会派研修報告 (4)

4回目の会派研修報告は、「日本自治創造学会 研究大会」 の2日目に行われた分科会です。
3分科会が設けられていて、私は 『政策立案と開かれた議会づくり』 に登録し研修を行いました。
東京大学教授の金井利之氏をコーディネーターとして、三重県議会議長の三谷哲夫氏と全国市議会議長会法制参事の廣瀬和彦氏から、事例報告がありました。
三谷氏からは、 「三重県議会における議会改革」 と題して、5つの点からの取り組みについてお話をいただきました。
1. 開かれた議会運営の実現
(1) 住民にわかりやすい議会運営の推進
すべての会議を公開する。議長・副議長の選出は5名の推薦による立候補制で、公開され選挙で行われる。(任期は議長2年、副議長1年)
(2) 住民が参加しやすい議会運営の推進
傍聴は制約はない。会期の制約はなく年間230日以上の会期日数となっている。参考人招致が行われ活発である。委員会資料を事前に公開している。
2. 住民本位の政策決定と政策監視・評価の推進
(1) 議決機関としての政策決定の推進
(2) 住民代表としての政策の監視・評価の推進
3. 独自の政策提言と政策立案の強化
<平成18年に議会基本条例を制定>
(1) 付属機関の設置
議会改革委員会を条例で定める。
(2) 調査機関の設置
専門家を加えた財政問題調査会。
(3) 検討会
議員が中心でおこなう条例検証検討委員会。
(4) 政策討論会議
執行部案と議会案による討論会議。
4. 分権時代を切り開く交流・連携の推進
(1) 他府県との連携
(2) 市町との連携
5. 事務局による議会サポート体制の充実
(1) 専門的人材の充実と活用など
法制専門担当としてインターン生の活用を考える。
政治家に対する信用の収縮への対策として、議会基本条例がある。
二元代表制の一方としての議会の役割と機能を発揮するために、議会基本条例を制定するなどして、議会が一枚岩となって、監視と決定力を確かなものとしなくてはならない。
続いて、廣瀬氏からは 「地方議会が取り組む様々な改革とその意義 “議会自身の議会改革” 」 と題して、議会改革を進める中での、議会基本条例の意味するところの説明が、4点の切り口からされました。
議会基本条例は、議会と市民との意識の乖離を埋めるものとしてあるが、必ずしもそれが無ければ改革できないというものではなく、議会改革を推進するための一つの手段である。
たとえば、未制定だが議会の主体性で改革が進められる、取手市議会の事例があることをお伝えしておく。
議会基本条例に記される主な点について述べる。
1. 反問権
執行部が議員に対し質問する反問権または質問権は、法律上規定がない。
そもそも質問権は、議会の執行機関に対する監視権に由来するもので、議会は執行権を与えられていないので、執行側からの反問権は成り立たない。
一方、反問権の必要性も、議会改革のいくつかの視点からいわれている。
2. 議会報告会
議会としての広報広聴活動が必要である。
首長が広報広聴活動を積極的に行っている状況に対して、議会の活動は不足している。
3. 決算審議の活用
事業評価シートによる決算審議方法や、会派ごとに行う事業仕分けの方法がある。
4. 定数について
法廷上限撤廃の方向にある。
定数を考えるに当たっての要件は、①議会の能率的な運営 ②多数の住民が推す優れた人材の選出 ③自治体の組織全体に相応しい規模、を考える必要がある。
また、留意点としては、①定数増減による市財政への影響 ②定数改正にかかる監視機能への影響 ③地域と住民の意見集約の可能性 の3つである。
地方議員の皆さんが、議会基本条例を制定するに当たり、少しでも参考になれば幸いだ。
“議会自身の議会改革” に向けて、議会事務局の機能強化が求められていると考えている。
最後に、金井氏の言葉を記し、4回に渡った報告のまとめとします。
「国に運営できないから地方に分権しようとするのに、それをしようとする国に分権する力がない。だから地域主権改革が必要なのだ。」
「地方分権されれば地方はいかに良くなるのかを、地方議員は語れなくてはならない。首長を目指す気概を持って勉強する地方議員であって欲しい。なぜなら、地方議員は地域全体の責任を負っているのだから。」
平成22年5月17日(月)・18日(火)の2日間の 「第1回 2010年度 日本自治創造学会 研究大会 “日本の再生・地方自治の創造~地方からの挑戦~”」 の報告を終わります。
次回の会派研修報告は、3日目の19日(水)におこなったバイオマスタウンについての研修報告をします。 

