議会運営委員会行政視察研修 報告・Ⅲ

浜田市議会では、「主権者教育の取り組みについて」と「議会基本条例の見直しについて」、「議会による事務事業評価の取り組みについて」の3点を研修しました。

 

先ず、主権者教育の取り組みは、議会広報公聴委員会の活動として展開されている。委員会の2023~25年のスローガンは ‟ミライへつながる議会” だ。市民の声を聴き政策に反映させるための情報収集活動として ①はまだ市民一日議会 ②議会報告会 ③意見交換会 ④ぎかいポスト がある。また、収集した情報をどう扱ったかを知らせる情報提供活動として 1⃣議会だより 2⃣議会だよりmini 3⃣浜田市議会HP 4⃣YouTube がある。

『はまだ市民一日会議』は、令和元年犬山市議会市民フリースピーチ制度を視察し、令和3年度から開催してきた。会場を市議会議場として、定員10名、発言時間一人5分、議員からの質問5分、発言への対応は全員協議会で議員全員で協議した後、議長名で発言者へ報告(HPにも掲載)。

1回目の令和3年度は定員を超え18名の応募があり、全員を発言者とした。2回目の令和4年度は定員の10名に絞った。3回目の令和5年度は2回目にモレた応募者を追加した。

成果は ●議会への関心が高まった ●広い世代からの意見を議会へ伝える場が増えた(主権者教育の一環) ●発言が施策に反映された ●発言から議員連盟が設立された ●マニフェスト大賞で評価された ●YouTubeでの配信をすることで多くの方が見ている などがある。

『議会基本条例の見直し』は、当条例の規定にある「議会は、一般選挙を経た任期開始後、速やかにこの条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討するものとする。」としており、新人議員を含む全員で協議を行い、「見直し検討ワーキング会議」を立ち上げ見直しの概要をまとめる手順となっている。

『議会による事務事業評価』は、令和6年度に施行実施に取り組んだ。導入の経緯は、徳島県小松島市議会、那賀町議会へ視察し、決算審査で試行でやってみることとなった。

試行の流れは、⑴3常任委員会による評価事業選出 ⑵決算審査での質疑による選出事業の深堀 ⑶全議員が事務事業評価シートを提出 ⑷3グループに分かれ評価シートをもとに評価意見書を作成 ⑸議長を除く全議員で各グループが作成した評価意見書の内容を確認 ⑹試行でやってみた感想などのアンケート聴取 となっている。評価の際に注目すべき視点は、ア.市民ニーズ イ.市民参加、共同の有無 ウ.市が実施する必要性 エ.費用に見合った効果 オ.目標の達成状況、全体予算のバランス がある。

ここまでの取り組みで注意するべき点として ①全議員の理解 ②執行部を巻き込むために要協議 ③試行は大切 ④徹底的にパクる部分とオリジナルな部分のバランス が見えてきた。

 

議会による事務事業評価の導入の目的を再確認すると、「議会の事務事業評価と決算審査を次年度の予算編成に生かすことより、議会の監視機能を強化し、課題の共有と事務事業の改善(適正化・効率化)を図ること」であることが、明確に認識されており、私たち議会においても改めて導入の目的の根幹となるところを見つめ直さなければならないと気づいた研修でした。

議会運営委員会行政視察研修 報告・Ⅱ 

大竹市議会では「常任委員会政策研究会について」と「議会報告会について」「SNS運用要綱について」の3点を研修したました。

先ず、常任委員会協議会及び政策研究会の設置目的は、議員間討議を拡大するためで、本会議及び委員会で議員相互間において十分な討議を行い、議論を尽くして合意形成するために、その経過及び結果について市民への説明責任を十分に果たすためだ。

「常任委員会協議会」は、常任委員会の所管事務に関し、協議または調整を行うため、執行機関からの説明もしくは報告を求める必要があると認められる場合に常任委員長が招集している。具体的な議事の内容は、市の実施する事業等の計画・方針の説明と情報提供を受け、それに対して質疑、意見し協議を行っている。令和6年は14回の開催をしており、全文記録している。

「常任委員会政策研究会」は、常任委員長が必要に応じて招集しており、執行部が実施する事業等に関連する調査研究を目的として、議員相互間のひざ詰めでの討議を中心に運営されている。令和6年は18回開催されており、要点筆記している。

