三豊市議会会派清風会 視察研修報告・3

3件目の視察研修は、衆議院会館会議室での総務省自治財政局財務調査課課長補佐 梅本祐子氏からの「地方財政の現状等について」です。

 

我が国の内政を担っているのは地方公共団体で、政府支出に占める地方財政のウエートは56%となっている。地方交付税は、所得税・法人税の33.1%、酒税の50%、消費税の19.5%、地方法人税の全額 が当てられており、種類は、普通交付税94%、特別交付税6% となっている。

令和6年度地方財政計画のポイントとなる新事業予算は次の通りだ。

【こども・子育て政策に係る地方単独事業(ソフト)】 ◯地方団体が地域の実情に応じてきめ細かに独自のこども・子育て政策(ソフト)を実施できるよう、地方財政計画の一般行政経費を1,000億円増額し、普通交付税で措置 ◯普通交付税算定に当たり、新たな算定費目「こども子育て費」を創設

【こども・子育て支援事業債の創設】 ◯地方団体が「こども未来戦略」に基づく取り組みに合わせた環境改善(ハード)を速やかに実施できるよう、新たに「こども・子育て支援事業費」を計上し創設 (令和10年度まで5年間8「こども・子育て支援加速化プラン」の実施期間)

【物価高への対応】 ◯光熱費の高騰や自治体サービス・施設管理の委託料の増加を踏まえ、一般行政経費に700億円を計上 ◯建設費の上昇を踏まえ、庁舎移転事業と公立病院の建設費における建築単価の上限を引き上げ

【地域脱炭素の一層の推進】 ◯脱炭素化推進事業債について、再生エネルギーの地産地消を推進するため、地域内消費を目的とする場合を対象に追加 ◯過疎対策事業債において「脱炭素化推進特別分」を創設

【消防・防災力の一層の強化】 ◯消防の広域化、連携・協力による、消防・防災力の強化のため「緊急防災・減災事業費」の対象を拡充するとともに特別交付税措置を拡充

【地域の経済循環の促進、地方への人の流れの創出・拡大】 ◯地域の経済循環の促進のため、ローカル10,000プロジェクトの地方単独事業に対する特別交付税措置を創設 ◯地方への人の流れの創出・拡大を加速するため、「地域活性化企業人」制度に社員の副業型を追加するとともに、地域おこし協力隊に係る特別交付税措置を拡充

【地方公務員の人材育成・確保の推進】 ◯地方団体において、少子高齢化、デジタル社会の進展等により複雑化・多様化する行政課題に対応できる人材を育成するとともに、配置が困難な専門人材を都道府県が確保するため、地方交付税措置を創設・拡充

経済財政運営と改革の基本方針2024(地方一般財源総額)から、主要分野ごとの基本方針と重要課題として、地方行財政基盤の強化がある。地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、2024年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保して、地域における賃金と物価の好循環の実現を支える地方行財政基盤の持続性を確保・強化する。

 

国の地方財政の概要と、常に変化する経済や自然環境・災害に対応する財政措置の情報は、今後の三豊市の事業展開の参考になりました。

以上で、会派視察研修の報告を終わります。

 

 

三豊市議会会派清風会 視察研修報告・2

2件目の視察研修先である長野県の(株)Growth Seeding Bloom は、代表取締役 松葉陽祐氏が農業DXを駆使して栽培から販売までを一人で運営する農業事業者です。当法人を視察先に選んだのは、先端技術をどのように利用して事業継続しているのか、本人の体温を感じながら農業に対する考え方と、その手法を自らの耳目で体感したかったからです。

 

経営理念は「誰もがみんな安心して Happyと笑顔になれる未来を創る!」で、そのためのビジョンは「農で『幸創・こうさく』する。」としている。事業内容は、◯小麦栽培 ◯大豆栽培 ◯さつまいも栽培 ◯シャインマスカット栽培 ◯水稲栽培 ◯農産物直売、加工販売 に取り組んでいる。現在の主力作物は「ハナチカラ」という硬質小麦で、全17ha作付けし反当たり収穫は430Kgの実績がある。今後もっと増収するための栽培方法を研究中である。

東京出身のサラーリーマンで農業経験のない松葉氏がなぜ所縁のないこの地に移住してまで農業をしたかったのか。一定の成功を収めていたサラリーマン生活であったが「とにかく社長になりたい」と思いが強くなる中、雇用、過疎、遊休農地、住環境等の地域課題(こまりごと)の解決に取り組むという目的が明確になってきたからだ。