会派研修報告 (3)

3回目になりますが、会派研究報告をします。
③ 17日(月)の初日の講演で3人目に登場したのが、東京大学教授の御厨貴氏です。
「日本政治の課題と展望~何が問われているか」 の演題で行われました。
日本の現状の政治を歴史の中で見れば、どのように見えるのかを話したい。
日本では近代において、過去大きな変革が2回あった。
一つは明治維新であり、もう一つは戦後の占領改革だ。
明治維新は、先ず 「廃藩置県」 を断行した。
藩主たち、にとっては天地がひっくり返るような大事であったが、なぜ可能だったのか。
薩長の軍事力が背景にあってこそのことだった。
それでも、形になるまで4年くらいの期間はかかった。
戦後占領改革は、吉田内閣の安定多数確保が大きな力となってできあがった。
この時も、おおよし4年位は必要だった。
歴史から見れば、2009年の民主党による政権交代から始まった現状の政治改革は、2013年に行われるであろう衆参同時選挙で決着するであろう。
現政権の問題点の話をする。
民主党・鳩山政権は、判断がぶれることがよく分かるはどに政策決定プロセスは明快だが、鳩山首相は、政治家の命でもある言葉が軽い。
これが原因で何が起こっているのかというと、国民の政治に対する不信感の増大、官僚の政権に対する “戸惑い” “失望” “あきらめ” だ。
民主党は政策も政局も決められない。
これを打開するには、党内のとことんの政権闘争より他になく、それをすることでエネルギーが収斂され、決定力が根付くのだ。
戦後、日本の政権政党であった自民党の底流にあったものは、戦後からの脱却であった。
いくつかの政権がそれを狙ったが、それは達成されてこなかった。
皮肉にも、2009年の衆院選の大敗によって自民党政権が崩壊したことで、結果として消極的な戦後政治からの脱却、となったのではないかと見える。
東大で、学生たちと接している中で感じることがある。
今の若者の考え方として、 「こんな国にしたのは大人のあなた達のせいだ。自分たちの責任でもなく問題でもない。」 との風潮がある。
それは、歴史を教えられていない結果として表れているように思える。
今の若者は、学校教育でも教えられていないから、戦後の歴史を知らない。
だから、日本は “危ない”。
地方分権し、地域主権改革が進められる中、ここに集まった地方議員の皆さんは、地方自治を担う責任として、歴史を学ぶことの重要さを再認識して欲しい。
簡単にまとめましたが、示唆に富むお話の数々でした。
渦中では気づかず見落としてしまいそうなことを、歴史を知ることでその大河の一部分として客観視することができるのです。
この立ち位置によって、不確かな将来の予測が可能となるのだという、政治活動と政策決定の原点に気づいた講演でした。

会派研修報告 (2)