次に、議会報告会は『大竹市議会議会報告会実施要綱』を平成26年9月に制定し、平成27年2月に第1回議会報告会を実施。その後、年に1回程度、報告会を実施している。会の時間配分は議会からの報告は極力少なくして、多くを市民との意見交換に充てている。

市民から寄せられた意見や要望、質問は、議員全員で対応を協議し、執行部へ回答を依頼する場合もあり、それをもって市民への回答としている。なお、回答は市のホームページへ回答を掲載することとしている。

令和6年は、新人議員が各団体に声をかけ、市内で活動する団体対象の議会報告会をするなどして、参加しやすい議会報告会に取り組んでいる。

最後に、SNSを活用した議会情報の発信は、SNS運用要綱を定め効果的に活用するための体制整備に取り組んでいる。

『大竹市議会SNS運用要綱』では、(趣旨)として議会基本条例に基づき、SNSを効果的かつ安全に利用するにあたり、必要な要綱を定めるものとするとしている。(利用者の遵守事項)で、利用者のページ利用に際して、12項に及ぶ禁止事項を定めている。他、(違反に対する措置)(利用者からの情報についての免責)(知的財産)(個人情報の扱い)が盛り込まれている。

この要綱は、令和6年3月25日から施行され、令和5年1月16日から適用されている。

 

今まさに取りざたされている、SNSにおけるフェイク情報への対応はどうなっているのでしょうか。次回に持ち越しの課題となりました。

 

議会運営委員会行政視察研修 報告・Ⅰ

三豊市議会議会運営委員会の行政視察研修を令和7年1月21日(火)~23日(木)の3日間実施しました。研修先は、21日に広島県三次市議会、22日に同じく大竹市議会、23日には島根県浜田市議会でした。

 

三次市議会では、「予算決算委員会について」と「主権者教育の取り組みについて」、「議会基本条例の検証について」の3点を研修した。

先ず、予算決算常任委員会の設置の経緯は、常任委員会を単位とした分科会での審査では、自分の所属する分科会の内容しか分からないことや、全体的なことや歳入についての審査が難しいことがあったためだ。

議会改革の取り組み項目の一つとして議会内で協議し、平成23年3月定例会に特別委員会の通年設置を1年間試行した。平成24年9月定例会に予算・決算特別員会を常任委員会化した。令和2年9月定例会から、事業別審査シートの導入により審査資料の充実を図り、決算審査から予算審査へ「ツナゲル」を実践している。

次に、主権者教育の取り組みは、参加者の固定化や女性や若者の参加が少ないため、幅広い意見や提案が十分聴衆できないという議会報告会等の課題があった。そこで、選挙権年齢が引き下げられたこともあり、高校生と意見交換会を行うことで新しい発想、意見を取得できるのではないかとの意見があった。

三次市には3つの県立高校と1つの県立中学校があり、それぞれの教育カリキュラムに即した開催を行った。意見交換会では、政治参加について ①議員になるにはどうしたらよいか ②議会の仕事は何か 等の意見が交わされた。

現状、ここでいただいた意見や要望について、一般質問に生かしているものの執行側への提言にはいたっていない。

最後に、議会基本条例の検証について。三次市議会では平成22年3月に条例制定している。平成27年度に全条文について達成度を内部評価した。これまでの間検証の取り組みはなかった。

平成30年度、前の内部検証の評価に対して外部評価(環太平洋大学教授)を受けた。この外部評価において 「三好市議会が果たす最大の役割は、議会基本条例にも定められている『市民福祉の向上及び市政の伸展』であり、任期4年の最後には、より上位の視点から、議員、議会は、自らどのように実践してきたのか、その検証が肝要である」との指摘を受ける。

令和4~5年度にかけ、議会基本条例に掲げる議会、議員活動について検証を着手した。初めての試みであった「議員活動:選挙公約実現に向けての活動の自己評価検証」は、全議員が理解不足のまま取り組んだため、個人の議員の評価検証の視点がバラバラとなり、成果の出ないまま終了してしまった。

現在の取り組みは、前の取り組みの反省を踏まえ「議会改革プラン実施計画」の基本理念をベースとして、個々の議員が公約実現に向け、いかに取り組んできたかを自ら検証することを目標としている。

 

すなわち、議員個々のマニフェストの検証であることより他はないと感じた研修でした。