松葉氏は農作物の栽培から販売までを一人で行っている。大規模栽培することでJAの先の卸業者と直接取引できるようになった。農業機器等の導入は、国の担い手補助金を活用した。先般、長野県名物の おやき の会社をM&Aした。原料作物と最終商品の製造に着手し、経営の安定を目指している。

先端技術をフル活用するとともに地域の5つの福祉事業所と連携することで、事業展開の可能性が広がった。福祉事業所からは、販売方法等で助言があったり多様な作業に対して、施設利用者の適性を引き出してくれたりする支援員の力は経営に大いに貢献している。

最後に、行政に言いたいことは「新規就農者」の本気度の見極めをしっかりしてほしいことだ。助成金があるから安易に制度を利用されると、まじめな就農者にまで風評被害が及んでしまうからだ。もう一つは、食に対する消費者教育を推進してほしいということだ。正直な農業者が評価されるようにならないと、日本の安全・安心な農業と食は心もとない。

今後の目標は、農家を守るために販売を強力に展開していくことだ。自分で値段をつけ、お客さんに商品の良さを直接伝えることができることによって、農業の活力が持続できるからだ。

 

まさに今、私が実践しているモリンガ栽培と商品化によるエンドユーザーの声を聞く経営に、確信を得ることができました。「少子・高齢社会」「健康」「環境」が現代を象徴するキーワードだと思います。日本の地方ができる課題解決は、耕作放棄地対策を根幹業務として、農業をいかに活性化することより他ないと考えています。「やって見せねば人は動かない」どこかで聞いた言葉ですが、それをだれがやるのか?私がやります!

 

以上で2件目の報告を終わります。

三豊市議会会派清風会 視察研修報告・1

令和6年7月2日(火)から4日(木)の3日間の日程で行われた、三豊市議会会派清風会の視察研修報告をします。研修先は、富山県立山町の交流ステーションと長野県の民間農業事業所、東京都議員会館での勉強会でした。

 

1件目の視察研修先である富山県立山町「元気交流ステーション『みらいぶ』」は、【高齢者も、赤ちゃんも、だれもがみんな、快適に安心して利用できるように。】を目的に、立山町社会福祉協議会など保健福祉の総合的な機能を集約し、立山図書館や交流センターなど暮らしに役立つ公共施設と富山地方鉄道五百石駅が一体となった福祉施設だ。

以前から分散していた保健福祉機能を集約する保健福祉センター構想があった。人口減少が著しい中で立山線の廃線の危機があり、現町長になりその存続を掲げて駅との一体建設が実現した。

総事業費は19億円で、まちづくり交付金(現:都市再生整備計画事業)等を活用し、設計から2年ほどの超短期間で2012年5月に竣工した。駅舎に関する建設費及び維持管理費は町が負担し、冨山地方鉄道の費用負担はゼロで、光熱費等の経費負担のみとしている。行政エリアの管理は、地元事業者でつくる「商業協同組合」が5,000万円/年 で指定管理者となっている。

施設内容は、1~3階が交流ゾーンで駅改札口や図書館などの各スペースにつながっている。1・2階は図書館ゾーンで「改札口を抜けるとそこは図書館だった。」で表現されるような配置とされ、一般書・児童書がそろっている。3階は保健・福祉ゾーンで、子どもを持つお母さんお父さんの悩みから介護の相談など、保健福祉で気になること・知りたいことにワンストップで対応できる。

 

『みらいぶ』のある富山地方鉄道五百石駅は800人/日の利用があり、多くは高校生で時間待ちが自分の居場所づくりとなっています。また、電車・バスの結節点の機能が向上したことで、人の流れが変わったとのことです。三豊市では、高校生が主要な利用者であるJR四国高瀬駅(1,1000人/日)の改修計画が進められようとしています。駅舎そのものの建設計画に加え駅前の民間活力導入による最適活用の検討の必要性を強く感じた研修でした。

以上で1件目の報告を終わります。

総務常任委員会行政視察研修 報告Ⅲ

3か所目の訪問先である富山県南砺市では、「移住・定住の取り組み」について南砺で暮らしません課 他から説明をいただきました。

 