今回も、会派研修報告をします。
② 講演の2件目は、逢坂誠二氏からの 『わが国の地域主権改革~そのシナリオと課題』 についてです。
現在、地方分権、地域活性化及び地方行政担当の首相補佐官として、「中央集権」から「地域主権」への制度整備に取り組んでいます。
「中央集権」から「地域主権」へと地域主権改革を進めている。
現状の「中央集権」は、国を頂点として県から市町村へと、おこぼれのようにカネが落とされている。
国からの富の配分に依存するピラミッド型で、変化に弱い。
そこで、この改革で目指す「地域主権」は、多様な特色を有する市町村が、それぞれの特性を活かし互いに刺激しあい活性化へと向かうもので、ジグソーパズルのピースのような自治体がつながり会って、泉のようにエネルギーが湧き上がる形だ。
自治体が常に独自性で変化するアメーバー型で、変化に強く創富力アップが期待できる。
もう一つの柱は 「緑の分権改革」 だ。
制度や仕組み、カネは縦の流れだが、この改革は地域という面的な発想の転換を目指すものだ。
こっれまでは、地域から人やモノ、カネが中央へ集中していく形だったが、地域の自由度を高め人材や資源、資金が地域内循環するような形を作ってゆきたい。
地域に活力をもたらすのは、自分たちが自分たちの地域をどうしたいのかを、自治体の首長や議員が思いを巡らせる構想力が大切だ。
著名な政治学者の言葉に、「身近な自治を行うことができると、国家全体の民主主義を高めてゆく可能性が生まれる」 や、「自治は民主主義の学校だ(民主主義の源泉は自治だ)」 がある。
国民主権を実現するために住民主権があり、地域主権改革がある。
地域主権改革を、地域主権戦略の工程表に沿って進めてゆく。
地域主権改革が、日本を再生するという信念に貫かれた講演でした。
 

会派研修報告 (1)

三豊市議会の第一会派 「三豊市民クラブ」 は、5月17日(月)から19日(水)までの3日間、東京都内に会派研修に行って来ました。
17日と18日の両日は、田町のホテルを会場として開催された 「第一回2010年度 日本創造学会 研究大会 “日本の再生・地方自治の創造~地方からの挑戦~」 に参加しました。
19日は、衆議院議員会館において、農林水産省から 「バイオマスをめぐる情勢」 及び 「平成22年度 地域バイオマス利活用交付金について」 の説明を受けました。
日本創造学会 研究大会は、地域主権時代に相応しい地方自治のあり方を探究するために、全国の地方議員を対象に、その資質の向上と地方議会の課せられた担うべき役割を再確認するために企画されたものです。
地域主権をかかげて政権交代が現実のものとなり、地方自治とは何か、真に機能する議会とはどうあるべきなのかが、にわかに問われています。
このような問題認識の下、1日目は講演、2日目は事例発表分科会が設けられていました。
講演は3件あり、
① 中央大学教授で、当学会会長である佐々木信夫氏による 『地域主権国家と地方自治の展望』 
② 衆議院議員で、前ニセコ町長逢坂誠二氏による 『わが国の地域主権改革~そのシナリオと課題』
③ 東京大学教授で、政治対談番組でおなじみの御厨貴氏による 『日本政治の課題と展望~何が問われているか』
でした。
① 佐々木信夫氏からは、当学会の設立目的と、日本の政治システムが大転換する中で地方議会の役割の重大さを指摘するお話でした。
【設立目的】
・ 公選で選ばれた人たち(議員)が、知的な政策を磨く場が、これまでなかった。エリートという言葉の意味は、日本で使われる意味と異なり、本来は公選で選ばれた人のことをいう。エリートがエリートとして働く国にしなければならない。
・ 古くから 「農学栄えて農業滅びる」 「経済学栄えて経済滅びる」 そして 「政治学栄えて政治滅びる」 などといわれるが、実務に携わる議員とアカデミズムが情報共有し、機能し会う場(学会)をつくる必要があるからだ。
【地方議会の役割】
・ 地域主権改革とは、身近な政府(地方自治体・地方政府)の自治権を確立し、市民の意思で政策やカネの使い道をコントロールすることは、自己決定・自己責任・自己負担が大前提となる。そこでは、当然にして議会の役割はこれまでと比較にならないくらい重要である。
・ 国から地方へと権限が移されることで、地方議会の活動がより重視される地方自治が進められる。地域主権国家では、地方議会は政策官庁の役割を果たさなければならない。
・ 地方議会は、チェック機関から立法機関へと変容してゆく。議会をどう変えるかは、次の5つが考えられる。 『立法・政策能力の向上』 『議会の自立性の確立』 『議会スタッフの充実』 『監視統制機能の強化』 『開かれた議会づくり』 などだ。
・ すぐやれる改革として、8つある。 『会期制限の撤廃』 『定数の独自設定』 『政務調査費の活用』 『政策スタッフ』 『議員の執務室』 『政策グループ議員で条例提案のススメ』 『予算研究会の創設』 『広域圏で議会連携』 などだ。
・ 議会改革の切り札として、 “議会法制局の共同設置” と “議会基本条例の標準装備” が考えられる。
公選で選ばれた地方議員には本当のエリートとなり、地方主権時代に地方政府でこの機能する、立法機関に相応しい議員となって欲しい。
地方議員としての資質向上に、当学会を十分に活用いただきたい。
講演を聴講した感想として、
地域主権改革は、地方議会を構成する議員の力量向上に取り組もうとする、議員個々の意識改革であると思います。
私自身の力量の向上はもちろんのこと、当学会での学びを指針として、三豊市議会改革を進めてゆくことを、会派としてできるところから直ちに着手しなくてはならないと、決意を促された講演でした。
次回も引き続き会派研修報告をします。 

