令和6年第4回定例会一般質問・2

2件目は「オーガニックビレッジ宣言と出口戦略について」です。

【質問】

オーガニックビレッジ宣言を発出するにあたって策定された有機農業計画で、有機農業のおかれた現状として「流通は系統外流通、場合によっては市場外流通となり、販路も生産者自らが開拓せざるを得ない状況」であることが示されている。この事業着手時点から作物の出口の問題があることは認識された課題となっていた。

三豊市の独自性ともいえるバイオマス資源化センターみとよを活かした、オーガニックビレッジ実現に向けた取り組みの現状と、出口戦略の現状と見通しについて問う。

【答弁】

今年(R6)3月にオーガニックビレッジ宣言を発出し、昨年度に引き続き、国のみどりの食料システム戦略推進交付金を活用して、有機農業産地づくりを進めている

①生産関連の取り組みは、有機農業を目指す新規就農者や慣行農業から転換を希望する方を対象として土づくりセミナーを開催し、農業者の拡大を目指している

②加工・流通関連の取り組みは、西讃農水産物商談会に出展し有機農産物の販路拡大を進めている また、市内運送会社との連携も目指している

③消費関連の取り組みは、東京有楽町で開催されたシティプロモーションイベントに出展し、生産農家自らが有機農産物のPRを行っている

出口戦略の取り組みの状況は、県内の民間病院で、「食べておいしく体に優しい食材で健康サポート」したいとして、年明けから市内の有機農産物を取り扱うこととなっている。また、高松に店舗を有するオーガニック食材取扱店『春日水神市場』が丸亀店をオープンするとのことで、取扱量の増加を目指している。

バイオマス資源化センターみとよ等の微生物の力による堆肥化は、堆肥原料の地域内調達や循環、また耕畜連携やみどり認定の取得といった環境に優しい取り組みとして、本市の作物の付加価値となることから、今後も積極的に推進していく。

 

以上で、一般質問2件の報告を終わります。

 

 

 

 

 

令和6年第4回定例会一般質問・1

第4回定例会では2件の質問をしました。2回に渡って報告をします。

 

1件目は、「豊中町本山地区の治水対策について」です。

【質問】

豊中町本山甲百合田地区では、商業施設の立地、国道11号線及び県・市道の拡張または昨今の大規模な住宅開発により、農地が大幅に減少するなどの環境変化に起因し、既存の用水路に流入する雨水や生活排水が増量し、しばしば浸水被害が発生している。特に台風の豪雨にはその被害が大きく頻度は高まっており、地域住民の自助努力では対応できない状況になりつつある。今後、さらなる大きな災害発生も危惧されるため、地域住民が不安を抱くことなく、安心して生活していくための状況改善が急務と考えられる。そこで、多面的な政策効果の期待できる方策として、遊水地を設けることによる治水対策の提案をする。

一つ目は、防災としての治水対策によって、住環境が良くなることによる地域住民の安心安全の確保。

二つ目は、現状管理不十分の隣接民有地の一部を遊水地とすることにより、新たな企業誘致にも活路が開けるという産業振興の可能性。

三つ目は、これまで借り手のなかった農地が優良農地となり、農地保全の道筋がつく。

というものだ。以上のような三方良しの政策展開の考えを問う。

 

【答弁】

豊中町本山地区については、台風や近年の降雨量の増加を起因とした大雨により、水路から水があふれ、たびたび浸水被害が発生していることは承知している。被害回避の対策を検討するため、令和元年度に本山地区排水対策調査業務を実施し、具体的対策を検討するための基礎資料を作成している。調査報告では、現状の水路断面の不足が指摘されているが、農業用水路としては、過不足なく利水されているため、受益者負担も発生することから、農業用水路を拡幅することは困難な面があるとされている。

