会派清風会視察研修報告(2025山梨・東京)・3

会派研修の3件目は、東京都国立市の「くにたち未来共創拠点 矢川プラス」です。

 

矢川プラス館長・幼児教育センター長である細田氏他から説明をうけた。

矢川プラスは、高齢化し住人人口が減少した都営団地跡地に、「あらゆる世代が利用できる機能を備えたさまざまな活動・交流の拠点となる複合公共施設」として、2023年4月1日OPENした。コンセプトは「まちなかの おおきな家と庭」で、市民の意見から生まれた。

建設費は、総工費11億3,000万円余で、うち補助金が25%余の2億8,000万円余である。運営費は、1億3,5000万円弱で内89%余の1億2,000円余が指定管理料だ。

運営は、国立市100%出資の「夜会福祉法人 くにたち子どもの夢・未来事業団」が指定管理者となっている。理事長は教育学者の汐見稔幸氏である。

施設運営の合言葉は「つどう、つながる、つくりだす」で、矢川プラスはどんな「場」にしていくのかも、どんな「元気」や「未来」を生み出していくのかも、この場所につどうみなさんそれぞれのチカラをつなげて、みんなで一緒に考え、みんなで一緒に作っていく という考えが込められている。

館内は、目的によって利用できるように、8つの施設で構成されており ①矢川児童館 ②ここすきひろば(子育てひろば) ③こども縁側 ④多目的ルーム ⑤スタジオ ⑥とおり土間 ⑦みんなのホール ⑧スタディコーナー がある。

施設全体来館者数は33万人/年の利用者がある。他に主なイベントだけでも16を数え、地域の商店街や大学生他の協力もあり、地域と一体の活動を年間を通して実施している。

まさに地域の中にある、あらゆる世代が利用できる「まちなかの おおきな家と庭」を現実のものとするため、日々取り組んでいる。

 

細田館長のお話の中に、「『人間』とは『他者を助ける本能』をもった生き物だ。大人に見守られている安心感のもと、周りの大人への憧れで参加・挑戦し、コミュニティの一員として発達していく」という人育ちの本質を指す言葉が印象的でした。そのために地域の多様な人たちの関りが欠かせないのだと思います。この関りが、そこに集う人々の生きる活力にもつながっていくという、ひとづくりと生きがいの循環を見ることができた、貴重な研修でした。

会派清風会視察研修報告(2025山梨・東京)・2

会派清風会視察研修の2件目は、衆議院会館会議室に省庁関係職員を招いての政策勉強会で、テーマは【放課後改革について】と【自動運転について】の2点です。

 

【放課後改革について】

●『放課後子供教室について』  文部科学省総合教育政策局地域学習推進課から説明をうけた。

放課後児童クラブにおける待機児童解消策は、開設する場の確保だ。学校施設の積極的な活用で、学校内の特別教室や学校図書館等のタイムシェアや体育館や校庭等の有効活用、廃校施設の活用を図るなど、学校施設を活用する際の管理運営上の責任体制の明確化。

全ての子どもが放課後を安全・安心に過ごすための強化策は、多様な居場所づくりの推進だ。放課後児童クラブと放課後子供教室の校内交流型・連携型の推進。「地域と学校の連携・協働体制構築事業」を活用して、放課後子供教室を実施する場合は、校内交流型を中心として連携実施し、放課後児童クラブの児童も含めてのこどもたちの参加促進が図られるよう努める。

●『部活動の地域連携・地域移行と、地域スポーツ・文化芸術環境の整備について』  スポーツ庁地域スポーツ課、並びに文化庁参事官(芸術文化担当)学校芸術教育室から説明を受けた。

「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議」最終とりまとめ(素案)ポイントは8点ある。

1.地域クラブ活動を担う運営団体・実施主体の体制整備

2.指導者の質の保証・量の確保

3.活動場所の確保

4.活動場所への移動手段の確保

5.大会やコンクール運営の在り方

6.生徒・保護者等の関係者の理解促進

7.生徒の安全確保のための体制整備

8.障害のある生徒の活動機会の確保  などが挙げられている。

 

三豊市では先んじてミクスポを立ち上げ、この地域に相応しい部活動の在り方に取り組んでいます。今回の説明にあった実行会議の今後の施策提案に注目したいと考えています。

 