豊中庁舎跡地整備事業

市民活動の拠点とする豊中庁舎跡地整備事業が、 「市民交流センター建築」 と 「豊中町農村環境改善センター改修工事」 として、本年度着工が決定され動き始めています。
三豊市が7町合併で発足したときの本庁舎は、合併前の旧7町による合併協議会によって決定されていた、旧豊中庁舎でした。
その後、本庁舎機能は、旧高瀬庁舎へ移されました。
庁舎移転の経緯や、合併協議会での決定事項の撤回などの問題に対する不信感が、豊中地域市民の中にありました。
その不信感を払拭するとともに、三豊市の一体感を醸成するために、空き施設となった老朽化した豊中庁舎と福祉会館などの有効な活用として、 『豊中庁舎跡地整備事業』 が動き出しました。
平成20年8月27日に、横山市長によって 「豊中庁舎跡地整備事業検討委員会」 が設置され、平成21年1月29日の 『豊中庁舎跡地整備事業検討委員会の検討結果について(報告)』 まで検討が進められ、その内容は次の通りとなっています。
1.地域内分権の拠点機能整備について
「三豊市新総合計画基本構想」 の実現には 「地域内分権」 の考え方の普及が必要で、その地域の自主・独自性を失わせることなく、三豊市全体としての動きに発展させなければならない。
豊中庁舎跡地は、市民の参加・集合しやすい地理的環境を保持しており、地域内分権の拠点として 『三豊市中央公民館』 機能の整備を検討していただきたい。
【方向性】
①三豊市中央公民館としての機能(豊中町公民館機能を含む)
②だれもが気軽に、制限無く、様々な形で利用できる施設
③教育、文化及び福祉の分野に利用できる施設
④子育て支援としての機能
⑤住民避難施設としての機能
【具体的事項】
①三豊市中央公民館事務所機能
②会議室(最大100人程度の収容機能として、3段階程度に間仕切りできるもの)
③中規模ホール(最大300人程度を収容し、メッセ機能など多目的使用ができるもの。要ステージ)
④調理実習室(災害時の非常食対応ができるもの)
⑤ファミリーサポートセンター、託児所機能
⑥各種団体及び個人の作品展示コーナー
 なお、中規模ホールについては、福祉会館大ホールの機能を代替するもので、三豊市中央公民館(現豊中町農村環境改善センター)に接続できるよう増設・新設されるよう要望する。
2.併せて検討していただきたい事項
(1)農村環境改善センターの機能増強による多目的活用
1階部分を抜本改修し、三豊市中央公民館機能を増強することの検討。
駐車場確保のため、旧庁舎及び福祉会館は撤去することの検討。
(2)農村環境改善センター二階体育館機能
現在、豊中中学校の部活動を中心に機能しているが、エレベーター等の整備によりバリアフリー化し、500人規模の集会等にも使用できることの検討。
(3)豊中中学校登下校門の整備
現在、生徒が当該敷地を通り登下校しているため、教育施設らしく一体的に整備できる点は、併せて検討するよう配慮。
(4)三豊市豊中庁舎の機能充実について
豊中庁舎は、事務所の空きスペースがあるため、市民サービスの面から機能する組織・施設活用を検討。
市民交流センター建築工事の請負業者も決定し、豊中町農村環境改善センター改築工事の詳細設計ができようとする、まさにこの時点で、「豊中庁舎跡地整備事業検討委員会」の報告のねらいに沿った計画になっているのかのチェックは、欠かせないことです。
施設完成後の利用・運営がどのようになるのかも含めて、市議会として審査してゆかなくてはなりません。
  