一方、下流域の市河川である加奈子川は、河川護岸の老朽化から現在改修工事を計画中であり、河川の拡幅や護岸のかさ上げなどの改良工事を進めて行く予定だ。

また、県河川である竿川や財田川については、県に対して河道掘削による流水面積の拡大などの協議や改修要望を行っていく。

さらに、地元自治会からの要望のあった貯水池などの検討も行う。

議員提案の遊水地については、整備されれば十分な治水効果が期待され、浸水被害の軽減につながると考えている。また、管理不十分な土地を遊水地として利用することによる住環境改善やそれに伴う企業誘致等におけるメリット。さらに、周辺農地の保全に道筋がつくことなど多面的な効果が期待できるものと考える。

遊水地の整備について、財源の確保を行うために整備内容に合致した国の補助金等の確認や要望を行いながら幅広い視点で検討を行っていく。

 

1件目の質問の報告を終わります。

 

地域医療情報交換会

地域医療政策セミナーを受講した翌日は、埼玉県蕨市議会会派新翔会と地域医療の核となる市民病院建設についての情報交換を行うため、蕨市役所を訪問しました。

 

蕨市は埼玉県の南部に位置し、5.11㎢の市域の中に75,000人が暮らす日本一人口密度の高いまちだ。近隣の市に複数の病院がある中で、老朽化した市立病院の建て替え計画が、存廃も含めて検討されている。

現在の病院は、外来診療として 内科、小児科、外科(皮膚科)、整形外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科があり、病床数は130床となっている。

三豊市立みとよ市民病院と類似した規模であることから、公立病院の役割と機能を備えた施設とはどのようなものか、及びその建設手法について情報交換を行った。

 

『CM方式及びECI方式のメリット・デメリットは』

CM方式

【メリット】 ●病院発注の場合、技術者不在であるためマイナス面をカバーする  ●精度の高い基本計画に基づく概算工事費の積算による、ローコスト建築が可能 ●コンパクトな建物形状でシンプルな矩形の建物 ●実績に基づくきめ細かな支援によるプロポーザル審査の実施で、最適な設計者・施工者の選定 ●基本計画から開院までの工期短縮

【デメリット】 ○CMに対する新たな費用が発生 ○CMの技量によって左右される

ECI方式

【メリット】 ●設計者と施工予定者の協働により実施設計を行うため、予算額内でできる ●基本設計中に施工予定者選定の準備が進められるため工期短縮ができる ●基本設計に対して施工予定者の保有技術により、コストの低減が図れる ●施工予定者は、必要な資機材やその時期が把握できるため、安価な時に押えれるなどコストの低減につながる

【デメリット】 ○施工予定者を選定するプロセス(プロポーザル等)が複雑になり、発注者の負担が増え有識者の助言が必要(そのためのCM) ○設計者の業務範囲と施工予定者の技術協力の範囲が重なる部分があるため、事前に役割分担を明確に ○コスト低減は図れるが、結果として施工予定者1社からの工事費の見積もりになる

 

『施設整備に当たり特に配慮する点』

① 工事を予算内に収め、ローコストでハイクオリティな施設とする

②診療の流れに沿った部門構成や、コンパクトで機能性を考えることで、無駄をなくし効率的で使いやすい施設とする

③免震構造で地震災害に対する安全性を高め、災害に強い施設とする

 

蕨市議会会派新翔会は9名の会員を有する第1会派です。内4名が新人議員であり未来の地域医療の観点に立ち、市立病院の在り方を熱心に調査研究しています。今回の情報交換会をきっかけに、さらなる地域医療政策の学びを深めていきたいと考えています。

 

 

 

「地域医療政策セミナー」研修報告

令和6年(2024)10月30日(水)、東京都都市センターホテルで開催された、全国自治体病院経営都市議会協議会主催の「第18回地域医療政策セミナー」に参加しました。

 

協議会会長の喜多浩一金沢市議会議長から挨拶があり、その後2件の講演を聴講した。

1件目は、厚生労働省大臣官房審議官(医政、口腔健康管理、精神保健医療、災害対策担当)(老健局、保健局併任)森真弘氏による「令和6年能登半島地震を踏まえて~災害時の医療体制構築と今後の地域医療維持、確保の課題~」の講演だ。

