議会広報委員会行政視察研修報告・2

三豊市議会広報委員会行政視察研修の2件目の訪問先は、三重県亀山市です。広報紙やホームページ等の取り組みについて報告をします。

 

亀山市は、時代に関係なくこれまで交通の結節点としての役割を担ってきた。平成17年に関町と合併し、人口5万人弱、世帯数20,700世帯余、面積190.91㎢となっている。これからも変わらず、高速道路やリニア構想による結節点としての発展が期待されている。

亀山市議会広聴広報委員会から説明があった。

[議会広報紙]   広聴広報委員会が編集する『亀山市議会だより』は、定例会4回と新年号(臨時会含む)1回の発行となっている。平成27年5月16日号から本文を横書きにするなどリニューアルしており、発行部数は平成28年度17,800部。費用は年間2,600,000円。

[ケーブルTVとインターネット]   広聴広報委員会は、議会広報紙の発行だけでなく、議会報告番組『こんにちわ!市議会です』の監修と広聴機能を担っている。この番組は、平成23年10月から放送開始している。収録スタジオにおいて、各常任委員長がカメラを前にして委員会報告をした映像を、ケーブルTVとインターネット配信している。番組制作経費は、15分番組1本205,200円(放送期間は1週間)で、4定例会で820,800円。

[ホームページ]   平成21年9月定例会から議会映像の録画配信をスタート。平成25年にリニューアルと議会の情報化に関する議員アンケートを実施。同年9月定例会から、常任委員会行政視察報告を公開。平成26年から、政務活動費の会計帳簿を公開。同年、市議会に関する市民意識調査の実施にあわせ、HPからも回答ができるようにする。平成27年リニューアル。平成28年5月から、政務活動費の領収書を公開。

[議会報告会]   議会報告会は行っていないが、方向性を示すための検討中だ。議会報告会には二つの意味がある。議会報告での広報の部分と、直接市民から様々な意見を聞き、政策に結び付ける広聴の部分がある。議会のあり方等検討特別委員会において「直接、市民と議会が話し合う場づくり」として、議会報告会の扱いを議論した結果、2ステップ論として、すぐに議会報告会を開催するのではなく、委員会機能を強化して各常任委員会における「所管事務調査」活動としてテーマを掲げ、市民(団体)との協議を行い、市長に政策提言を行う。そして、議会としての議論のあり方を調査・研究し、ある程度力の付いたところで市民への議会報告会を行うこととしている。

 

亀山市の視察研修で最も印象に残ったのは、各常任委員長がカメラを通して市民に直接委員会報告をする『こんにちわ!市議会です』です。ケーブルTVやインターネットの情報伝達技術を利用することで、議会が市民にとってとても身近な存在に感じることができると思ったからです。実際に、前の市議会議員選挙では20才台の挑戦があり、議員として活躍しています。議会報告会に加え、画像を通した議員の議会報告のスタイルは、若い世代の政治参加に大いにつながるとともに、志の高い人材が地方議会に参加する起爆剤になると気づきました。

議会の広聴広報の手法は多様ですが、それらを組み合わせたシステムとして運用することで、全ての世代の市民に伝わるようにしなくてはなりません。究極の広報とは、誰もが議員になって活躍したいと感じることのできる、カッコいいものにならなくれはなりません。でなければ、地方議会は崩壊するのではないかとさえ感じています。ここに広聴広報の大きな役割があるのです。

以上で、三豊市議会広報委員会の行政視察研修報告を終わります。

議会広報委員会行政視察研修報告・1

 

三豊市議会広報委員会の行政視察研修は、平成28年10月27日(木)と28日(金)の2日間の日程で行われました。訪問先は、岐阜県可児市と三重県亀山市で、いづれも研修テーマは「議会広報紙について」と「議会ホームページについて」でした。

最初の報告は可児市です。

 

可児市は、平成17年に兼山町と合併し、人口10万人余、世帯数4万世帯余、面積87.57㎢の、加茂地域の拠点都市として発展してきた。

[議会広報紙]   情報発信の形態には <紙による議会だより> <電子データによる議会だより> <声の議会だより> <点字の議会だより> の4つある。

<紙による議会だより> かに市議会だよりを、年4回定例会の翌々月1日に発行している。平成13年9月1日創刊で、17年度より広報誌名を『議会のトビラ』としている。A4判フルカラー印刷(平均14ページ)で、発行部数は約32,800部。市広報紙に折り込み全戸配布している。