南砺市は、人口46,000人余(うち外国人1,000人余)、面積668.64㎢、富山県の南西部に位置している。4つの町と4つの村が合併し誕生し、令和6年11月1日に20周年を迎える。

 

「南砺市の移住・定住施策について」 南砺で暮らしません課

南砺市の移住ガイド『なななんと』の冒頭のコピーは次のように語りかけている。「特色のあふれるそれぞれの地域には、美しい四季の中で受け継がれてきた古き良き伝統が息づいています。豊かな自然に囲まれた里山での暮らし、歴史や文化がぎゅっと詰まった情緒あるまちなかでの生活、その両方が存在しており、自分に合ったライフスタイルがきっと見つかります。あなたが思い描く理想の暮らしを南砺市で実現してみませんか。」

南砺市は「田舎暮らしの本」宝島社の2024年2月号で、「住みたい田舎」ベストランキングの北陸エリヤにおいて、総合部門で2位となった。南砺市の良さを感じ移住する人が増えている。暮らしやすさと県内トップレベルの充実した移住支援策で、UIJ ターンを支えている。

南砺市が評価されているポイントは ①世界遺産など伝統や文化の宝庫 ②就業、通勤、企業のどれもが良い環境 ③移住を希望する方への支援制度が充実 ④移住定住希望者へのトータルサポート

移住希望者に対し、移住や定住に向けた国や県、市の施策をパッケージ化し、手続きや情報提供をワンストップサービスでサポートすることで、移住への支障を解消している。また、潜在的な都市部の移住希望者へ様々なチャンネルを通して移住情報を伝え、その人の移住希望の実現を支援している。

その仕組みは、【知る・伝える】*情報発信事業 ⇒【体験する・受入れる】*移住準備事業 ⇒【移住・定住へ】*定住サポート をワンストップで提供しており、住まいの補助金として『住みたい南砺応援金』や『定住奨励金』の制度を充実している。

 

「関係人口に着目した南砺市応援市民制度について」 政策推進課

南砺市には「応援市民登録制度」がある。南砺市の考える応援市民(関係人口)の姿は、短期・中期に市民とともに地域を守り、盛り上げていくパートナーとして、長期としては「できれば南砺市に住んでもらいたい」。移住は無理でも継続的な関係を深めていくことだ。

「南砺市の人口ビジョン」を策定している。社人研推計では2060年23,000人弱と予測されているところを30,000人の目標とした。そのために応援市民の目標を5,000人とした。平成28年10月から登録開始し、令和6年3月末現在の登録者数は1,149名の実績となっている。

課題と近年の取り組みについて、そもそも南砺市応援市民の認知度が低いとか、応援活動への参加者が少ないとかの課題があり、その対策として金沢大学と連携し、「学生サポーター」を募集した。現在は、学生が南砺市内で様々な活動を展開している。

「学生サポーター」活動による効果は、若者が活躍することで南砺市でなら何かできそうな雰囲気が生まれ、出ていった若者も南砺市が気になり、戻ってみようかなという機運の醸成へとつながっていく。「若者に寛容なまち」「若者から選ばれるまち」を目指し、新しいことへのチャレンジを応援する。「寛容性」にあふれた地域社会を構築し、人口ビジョンの達成とまちの将来像の実現を目指す。

学生の参加と新たなアイデアで地域に変化を!を実現しようとしている。

 

「市内企業の人材不足解消に向けた取り組みについて」 商工企業立地課

「若者の希望にあう就業への支援」を推進していくため、若者が地域に定着できる「仕事づくり」を戦略的に取り組む。南砺市の「課題」や「特性」を整理した上で、まちづくりと一体となった若者定住に向けた企業立地施策等を定める「企業立地戦略」を策定した。計画期間の設定を、令和4年度~11年度とし、第1段階を4年度~8年度、第2段階を9年度~11年度とした。

策定委員会では、 ①市内企業の市外流出による就業機会の減少 ②市内企業が十分に知られていない ③若者、女性の希望に沿う就業機会が乏しい の3つの課題に整理したうえで、3つの基本方針を定めた。 基本方針1:市内企業の定着及び成長促進  基本方針2:雇用確保に向けた市内企業の魅力発信強化   基本方針3:市の特性を踏まえた企業誘致 とした。次に、市の強みと弱みを拾い出し、現状を整理することで市の特性を示した。それらを分析しながらそれぞれの基本方針について事業プランを立てていった。

