まちづくり研修報告(5)

佐賀市議会の研修では、前回報告をした「佐賀市中心市街地活性化基本計画」の“まちづくり”に引き続き、佐賀市の郊外に位置する佐賀都市計画事業「兵庫北土地区画整理事業」の“まちづくり”の説明がありました。
二つの“まちづくり”は役割分担をしながら、佐賀市の活性化に大いに貢献しています。
「兵庫北土地区画整理事業」は、佐賀市中心部から2キロメートルに位置し、面積120ヘクタール(1.2キロ平方メートル)を有し、総事業費180億円の一大プロジェクトとなっています。
「ゆめタウン佐賀」はここに位置し、その周辺を「夢咲コスモスタウン」と称し、2,600世帯を抱える住宅地となる計画であるとの説明がありました。
佐賀市議会での研修を終え、「ゆめタウン佐賀」へ向かいました。
「ゆめタウン佐賀」は、佐賀都市計画事業の新しい“まちづくり”の中核となることを期待され、佐賀のシンボルとして、平成18年12月にオープンしました。
開店以来5ヶ月が経ち、年間来店者目標数1,200万人(ゆめタウン三豊:600万人)に対し、現時点で600万人を数え、順調に推移しています。
また、年間売り上げ260億円(ゆめタウン三豊:100億円)の目標も計画通りとなっています。
この結果、集客力の源でもあるトレンドの情報発信基地となることで、「福岡・天神」への買い物客流出を止める、“ストップ天神”の効果を上げています。
<施設概要>
敷地面積 :110,000平方メートル(ゆめタウン三豊:58,000)
売り場面積: 49,000平方メートル(    〃   :21,000)
駐車台数 : 3,600台(    〃    1,750)
店舗構成 :イズミと160の専門店及びスポーツ・家電・家具・玩具などの準核店舗
従業員 :1,700名で内地元1,200名(    〃   :1,050内850)
<佐賀に大型SCができることによる地元のメリット> → 資料参照
<災害時の協定>
佐賀県と「災害時における物資の調達に関する協定」を締結しています。
災害時に被災者のニーズに応じた物資(衣料・寝具・食料品・日用品)の提供を行います。
<UDの取り組み>
佐賀県からユニバーサルデザイン適合証の交付を受けています。
UD適合証は、佐賀県福祉のまち条例に基づくものです。
雨に濡れない身体障害者駐車場スペースや、車いすのまま入れる試着室、多機能トイレなどを設けていることが評価されました。
「ゆめタウン佐賀」で、地域に密着した“まちづくり”に関わる取り組みを伺い知ることができました。
三豊市の“まちづくり”に対する「ゆめタウン三豊」の位置づけは、受け入れる地域の意識と対応によって大きく変わるのだと感じています。
「出店は“まちづくり”だ」のメッセージを、「出店は“まちづくり”のチャンスだ」と受け止められるかどうかにかかっていると思うのです。
以上で、二泊三日のまちづくり調査特別委員会の視察研修報告を終わります。

まちづくり研修報告(4)

3日目は、佐賀県佐賀市議会と「ゆめタウン佐賀」での研修となりました。
佐賀市議会では、佐賀駅周辺から県庁前までの、“佐賀市中心市街地活性化基本計画”の説明がありました。
中心市街地活性化を商店街活性化に限定せず、たくさんの人が街へ出やすく、歩きやすい仕掛け作りに重点が置かれています。
住む人を増やす、来る人を増やす、街を歩く人を増やす、目的を持って街に来る人を増やす、できるだけ長く街を歩いてもらう、等の切り口を決め取り組んでいます。
そのために、市街地にくる通勤通学人口と、すでに住んでいる人口7,000人を合わせて21,000人に、できる限り多く街を歩いてもらうための環境整備を図っています。
当面は、平成17年から22年の5年間で、一日3,000人に歩いてもらうこととし、最終目標として6,000人を目指しています。
この基本計画の達成のために、街づくりに関わる人々の役割を定めています。
昔から中心街に住む人々や、移動手段に恵まれない高齢者などの、出歩きやすく買い物しやすいまちづくりを基本方針としています。
このことによって、比較的に若年層を消費ターゲットとした、郊外型大型複合商業施設(ゆめタウン佐賀など)との役割分担をし、佐賀市全体の活性化につながっています。

