会派「清風会」行政視察研修 報告(令和元年)・2

前回に引き続き研修報告をします。8月23日(金)と24日(土)の2日間は、新潟県立大学で開催された 第11回生活保護問題議員研修会「地方から生活保護行政は変えられる! いのちを守る自治体に」参加しました。

 

第1日

●基調報告:生活保護の現状と改革の論点~地方は何ができるか 講師=吉永純先生(花園大学)

生活保護行政の運用や裁判の状況は、保護基準の引き下げが、2013年から裁判であらそわれており、2020年春に名古屋地裁で判決の見込みである。生活するに最低限の生活費の根拠が不明であることが本質的問題である。例えば、大学等進学や自動車所有、稼働能力等が個別論点となる。

地方から生活保護を変えることの視点として ①法定受託事務としての自治体の事務の在り方 ②地方議員の活動領域から生活保護を考える という2点がある。①については、首長の姿勢と議会の動向・議員の活動、行政組織の運用、職員集団などで大きな格差が生じる。②については、生活相談や市民と一緒に活動する行政チェック・調査を行うとともに、議会における質問や条例づくり、国への要望・意見書を上げる、首長選挙で変える等がある。

自治体で発生した具体的問題や議員と一緒にやってきた活動事例に基づいた報告によって、生活保護行政の現状と議員としての活動の在り方を再認識することができた報告であった。

 

●ミニシンポ:地方から、生活保護行政を変えられる! 小久保弁護士をコーディネータとして、新潟県立大学小澤先生による「新潟県における福祉事務所のあり方に関するアンケート調査結果報告に始まり、神奈川県小田原市と大阪府堺市から、活動報告がされた。

小田原市からは、記憶に残る「保護なめんなよジャンパー事件」で巻き起こったどん底からの、生活保護行政の改革と復活の報告をいただいた。堺市からは、若手ケースワーカーからの発案で、保護世帯の実態調査を行うことで、国の制度改善へとつながっていった報告があった。

地方自治体からのいずれの報告も、地方から生活保護行政は変えられることの可能性が伝わってきた。

 

●特別報告:福祉事務所における自立支援の取り組み 新潟県見附市から取り組み事例報告があった。

自立とは、‟人やサービスに頼りながら上手に生活すること” ‟社会とのつながりを持ち、その人らしい考えや自己決定が尊重されること”だ。自立支援としての関わり方は、寄り添い支えていく伴走的支援を基本的考えとして、就労支援事業を実施することで、意欲喚起としてのボランティア活動、農作業(居場所)を活用した日常生活自立支援から、社会生活自立支援に導いていこうとする取り組みが紹介された。

 

第2日

●第1分科会:生活保護なんでもQ&A  森弁護士、今井先生(十文字学園女子大学)他

生活保護行政とその運用に携わってきたベテラン講師による基礎講座である。生活保護を正しく理解し、市民の権利を守るために地方議員としてやらなければならないこととして、正しい運用がされているのかや、違法・不適切ではないのかをチェックし、改善・改正されなければならないことの指摘があった。

欧州の先進国といわれる国々との比較において、日本の保護の捕捉率が1/3~1/4程度であり極端に低いことや、生活保護法の基本理念すら現在の生活保護行政は、行われていない現状であることのお話があった。

生活保護制度・生活困窮者自立支援制度に関する議会質問の心得については、カテゴリーが3点ある。 1.制度そのものの課題(生活保護基準額は厚労大臣が決めることとなっている) 2.制度運用の課題(福祉事務所の姿勢・考え方) 3.実施機関における組織体制の課題(1人のケースワーカーの受け持ち担当の過重責任、人員の問題)

議会における質問の切り口が明らかになったように感じた。

 

「地方から生活保護行政は変えられる!命を守る自治体に」の2日間の研修を通して、地方議員として生活保護の正しい運用に対してできることは何かを考えさせられました。現場では、日々生活保護の適正な運用によって、貧困世帯を支援しようと活動している職員が多くいます。その活動が円滑に推進できるよう、専門職の採用と人員配置・研修制度等の改善に向けて、今回の研修の成果を役立てていかなければならないと考えています。

 

以上で、3日間の会派の行政視察研修報告を終わります。

 

会派「清風会」行政視察研修 報告(令和元年)・1

三豊市議会会派「清風会」の行政視察研修を、令和元年8月22日(木)~24日(土)の3日間、新潟県三条市と新潟県立大学で実施しました。

8月22日に、三条市役所栄庁舎において、「子ども・若者総合サポートシステムについて」を、23日・24日には新潟県立大学を会場とする、第11回生活保護問題議員研修会『地方から生活保護行政は変えられる! いのちを守る自治体に』に参加しました。

 

三条市は平成17年に、1市1町1村の3市町村合併により新「三条市」として誕生した。現在人口98000人弱、面積431.97㎢で、三条鍛冶の伝統を受け継ぎ金属加工を中心とする産業集積地である。近年では、伝統の技と最先端技術が調和する金属産業都市となっている。