●自治体が災害が発生する前(平時)から医療施設等に備えて欲しいこと  ①避難に関する注意喚起を行う ②非常用自家発電設備(設備・燃料の確認等)、水や食料、医療資源等の備蓄状況の確認 ③医療機関の連携体制の構築・確認

●平時より地域の医療事情を知らねば、災害時に的確な支援はできない

●能登半島地震の後、これから  ①人口減少や高齢化の状況を加味した平時からの医療計画の実現 ②平時や災害時にとらわれない、地域のレジリエンス向上に向けた施策の継続

●災害医療の体制の見直し  ①DMAT・DPATの派遣や活動の円滑化や様々な保健医療活動チーム間での多職種連携を推進する ②災害時に拠点となる病院や他の病院が、その機能や地域における役割に応じた医療の提供を行う体制の構築 ③豪雨災害の被害を軽減するため、地域と連携して止水対策を含む浸水対策を進める ④医療コンテナの災害時における活用を進める

●災害拠点病院について  災害時に多数発生する傷病者、被災した医療機関の入院患者に対して、災害拠点病院を中心として、被災地内外の医療資源を活用できる医療提供体制の整備

●災害医療コーディネーター  医療コーディネーターとの連携、DMAT等の医療チームの派遣調整を実施する人材

●広域災害・救急医療情報システム(EMIS)  基本機能として、医療機関基本情報と被災医療機関の緊急情報他を有する

●事業継続計画(BCP)  病院機能の損失をできるだけ少なくし、機能の立ち上げ、回復を早期に行い、継続的に被災患者の診療を行うための計画 ①病院等における耐震診断・耐震整備の補助事業 ②医療施設非常用自家発電装置設置整備事業 ③医療施設給水設備強化等促進事業 ④医療施設浸水対策事業 ⑤医療施設等の災害復旧に対する補助金事業

●地域医療構想について(今後の展望)  地域ごとに必要医療数を見直さなくてはならない。医療需要の変化:入院患者数は 、外来患者数は、在宅患者数は

●「高齢者の急増」から「現役世代の急減」に局面が変化

●医師の高齢化も進む

以上を包括した新たな地域医療構想については、2024年ごろを見据え、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上人口の増大に対応できるよう、病院のみならず、かかりつけ医機能や在宅医療、医療介護等を含め、地域の医療提供体制全体の地域医療構想として検討予定

 

阪神・淡路大震災や東日本大震災に続く能登半島地震から導き出された、「救急医療と災害医療とはちがう。しかし、救急医療ができなければ災害にも対応できない」という視点での説明は、とても納得できる有意義な講演でした。

 

2件目は、まんのう町国民健康保険造田歯科診療所主任歯科衛生士の丸岡三紗しによる「県内一の過疎地域での挑戦!こどもも若者も高齢者も大事にするまちづくり~高齢者のためのお買い物ツアーや移動支援&児童館のないまちで取り組む子どもと子育て世代の居場所づくり」の講演だ。

香川県もんのう町琴南地区では、「人の健康を守るのは医療だけではない」を掲げて、医療関係者に民間を加えた在宅医療・介護の連絡会を設け、月一で集まってケース検討などを行っている。民間を入れることでフラットな運営ができることとなった。

ここでは「社会的処方」がフレイルの改善になることを活動の主眼に置いている。「社会的処方」とは、地域とのつながりを処方することで問題解決を図るというものだ。例えば、診察室で患者さんが「さみしい、日ごろ話す相手がいない」と言ったら「では、このサークルはどうでしょう」と地域の資源を紹介してその場で連絡を取る対応の仕方。

「健康を目的としたアプローチは本当の予防が必要な人には届かない」ということだ。

運転免許証を返納するとフレイル(虚弱)になるのか。足がないから買い物に行けなくなったストレスで痩せた事例が多くある。移動手段がないのは重要であることから、『週1で買い物ツアー』『無料通院バス(町からの補助)』を実施した。

唯一の中学校が廃校になる。そこを活用し地域住民が集えるコミュニティスペースを作った。需要は子育て世代にある。地元クリエイターと協力し、子育て世代のための居場所づくりを開始した。旧琴南中学校がみんなのコミュニティスペースとなった。今の時代の子育て支援に必要なことは「親御さんを楽にしてあげること」だ。