プラン立案には3つの基本方針のそれぞれの背景の見極めが重用だ。 基本方針1:●特に若い女性の人口流出に歯止めがかからない ●市内に一人暮らし向けの賃貸住宅が少ない  基本方針2:●市内企業の魅力が知られていない ●大学進学で地域とのつながりが希薄になる  基本方針3:●子育て世代を含めた女性の就業機会が少ない ●転出した若者を就職等で呼び戻すことが必要 ●市外からの企業誘致の実績が少ない  これらの背景を踏まえた事業プランの事業が創設され、まさに展開中である。

今後の推進体制については、事業プランの取り組み状況の評価、検証を行い、社会情勢の変化を踏まえ、適宜見直しを行う。(産業振興会議等に専門家を加えることを想定)

 

私が、興味を持つと併せてぜひ三豊市(行政がやるかどうかは別として)でも取り組む必要性を強く感じたのは、基本方針2の事業の一つである「若者と企業のつながり支援の中のインターンシップ開催事業」です。高・大生が地域の事業者がどんな思いで企業経営を行っているのかを、知る機会がこれまで皆無であったのです。企業は人手不足であえいでいるにもかかわらず、地元の若者は働く場がないから外へ出ていくという、ミスマッチが生まれていたのです。その原因は、若者が生まれ育った地元企業の本質を知る機会がなかったからです。重要なのは、お互いを知る方法を誰が展開するのかということです。若者たちにとって地元企業が働く場だと気づけば、それは地域の魅力であり、強み・資源になり輝きを発するのだと確信した研修でした。

 

以上で、3回に渡る総務常任委員会行政視察研修の報告を終わります。

 

 

総務常任委員会行政視察研修 報告Ⅱ

2か所目の訪問先である新潟県上越市では、「上越市の防災の取り組み」について、危機管理課他から説明をいただきました。

 

「『令和6年能登半島地震』における上越市の対応状況等について」

今回の能登半島地震は、日本海調査検討会(2014)による波源断層モデルにおける能登地域のF43が動いた。当市には30分位で津波が来ると予測されていたため、速やかにその対応を行った。午後4:35頃に第1波が関川を遡上。市内で確認した河川の津波遡上は、関川から約5㎞、関川の支流の保倉川で約1.6㎞まで確認された。関川河口における津波の高さは3.2mで、遡上高は船見公園の5.8mが記録された。

津波ハザードマップでは、避難支持の発令は津波発生時は市が避難指示を発令する時間的猶予がないため、『大津波警報・津波警報・津波注意報』をもって、市からの避難指示の発令としている。

市の情報発信は、防災行政無線や防災ラジオ、安全メール、市公式SNS、市HP及び報道機関を通じた周知など、様々な手段を用いている。今回の興味深い発信の手法として、発災日である1日には3回防災行政無線によって、市職員の肉声で津波からの避難と火災防止を周知した。人の声での発信は効果的であった。

津波からの避難の基本的な考え方として 【浸水想定区域内:直ちに指定緊急避難場所などの高台へ避難】 【浸水想定区域外:安全な建物の中にいれば、原則、避難しなくてよい 自力での避難が難しい人については、屋外に出ることで余震や交通事故などの二次災害のリスクが高まるため、自宅等に留まることを推奨】

能登半島地震連絡調整会議における有識者からの提言として、これまで自動車での避難を否定していたが、自動車での避難方法を詳細に検討する段階にきていることに対して、市の方針は「原則、徒歩による避難」とするが、「避難行動要支援者等に限定した自動車による避難」を選択肢の一つとした。

次に、生活環境課から能登半島地震による、一般家庭から発生した災害廃棄物の処理について説明があった。災害廃棄物処理計画に基づき迅速な対応を行う必要もあり、一時的に市民から受け入れた災害廃棄物を集積する仮設置き場を、上越市クリーンセンター(市の燃やせるごみ焼却施設)敷地内に設置した。1月5日~5月2日まで開設した。この期間中は、処理手数料は減免とした。現在、災害廃棄物は、順次排出作業をおこなっている。

 

上越市では、津波被害想定区域のデータ情報の制度が格段に向上していることから、市民一人一人の生活・住環境を考慮することで、最良な避難手段を導きだそうとしています。これも、能登半島地震の経験と体感から生まれた示唆なのだと思います。この生きた学びを、三豊市の防災に活かしていかなくてはならないと再認識した研修でした。