「子ども・若者総合サポートシステムについて」

特筆すべきは、子育て支援に関する窓口の一本化を、組織機構の見直しにより、平成20年4月から『子育て支援課』を教育委員会に設置したことだ。その目的は、厚生労働省の福祉健康部と文部科学省の教育委員会で窓口が分散していて分かりにくかったことの解消と、就学前から義務教育への切れ目のないかかわりを確実なものとするためだ。

このような教育委員会に置かれた子育て支援の窓口の一本化には、市長の子育て支援に対する強い思いと、それを形にする当時文科省から出向していた教育部長の働きが大きい。

教育委員会『子育て支援課』は、幼児教育、家庭教育、妊婦、子ども医療、母子保健、子ども予防接種、児童福祉を担っており、保健所、幼稚園等の就学前施設の管理運営も担当している。ワンフロアーに義務教育を担当する学校教育課(平成25年度から小中一貫教育推進課となっている)があることで、日常的に連携できる効果は大きい。

【子ども・若者総合サポートシステム~ライフステージに応じた切れ目のない子育て支援~】は、子ども・若者という「三条市民」を、妊娠期から就労に至るまで、切れ目なく総合的に必要な支援と行うため、市がその情報を一元化し、関係機関が連携して個に応じた支援を継続的に行えるようにするシステムだ。発達障がい児、被虐待児、不登校・非行児、引きこもりの若者他支援が必要なもの市民からの情報・相談が、子育て支援課にある『子どもの育ちサポートセンター』に情報が集まるようになっている。関係機関が情報を共有し、代表者会議と実務者会議による検討会議を行っており、必要に応じて個別ケース検討開始も実施している。この一連の活動を「三条市子ども・若者総合サポート会議」として組織化している。

子ども・若者総合サポートシステムからの気づきとして、新たな課題が見つけられた。幼保小の連携において、引き継がれる子どもの中に発達障がいと思われるケースが増えており、保育(幼児教育)段階での早期の対応と継続支援が必要であることから、『三条っ子発達応援事業』が展開されることとなった。この事業の基本的考え方は、子どもの育ちや個性は一人ひとり異なり、発達の凸凹がある子どももおり、早期に子どもの育ちや個性に気付きそれぞれにあった支援がされ、意欲の向上により自信が持てることで、学校・社会に適応できるように導くことである。

事業の概要は、0歳児~義務教育終了までの子どもが、持てる力を十分発揮しながら成長することを目的として、保護者・保育所(園)・幼稚園・小学校・関係機関・行政が連携し、継続的に子どもの育ちを応援するというものだ。その内容は、気づき事業、相談事業、支援事業の3つを総合的に実施するために、気づき事業として「年中児発達参観」で子どもの様子を発達応援チームと保護者が共に確認し、相談事業や支援事業につなげることで、『早期療育事業』である【児童発達支援事業所(子ども発達ルーム:市直営)】において日常生活に導くことに取り組んでいる。

三条市の発達支援体系は、気づき~相談~支援のつながりが、子どもの育ちに対しその子に関わる全ての支援者が連携できる仕組みを構築しており、三豊市にも取り入れることの多いことに気付いた、有意義な研修であった。

 

令和元年度 総務常任委員会行政視察研修 報告・4

総務常任委員会行政視察研修の最終日に訪問した、4件目の視察先である (株)つくばウエルネスリサーチ における『先端技術を用いた事業展開について』の報告をします。

 

(株)つくばウエルネスリサーチは、筑波大学大学院 人間総合科学研究科 スポーツ医学専攻の教授である久野先生が経営する、大学発ベンチャー企業である。つくばエクスプレスの柏の葉キャンパス駅前にあるKOIL(かしわ オープン イノベーション ラボ)に研究拠点を置き、筑波大学の研究成果を活用し「科学的根拠に基づく健康づくり」を基本目的として、「日本全国を元気にする!」をミッションとしている。『先端技術を用いた事業展開について』を研修テーマとして、‟健康政策に対する学術機関との連携” と ‟自治体向け事業” の説明を受けた。

ITやAIなど、世の中に新しい技術が生まれると、すべて解決できると勘違いする。これらは万能ではなく一つのメソッド(方法や手段)でしかない。健康政策でAIを研究している理由は、自治体における現在の健康政策が弱いからだ。これまで職員数を削減してきたが行政サービスの仕事は増える一方だ。多忙となった現職員は、政治課題のエビデンス(根拠)を読み込む力が弱くなり、課題解決に向かっていない。このような現状の中で、政策を立案・分析するための補完としてAIがある。しかし、AIにはブラックボックスとホワイトボックスがあり、頼りすぎると危険だ。AIはメソッドだから、どのように使うのかが課題だ。

健康政策は、人それぞれ個々のデータが多様で膨大過ぎるため解決しきれない。データは現象であって原因ではない。その人のライフスタイルが分からないと対処法がうてないので、データベースを集めるための設計で、政策の成否が決まる。だからこそ、現場を知る職員とAI技術者とのマッチングが重要だ。

(株)つくばウエルネスリサーチは、これからの超高齢社会にあって、自治体が抱える健康や社会保障の課題解決のために、「健幸都市づくり」を推進している。【健幸都市】の考え方は、多くの住民が ‟健幸” になれるためのまちづくりであり、『歩いて暮らせるまち(ウオーカブル シティ)』をつくることである。そのために