目の前の一人ひとりの困りごとを真剣に聞き、一つ一つ解決していく、その地道な積み重ねがまちづくりだ。

 

こんな近くに、こんなにクリエイティブでバイタリティのあふれた人がいたのに、気づいていなかったことに深く反省しています。「社会的処方」という視点は医療・介護・子育てなどの社会的課題を、地域資源をもって解決していこうとする、まちづくりの本質を射抜いています。市民ニーズと解決方法は、行政の中だけではない社会の中にあるという、当たり前のことを再認識させられた講演でした。

 

「地域医療政策セミナー」研修報告を終わります。

会派清風会視察研修報告(東北編)・2

会派研修の2件目は、岩手県盛岡市で開催された「第19回全国市議会議長会研究フォーラムin盛岡」の参加です。

大会テーマは「主権者教育の新たな展開」で、10月9日(水)と10日(木)の2日間の日程で行われました。

 

パネルディスカッションは、「地方議会の課題と主権者教育」をテーマに、コーディネーターを井柳美紀氏(静岡大学人文社会科学部法学科教授)が、パネリストに土山希美枝氏(法政大学法学部教授) 越智大貴(一般社団法人WONDER EDUCATION代表理事) 渡辺嘉久(読売新聞東京本社社会教育ネットワーク事務局) 遠藤政幸(盛岡市議会議長)で行われた。

コーディネーターから、全国都道府県・市・町村議会議長会で決議した『地方議会に関する地方自治法改正を踏まえた主権者教育の推進に関する決議』に基づく、主権者教育の推進の課題と方向性について示された。地方議会の課題として●投票率の低下 ●無投票当選の増加 ●議員の性別や年齢構成の偏り がある。推進の方向性は ◯議会に対する関心を高め、理解を深める主権者教育を一層推進する ◯出前講座や模擬議会など、議会自らが主体的に行う主権者教育の取り組みに対する支援を講ずる

パネリスト4名から ●「誰がための主権者教育か」を見つめ直すことが大切であり、議会が主権者教育をするべきか疑問がある ●政治や選挙・よのなかをおもしろく学びあい・みんなで創るシティズンシップ教育・主権者教育の研究実践と場づくり ●何が投票を促すのか。「政治とつながる」とは?「政治」は「未来」「政治とつながる」=「未来とつながる」「政治を考える」=「未来を考える」⇒「自分の未来を創造する」 ●盛岡市議会における高校生議会の開催によって市政の課題について意見交換し提言をまとめた。また、市議会が大学に「おでかけ」し、学生と意見交換を行う事業

 

課題討議は、「主権者教育の取り組み報告」として、コーディネーターに河村和徳氏(東北大学大学院情報科学研究科准教授)、事例報告者に白鳥敏明氏(伊那市議会前議長) 諸岡覚氏(四日市市議会議員:第83代議長) 服部香代氏(山鹿市議会議長)で行われた。

コーディネーターから、地方議会と主権者教育には総合学習的な発想が役に立つ。地域の課題を発見し、それを議論し、改善策を提言するサイクルが「政治」であるならば、地域の課題の棚卸をおこない、政策の進捗状況を調べることだ。

事例報告者から ●伊那市議会の事例として、若い世代、特に高校生に議会に関心を高めてもらうために、高校生の議会傍聴、高校生との意見交換等の企画を決定し実施した。成果として ①高校生からの意見・提案 ②意見交換に参加した高校生による請願の提出 ③高校生からの要望を執行部へ ●四日市市議会の事例として、「ワイ!ワイ!GIKAI」と名付けて高校・大学に出向いて出前型意見交換会や、生徒と議員の選挙ポスター作り、高校生議会等の実施 ●山鹿市議会の事例としては、なぜ小学校でのシティズンシップ教室に取り組んだのか。議論して最終的に意見を集約していく経験を子どもの時から経験しておくことが大事。企画から実施に至る検討と模擬投票の実践で大きな波及効果