戸別所得補償制度モデル対策 (2)

前回に引き続いて、戸別所得補償制度モデル対策の確認をしたいと思います。
今回は、 『水田利活用自給力向上事業』 についてです。
“お米を作らない水田で、定められた作物を作ることに対する助成です。”
【対象農業者】
販売目的で、交付対象作物を生産する農業者・集落営農であること。
【対象作物と交付単価】
① 食料自給率向上のための転作田での作付け戦略作物は、交付単価によって5種類の区分がされています。
・麦(小麦・はだか麦)・・・10a当たり37,000円以内(変動する)
・大豆(黒大豆含む)・・・・10a当たり35,000円以内(変動する)
・飼料作物・・・・・・・・・・・・10a当たり26,000千円以内(変動する)
・新規需要米(飼料用・バイオ燃料用米・WCS用稲-多収米)・・・10a当たり80,000円(固定)
・そば、なたね、加工用米・・・10a当たり20,000円(固定)
② その他作物として、水稲や戦略作物を作付けしない水田を対象に、香川県独自に指定する36品目の野菜、果樹があります。
・10a当たり3,000円以内・・・景観形成作物(カラシナ、コスモス、菜の花、ヒマワリ、レンゲ)、
                   地力増進作物(セスバニヤ、ソルガム、トウモロコシ、ヘアリーベッチ、レンゲ)
・10a当たり5,000円以内・・・サトイモ、自然薯、タマネギ、ナス、馬鈴薯、メロン、オリーブ、カーネーション、苗木(オリーブ、ケヤキ、コナラ、ヒノキ)
・10a当たり8,000円以内・・・オクラ、サトウキビ、ニンニク、パセリ、ピーマン、モロヘイヤ、バラ、ラナンキュラス)
・10a当たり10,000円以内・・・トマト、レタス、ヒマワリ、マーガレット、タバコ
・10a当たり13,000円以内・・・青ネギ、イチゴ、エンサイ、キャベツ、キュウリ、採種タマネギ、キク、松盆栽
・10a当たり15,000円以内・・・アスパラガス、スイートコーン、ナバナ、ブロッコリー
【激変緩和措置】
今回の制度によって助成額が減額となる地域では、単価設定の弾力的な運用で激変緩和措置があります。
三豊市独自では、レタスに10a当たり25,000円以内、ブロッコリーには12,000円以内を上記単価に上乗せします。
このような制度内容になっているようです。
思いがけず、「三豊菜の花プロジェクト」で作付けしている菜の花(なたね)が、戦略作物36品目の一つとなっています。
それならば、これに乗じて菜の花(なたね)収穫の後は“そば”を蒔き、10a当たり40,000円の助成に向け事業参画しようと申告しました。
がたがた言う前に、とにかく自分で実行し体験してみることが、政策に対する正しい評価につながるのだろうと思っています。
戸別所得補償制度の政策の善し悪しとは別に、少なくとも、私にとっては農業政策の研究に本気になるきっかけとなっていることには違いないのです。

戸別所得補償制度モデル対策 (1)