まちづくり研修報告(3)

2日目の長崎県雲仙市では、地場産品のブランド化についての研修を行いました。
当市は平成17年10月に、7町合併によって農水産業を中心とする50,000人のまちとして誕生しました。
農家人口は20,000人余と、総人口に対し4割を占めており、農業の盛衰によって当市の未来の明暗は大きく左右されます。
新市の初代市長は、「雲仙市の知名度アップを図ることで基幹産業である農水産業者に活力を待ってもらうために、“雲仙市ブランド”を構築する」ことをマニフェストに掲げていました。
同種の他地域産品との差異化を図り、販売に結びつけようと平成18年7月から“雲仙ブランド作業部会”が動き始めました。
続いて“雲仙ブランド認定委員会”が、同10月から協議が始まりました。
作業部会の人員構成は、
島原農業改良普及センター、県南水産業普及指導センター、JA島原雲仙本店、JA島原雲仙北部基幹営農センター、JA島原雲仙西部基幹センター、雲仙市企画課、雲仙市観光課、雲仙市商工労政課、雲仙市農林水産課各職員
となっています。
認定委員会には、流通側からの意見や助言の立場で「ゆめタウン夢採都」の担当者が名を連ねています。
雲仙ブランドロゴマークは、平成18年11月1日から30日の間、一般公募を行い市民投票によって決定されました。    
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雲仙ブランドの第一回の認定は、認定委員会及び作業部会において、平成19年2月に8団体18品目が決定され認定されました。
審査の認定基準は、「市内で生産・製造・加工・水揚げされた農畜水産物で、履歴の証明が可能であること。」を条件としています。
他地域産品との明確な違いを明らかにできるのかということです。
<認定基準:> → 資料参照
  ※5つのうちどれか一つを満たしていること
<認定商品一覧> → 資料参照
今後は、19年度中に3回認定を行う予定としているそうです。
“雲仙ブランド“認定商品を中心とした物販においては、平成19年1月”雲仙市物産販売促進協議会”を設置しています。
この協議会は、(株)イズミとの取引窓口として、雲仙市物産フェア開催の出店業者取りまとめなどの役割を果たしています。
平成19年3月16日から18日の3日間、「ゆめタウン夢採都」で“雲仙市物産in夢採都”を開催し、期間売り上げ700万円を記録しました。
以後、年に2回程度の予定でフェアを開くこととしています。
売れる商品開発の助言者として、消費者とのパイプ役として、また販売そのものにも大きな影響と活力の渦を巻き起こしており、地域活性化と元気なまちづくりのために貢献しています。

まちづくり研修報告(2)