1.市民が、便利さだけを追求しすぎない生活に変えること

2.変えるために市民へのヘルスリテラシー(健康に対する理解)を高めること

3.それを自然と行うための環境をつくること ①社会参加(外出)できる場づくり ②賑わいづくり ③快適な歩行空間整備 ④車依存から脱却するための公共交通の再整備

を進めることだ。

今取り組んでいることは、健康無関心層対策だ。戦略は3つあり ➊無関心層を動かすインセンティブの開発 ❷無関心のまま健康にできるまちづくり ❸無関心層にも健康情報が届くインフルエンサーの育成 である。この戦略を軸にして、自治体が「健幸都市づくり」を進める上での課題を特定し、その対策の立案、施策、成果を生み出すための作業を強力にサポートする 〔健幸クラウドAIシステム〕 を開発した。

インセンティブシステム開発の具体事例として、無関心層の行動変容を促すために運用された、6市連携健幸ポイントプロジェクトがある。6市で12,000人が参加し実証し、成果が出ている。

インフルエンサーの養成は、「健幸アンバサダーは心に情報を届ける伝道師」と位置づけ、既存の資格者とも連携し大切な人への口コミによる伝道を行う。

自治体が「健幸都市づくり」を推進するには、SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド、成果連動)が有効だ。5市町による飛び地型大規模ヘルスケアプロジェクトの実践が始まっている。広域連携によるSIBのメリットは ●ICT活用で広域連携が可能になり、事業規模が大きくなり、一人当たりのシステム利用料の低減が可能 ●複数の自治体連携によりコストを按分できる ●自治体間で成果・課題を共有することで施策の横展開が期待できる ●広域連携の先駆的モデルとして、地方創生推進交付金を受けやすい がある。

 

先端技術を用いた学術機関との連携による自治体の業務は、今後とも増加していくものと思います。いかなる先端技術が開発され進化したとしても、その利活用の方法の方向性を決定するのは、政治・行政にかかわる現場の人であることには変わりありません。久野先生が一番最初に話した、先端技術は「目的ではなく手段でしかない」との言葉が、深く心に響いています。SIBによる「健幸都市づくり」の着手は、『歩いて暮らせるまち(ウオーカブルシティ)三豊』という近未来都市づくりへの一歩であると確信した、ワクワク感いっぱいの研修でした。

以上で、令和元年度 三豊市議会総務常任委員会行政視察研修 報告を終わります。

令和元年度 総務常任委員会行政視察研修 報告・3【防災】

【防災】 外囿災害対策官(防災訓練に向けた災害防災行政)

南海トラフ地震は、今後30年間でM8~9の地震が70~80%の確率で発生すると予測され、死者32万人、経済被害220兆円と想定される。

災害対策として耐震化を推進することによる、全壊建物棟数減の効果は大きい。現在の耐震化率79%で627,000棟が倒壊する言われており、90%で361,000棟の4割減、95%で240,000棟で6割減と推定される。また、津波による死者数は、約108,000人~約224,000人といわれているが、避難の迅速化や津波避難ビルにより約8,000人~52,000人となり最大で9割減となると推定される。

近年は、新たな気象状況で雨の降り方が「局地化」・「集中化」・「激甚化」しており、自然災害が多様化している。

市町村における防災対応の3原則は ①疑わしきときは行動せよ ②最悪事態を想定して行動せよ ③空振りは許されるが、見逃しは許されない である。対応を誤れば、住民の被害が拡大する。

地方公共団体における防災対応の検討として2点ある。 ●住民一人ひとりが防災対応を検討・実施するように、必要な情報提供を行ない検討を促すことが必要 ●住民一人ひとりが日常の中で地震への備えの再確認が基本となるが、津波避難に間に合わない地域等の避難のあり方や避難所の確保を検討する必要 である。

今後の水害・土砂災害からの非難に対する基本姿勢として目指す社会は、住民は「自らの命は自らが守る」意識を持ち、行政は住民が適切な避難行動をとれるよう全力で支援することだ。このような社会を実現するための戦略は3つある。 ①災害リスクのある全ての地域であらゆる世代の住民に普及啓発 ②全国で専門家による支援体制を整備 ③住民の行動を支援する防災情報を提供 である。これを実践するための方策がある。『学校における防災教育・避難訓練』や『住民が主体となった地域の避難所に関する取り組み強化』、『防災士と福祉の連携による高齢者の避難行動に対する理解促進』、『マルチハザードのリスク認識』、『住民主体の避難行動等を支援する防災情報の提供(警戒レベル1~5の理解等)』である。

市町村長が行うべき災害応急対策は、災害対策基本法により迅速かつ的確に行う責務がある。そのため、市町村長は自らが参加した全庁的な防災訓練の実施、庁舎の耐震化、防災情報システムの整備などを行い、災害時に備え万全を期す必要がある。

大規模災害時における業務継続計画は、行政が被災した中にあっても災害対応等の業務を適切に行うために必要だ。業務継続計画の重要な6要素がある。 ⑴首長不在時の明確な代行順位及び職員の参集体制 ⑵本庁舎が使用できなくなった場合の代替庁舎の特定 ⑶電気、水、食料等の確保 ⑷災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保 ⑸重要な行政データのバックアップ ⑹非常時優先業務の整理 である。