<電子データによる議会だより> 議会ホームページ内に、PDF 形式で掲載。

<声の議会だより> ボランティア団体の厚意により音訳していただき、視覚障がい者向けに情報を提供しており、図書館で貸し出している。

<点字の議会だより> ボランティア団体により、平成17年5月号まで点訳していただいていた。

[議会ホームページ]   平成16年3月より可児市議会ホームページを開設しており、本年4月より全面リニューアルした。会議録検索システムを平成18年から導入し、市及び議会ホームページから利用が可能だ。

[ケーブルテレビ・FMラジオ放送]   平成10年3月定例会から、一般質問を ケーブルテレビ可児 でライブ中継している。当初は、テレビの自主放送として再放送や本会議・常任委員会の様子を放送していたが、平成26年度より委託業務として契約している。FMラジオ放送は、平成18年12月定例会から20年9月定例会まで、一般質問の録音放送を行った。現在は、各種告知(報告会・パブコメ)を行っている。

[議会フェースブック]   平成25年8月より、可児市議会フェースブックを開設している。

 

可児市議会では、『議会のトビラ』の表4にQRコード表示や、ユーチューブによる動画配信、グーグルカレンダーによる日程の公表など、議会広報媒体として、市民に議会を知ってもらうための、様々な可能性を求めた取り組みを聞くことができました。また、市民に議会に対する関心を寄せてもらうために、市内にある世界最大級のバラ園『花フェスタ記念公園』にちなんだ、6月定例会を「バラ議会」とするなど、独自色を出した議会広報につながる取り組みが特筆できます。多様な広報媒体を駆使し、市民に伝えたい、自らが常に変わりたい、という議会広報活動の実践を知ることができました。自らのまちの独自性を取り入れることによる、市民とつながる議会広報の可能性を感じた研修でした。

「教育カウンセラー養成講座 愛媛会場」 第3回講座

第2回講座の翌日の平成28年10月30日(日)に、第3回講座が行われました。3回の集中講座の最終日となりました。

聖徳大学児童学部教授 鈴木由美先生による《チーム援助~日常に生かせるやさしい支援のあり方~》です。「チーム支援とは」について4つの点からお話をいただきました。

 

[学校心理学を理解する]

学校心理学とは、学校教育において一人ひとりの児童生徒が学習面、社会面、進路面、健康面における課題への取り組みの過程で出会う問題状況を解決するのを援助し、子どもが成長することを促進する「心理教育的援助サービス」の理論と実践を支える学問体系である。

3段階の心理教育的援助がある。【1次的援助サービス】すべての子どもが課題に取り組むうえでもつ基本的共通ニーズで、教師が担う。 【2次的援助サービス】学校生活で苦戦し始めた子ども(登校渋り、成績低下)に対する心理教育的援助サービスで、教師・保護者、スクールカウンセラーで当たる。 【3次的援助サービス】大きな援助ニーズを持つ子ども(不登校、非行、いじめ、LD 、ADHD)に対して、個別に計画提供される心理援助サービスで、教師・特別支援教育担当教員・スクールカウンセラー・保護者で取り組む。

心理教育的援助には ①学習面 ②心理・社会面 ③進路面 ④健康面 の4領域があり、3つの心理教育支援サービスがある。㋐特定の子ども・事例に対するチーム支援(状況の見立てを行う) ㋑学校レベルの援助サービスのコーディネーション(学校内外の援助資源を調整しながらチームを作成し、援助活動を調整する過程) ㋒学校における援助サービスマネージメント(学校の管理運営を管理職や教務主任・生徒指導で行う)

[援助チームとは何か]

援助ニーズの大きい子どもの学習面、心理・社会面、進路面、健康面における問題状況の解決を目指す複数の専門家と保護者のチームのこと。構成員は、担任・保護者・チームのコーディネーターで、少人数が望ましい。援助チームのタイプには3種類ある。①コア援助チーム(担任・保護者・コーディネーター) ②拡大援助チーム(管理職等が入る) ③ネットワーク型チーム(民生委員・児童相談所・警察等の関係機関が入る:例として新潟県長岡市が行っている、多動性の子を幼児期から成人になるまで一人のソーシャルワーカーが見守り続けるというモデルがある)