「ゆめタウン光の森」の研修の続きです。
出店に当たり、地元との協議会で主に協議する事項の説明がありました。
(1) 市町村や地域団体等による地域活動に関すること
ハートビル法によるユニバーサルデザイン対応の店づくり。店舗設計はもとより、自動販売機も障害者にも使いやすいタイプを全店に導入。
地元の学校の、展覧会や音楽発表会などの催しに利用してもらう。
赤字バス路線の維持補助を行っている。
駐車場を通勤通学のための、パークアンドライドを実施。月5,000円の商品券購入で50台の利用枠を設けている。
(2) 県産品の販売促進などに関すること
地場野菜の売り場を広く確保している。個人生産者が持ち込みコードラベルによって管理している。維持管理手数料として、15から20パーセント。生鮮野菜全体売り上げの3分の1の実績。
「肥後浪漫」ブランドのスイカを「ゆめタウン」全店で取り扱っている。10人くらいの生産者グループで、年間12億円の売り上げをしている。
「肥後グリーン」ブランドのメロンも全店で扱っている。年間売り上げ6億円で、生産が間に合わない状況である。できた品物は全数買い取るので作付けを増やしてほしいと頼んでいる。
良い商品を持ちながら販売ルートを持たない産地との連携で、産地フェアーの催しを行っている。
(3) 地域雇用確保に関すること
従業員1,500名の雇用を確保し、さらに取引業者の企業が業績好調により雇用が広がった。
(4) 防犯・青少年非行防止対策に関すること
PTAや学校と協力し、閉店後若者たちのたまり場にならないように、23:00から3:00の間の見守りをおこなう見守り隊を結成している。万引きは、100億円の売り上げにに対し1億2千万円程度は最初から覚悟し、経営計画に見込んでいる。
(5) 防災・交通安全対策に関すること
地元自治体と災害協定を結んでおり、避難場所や非常用食料の提供を行うこととなっている。
出店前には、交通渋滞を心配する声が多く寄せられるが、これはオープン時の一過性のことであり、実は防犯に関する問題のほうが大きい。
(6) 環境対策に関すること
リサイクル活動を推進しており、買い物袋持参運動を実施している。買い物袋持参のお客さんには、有利なポイントのサービスを行っている。今では3人に1人はマイバッグを持参している。
要点を簡単にまとめました。
ポイントになる部分に関心を向け、最高の“まちづくり”に役立てるのは地元・地域のエネルギーにかかっていることは間違いありません。
次回は、長崎県雲仙市のブランド構築に向けての活動報告をします。
 

まちづくり調査特別委員会視察研修(1)

研修にいっていたためにお知らせが飛んでしまいました。
5月21日から23日の3日間「ゆめタウン三豊」出店計画に当たり、大型商業施設と“まちづくり”を考えるための視察研修に行って来ました。
今回の目的は、先進地の「ゆめタウン」がその地域の“まちづり”にどんな形で関わっているのかを学び、来秋開店予定の「ゆめタウン三豊」が三豊市の“まちづくり”に、どのような役割を果たすのかを見極めるためです。
一日目の21日は、熊本市近郊にある「ゆめタウン光の森」を訪問しました。
この店は熊本県住宅供給公社による、土地区画整理事業として開発された地域にあります。
この住宅開発地域を「武蔵ヶ丘東ニュータウン」といい、平成7年の市街化区域への編入に始まり、平成23年までの16年間で、人口約7,000人・面積97.5ヘクタール(約29.5万坪)の“まちづくり”事業となっています。
平成10年に造成に着手し、“まち”の名前を一般公募により、「光の森」と決定しました。
まちづくり計画(土地利用計画)に沿って、平成13年大型商業施設出店募集をおこない、10社が応募し選考の結果(株)イズミが選定されました。
そして、平成16年「ゆめタウン光の森」のオープンとなりました。
映画館とアミューズメント施設を併設した、まちづくりの核となる大型商業複合施設の出店をきっかけに、周辺へ多様な店舗の出店が相次ぎ、さらに住宅着工件数も若い世代を中心に大幅に増加しています。
昨年1年間で1,000人近い人口増加となっています。
現在950世帯あり、人口約3,000人となっており、「ゆめタウン光の森」の集客力は、“まちづくり”及び地域活性化に大きな貢献をしています。
説明の最後に、(株)イズミの山西社長の言葉が引用されました。
「店を出すことは“まち”を作ることだ。地域を元気にし、“まちに”元気になってもらうことだ。」
この言葉に改めて、(株)イズミの“まちづくり”に対する理念の確かさと、三豊市としての「ゆめタウン三豊」を核とした“まちづくり”の可能性を再確認しました。