総務常任委員会行政視察研修 報告Ⅰ

令和6年7月9日(火)~11日(木)の3日間、三豊市議会総務常任委員会の行政視察研修に参加しました。研修先は石川県金沢市と新潟県上越市、富山県南砺市の3か所です。

1か所目の訪問先である金沢市では「金沢市の防災の取り組み」について、危機管理課他から説明をいただきました。

 

「『令和6年能登半島地震』における金沢市の対応状況等について」

令和6年1月1日(日)午後4時10分、石川県能登地方(輪島東北30㎞付近)で、マグニチュード7.6規模の地震が発生した。金沢市は震度5弱であった。人的被害は負傷者9名死者なし(帰省先の能登で死者あり)、建物被害9,095件、道路被害2,653件、河川被害101件、がけ地被害184件、水道被害1,100戸、下水道被害約36㎞

災害対策本部は4時10分設置(3月31日をもって解散)し1月1日か~7日に7回開催された。避難状況は避難所124か所で、津波情報のため1日の午後9時30分時点で避難者数10,259人となった。

「能登被災地支援本部」を4日に設置。延べ3,973件を受け入れた。「能登被災者受入支援本部」を10日に設置。輪島市南志見(なじみ)地区から最大314人を受入れ。受入れ支援は金沢市社協が主催し『あつまらんけ~のと!』を開設して【カフェ】【支援物資配布】【相談窓口】を実施している。

能登半島地震関連予算として、能登地域の復興キャンペーン事業や市内経済団体等と能登の団体との連携事業支援制度創設、「銀座の金沢」展、能登工芸作家情報発信支援費、応急仮設住宅入居者に対し災害救助法の対象とならない生活家電の購入費用を助成、食事の提供のない宿泊施設の避難者に食事に使えるプリペードカードの配布、市内で避難所生活を送っている被災者に食事券を提供、「被災宅地等復旧支援事業費補助」、「被災木造住宅耐震改修等事業費補助」等を実施。復旧・復興に向けた取り組みとして、「金沢市被災地区復旧技術検討会議」「金沢市能登半島地震課題検証会議」を設置。現在も、復旧・復興のため取り組んでいる。

次に、「防災」と「景観・観光」「安全・快適」の面で効果が期待できる【無電柱化】の取り組みについて、土木局道路建設課無電柱化推進室から説明があった。

続いて、現地視察で無電柱化事業の事例として主計町(かずえまち)を視察し、備蓄品等を収納する防災倉庫のある金沢スタジアム:防災拠点広場を訪問した。

 

発災時から刻々と移り行く現実の速やかな対応の記録は、臨場感あふれるものでした。また、速やかな復興・復旧に向けた、多面的かつ多様な視点での予算措置の在り方に気付くことのできた研修でした。

三豊市議会会派清風会 福岡市・北九州市視察研修報告・3

2日目の課題討議は、「議員のなり手不足問題への取り組み報告が行われました。

 

コーディネーターを江藤俊昭氏(大正大学社会共生学部公共政策学科教授)に、3氏からの事例報告として辻弘之氏(登別市議会議長)、たぞえ麻友氏(一社 WOMAN SHIFT理事、目黒区議会議員)、永野慶一郎氏(枕崎市議会議長)から行われた。

江藤氏:なり手不足は、単に無投票というレベルに止まらず、多様化の欠如(年齢・性別・職業等)、投票率の低下、といった地域民主主義の問題。多様性が議会の価値そのものだからだ。議員のなり手不足問題を克服するための地方議会の手法として、いくつかの課題がある。「議員報酬を増額すれば・・・」「定数削減すれば・・・」「夜間議会にすれば・・・」「住民総会にすれば・・・」等がよく言われるが、誤解があるので注意すべきだ。

辻氏:[「なり手」を育てる地方議会の未来への種まき研究会~地方議員養成講座]の報告があった。報酬の多少よりも定数減の方が「なり手」不足の要因ではないか。報酬が安くても議員を辞めた後に民間での価値が認められる環境にしたい。

たぞえ氏:「若手女性議員のネットワーク&ママの議員インターン」の報告があった。ミッションは、届きづらい女性の声を政治につなぎ、一つずつ実現していくこと。WOMAN SHIFTでやっていること ●住所公開が怖い、旧姓使用ができない ●議会に女性が入っても声が届けられない ●20~40代の若手女性の声が拾いづらい 等を解消するためのワークショップ、ママの議員インターンに取り組んできた。議員の活動が楽しい、意義があると実感できるようにしたい。