防災拠点となる公共施設等の耐震化の支援として、「緊急防災・減災事業債」や「公共施設等適正管理推進事業債」を、R2年度まで延長している。

終わりに、指定緊急避難場所と指定避難所の適切な指定の他、避難行動要支援者の避難行動支援に関する取り組みの指針などの説明があった。

 

総務省という国家運営の中枢にあり、全国の防災政策を取り仕切る担当者2名からのお話は、災害防災行政全般に渡るとともに、具体的な防災対策への意識向上と防災訓練の見直しの手掛かりとなります。三豊市の防災災害対策計画と備えを再チェックし、実効性のある防災対応とするべく、更に充実していかなくてはならないことを気付いた、意味深い研修となりました。

以上で、報告・3【防災】 の報告を終わります。

令和元年度 総務常任委員会行政視察研修 報告・3【共助】

総務常任委員会行政視察研修の3件目である、「総務省消防庁」における『防災対策について』の報告をします。

 

研修目的である『防災対策について』の中で【共助】と【防災】の現状とこれからの対策について、消防庁国民保護・防災部防災課の外囿(ほかぞの)災害対策官と、同じく防災部地域防災室の石川課長補佐から説明を受けた。

【共助】 石川課長補佐(自主防災組織等と消防団)

1. 自主防災組織等の現状 ━ 地域における消防防災体制には、「公助」、「共助」、自助」がある。「公助」とは消防機関である常備消防(728本部・約16.5万人)と、消防団(2,209団・約84.4万人、うち女性消防団員約2.6万人)をいう。また、「共助」は、地区内の住民で構成することから、消防団と自主防災組織(165,421組織・約4,432人=カバー率83.2%。他、女性防火クラブや少年消防クラブがある)をいう。

2. 自主防災組織等に関する主な施策とこれまでの取り組み ━ 普及することに重点を置いてきた。 ①自主防災組織の結成を促進するための取り組み「自主防災組織の手引き:S48~」 ②育成者が基礎知識を身に着け能力向上を図る取り組み「消防大学校による研修:H16~」「防災・危機管理e-カレッジ:H16~」 ③活動の普及を図るための取り組み「防災まちづくり大賞:H7~」「災害伝承10年プロジェクト:H25~」 ④活動の活性化に向けて、次なるステップへ踏み出す。

自主防災組織等の今後の課題と取り組みとして、自主防災組織の普及の継続と、質の向上がある。そのための取り組みとして ⑤多様な主体との連携の推進「リーダー育成・連携促進支援事業:H29~」 ⑥人材育成の取り組みの支援「地域防災の人材育成に関する検討:H30~」を実施している。

3. その他の施策 ━

●指導者用防災教材「チャレンジ!防災48」:子どもが小さいころから防災に興味を持つために、発達段階に応じた実践的な防災知識を身に着けてもらう目的で、平成22年に作成している。

●わたしの防災サバイバル手帳:子どもたちの防災意識啓発のため、災害種別ごとに自分の身を守る知識や方法をまとめている。

●全国少年消防クラブ交流大会:実践的な活動を取り入れた訓練を通して他地域のクラブ員と交流するとともに、消防団等から災害への備えについて学ぶ。

●優良少年消防クラブ・指導者表彰(フレンドシップ):少年消防クラブの育成発展のため、表彰を実施。

4. 消防団の現状 ━ 地域防災の中核的存在であるが、「消防団員の減少=約84.4万人」「団員のサラリーマン化=73.5%」「団員の高齢化=平均年齢40.8歳」という状況だ。

〇消防団数:2,209団体(全国すべての市町村に設置) 消防団数:22,422分団 消防団員数:843,667人(S30に200万人を割り込む H2年に100万人を割り込む 前年度比6,664人減少し現在に至る)

〇女性消防団員数:25,981人で全体の約3.1%であり、前年度比1,034人増加しており、年々増加。

〇学生団員数(専門学生含む):4,562人で前年度比567人増加しており、年々増加。

〇機能別団員数:21,044人で前年度比2,040人増加しており、機能別団員制度の導入により、年々増加。

5. 消防団の課題と充実強化策 ━ H25に「消防団の中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」が、議員提案の法律として制定されたことによって、強化へと動き出した。続いて、H26に「消防団の装備の基準」の改正が行われ、装備の充実と併せ団員の年額報酬・退職報奨金の引き上げ等が行われた。同年に「学生消防団活動認証制度」の導入がされた。H30に「大規模災害団員制度」が導入され、各地方公共団体での導入を促進している。

その他、消防団の強化策を補完するために災害対応能力向上のため、2つの支援事業がH30に、3年間に限り緊急的に創設された。一つは「消防団設備整備費補助金(消防団救助能力向上資機材緊急整備事業)」。もう一つは、【防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策】が閣議決定され、「救助用資機材搭載型消防ポンプ自動車の無償貸付事業」として、消防団の災害対応能力の向上を促進している。

 