チーム支援を実践してきた中で気付いたことがある。行動には理由がある。しかしそれは原因ではないということだ。よい行動はほめ(声かけ)、悪いことは指摘しない(無視)ことで対応できることがある。

[援助シートとは]

援助シートには3種類ある。①援助チームシート(誰が、どこで、何をするのかを文書化しておく:援助案立案のプロセスを一つの表にする) ②援助資源チェックシート(問題解決に援助的な機能を持つ人的、物質的資源) ③アンケートシート(3種類ある:児童・生徒版、保護者版、保護者振り返り版)

援助シートの使い方は、一人ひとりの子どもの援助に使用したり、事例検討会、演習(ロールプレイ)に活用する。

[連携によるコラボレーション(協働)]

先ず、人とつながり知り合いを増やし役立て合うことだ。そして、いろいろな関係機関と連携できるよう、制度を活用する。そのうえで、互いに協力し合う人との関係ができる、共通アイテムやシステム活用をおこなう。特に小中生時には大切な取り組みだ。何よりも教師間のチームワークづくりが無くてはならないことだ。

終わりに、理論では理解できても実際に行うには勇気が必要かもしれない。子どもたちのために皆さんの一歩を応援したいと思っている。

 

何とか時間の都合をつけ、3講座すべてを受講することができました。今更ながら、現場の先生方の子どもたちを思う心と、やる気を感じました。その裏には、学校現場で子どもたちと日々接する先生方の大変さがあるからなのだろうとも感じたのでした。子ども、保護者、先生のすべてがよりよくなれるように支援していきます。

以上で、「教育カウンセラー養成講座 愛媛会場」における3回の講座の報告を終わります。

 

 

 

 

 

「教育カウンセラー養成講座 愛媛会場」第2回講座

「教育カウンセラー養成講座 愛媛会場」第2回講座が、平成28年10月29日(土)に愛媛県松山市総合コミュニティセンターで開催されました。10月23日(日)の第1回講座の報告は、10月24日付のこの場でお伝えしました。今回は、第2回講座の報告をします。

新見公立短期大学幼児教育科教授 住本克彦先生による《対話のある授業~「いのちを育てる関わり方」指導者に必要なカウンセリング能力とは~》です。

 

指導者に必要なカウンセリング能力の基本紹介 と 「対話のある授業」(いのちの教育) について話す。

「対話のある授業」で基本的なことは、『あらかじめ話す時間を決めておく』とか、『聞き取りやすい声の大きさか』といった双方向のやり取りをすることから始まる。そのうえで、①学習心理学知見 ②教科教育学知見 ③授業構成・展開スキル ④支え合う学習集団(ワンネス:一体感、ウイネス:身内意識、アイネス:自己主張)の力をつけることだ。また、タイムリーな話題を取り入れ、分かる授業、おもしろい授業、ためになる授業を実践することで、自尊感情の醸成に努力してほしい。問題行動のある子どもたちのその背景を知れば、解決の手立てが見つかる。「愛がすべてを開く」と信じて、対話のある授業で自尊感情を育んで欲しい。

指導者として不登校の子どもたちから学んだことがある。①受け止めてくれる人の存在の必要性 ②好きなことに没頭することの大切さ ③人生は思い通りにならないから軌道修正できる ということだ。また、荒れている学校の原因の背景に発達障害がある。根底に「認めてほしい」「ほめてほしい」の欲求がある。誕生日に祝ってもらえない人の自殺者が1.5倍多いという調査結果があるように、かけがえのない人の存在は不可欠だ。

絵本は最高の教材となる。指導者として、なぜこの絵本を紹介するのかを話すことで、指導者自身の『自己開示』となる。また、『自己主張』も必要だ。その一つに泣くことがある。思いっきり泣くことで『自己開示』できる。絵本を題材に対話を始めてみる。絵本によって子ども目線に合わすことが可能になる。