 

「議会改革をしても投票率は上がらなかった」という四日市市議会の報告は、議会本来の在り方を考えさせられました。市民不在の改革では意味がないということであり、当たり前のことですが市民のための議会でなければならないということです。その取り組みは、それぞれの議会と市民との関わりによって形作られていくものなのだと感じた研究フォーラムでした。

会派清風会視察研修報告(東北編)・1

三豊市議会会派清風会の視察研修報告(東北編)をします。

令和6年(2024)10月8日(火)~10日(木)の日程で、宮城県仙台市にある(株)パナソニックシステムネットワーク開発研究所(PSNRD)と岩手県盛岡市で開催された、全国市議会議長会研究フォーラムに参加しました。

 

1件目の研修はPSNRDで、次世代ネットワーク技術開発の最前線を訪問した。無線通信、パワエレ・エネマネ、画像処理、スマート端末 を主テーマに未来のイノベーションに技術で応えるための開発研究を行っている。

説明をいただいた研究中の技術として ①6G ②肌分析エンジン ③60GHzミリ波Wⅰ‐Fⅰ端末 ④AI需要予測フードロス削減実証 ⑤太陽光・水素燃料、蓄電池等を組み合わせたRE100実証施設 ⑥スマートモビリティインフラ研究のための技術研究組合の設立 の6点だ。

 

いずれも、これらのテクノロジーが近未来で複合的に融合・連動し、世界を豊かにしていくのだと感じました。たゆまぬ開発・研究が、近い将来三豊市内ベンチャー民間企業とつながって、地域経済の活性化と豊かなまちづくりに貢献することを期待できる視察でした。

会派からの要望書

12月2日(月)三豊市議会令和6年第4回定例会の開会初日終了後、会派清風会8名から山下市長あてに「要望書」を提出しました。

 

「要望書」

1.公共施設包括管理業務委託の導入について

三豊市においては、人口減少、少子高齢化が加速度を増して進み、これに連動して市の基幹財源である税収や地方交付税も減少し、財源が日伯することが懸念されている。

一方で当市には合併を経て、用途を同じくする公共施設が多数存在しており、近い将来、これらの公共施設は老朽化が進み、維持管理や更新費用の肥大は避けられない現実として突き付けられている。

このような状況下、固定費の削減が当市に課せられた至上命題であり、事業の棚卸が進められている今、公共施設の包括的管理業務委託方式を導入し、施設管理業務の軽減による事務事業の効率化と専門性の向上を図り、市民サービスのさらなる向上と長期的な視点に立った、総合的かつ計画的な管理を推進するよう要望する。

 

2.公共工事での地元企業の育成、地元経済の活性化について

本市での公共工事で、下請施工を必要とする場合には、三豊市工事請負契約約款第7条第2項に定める地元業者への優先的な発注を徹底すると共に、施工に必要な各種建設資材の調達においても、地元資材(機械等の購入またはリースを含む。)の積極的な活用に努めるよう要望する。

 

3.土地改良事業(原材料支給事業)における物価高騰対策について

土地改良事業における原材料費においては、近年の諸物価が上昇傾向となる中で、代表的な生コンの1㎥当たりの価格は、3年前と比べて約23%も上昇し、今秋からさらに上昇している。

この状況は本市の基幹的産業である農業の発展や集落施設の共助・自助による維持管理に大きな影響を与えており、早急に対策を講じる必要がある。

本市の財政状況下、その財源の調達は困難であれども、万策を講じて財源を捻出し、当初予算の対前年度増額を要望する。

 

以上3点について、三豊市役所特別応接室において山下市長に「要望書」を手渡ししました。

 

三豊市議会会派清風会 視察研修報告・3

3件目の視察研修は、衆議院会館会議室での総務省自治財政局財務調査課課長補佐 梅本祐子氏からの「地方財政の現状等について」です。

 

