所地域振興部地域産業振興課及び、移住交流課から説明を受けた。

●『集落支援制度の取り組みについて』  全島が一行政区となったことで地域課題の把握や行政サービスが届きにくいということに対して、令和3年度から支所・行政サービスの組織体制強化に着手した。

「地域相談員」:市のOBを中心に、行政と集落のつなぎ役として地域要望や情報収集、事業化検討を行う。会計年度任用職員として、21地域の専任で各支所に配置されている。

「地域活動支援員」:佐渡市の掲げる主要政策を推進するために、主に首都圏の大学(相模女子大・東洋大・芝浦工業大等15校)と連携して地域活性を担う専任職員である。特に佐渡の伝統行事の伝承や地域イベントの活性化のため、大学生等の参加を促すサポート支援を行う。当市における集落支援員は、佐渡の伝統芸能等の造詣の深い民間人に業務委託しているこの1名である。

●『二地域居住促進の取り組みについて』  UIターン政策の行き詰まりから、より気軽に地域と関わる仕組みとして、二拠点居住を重視している。人材創出社会のため、スタートアップを支える仕組みを充実するとともに、地域活性化法の改正を受け「二拠点移住広域促進計画」を新潟県内で初めて策定し、二地域居住を推進している。

移住支援施策は二つの切り口で展開している。  ①「スタートアップ支援」と「企業誘致」として、※廃校や佐渡汽船ターミナルの空きスペースうを活用したインキュベーションセンターや、コワーキングスペースを整備し、ワーケーションによる企業を支援している ※県と連携したビジネスコンテストで雇用機会拡充補助金の活用促進をしている  ②「受け入れ促進と定着支援」は、※「さどくらしテラス」で〈住む〉〈働く〉〈暮らす〉の相談の受付 ※「お試し住宅」で保育園留学でお試し入園による佐渡の暮らしを体験 ※「就業支援」で多様な働き方を支援する、地域づくり事業協同組み合の運営や医療・介護・福祉分野の奨学金制度で若者の定着促進 等

 

二地域居住政策とそれに関わった若者に、定住を促す集落支援政策を複合的に、しかも関係性をもって展開していることに、気づき多い研修でした。

総務常任委員会視察研修(R7年度) 報告1

三豊市議会総務常任委員会の視察研修が、令和7年7月29日~31日の3日間実施されました。訪問先は、新潟県南魚沼市と同県佐渡市及び、東京都有楽町にある公益社団法人ふるさと回帰・移住交流推進機構でした。

 

南魚沼市は、平成17年10月に3町合併により面積584㎢、現人口52,000人の新生「南魚沼市」として誕生した。群馬県との県境に位置し、豊かな水と肥沃な土地が育むコシヒカリの産地として全国に名を馳せている。

調査事項である『地域コミュニティと移住について』、南魚沼市役所U&Iときめき課から説明を受けた。

●『地域づくり協議会について』  合併により地域の声が行政に届きづらく、距離のある状況を改善する必要があったことや、自分たちのまちは自分たちでつくるという機運が高まっていたことから、地区と行政が両輪となり、ともに対等な立場で効率的できめ細やかな行政運営を推進するため、平成24年に設立された。

旧3町のそれぞれに4つの旧村単位の協議会が組織され、活動事業所として12の地区センターを設置している。地区センターごとに事務長がおり、地域づくり協議会での事務業務が集落支援員業務と同等であるとみなされ、総務省の集落支援員制度の専任集落支援員と位置付けられた。給与は協議会から支払われている。

また、地区センター事務長の12名のほかに、公共施設管理運営のために会計年度任用職員の立場で1名おり、計13名の集落支援員を配置していることとなっている。

●『移住施策について』  総合計画で「若者が帰ってこられる、住み続けられる南魚沼」と謳っており、若者世代のUターン層のほかIターン層に対しては、雪などの地域資源に魅力を感じる人を狙っている。近年は、「ふるさとワーキングホリデー事業」や総務省の「ふるさとみらいカレッジ」などの、大学生世代の関係人口化に注力している。このような施策によって、当市の魅力にひかれ訪れた学生を中心に、R4からこれまでの4年間で計11名が地域おこし協力隊として、会計年度任用職員に雇用されて活動している。

 

「南魚沼市地域コミュニティ活性化事業実施要綱」における、基礎事業や提案事業の内容は、三豊市におけるこれからの制度設計に役立つと感じました。三豊市にすでにある土地改良区事業の仕組みの考え方に似ており、地域コミュニティの制度設計に大いに参考になった研修でした。