【自動運転について】

●『自動運転に関する取り組み』を国土交通省 物流・自動車局 技術・環境政策課説明を受けた。

自動運転の意義は *死亡事故の大部分は「運転者の違反」で、交通事故の削減効果に期待 *地域交通の維持・改善、ドライバー不足への対応などの解決

自動運転の実現に向かうアプローチは2つ ①特定のルート・地域に限定して、「無人」自動運転を実現し、人手不足解消や移動手段確保に寄与(商用車) ②ルート・地域を限定しないことで、どこでも使える自動車として、自動運転のレベルを段階的に上げる(自家用車)  により社会実装が進められている。

自動運転社会実装推進事業は、レベル4自動運転移動サービス実装の初期投資を支援する。地方公共団体を対象事業者として4/5を補助。重点支援には上限3億円、一般支援には1億円。

松山市では、市内の港から駅を結ぶバス路線を、市と私鉄が協力して着手し、自動運転化している。

三豊市では、詫間駅~大浜地域を結ぶルートで社会実装することを目指した取り組みを行っている。令和6年度には一部運行し、令和8年度からレベル4運行を開始し、段階的に運行区間を拡大することとしている。

 

●『自動運転実現に向けたインフラ支援』を同省 道路局から説明を受けた。

一般道の自動運転移動サービスに求められるインフラ支援は、「道路インフラから自動運転車両に対して交差点等の状況を提供する路車協調システムや、安全性向上のための走行空間整備により、自動運転移動サービスの実現」するためだ。

支援案として、走行空間確保のための専用道・歩行者分離によるハード面の支援から、自車位置特定のための電磁誘導線や磁気マーカー・RFタグ等の路面施設や、交差点センサによる路面協調のためのソフト面による支援が考えられる。

 

その地域にとってどのような自動運転が求められて必要とされているのかを、そこに住む私たちが、どのような未来社会を目指していくのかを見据え見極めていくことから始めなければならないという、当たり前のことが明確になった研修でした。

 

 

 

会派清風会視察研修報告(2025山梨・東京)・1

令和7年5月7日(水)~9日(金)の3日間の日程で、3件の会派清風会視察研修に参加しました。

1件目は、山梨県山梨市における「ふるさと納税について」です。

 

山梨市は面積290㎢、人口32,000人余の甲府盆地の東部に位置しており、都心から約100㎞圏、JR中央線、中央自動車道で90分という交通の利便性に恵まれている。なだらかな斜面や平坦地に広がる桃・ぶどうの果樹園は、令和4年に世界農業遺産に認定されるなど美しい景観をおりなすとともに、全国有数の生産量を誇っている。

『ふるさと納税ブランディング課』から説明を受けた。

山梨市のふるさと納税は、制度が始まった平成20年から17年間で着実に実績を積み重ねている。令和5年度の納税額は43億9,000万円程で件数は313,000件余だった。令和6年度には65億7,000万円程で件数は406,000件余であり、21億8、000万円余の増加額であった。

山梨市は、三豊市と同じくフルーツ王国を掲げているとともに、人口、面積ともによく似た規模であるにもかかわらず、当市の6倍の寄付を集めており、シャインマスカット人気とともに伸びてきた。寄付の比率は果樹が86%、他14%(ワイン・羽毛布団・装飾品等)となっている。

令和3年度から寄付額が急増している。「前年度寄附受付、次年度返礼品配送」という【先行受付】を11・12月に導入した。その結果この期間に10億円以上の寄付が集まるようになった。

職員体制は、令和7年度より『ふるさと納税ブランディング課』となり1名増員の6名体制となった。内2名は企画担当として、新しい商品の開発に取り組んでいる。

配送料や物価高騰による経費増に対しては、返礼品率の見直し(寄付額の30%⇒25%)や配送サイズの見直し(例:80サイズ⇒60サイズ)及び、安価な運送業者に移行して対応している。

果物などの品質に対するクレームに対しては、中間事業者が対応することとなっている。令和5年度より果物配送は原則「クール便」としたことで、それまでの何十分の1といえるほどに激減した。

ふるさと納税の使い道は、「市街地や生活インフラの整備」「地域資源を活かした産業経済の活性化」「子育て・学校教育・福祉の充実」「使途の指定なし」となっている。

今後の課題は、新体制の2名の企画担当を中心に、天候に左右されない新たな地場産業の育成に取り組むこととしている。他産地との競合やニーズの変化、気候変動の影響を念頭に置き着手していく。

 

「山梨」を検索すると「山梨市」がトップに来るようレビュー対応しているとともに、ぶどうの一大産地という歴史と伝統に裏打ちされた信頼の積み重ねが実績に表れていると感じます。山梨市は現状に甘んじることなく、さらなるブランド力の向上のため、加工品開発、品種改良、体験型商品の開発等に努めており、当市においてもまだまだやるべきことの多いことに気付いた研修でした。