「永康病院調査特別委員会」の調査・研究報告の根拠

前回、「永康病院調査特別委員会」の調査・研究報告をお伝えしました。その中の「ソフト面」と「ハード面」の提言の裏づけとなる、伊関友伸(ともとし)先生の講演会内容をまとめたものを、改めて掲載します。

本年2017年(平成29年)11月号の、三豊市『議会だより』に委員長である私が原稿を書いた19ページの「議会研修報告」をアップします。

三豊市議会「永康病院調査特別委員会」の調査・研究報告が、いかなる根拠に基づいて提案されたのかを、市民の皆さんと共有したいのです。決定の判断の良しあしを共に確認していただけることを願っています。

「永康病院調査特別委員会」の調査・研究報告

私が委員長を務めた「永康病院調査特別委員会」の調査・研究が、平成29年12月15日(金)の12月議会最終日の委員長報告で終了しました。「永康病院調査特別委員会」の調査・研究の結果報告をお伝えします。

 

本委員会は、平成28年12月22日に設置され、永康病院の耐震性の問題、医師確保、経営形態のあり方などの課題について、新公立病院改革プランや香川県地域医療構想その整合性について調査・研究したので、これまでの調査結果をまとめたので報告する。

平成28年12月6日に提案された「永康病院建物更新計画」に対し、その内容を精査するために、まず最初の委員会では、永康病院の将来性を調査するためには何を調査し、何について検討し、方向性を導き出すのかという論点整理を行った。 ①当委員会の調査の終結時期を本年内とすること。 ②現在地での建替えによる存続、移転改築による統合存続、廃止等いくつかの方向性で、専門コンサルに調査を依頼すること。 ③専門コンサルによる報告書が出されるには6か月ほどかかるため、先ず、永康病院の現地視察を実施すること。 ④他地域の公立病院への視察研修は、時期も含め検討する。

次に、これまで進めてきた調査研修の経緯について。特別委員会設置以降9回の委員会(内1回は現地視察)と、委員研修会(講演会)及び先進地の行政視察研修をそれぞれ1回実施した。

委員会では主として永康病院の今後のあり方について議論し、研修会では三豊市議会議員研修会として、城西大学経営学部マネジメント総合学科教授の伊関友伸(ともとし)先生をお迎えし、「試練の時代の自治体病院経営」と題して講演をいただき、今回の報告書の根幹となる貴重な提言をいただいた。

先進地研修では、1件目として愛知県常滑市の常滑市民病院を視察した。昭和34年5月に開院した旧病院は、施設の老朽化と経営不振に加えて、医師不足もあり、2度にわたる新病院建設の遅延から、病院職員のモチベーションも低下していた中で、現在3期目の片岡憲彦市長が平成22年10月に「新病院建設」を宣言し、建設・経営改善には市民の支援が必要であると考え、「あって当たり前」から「あって良かった」という意識改革を行った。

2件目の先進地視察研修は岐阜県下呂市立金山病院を視察した。下呂市には県立下呂温泉病院、市立金山病院、市立小坂診療所があるが、これらの施設が競合することなく、地域分担と機能分担をしている。金山病院新築移転では救急指定病院としての役割など、市民の安心安全を確保する観点から新築移転が実施された。建設には伊関先生がかかわり、日本一のローコスト病院の建築が実現している。

それらを踏まえ、永康病院に対する提言として、伊関友伸(ともとし)先生からの提言を基に、ソフト面とハード面での整理を行った内容について報告する。

【ソフト面」

●病院経営に対する提案

①市長部局に医療対策課を設置し、市立2病院の課題解決、医師招聘、病院改革に関する課題に取り組む

②担当はコミュニケーション能力のある優秀な人材を配置し、併せて医療事務等に従事経験のある外部人材の登用も検討する

③永康病院に地方公営企業法の全部を適用し、病院事業管理者を置くことを検討する

④病院事業管理者は、永康病院の経営及び医師招聘について責任をもって取り組む

●人材確保に対する提案

①医師については、特別職として週1回他病院での研修を可能とするなど、医師に魅力ある勤務体制とすることを検討する

②香川大学医学部に寄付講座を設置し、常勤の医師の派遣を依頼することを検討する

③看護師不足に対しては、初任者調整手当の創設を検討し、看護職等の給与体系の見直しも含めて検討する

④看護研修体制、安全管理体制などについて、三豊総合病院との連携を図り(人事交流など)職員の能力向上を図る

【ハード面】

●建替え及び経営内容に対する提案

①永康病院と西香川病院は、それぞれ地域の病院として存続させる

②永康病院は、救急告示病院として急性期医療と高齢者の診療・リハビリ、精神科医療(急性期)を行う病院として存続する

③永康病院の建替えは必要と考える

●建替え方針及び規模に対する提案

①永康病院の改築は、病院会計の健全化の視点から徹底的なローコスト建築を目指し、その推進統括者として、ローコスト建築に精通した専門的見地を有する学識経験者等の採用を検討する

②病院、市役所、市議会はローコスト建築について徹底的に研究を行う

③病院の建替えは、50床だけではなく、全病床120床程度を検討するのも方策の一つだ

④万一、医師不足・看護師不足で病床を維持できなくなった時に、老人保健施設と無床診療外来に対応できるよう、廊下幅を広くとるなど施設基準を満たしておく

●新たに建設する場所に対する提案

①ローコストの建築の視点からは、現地建て替えでなく更地に建てた方が安い建築費でできる

②最初から現地建て替えありきではなく、建設地については複数案を検討する

③現地建て替えの場合、周辺土地の用地買収を市、更地で建設できるスペースを確保することも検討する

④建て替えに際しては、企業債・合併特例債に加えて、国・県からの補助金の可能性を検討する

以上の提言をもって、永康病院調査特別委員会の活動の成果報告とし、平成28年12月に設置した永康病院調査特別委員会の調査・研究を終了するものとする。

 

この提言に対して、新市長は如何に決断を下すのでしょうか・・・・・

そして新たな市議会は如何に・・・・・