【共助】に関する情報を改めて知ることで、三豊市の防災と災害対応施策の現状を改めての考え直すきっかけとなった研修でした。

以上で、報告・3【共助】 の報告を終わります。

 

令和元年度 総務常任委員会行政視察研修 報告・2

総務常任委員会行政視察研修の2件目である、「中央区役所と中央区観光情報センター」で実施した『観光行政について』の報告をします。

 

中央区は、東京23区の中央に位置し、都心を構成する区の一つだ。人口164,000人余、面積10.094㎢で、いずれも23区の中で下から2番目の規模だ。長く人口減少傾向だったが、近年は臨海部の大規模マンション開発や、都心部の再開発で増加反転している。さらに、世界に発信する日本の代表的な商業地域であることから、昼間人口が60万人を超えている。区内は、江戸文化発祥の地として日本橋地区、京橋地区(銀座)、月島地区の3つの顔を持っており、多様な観光資源で集客力を発揮しており、インバウンドで大いに賑わっている。

中央区の観光行政について、区民部商工観光課長の田部井氏から説明を受けた。

中央区の観光振興の方向性は、「都市そのものを楽しんでもらう」という、物消費と事消費による都市型観光だ。江戸時代に生まれ長く受け継がれてきた生活の歴史や伝統の技、和洋の食文化に裏打ちされた本物に触れることのできる、買い物や体験参加型が強みで、インバウンドのリピーターも多い。

これを推進する核となるのが、中央区観光協会が運営する『中央区観光情報センター』だ。センターは、2つの機能を持ち ①観光案内所としての機能(インバウンド対応の言語案内・物販・展示・休憩 等) ②情報拠点としての機能(3地区それぞれにある民間ボランティア団体でつくる、観光情報提供施設をネットワークでつなぐ) となっている。運営は、日本を代表する旅行情報企業に民間委託している。

中央区では観光振興計画を作成したこともあったが、観光ニーズの変化が速すぎるため行政はついていけないとの判断で、行政はサポート役に力点を置いている。区直営の観光事業は、地方自治体が出店しているアンテナショップ25店舗をスタンラリーで巡る事業、1件のみである。主な事業は、観光協会や民間事業者、区民団体への補助やイベント等への助成で、大いに民間の活力を活かそうとしている。

続いて『中央区観光情報センター』の現地見学を行い、奥山所長から説明を受けた。

センターが置かれている【京橋エドグラン】は、区が進める ‟都心部の再開発を利用しながらの公共サービス施設の充実” の象徴的な事業となっている。民間事業者が建設した施設の一部を区が借り上げ、センターの運営を民間(JTBコミュニケーションデザイン)委託している。利用者数は一月当たり6,500人程で、日に200人の来場者がある。スタッフはすべて何かの外国語ができ、インバウンドの対応にも万全を期している。

 

中央区は、江戸、東京という確かなブランド力によって、都市型観光地として活気に満ちています。これに対して三豊市には、中央区とは質の異なる比較できない観光資源が、掘り起こされようとしています。これまで地域の皆さんが守ってきた父母ヶ浜や、国立公園の一部として整備され地域の皆さんが手入れしてきた紫雲出山などがあります。すべては、ふるさとの自然を愛する ‟ひと” がそこにいたからです。

地元に誇りを持ち、ふるさとをこよなく愛する ‟ひと” の住む ‟まち” であることを観光事業の根幹に据え、民間と行政の役割分担を明らかにすることの大切さを感じました。

また、三豊市観光交流協会の情報発信と案内機能、並びに関連民間事業者との連携強化は、まだまだ私たちの気づいていない魅力的な観光資源に光を当てることによって、今後の「三豊の観光」の形成につながっていくものと信じます。

この ‟まち” に住む私たち ‟ひと” が、当たり前の日常を楽しんで生活できる環境整備が、行政に課せられた役割であることを再認識した研修でした。

 

令和元年度 総務常任委員会行政視察研修 報告・1

三豊市議会総務常任委員会の令和元年度行政視察研修に、7月31日(水)~8月2日(金)の3日間参加しました。視察先は、1日目に「東京都墨田区議会」、2日目は同じく「中央区役所と中央区観光情報センター」及び「消防庁」、最終日は(株)つくばウエルネスリサーチセンター」の計4か所です。

1カ所目の「墨田区議会」における『議員提案の条例制定について』の視察研修報告をします。

 

墨田区は東京23区の一つで、人口約274,000人、面積13.77㎢の都心に位置する。これまでの約10年間で人口は、東京一極集中の流れの中で2万7千人程の増加となっている。

議会の議員定数は32人で、その内女性議員が10人おり3割を超えている。また会派構成は、自民党12人、公明党7人、共産党5人、立憲民主党2人の他、一人会派が7人となっている。

墨田区議会における議員提案条例の先導者でもある、加納副議長(当時:区民文教委員長)から説明をいただいた。

今回の研修目的である、議員提案の条例制定の実践例の『墨田区子ども読書活動推進条例』は、平成30年12月11日に制定された。また、『墨田区議会基本条例』も、同じく平成30年12月11日に制定されている。