河合隼男先生の言葉に「いい言葉が心を強くする」がある。死と向き合う人に、ぜひ伝えてほしい言葉がある。「今日お前が無駄に過ごした一日は、昨日死んだ誰かが死ぬほど生きたかった明日なんだ」 死にたいという人は、本当は死にたくないのだ。3点に留意して対処してほしい。死にたくないから誰かに止めてほしい。つながることのできる人を思い出してもらう。命の電話の連絡先を必ず伝える。

NPO日本教育カウンセラー協会会長 國分康孝先生からのメッセージを伝える。指導者に必要なカウンセリング能力として、「カウンセリング心理学」の立場から、心得てほしいことがある。①見切りをよくする。訣別の決心をつける ②トレードマークを明確に持つ。多才な人ほど人の誘いに沿って損をする ③柔軟性があること。「~ねばならない」にしばられない ④マイベストを尽くして、その瞬間を楽しむ。プロセス主義で行く である。

次に、大切なのは、感情のコントロールをし感情的にならない対話を心がけることだ。①一呼吸置く ②話し合いの目的を忘れない ③リラックスを心がける ④好かれようと思わない ⑤要求水準を下げてみる ⑥言葉はもともと深読みすればきりがない。どこかで切り上げる  教育カウンセラーにも人権はあるのだから、困ったときに相談できるスーパーバイザーを持っておくとよい。

最後に、命を大切にする子とはどのような子なのかをお話しする。●人のおかげで大きくなれたと感じている子 ●得意なことがある子(他者との関係による自尊感情) ●良いところがあると思える子 ●努力すると報われると思える子(報われるとは限らないが、努力しないと報われない) ●チャレンジする子(夢を持てる子・未来志向性)などに気付いている子だ。

今回の講座の中で、何か一つでも参考にしていたでければよいと願っている。

 

住本克彦先生は、私の大学時代の下宿の先輩です。まさに40年ぶりの再会を果たすことができました。終わりの言葉で、涙ながらに私の参加を喜んでくれました。自らが泣くことで自己開示し、私に感激の思いを伝えて下さしました。ありがとうございました。

 

 

 

平成28年度閉会中の民生常任委員会・第6回

本年度第6回の民生常任委員会が、平成28年11月4日(金)に開催されました。所管部局からの報告事項について協議がされました。

「健康福祉部」

●こども園制度について  子育て支援課から、来年度からこども園制度の導入を検討しており、制度についての基本的な説明があった。

●地域医療構想について  香川県地域医療構想の概要説明があった。 【基本的な考え方】平成37年(2025年)には、団塊世代が75歳以上ちなり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となる。医療機能の分化と連携を進め、高度急性期から在宅医療まで、患者の状態に応じた医療を提供する体制を整備することが不可欠。地域医療構想は、病床の機能分化・連携を進めるため、4つの医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)ごとに平成37年(2025年)の医療需要と病床の必要量と、その実現のための施策を定める。 【構想区域の設定】これまでの5つの保健医療圏を3つの構想区域とする。病床の機能の分散化及び連携を推進することが相当と認められる区域を「構想区域」として設定する。 【平成37年(2025年)における医療需要及び必要病床数等の推計】西部構想区域における病床数は、平成26年度(2014年)の5,508床に対し4,603床と大幅に減少の見込み。ただし、高度急性期と回復期の需要数は増加する予測となっている。 【地域医療構想を実現するための施策】①医療機関の自主的な取り組みと相互の協議の推進 ②病床の機能の分化及び連携の推進 ③在宅医療等の充実 ④医療従事者の確保・養成  で構成されている。

●地域子育て支援拠点事業について  前回の委員会で現地視察した高瀬地域子育て支援センターの今後の在り方について検討するにあたり、市の設置するすべての市域子育て支援拠点をまとめた資料の提出があった。『高瀬地域子育て支援センター』『豊中地域子育て支援センター』『仁尾地域子育て支援センター』『ひろば型 すくすくランドたくまひろば』『ひろば型 ピヨピヨカンパニーやまもとひろば』『ひろば型 すくすくランドみのひろば(出張ひろば)』

「市民部」

●申告相談の会場について  本年度から市内3カ所の会場となっていたが、市民から距離と待ち時間に対する改善の要望が多く寄せられていた。アンケートの分析・検討の結果、平成29年度からは高瀬、詫間、豊中の3会場に加え、山本会場を加えて4カ所とする。他に、インターネットを使った確定申告講習会の開催について説明があった。