国の農業支援策は、すべてを知るのが困難なほどに多様なメニュウが豊富にありますが、その中にあって、分かりやすく取り組みやすい施策が2つあります。
今、市農業振興課と県JAは、 『米戸別所得補償モデル事業』 と 『水田利活用自給力向上事業』 を推奨しています。
食料自給率の向上を目指すことで、農業に活力を吹き込み地域を再生しようとするものです。
今回は 
『米戸別所得補償モデル事業』 
の内容を確認したいと思います。
“この制度は、お米を作る水田に対する助成です。”
【対象農業者】
米の生産数量目標に沿って生産する、販売農家・集落営農です。
・水稲共済へ加入している農家は、販売農家と見なします。
ただし、水稲を25a以上栽培する農家で、共済未加入農家は対象外となります。(25a以上で制度を受けようとする農家は強制加入となる)
・25a未満の共済未加入農家は、21年度の出荷・販売先との契約状況を申告すれば、対象となります。
なお、カントリーと契約を結んでいた農家は、この申告は不要です。(25a未満で制度を受けようとする農家は、共済に任意加入でよい)
・また、21年度産米の出荷・販売先との契約がない農家(自家消費米、縁故米、JA・業者以外で販売した農家や昨年は米を作らずに今年は米を作る農家など)は、作付け面積にかかわらず水稲共済への加入が必要です。(制度を受けようとするも証明するもののない農家は、共済へ強制加入となる)
【交付対象面積】
主食用米の作付け面積の10aは対象外とします。
ただし、酒造用や種子用はすべてが対象となります。
【交付単価】
定額部分と変動部分を併用し、定額部分は全国一律10a当たり15,000円、変動部分は標準的な販売価格を下回った場合は、その差額を交付します。
【その他留意事項】
調整水田、自己保全管理の不作付地によって生産数量目標を達成している農業者は、不作付地の水田を明らかにして、 “不作付地の改善計画” を市に提出し、認定を受けることが必要となります。
以上、掻い摘んで自分なりに整理しました。
もう一つの施策である 『水田利活用自給力向上事業』 の内容の確認は次回です。 

連休 島巡り

4月29日(木)の昭和の日から5月5日(水)まで、4月30日(金)の休みをとれば、まるまる一週間の連休となりました。
そんな長いお休みも、過ぎればアッ!という間でした。
5月4日(火)と5日(水)の2日間は、三豊市内の島巡りにどっぷり浸りました。
4日の 『みどりの日』 は、詫間沖にある 粟島 の島四国八十八か所巡りに初めて訪れました。
毎年旧暦の3月21日に行われていたようですが、恥ずかしながら、これまでこのような催し物があることを知りませんでした。
今年はたまたま、我が家の工房で開いている陶芸教室に、西野さん(粟島発のHPを開いています)という粟島にお住まいの生徒さんがいて、お誘いをいただいていたからです。
今年はゴールデンウイーク中であり、最高の天気にも恵まれ初夏のような天候の中、汗だくの札所巡りで大賑わいでした。
地元住民の “お接待” の極みは、地元産のテングサからつくられた 「ところてん」 です。
生醤油をかけ、お好みに会わせて和がらしを少々。
素材そのものの甘みが口いっぱいに広がり、適度に冷やされた食感は、のどを滑るように胃袋に流れ込んでゆきます。
もしかすると、この 「ところてん」 目当てに、毎年巡礼者は訪れているのではと思いたくなるような、絶品です。
私も、病みつきになりそうです。
5日の 『こどもの日』 は、市内にあるもう一つの島、仁尾港の目の前にある 蔦島 で開催されている、仁尾町子ども会育成連絡協議会主催の “つた島スタンプラリー” に、おじゃましてきました。
この島は、仁尾港から船で5分ほどの位置にあり、全国観光地百選で9位入賞したこともあります。
今では、夏休みの海水浴客で賑わう他は、オフシーズンは住む人もおらず無人島となっているのですが、かつては、家内安全祈願の天狗神社を中心に、毎日のように人の行き来があったようです。
地元住民の生活に密接な整備環境は、子どもたちのための探検・冒険コースとして最適の条件となっています。
①つた島海水浴場 をスタート地点として、②舞鶴殿(ぶかくでん)、③天狗神社、④万波亭(まんばてい)、⑤大観亭(だいかんてい)、⑥蓬莱閣(ほうらいかく) の6つのポイントでスタンプを押してもらうのです。
少々お疲れ気味のお父さんお母さんを後目に、子どもたちは元気いっぱいで島歩きを楽しんでいるようでした。
私もしっかりと一周してきました。
三豊市には、子どもたちの成長の場となる、楽しい遊びの場が豊富に存在しているのです。
この資源の有効な活用は、私たちの力量に係っているのだと思います。
「こどもの日」 にちなんで発表された日本の人口推計では、15歳未満の子どもの数が、過去最少の1,694万人で、総人口比13.3%で世界の中で最低となっているとのことです。
子どもを生み育てる価値観に、変質が生じているのでしょうか?
せっかく預かった 「三豊市子ども会育成連絡協議会」 の会長の役です。
このまちならではの、“育てる楽しさ” を伝えてゆきたいと改めて感じています。 