永野氏:「議員のなり手不足問題への取り組み報告~無投票選挙の克服をめざした4年間の歩み~」の報告があった。無投票回避に向け報酬は現状維持で、定数減を決断し14名から12名にした。その結果、12に対して14の立候補があり、4名の女性議員が誕生した。県内でも最も女性議員比率が高い。現在の報酬額(275,000円)では議員を目指そうとは思わない現実があるが、顔の見える議会を目標に活動している。

 

「研究フォーラム㏌北九州」を受講して通して言えることは、わがまちの市議会の本質的な存在価値とは何かということです。人口、面積、財力、歴史、文化、風土、気質、そしてそこに住む人等、違いを上げれば枚挙にいとまがありません。それぞれの地方議会があっていいということです。多様性が議会の価値そのものなのですから。

以上で報告を終わります。

三豊市議会会派清風会 福岡市・北九州市視察研修報告・2

「第18回全国市議会議長会研究フォーラムin北九州」は、【統一地方選挙の検証と地方議会の課題】のテーマで、北九州市小倉区西日本総合展示場において開催されました。

 

1日目の基調講演が、「躍動的でワクワクする市議会に」と題して、片山善博大正大学教授兼地域構想研究所長からあった。

◯地方議会をめぐる現状とこれまでの地方議会改革を検証する ━ 二元代表制とはいえ、地方自治法を読み込むと議会が最上位である。決定する立場と執行する立場だと、当然決定する方が重用だ。ところが、現状どうみてもそうなっていない。

◯日本の地方議会に欠けていることは何か ━ ①議場という公開の場での真剣な議論がない。議案の審議がなされていないのでそのまま決定している。議案や予算案の修正をしていくことだ。 ②税率の議論がない、お金がなければ税率を上げればいいではないか。固定資産税1.4を上げればいいし、住民税だって上げたっていい。 ③住民の声が聞こえない。住民に参加してもらう議論の場を設ける。

◯現行の議会の権限を活用してもっと積極的に取り組むべきこと ━ ●もっと議案を丁寧に審議する:提案の裏を取る。本質をぼかして説明する場合があるため、当事者を直接議場に呼んで意見を聞く。市民の意見を聞く場を設けてはどうか。議会で予算に対するアンケートを取る。 ● 教育委員会にもっと目を配ってほしい。いじめ・不登校問題(教員のなり手不足:ブラック職場という情報が学生に広がっている)は教育委員会の責任だが、提案を承認したのは議会だ。任命には所信を聞いてはどうか。

以上のような意見と指摘、提案があり、議会の在り方に対する議員自らの姿勢を問い直す有意義な基調講演となりました。

 

続いてのパネルディスカッションは、「統一地方選の検証と地方議会の課題」をテーマに、谷隆徳氏(日本経済新聞編集委員)をコーディネーターとして、勢一智子氏(西南学院大学法学部教授)、辻陽氏(近畿大学法学部教授)、濱田真理氏(Stand by Women 代表、女性議員のハラスメント相談センター共同代表)、田仲常郎氏(北九州市議会議長)の4人のパネラーで行われた。

谷氏:統一地方選を振り返ると投票率は低下傾向が続き、過去最低だった。兼業300万円/年までならOKとなったが、社員の立候補を認め、議員から戻ってもそれを活かした生活をすることが可能な社会にすることもあってもいいのではないか。

勢一氏:問題関心として、地域社会の「鏡」としての地方議会となっているのか。議員構成が地域社会を映していないのではないか。学生は議員の選択肢がないという。政治に興味がないのは変化する社会課題が議論になっていないからではないか。

辻氏:多様な地方議会が求められるのではないか。人口規模に応じた執政制度の選択を可能にしてはどうか。人口規模が大きい自治体では、「専業化」できるがそうでない自治体は「兼業」しないと生活できない。政策立案できる人的・組織的整備が必要だ。議会費が同様又は減額したとしても、それを充実して予算措置してはどうか。

濱田氏:地方議員に対するハラスメントの現状は、男性より女性の方が受けた人が多い。相談体制や議会内のルール作りが重用で、ルールや基準を設けていない場合、対応が非常に困難になる。ハラスメント倫理条例等の制定を行い、ルール作りをしておくことが重用だ。秘書のような人がいない。議員に寄り添う人が必要だ。