●その他  固定資産税に関する訴訟について、現状の報告があった。

「環境部」

●三観衛生組合の解散について  12月議会に、組合の解散とその財産処分に関する2条例案の上程を予定している。

●その他  12月議会に、浄化槽事業と集落排水事業等の、特別会計補正予算案の上程を予定している。

 

以上で、第6回閉会中の民生常任委員会報告を終わります。

会派清風会の行政視察研修報告・4

か会派清風会の行政視察研修の4件目の訪問先は、都内のNPOふるさと回帰支援センターです。今回の研修の最後の報告をします。

 

「ふるさと回帰支援センター」は認定NPO法人だ。正式名称は「特定非営利活動法人100万人ふるさと回帰・循環運動推進・支援センター」という。事務局のある『東京ふるさと暮らし情報センター』に訪問し、事務局長の大森正久氏(JA全中より出向)と うどん県・香川暮らし相談コーナー移住・交流コーディネーター の谷村亜希子氏から説明をいただいた。

NPO法人「ふるさと回帰支援センター」は、ふるさと暮らしを希望する生活者の増加という時代の要請を受け、2002年11月、全国の消費者団体、労働組合、農林漁業団体、経営団体、民間団体や有志などが一堂に集い設立された。

主な事業内容は、田舎暮らし希望者への相談業務や会員自治体の移住情報発信業務、移住セミナーの開催、ふるさと回帰フェアの開催、情報誌「100万人のふるさと」の発刊、各省庁や全国の自治体・団体・大学などからの受託事業等、を行っている。

移住相談は、『ふるさと暮らし情報センター』で行われており、44府県1市の自治体がブース出展している。問い合わせ・来訪者数は、2~3年前から倍増しており、2015年実績で年間21,000人余に上っている。香川県は、平成27年度から専属相談員 谷村氏を配置し、移住相談に積極的に対応・展開している。移住希望者アンケートによる移住希望地ランキングは、東日本大震災以降岡山県を筆頭に、香川県も上位に名を連ねるようになっている。

谷村氏の『うどん県・香川暮らし相談コーナー』における平成27年度相談者データ分析によると次のようになっている。

●香川県と同時に移住を検討されている地域  岡山県、四国地方、愛媛県、瀬戸内、徳島県、広島県、和歌山県、鹿児島県他

●香川県内の移住希望地域  東讃44%、中讃12%、西讃6%、島しょう部38%

●相談者から求められる情報  就職情報44%、住宅情報19%他

●香川県移住相談ブースに訪問される方の特徴  *Iターン:単身者、まだ子どものいない若い夫婦(20代~50代で仕事が必要) *香川県以外にも検討地域を持つ(特に多いのは岡山県と愛媛県) *温暖な気候、災害の少なさ、土地の便利さ、アート環境 *農業をしたい方(未経験) *起業をしたい方

最後に、相談員谷村氏からのお願いがあった。

●地域の情報の提供  *移住者希望向けのパンフレット・チラシ *参加者募集の情報(ツアー等) *移住に関する取り組みや支援情報(子育て支援や地域活性化事例情報等) *香川県の皆さんが東京においでになった際の立ち寄り

●ふるさと回帰支援センターのHP・セミナーの活用

●県の相談会の活用(年10回香川県の相談会が実施可能なので、うまく便乗してほしい)

 

地方の時代と言われはじめたのは、いつのことだったのでしょうか。地方に活力を生むための政策が種々打たれてきましたがその成果は、芳しいものではありませんでした。ふるさと回帰支援センターが展開する「ふるさと回帰運動」が、地方の隅々まで伝播するには、地方自らのたゆまぬ挑戦なくしては叶わないことも自明の理です。ふるさと三豊に住む私たちの積極的な活動で、流れは引き入れることができる可能性を強く感じました。今回の研修の4件すべてが連携することで、初めて新たな地方の未来を拓くことができるのだと思います。

以上で、会派清風会の4回に渡る行政視察研修の報告を終わります。

会派清風会の行政視察研修報告・3

 

会派清風会の行政視察研修の3件目の訪問先である、東京都衆議院会館大野敬太郎事務所での研修報告をします。環境省地球温暖化対策課と内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局兼内閣府地方創生推進事業事務局から、2点の説明をいただきました。