我が国の内政を担っているのは地方公共団体で、政府支出に占める地方財政のウエートは56%となっている。地方交付税は、所得税・法人税の33.1%、酒税の50%、消費税の19.5%、地方法人税の全額 が当てられており、種類は、普通交付税94%、特別交付税6% となっている。

令和6年度地方財政計画のポイントとなる新事業予算は次の通りだ。

【こども・子育て政策に係る地方単独事業(ソフト)】 ◯地方団体が地域の実情に応じてきめ細かに独自のこども・子育て政策(ソフト)を実施できるよう、地方財政計画の一般行政経費を1,000億円増額し、普通交付税で措置 ◯普通交付税算定に当たり、新たな算定費目「こども子育て費」を創設

【こども・子育て支援事業債の創設】 ◯地方団体が「こども未来戦略」に基づく取り組みに合わせた環境改善(ハード)を速やかに実施できるよう、新たに「こども・子育て支援事業費」を計上し創設 (令和10年度まで5年間8「こども・子育て支援加速化プラン」の実施期間)

【物価高への対応】 ◯光熱費の高騰や自治体サービス・施設管理の委託料の増加を踏まえ、一般行政経費に700億円を計上 ◯建設費の上昇を踏まえ、庁舎移転事業と公立病院の建設費における建築単価の上限を引き上げ

【地域脱炭素の一層の推進】 ◯脱炭素化推進事業債について、再生エネルギーの地産地消を推進するため、地域内消費を目的とする場合を対象に追加 ◯過疎対策事業債において「脱炭素化推進特別分」を創設

【消防・防災力の一層の強化】 ◯消防の広域化、連携・協力による、消防・防災力の強化のため「緊急防災・減災事業費」の対象を拡充するとともに特別交付税措置を拡充

【地域の経済循環の促進、地方への人の流れの創出・拡大】 ◯地域の経済循環の促進のため、ローカル10,000プロジェクトの地方単独事業に対する特別交付税措置を創設 ◯地方への人の流れの創出・拡大を加速するため、「地域活性化企業人」制度に社員の副業型を追加するとともに、地域おこし協力隊に係る特別交付税措置を拡充

【地方公務員の人材育成・確保の推進】 ◯地方団体において、少子高齢化、デジタル社会の進展等により複雑化・多様化する行政課題に対応できる人材を育成するとともに、配置が困難な専門人材を都道府県が確保するため、地方交付税措置を創設・拡充

経済財政運営と改革の基本方針2024(地方一般財源総額)から、主要分野ごとの基本方針と重要課題として、地方行財政基盤の強化がある。地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、2024年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保して、地域における賃金と物価の好循環の実現を支える地方行財政基盤の持続性を確保・強化する。

 

国の地方財政の概要と、常に変化する経済や自然環境・災害に対応する財政措置の情報は、今後の三豊市の事業展開の参考になりました。

以上で、会派視察研修の報告を終わります。

 

 

三豊市議会会派清風会 視察研修報告・2

2件目の視察研修先である長野県の(株)Growth Seeding Bloom は、代表取締役 松葉陽祐氏が農業DXを駆使して栽培から販売までを一人で運営する農業事業者です。当法人を視察先に選んだのは、先端技術をどのように利用して事業継続しているのか、本人の体温を感じながら農業に対する考え方と、その手法を自らの耳目で体感したかったからです。

 

経営理念は「誰もがみんな安心して Happyと笑顔になれる未来を創る!」で、そのためのビジョンは「農で『幸創・こうさく』する。」としている。事業内容は、◯小麦栽培 ◯大豆栽培 ◯さつまいも栽培 ◯シャインマスカット栽培 ◯水稲栽培 ◯農産物直売、加工販売 に取り組んでいる。現在の主力作物は「ハナチカラ」という硬質小麦で、全17ha作付けし反当たり収穫は430Kgの実績がある。今後もっと増収するための栽培方法を研究中である。

東京出身のサラーリーマンで農業経験のない松葉氏がなぜ所縁のないこの地に移住してまで農業をしたかったのか。一定の成功を収めていたサラリーマン生活であったが「とにかく社長になりたい」と思いが強くなる中、雇用、過疎、遊休農地、住環境等の地域課題(こまりごと)の解決に取り組むという目的が明確になってきたからだ。