議員提案で制定された第一号の『墨田区子ども読書活動推進条例』は、次のような背景によって提案された。 ①5次にわたる学校図書館図書整備等5か年計画にもかかわらず、図書標準未達成 ②読書数の伸びの鈍化、学年が上がるごとに読書量が減少 ③学校司書の配置状況及び委託に関する課題並びに学校司書の役割の明確化 ④その他として、●2015年PISA調査結果に読解力の低下が明確となった ●第2次墨田区子ども読書活動推進計画での、「ひきふね図書館」内に子ども図書館の整備と機能・役割の明確化

次に、『墨田区子ども読書活動推進条例』制定までの経緯は以下の通りだ。

H28 区民文教委員会の加納委員長から、委員長の抱負として「政策提案型の委員会にしたい」、「委員会として条例の提案をしたい」旨の発言がった。

H29 各派交渉会で、条例案を区民文教委員会で提案するとの発言があった。墨田区議会では常任委員会の任期が1年であるため、次年度においても引き続き同委員会で協議をすることとした。その後、各派交渉会で、「委員会提出議案の取り扱いについて」は、【H18年の地方自治法改正により、常任委員会、議会運営委員会、特別委員会に議案提出権が認められることとなった】ことを根拠として、常任委員会で行うこととした。この間の勉強会及び意見交換会の中で、委員会として条例提案する際に、意見が分かれた場合の取り扱いについては、「議会全体として検討する必要性がある」として、委員長から議長に対し、議会全体として協議してもらうよう申し入れることとした。

H30 各派交渉会において、委員会が議案を提出するときは、当該委員会の全会一致を原則とすることを決定した。それを受け、「墨田区子ども読書活動推進条例素案検討委員会」において、議員提出議案として提出することを決定した。条例案について法務課へリーガルチェックを依頼するとともに、執行機関の意見聴取を経た。同年9月定例会において、当該常任委員会に審査付託した。本案は、区民等の意見を聴取する必要があることから継続審査とし、12月定例会において原案可決した。

 

三豊市議会は、平成25年4月1日に『三豊市議会基本条例』を施行しています。(見直し手続き)第21条には「必要に応じて改正も含め適切な措置を講ずる」ことを明記していますが、これまでの6年間、自らの議会活動の規範となるこの条例を一度も見直してきませんでした。

『墨田区議会基本条例』では、(政策会議)第16条を明記しています。そこには、 ●議会は、政策立案及び政策提言を推進するため、毎年1回以上、政策会議を開催するものとする。●政策会議は、政策立案及び政策提言に関する事項を議長に提案することができる。 とあります。議員提案の条例制定には、議会議員の大多数の賛同を得て推進されなければならないと思います。であるためには、議会内における機関決定のプロセスが鮮明でなくてはなりません。

議員提案の条例制定のために、三豊市議会が先ず取り組むべきことは、『三豊市議会基本条例』に(政策会議)の条項を追記し、議員全員が政策の議論を交わすことのできる、機会の確保なのだと思います。

『三豊市議会基本条例』の改正に着手することが、議員提案の条例制定への第一歩だと、確信することのできた研修でした。

豊中中学校平成30年度卒業式の祝辞

鳥がさえずり花香り、桜の花の季節をまじかに感じる今日の良き日に、97名の皆さんが、三豊市立豊中中学校を卒業されることに対して、心からお慶びを申し上げます。おめでとうございます。

皆さんはこれまでの3年間、先生方の指導の下勉強にクラブ活動にと様々な体験を通して、実にたくましく成長されました。皆さんの中には、それぞれの置かれた環境によって、これからの進路は色々であろうと思いますが、本校での学びと経験を活かし、しっかりと自分らしく生きて欲しいと願っています。

時代は大きな転換点にあります。皆さんが生きるこれからの社会は、ソサエティ5.0社会だといわれています。1.0社会は太古の狩猟社会です。2.0社会は古代から中世にかけての農業社会です。3.0社会は近世から近代にかけての工業社会です。4.0社会は現代の情報社会です。まさに次の社会となる5.0社会は、全ての人とモノがつながり、今までにない新たな価値を生み出す近未来社会なのです。

AI、IOT、ロボット、ドローン、ビッグデータといった、社会を大きく変化させる技術が進展し、経済の発展と社会課題を解決し、これまでの閉塞感を打破し、希望ある社会へと進化するであろうことが期待されています。皆さんはまさに今、そのような未来社会へとつながる劇的変革期に、豊中中学校を巣立とうとしているのです。

そこで、皆さんへの餞の言葉を贈りたいと思います。「決してあきらめない」ということと、 ‟「量」が「質」に変わる” ということです。例えば水を沸かすと水蒸気に変わります。水という液体が水蒸気という気体に変わるためには、そこに至るまでの熱のエネルギーの蓄積があって始めて変わります。熱が、ある一定の「量」になってある時を境に、水蒸気という「質」に変わるのです。

諦めないで、自分らしく自分のできること、当たり前のことを普通にやり続けることで、ある日突然新しい世界が広がることがあるのです。‟諦めなければ、失敗で終わることはない”のです。 なぜなら、失敗のエネルギーの「量」が、成功という「質」に変わるからです。