 

「地球温暖化対策の現状と課題について」

1880年の産業革命以降、130年間に世界の平均気温は0.85℃上昇した。放置すれば今世紀末までに5℃近く上昇する。パリ協定は、温度上昇を2℃以下にする世界共通の目標を設定した。パリ協定は、「京都議定書」に代わる、2020年以降の温室効果ガス排出削減のための新たな国際枠組みであり、歴史上なじめてすべての国が参加する公平な合意だ。

地方自治体の役割と政策   国全体の温室効果ガス排出削減のためには、地域レベルでの取り組みが基礎となるため、地域の自然・社会条件に応じた低炭素地域づくりが重要だ。たとえば、地域特性に応じた再生可能エネルギーの選択や過疎化の進む農村部での集住促進が考えられる。昔ながらのコミュニティ、水と緑のネットワーク、歩いて暮らせる街、にぎわいのある中心市街地、公共交通の利便性向上、LRT次世代路面電車、BRT(バス・ラピッド・トランジット:バス高速輸送機関)、自転車道、太陽光、廃熱利用、風力発電等の活用・構築の考え方がある。低炭素地域づくりに向けた取り組み策の例がある。  *再開発を機会とした地域冷暖房の導入  *地域の未利用資源であるバイオマスエネルギーの活用  *コミュニティ・サイクルやカーシェアリングの導入  *コミュニティバスのEV車導入

推進のための環境省からの支援策   ①実行計画策定の手引きや研修等を通じたソフト支援〔地方公共団体温暖化対策実行計画(区域施策編)の策定促進、地方公共団体職員向け研修等の実施〕    ②各省と連携し、地域の拠点や特性を生かした低炭素化〔鉄道や駅舎の低炭素化支援(国交省連携)、農村における最エネ導入支援(農水省連携)〕  ③自治体の設備導入支援:太陽光発電やバイオマス熱供給等〔地方公共団体実行計画(事務事業編)とこれに基づく取り組みの大胆な強化・拡充を支援、地域の自然的・社会的条件に応じた再エネ事業であって導入拡大を阻む課題に適切に対応をする自治体に対し事業実施を支援〕

地方公共団体が自ら率先し取り組むことで、区域の事業者・住民の模範となることを目指し、『地方公共団体実行計画事務事業編』を策定し、実施する。パリ協定の目標をクリアするために、と方公共団体の取り組みの大いに期待している。

 

「地方創生に対する財政措置について」

地方の支援には『地方創生版・3本の矢』がある。

1.情報支援の矢  ①地域経済分析システム(RESAS)●官民が保有する産業・人口・観光等の地域経済に関わる様々なビッグデータを見える化 ●ワンストップで、広報・普及、活用支援、開発・改善、利便性の向上を推進

2.人材支援の矢  ①地方創生コンシェルジュ●相談窓口を各府省庁に設置  ②地方創生人材支援制度●応募期間の長期化、民間人材の募集拡大  ③地方創生カレッジ●地方創生を担う専門人材を官民共同で確保育成

3.財政支援の矢  ①「地方創生推進交付金」〔28年度1,000億円(事業費ベース2,000億円)〕●平成28年度予算として新型交付金(「地方創生推進交付金」)を創設し、官民協働、地域間連携、政策間連携等の促進、先駆的、優良事例の横展開を支援  ②「まち・ひと・しごと創生事業費」(地方財政措置)●地方公共団体が地方創生に取り組み、きめ細やかな施策を可能とする観点から地方財政計画に27年度1.0兆円、28年度1.0兆円を計上(全国に交付税で一般財源として配分) ③地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)●地方公共団体が行う地方創生の取り組みに対し寄付を行う企業に対し、税額控除の優遇措置

次に、平成28年度二次補正予算案(地方創生関連)〔総額(国費):914.7億円〕は以下の通り。  ●地方創生拠点整備交付金(道、汚水処理施設、港の公共事業(30.2億円)含む):900.0億円 ●地方創生カレッジ運営事業:7.0億円 ●RESASの拡充・DMOクラウド:3.3億円 ●小さな拠点・地域運営組織の形成拡大支援:0.6億円 ●「稼ぐまちづくり」の実現に向けたシティ・セールス手法の検討:0.2億円 ●地方創生インターンシップ事業に関するシンポジウム等:0.5億円 ●地域産品魅力発信事業:1.1億円 ●交付金効果検証分析:2.0億円