田仲氏:北九州市議会の取り組みとして、市民に市議会を身近に感じてもらうため、市の抱える課題をテーマにした市民との意見交換会を行う。また、ドリームサミット(中学生議会)や平和のまちスタディーツアー(議会棟視察)を実施して、関心を持ってもらうように取り組んだ。

 

「研究フォーラムin北九州」の1日目の報告を終わります。

 

三豊市議会会派清風会 福岡市・北九州市視察研修報告・1

令和5年10月25日(水)と26日(木)に北九州市で開催された[第18回全国市議会議長会研究フォーラム㏌北九州]に参加するに合わせて、前日の24日(火)に福岡市にある福岡地区水道企業団が運営する「海の中道奈多海水淡水化センター(愛称:まみずピア)」の視察研修を行いました。

 

海水淡水化センター廣川所長はじめ職員の皆さんが丁寧に対応してくださった。

【海水淡水化事業の目的】 福岡都市圏は地域に一級河川がなくこれまで筑後川からの給水に頼っていた。だが、近年の少雨傾向もあり、渇水が頻発していることもあり、平成22年度を目標年次とする広域水道整備計画が策定され、海水淡水化事業が位置付けられた。筑後川水系に多くを依存する福岡都市圏の自助努力の一つとして、海水淡水化事業を行った。

【施設の概要】 事業費:408億円、維持管理費:18~20億円/年(電気代やRO膜 等)、取水方法:浸透取水方法(玄界灘=最大取水量103,000㎥/日)、海水淡水化方法:海水逆浸透方式(生産水量 最大50,000㎥/日)、放流方法:近隣の水処理センター処理水との混合放流(博多湾内)、供用開始:平成17年6月

現在、福岡市の必要水量は600,000㎥/日で、その内、水道企業団では まみずピア で生産した50,000㎥/日と、筑後川水系からの導水等を併せて250,000㎥/日をまかなっている。

 

三豊市では、詫間地区の工場用水確保が重要な課題となっており、海水淡水化プラントも具体的な検討技術であると確信した視察でした。

 

 

 

三豊市議会会派清風会 視察研修報告・3

視察研修報告3日目、最後の報告は千葉県いすみ市での「廃校跡地の利活用」についてです。

 

いすみ市は平成17年に夷隅町と他2町の3町合併により誕生した。現在人口43,000人余、面積157.50㎢で、太平洋に面する千葉県の南東部に位置している。内陸部では米や野菜の生産、畜産などが営まれており、また、親潮と黒潮が交わる良好な漁場があり、豊富な海の幸にも恵まれている。

「廃校跡地の利活用」の取り組みは、市HPによる空き公共施設情報の発信に加えて、国・県と連携し効果的なPRを実施してきた。文部科学省の【~未来につなごう~「みんなの廃校」プロジェクト】や千葉県の県HPの空き公共施設等活用可能施設一覧を活用するなど、企業誘致活動が進められた。また、県主催のイベント等において、市場ニーズの把握や参加企業への積極的なアプローチによる、利活用を検討する企業とのマッチング機会を創出した。千葉県商工労働部企業立地課が主催する『空き公共施設活用セミナー』で可能性を見極め、公募型プロポーザル方式による企業提案の募集を実施した。

企業への支援制度は ●立地奨励金 ●雇用促進奨励金 ●半島振興法に基づく固定資産税の不均一課税 ●過疎法に基づく固定資産税の課税免除 がある。

空き公共施設への企業進出実績は ①旧サンライズガーデンへ地域の仕事拠点となるコワーキングコミュニティの運営事業:年間賃料 111万円余 ②旧学校給食センターに食品会社のレトルト食品の製造拠点:売却額 7,900万円余 ③旧中川小学校へ液晶モニター関連製品の開発やカ亞タマーサポート、商品受注拠点:売却額 2,244万円

これからの案件として、旧千町(ちまち)小学校があり、利活用アイデアの募集中である。

いすみ市は、これまでに地道な移住政策に取り組んできたことで、市のイメージ向上につながっており、企業進出に大きくプラスになったとのことです。たゆまぬシティプロモーションの必要性を再認識するとともに、多様な誘致施策の展開が求められることも気づくことのできた研修でした。

 

以上で、会派視察研修報告を終わります。