皆さんが生きるこれからの時代が、ソサエティ5.0社会であったとしても、皆さんにできることは、自分らしく与えられた日々をしっかり生きることです。立派に成長した姿を期待しています。

最後になりますが、お子様をこのように立派に育ててこられた保護者の皆様へのご労苦に、そして校長先生をはじめ諸先生方のこれまでのご尽力に対し敬意と感謝を申し上げますとともに、卒業生97名の皆さんの幸多からんことを願い、お祝いの言葉といたします。

総務常任委員会 行政視察研修報告(平成30年)・3

3件目の報告は、山口県周南市の「周南市の公共施設再配置について」の研修です。

 

周南市は、平成15年に徳山市、新南陽市、熊毛町、鹿野町の2市2町合併により誕生した。山口県の東南部に位置し、人口145,000人程、面積656.29㎢で、北は中国山地から南は瀬戸内海を臨んでいる。北部にかけ丘陵地が広がる農山村地帯であり、海岸線に沿って古くから大規模コンビナートがあり、国内有数の大企業の工業地帯として発展してきた。

合併により、公共施設が1,114、施設総面積849.016㎡を有することとなった。これらの中には老朽化したり設置目的が類似しているものが含まれていた。そこで、平成24年に「(仮称)周南市公共施設再配置計画(案)」を公表した。パブリックコメントを実施したところ、大半が反対意見であった。個別施設の検証結果の一覧表に、多くの市民の批判が集中していた。

原因は、●市民や議会への説明不足ー地域説明会の未実施 ●総論を浸透させる前に飛び越えて各論へ言及 ●地域への配慮不足(特に周辺地域の切り捨てと捉える市民が多かった) と考えられた。その結果、再配置計画(案)の取り下げを決定することとなった。

あらためて市民意見を反映するための策定方法として、平成25年に職員の手による「周南市公共施設白書」を作成した。総ページ489ページ、対象施設16分類、1,135施設(公園、墓地等を含む)。続いて、平成26年「周南市公共施設再配置の基本方針」を策定。平成27年に「再配置計画」の策定。現在、平成28年にこれまで担当してきた行政改革推進室から、組織改編した施設マネージメント課が引き継いでいる。

再配置にあたっての「基本方針」は、  <公共施設の保有の在り方>として ⑴市民ニーズの変化に対するサービスの提供⇒(サービスの最適化) ⑵効果的で効率的な施設の管理運営⇒(コストの最適化) ⑶次の世代に継承可能な施設保有⇒(量の最適化) ⑷安全に、安心して使用できる施設整備⇒(性能の最適化)。 また、  <地域の拠点となる施設への取り組み>は、市民生活に密着した総合支所や支所、公民館の機能やサービスは今後も維持していくことを基本とした。

「再配置計画」策定にあたっての取り組み方針は大きく2つある。 〇住民や議会との情報共有と市民参加→分かりやすくお知らせし、特に「地域別計画」は計画段階から住民と行政が一緒になってつくりあげていく。 〇統合整備等の推進→施設の複合化や多目的化を検討するとともに、廃止が決定して活用が決定されないものは、取り壊しを原則とする。また、未利用・低利用のものは貸し付けや売却を行う。

「再配置計画」を進めるにあたって、『4つのアクションプラン』を策定した。 1.「施設分類計画」施設分野ごとに施設の今後の取り扱いや方向性、整備等の優先度などを示す計画。 2.「地域別計画」分類別計画から、市として最優先に取り組むべき施設と、それが立地する地域を特定。そのうえで、いい気住民と行政が意見を交わし、今後のまちづくりも踏まえて取り組み方策を検討する。モデル事業を取り入れる。 3.「長期修繕計画」ハコモノ公共施設について、維持・補修を行い、その寿命を延ばすために策定。 4.「長寿命化計画」道路や橋、上下水道等のインフラ施設を対象に、その寿命を延ばすために策定。

「再配置計画」の周知に、マンガを活用した。平成26年な第1弾として『マンガでわかる!周南市公共施設白書』を、平成27年に第2弾として『続・マンガでわかる!周南市公共施設再配置計画』を、平成29年に第3弾「マンガでわかる!公共施設再配置の取り組み』を制作し、配布してきた。マンガの活用効果は次の通りだ。 ◎白書や計画の内容を分かりやすく伝えることができる。 ◎若い人が受け入れやすい。 ◎公共施設等の窓口で手に取ってもらいやすい。 ◎話題性がある。 ◎啓発資料として長期間活用できる。 ◎マンガのキャラクターを様々な場面で活用できる。

「再配置計画」策定後の取り組みとして、モデル事業の実施がある。市内32地域の中で地域の中心施設である支所や公民館について、老朽化している耐震性がなく建物の一部が土砂災害特別警戒区域にかかっている2地域を、モデル地域と定めた。

「地域別計画」のモデル事業の進め方は、計画の最初の段階から、地域の多くの方々に参加いただき、そこに職員の加わり、ワークショップ形式や、協議会形式による協働作業で、「地域別計画」を策定した。この「地域別計画」を基に再配置を実行に移していく。

モデル事業の一つである長穂地域の場合は、もともと地域の活動が盛んであるため、県事業の『地域の夢プラン』を策定し、自分たちの地域の方向性を自分たちで決め、発展させる方向付けを行った。