その中の多くを占める、地方創生拠点整備交付金900億円(事業ベース1.800億円)の事業イメージは、●ローカルイノベーションに資する公設試験研究機関の改修等 ●地域経営の視点に立った観光地域づくりに効果的な観光施設の改修 ●地域全体としてのブランディング戦略の確立に資する収益施設(6次産業化施設含む)の整備 ●生涯活躍のまちの推進に資する多世代交流の拠点施設(既存施設の改修を含む) ●移住定住促進のために行う施設の改修 ●小さな拠点づくりに資する地域コミュニティ組織の日常的な活動の場として機能する基幹的な拠点施設の整備(廃校舎、旧役場、公民館等の改修を含む) だ。

最後に、地方創生応援税制「企業版ふるさと納税」についてだ。制度のポイントは、●志のある企業が地方創生を応援する税制を創設する(地方公共団体が行う地方創生の取り組みに対する企業寄付について、税額控除の優遇措置) ●企業が寄附しやすいように税負担軽減のインセンティブを2倍にするとともに、寄付額の下限は10万円と低めに設定  ただし、交付税の不交付団体への寄付は対象外であるとともに、本社が所在する地方公共団体への寄付も対象外だ。

 

国政の中核での研修は刺激的でした。足元にある地域資源をフル活用し環境と地方創生の複合施策で邁進していかなくてはならないと、気持ちを新たにすることができました。

 

 

会派清風会の行政視察研修報告・2

会派清風会の行政視察研修の2件目の訪問先である、栃木県佐野市の民間「認定こども園 あかみ幼稚園」の研修報告をします。

 

車から降り、「認定こども園 あかみ幼稚園」の正面玄関に立った目の前にある園舎は、学校法人中山学園学園長である中山惠三氏と、ご子息である理事長で統括園長の中山昌樹氏の二代につながる、保育・幼児教育理念を形にした、積み重なりであると感じた。

あかみ幼稚園は、認定こども園で、就学前の子どもに幼児教育・保育を提供している。保育園と幼稚園の両方の機能を備え、入園していない地域家庭への支援も含めた役割を果たしている。認定こども園のいいところは、①保護者が働いている・いないにかかわらず全ての子どもが利用できる ②0~5歳児の年齢の違う子ども同士が共に育つ ③子育ての相談などの子育て支援を行い、地域の子育て家庭を支援するところだ。

あかみ幼稚園は、5,500坪(18,000㎡)の広い園庭に、平成28年は350名の園児が通っている(1号:183名、2号:102名、3号:58名、他7名)。通う園児の小学校区は、遠近30校区とこれまた広い。このことからも、「認定こども園 あかみ幼稚園」の地域からの信頼が強いことがわかる。

幼児教育・保育の方針は「遊びで学ぶ」であり、その環境が充実している。遊びは、主体性(〇〇したい)と自律性(自分をコントロール)を同時に育む、乳幼児期の学びのあり方だ。木製アスレチックや木登りできる木、農業体験できる畑、ビオトープ、アヒル・チャボ・うさぎ・やぎなどの小屋、プラネタリウム、陶芸窯などで、子どもと保護者、地域の人々の豊かな生活を支えている。特に陶芸は、現理事長の中山昌樹氏が最も思いを注ぐものだ。若き日に、窯の中で揺らめく炎の魅力に取りつかれ、子どもと大人に体験してほしいと取り組んでいる。地域の子育て中の女性たちが窯場で談笑しながら、楽しそうに作業をしていた。陶芸の虜になっているようだ。就学前の子どもたちの成長のための、理想の環境がここにある。

 

認定こども園の運営が、幼児教育・保育のプロではあっても経営ができるような、組織体制を構築することの重要さを認識しました。「認定こども園 あかみ幼稚園」は、それを実現していました。確かな理念に基づく幼児教育・保育の二代にわたる息の長い実践がそれを実現しているのだとも感じました。認定こども園制度をしっかりと研究し運営力を培うことが欠かせません。

 

2件目の研修報告を終わります。