高校生のための金曜特別講座

インターネット回線を使用して、東京大学から全国の高校に講義を配信する 「高校生のための金曜特別講座」 が、 今回の4月30日(金)は、香川県立観音寺第一高等学校を講座会場として行われ、厚かましくも受講してきました。
この高校に通う息子が、参加者募集のチラシを持ち帰っていました。
本来は、高校生を対象に行われているのですが、一般の人も特別に受講できるようで、私も講義内容にそそられて、是非とも講義を聴きたいと思ったのでした。
通常は、東大の駒場キャンパスから講義を全国に配信しているのですが、今回は全国で初めて講義場所を東大から飛び出して、この高校で行われる講義を全国の高校に提供するというものです。
“君たちは空海を知っているか?”
と題して、2007年退官後、故郷の香川に帰り晴耕雨読の生活を過ごしている、東京大学大学院総合文化研究科名誉教授 竹内信夫先生の講義でした。
私が、ついつい興味をそそられた “「高校生のための金曜特別講座」 の案内” に記された 「講義要旨」 は、次のようなものでした。
『空海は弘法大師とも呼ばれる。彼ほど有名で、しかも虚実に覆われた歴史上の人物はいない。空海に比べれば、坂本龍馬も脱帽するほどに、虚実の差は大きい。なぜだろう? 歴史が、ある意味では時間のほこりみたいに、彼の上に積み重なっているからだ。空海の上に積もった歴史の時間は厚い(約1200年程ある)。空海も息苦しいに違いない。その重圧から空海を解放できないだろうか? 「歴史」 と 「物語」 の不思議な関係、いずれ劣らぬ虚実の闘いについて話してみたい。』
1200年前に、生身の人として生きた空海という人物と、1200年の歴史に生きた弘法大師と呼ばれる歴史上の人物を、彼(空海)の書き残した書物を読み解くことのよって明らかにしようとするものでした。
現代も生きている空海思想のポイントとエッセンスはなにか?
(1) 生命世界の完全な平等性、相互依存性を主張する 「四恩」 思想。
「四恩」 とは、空飛ぶ鳥・地をはう虫・水中の生き物・林の獣たちであり、私の命はこれらによって支えられている。生命共同体としての生命への配慮である。
(2) 差異を超えてあらゆる存在と思想が尊重される 「マンダラ」 的世界観。
一定の秩序や区別はあるだろうが、差別はない。誰もが平等だと言うこと。
1200年も以前から、現代の世界的課題に言及する 「自然環境」 や 「人権」 に信条は巡らされていたのです。
であるが故に、1200年の歴史という時間のほこりが、空海の意の及ばない程に積もったのでしょう。