モデル事業の進め方の第1ステージで地域説明会を開催し、4項目を説明した。【公共施設再配置の目的】【モデル事業の内容】【モデル事業とした理由】【今後の進め方】であった。第2ステージで住民参加による地域別計画を策定。「ワークショップ形式」「協議会形式」など、地域住民と市職員が共に参加する協働作業により、地域の公共施設について考えていった。この話し合いの中に地元高専生に参加してもらい、出された意見や案を新しい支所・公民館のイメージを誰もが共有できるように図面に表してもらい、参加者の共通認識の定着に役立てることがでできた。

モデル事業の結果、新たな施設の <整備方法> <整備位置> <敷地の使い方> <必要な機能と大まかな間取り> を踏まえ、第3ステージの事業実施へと取り掛かることとなった。

施設分類別計画の策定は、インフラ関連施設を除き1,099施設あり、策定済み及び今後策定のもの1,001施設、策定不要98施設となっている。今後の取り組みとして、施設分類別計画から地域別計画へ、以下の項目を主眼にして進めていくこととしている。●各施設の方向性や取り組み優先度の明確化 ●市内32地域の内、モデル事業の2地域を除く30地域について、優先度の高い地域を検討する ●地域にある施設の重要度、対策の優先度、再配置を行った場合の効果を総合的に判断

終わりに、公共施設再配置の課題だが、「総論賛成、各論反対」は当たり前であり、先ずは総論(現状、今後の予測、基本的考え方等)について、ご理解をいただくよう粘り強く取り組んでいかなくてはならない。地域住民などの受益者だけではなく、市民全体の意見を反映させる研究を行い、より幅広い周知手法の研究をしていかなくてはならない。

 

今回の周南市における「再配置について」の取り組みは、市民対話を大切にした丁寧な事業展開が無ければ、決して成果に結びつけることの、ほど遠いことを学ぶことができました。三豊市が策定済みの「公共施設再配置計画」や、「公共施設等総合管理計画」など、市民にとって求められる公共施設のあり方を見つめ直さなくてはなりません。それはまさに、議員として既存の膨大な計画書などを再研究することの必要性を痛感する研修となりました。

 

 

総務常任委員会 行政視察研修報告(平成30年)・2

二件目の報告は、佐賀大学農学部内にある「(株)オプティム」での研修です。

今回の研修の目的は、日本の農業が抱える課題である、高齢化・担い手不足・技術伝承の難しさ、を解決するため、AI・IOT・ドローン・センサー等の最先端技術を駆使することによる、スマート農業の取り組み事例を学び、三豊市の農業の未来を探求することと併せ、多様な分野での最先端技術の活用の可能性について研究するためです。

 

(株)オプティムは、佐賀大学農学部出身である菅谷俊二氏が、在学中に「インターネットそのものを空気のように、まったく意識することなく使いこなせる存在に変えていくこと」をミッションに、2000年に起業したものだ。IT活用の可能性は、あらゆる分野に広がっている。農業・水産業・建設・医療・介護・小売・製造・鉄道・電力などがあげられる。

今回訪問した、(株)オプティムの佐賀本店は、佐賀大学農学部と佐賀県生産振興部との三者連携協定によって、[農業×IT]で ‟楽しく、かっこよく、稼げる農業” を佐賀から実現しようと取り組む研究・開発・実践の拠点だ。

ドローンを活用したIT農業の実証例を紹介する。現在、農業政策の事業に麦の『経営所得安定対策等交付金支払』制度がある。白石町(全国の自治体も同様の状況だと考えられる)では、これまで作付け確認を職員が現地へ出向いて行っていた。干拓地を含め大規模な圃場があり、現地確認等に多大な時間を要していた。そのため、交付金支払に遅れが発生することもあり、大きな課題となっていた。

対象範囲の約8,500haを、町全域にドローンを飛ばし空撮して、そのデータをオルソ画像化するとともに、空撮画像と水田台帳データの突合確認し、麦作付状況の確認(9,000筆)を行った。平成30年4月16日~5月20日の期間に作業を完了した(5月20日以降、麦の刈り取りが始まるため、期間厳守であった)。このような結果で、行政事務の負担軽減や、支払時期の早期化の効果が期待できることが分かった。

もう一つは、「スマートえだまめ」プロジェクトがあげられる。ドローンを活用し、圃場の隅から隅までを空撮し、AIを用いて害虫を検知。どのデータに基づき害虫めがけてピンポイントで農薬を散布することで、農薬使用量10分の1「スマートえだまめ」として製品化し、百貨店で高値で販売し完売した。

 

いくつかの農業分野の関する実証事例を学ぶことで、三豊市の抱える多様な分野の課題解決に生かせる可能性を大いに気付かせていただきました。ITを活用した事業展開は、私たちの日常生活の中でITが空気のようにまったく意識することなく使いこなせる存在にするということです。農業分野だけでなく、三豊市が直面する市立病院改築計画等の、医療・介護分野での在宅医療や遠隔診療、見守り等への利活用にも、大きな期待を感じることのできた研修でした。