松葉氏は農作物の栽培から販売までを一人で行っている。大規模栽培することでJAの先の卸業者と直接取引できるようになった。農業機器等の導入は、国の担い手補助金を活用した。先般、長野県名物の おやき の会社をM&Aした。原料作物と最終商品の製造に着手し、経営の安定を目指している。

先端技術をフル活用するとともに地域の5つの福祉事業所と連携することで、事業展開の可能性が広がった。福祉事業所からは、販売方法等で助言があったり多様な作業に対して、施設利用者の適性を引き出してくれたりする支援員の力は経営に大いに貢献している。

最後に、行政に言いたいことは「新規就農者」の本気度の見極めをしっかりしてほしいことだ。助成金があるから安易に制度を利用されると、まじめな就農者にまで風評被害が及んでしまうからだ。もう一つは、食に対する消費者教育を推進してほしいということだ。正直な農業者が評価されるようにならないと、日本の安全・安心な農業と食は心もとない。

今後の目標は、農家を守るために販売を強力に展開していくことだ。自分で値段をつけ、お客さんに商品の良さを直接伝えることができることによって、農業の活力が持続できるからだ。

 

まさに今、私が実践しているモリンガ栽培と商品化によるエンドユーザーの声を聞く経営に、確信を得ることができました。「少子・高齢社会」「健康」「環境」が現代を象徴するキーワードだと思います。日本の地方ができる課題解決は、耕作放棄地対策を根幹業務として、農業をいかに活性化することより他ないと考えています。「やって見せねば人は動かない」どこかで聞いた言葉ですが、それをだれがやるのか?私がやります!

 

以上で2件目の報告を終わります。

三豊市議会会派清風会 視察研修報告・1

令和6年7月2日(火)から4日(木)の3日間の日程で行われた、三豊市議会会派清風会の視察研修報告をします。研修先は、富山県立山町の交流ステーションと長野県の民間農業事業所、東京都議員会館での勉強会でした。

 

1件目の視察研修先である富山県立山町「元気交流ステーション『みらいぶ』」は、【高齢者も、赤ちゃんも、だれもがみんな、快適に安心して利用できるように。】を目的に、立山町社会福祉協議会など保健福祉の総合的な機能を集約し、立山図書館や交流センターなど暮らしに役立つ公共施設と富山地方鉄道五百石駅が一体となった福祉施設だ。

以前から分散していた保健福祉機能を集約する保健福祉センター構想があった。人口減少が著しい中で立山線の廃線の危機があり、現町長になりその存続を掲げて駅との一体建設が実現した。

総事業費は19億円で、まちづくり交付金(現:都市再生整備計画事業)等を活用し、設計から2年ほどの超短期間で2012年5月に竣工した。駅舎に関する建設費及び維持管理費は町が負担し、冨山地方鉄道の費用負担はゼロで、光熱費等の経費負担のみとしている。行政エリアの管理は、地元事業者でつくる「商業協同組合」が5,000万円/年 で指定管理者となっている。

施設内容は、1~3階が交流ゾーンで駅改札口や図書館などの各スペースにつながっている。1・2階は図書館ゾーンで「改札口を抜けるとそこは図書館だった。」で表現されるような配置とされ、一般書・児童書がそろっている。3階は保健・福祉ゾーンで、子どもを持つお母さんお父さんの悩みから介護の相談など、保健福祉で気になること・知りたいことにワンストップで対応できる。

 

『みらいぶ』のある富山地方鉄道五百石駅は800人/日の利用があり、多くは高校生で時間待ちが自分の居場所づくりとなっています。また、電車・バスの結節点の機能が向上したことで、人の流れが変わったとのことです。三豊市では、高校生が主要な利用者であるJR四国高瀬駅(1,1000人/日)の改修計画が進められようとしています。駅舎そのものの建設計画に加え駅前の民間活力導入による最適活用の検討の必要性を強く感じた研修でした。

以上で1件目の報告を終わります。