「ゆめタウン三豊」出店に対し

「ゆめタウン三豊」の出店が決定し、来年の秋(9月頃)オープンに向け作業が進められているようです。
三豊市と観音寺市にある既存の地元商店にあたえる影響は大きいと想像されます。
しかし、漠然とした不安感で思い悩んでいるだけでは対策は見つかりません。
こんな折りに、地元商店や商業者の支援のための経営セミナーが、地元金融機関である観音寺信用金庫の主催で開かれました。
香川松下寿電子跡地であった敷地面積約68,000平方メートル(20,000坪)に、スーパーイズミと50の専門店が入る本館と、家電・衣料・レストランなどの別館からなる21,000平方メートルの売場面積のビッグモールが開業されます。
このことによって地元商業者は、売上下落や、店舗数減少、人材確保困難、交通渋滞、住環境低下などの影響を被ることは避けられません。
決定的なこととして、売り場面積からの分析の説明がありました。
三豊地域の売り場面積の現状は、観音寺市の小売店舗数が約950~970店で、売り場面積は約120,000平方メートル(店舗平均120平方メートル)、三豊市のそれは約850~870店で、約70,000平方メートル(店舗平均80平方メートル)で、合わせて190,000平方メートルとなります。
全国的なデータとして、小売業の売り場面積は人口一人あたり1平方メートルと言われており、三豊地域に当てはめれば人口約14万人で、140,000平方メートルが一般的な水準となります。
現状においても明らかに過剰です。
しかも、この上に「ゆめタウン三豊」の約20,000平方メートルが加わり、210,000平方メートルとなります。
三豊地域の1店舗面積を100平方メートルとするならば、700店は廃業・撤退の可能性があります。
この数は、三豊地域の既存店舗1,800店のおよそ4割近いことを示しています。
地元商業者は、この現実を直視しこの機会に進むべき方向を見定め、決断することが求められているのです。
それは経営努力と改善はもとより、廃業・撤退も含めた新たな一歩を踏み出すきっかけとする必要があると言うことでした。
テナントとして入るも、差別化・個性化を図り対抗するも、地元商業者にとっては、何時くるとも知れない南海大地震よりも、確実に訪れる激震であるのは間違いのないことです。

農林水産関係の県営等農道事業

新しい常任委員会体制となって、初めての建設経済常任委員会が開かれたことは、先般お知らせしました。
そのときには、19年度の主な事業の現地視察について、お伝えできていませんでした。
遅くなったのは、私自身が各事業の目的と財源内訳がよく理解できていなかったことと、合併前からの継続事業内容の全体像を確認しておきたかったからです。
特に、農林水産関係は事業目的によって多様な補助制度のメニューが用意されており、かなり複雑です。
現地視察の主なものとして、
1.県営広域営農団地農道整備事業(県営大規模農道整備事業・西讃南部地区)
観音寺市(豊浜・大野原)と三豊市(山本・財田)と貫く農道として計画され、工事が継続されています。
工期は平成10年~平成22年です。
総事業費は約87億円で、18年度までに36億円の費やし、19年度4億7千万円、20年度以降は46億円の計画となっています。
財源の負担内訳は、国55・県38・市7(観音寺市分を含む・三豊市負担約3億円)となっています。
県の財政状況で計画の行方が気になります。
2.団体営基盤整備促進事業・本村線(元気な地域づくり事業)
全長335メートル、受益7.3ヘクタールで、高瀬町佐股本村農道として計画され、19年度で概ね完了します。
工期は、平成15年~平成20年となっています。
総事業費は1億5千万円で、18年度までで1億3千万円、19年度は1千8百万円、20年度以降2百万円の計画です。
負担内訳は、国50・県30・市20です。
3.県営中山間総合整備事業(広域連携型 詫間・仁尾地区)
農業用用排水・農道・圃場整備・農地防災・農業集落道等を総合的に整備する事業です。
詫間・仁尾地区の広域を対象とし、19年度は農業集落道整備として南草木地区を継続工事しています。
工期は、平成16年~平成21年の予定です。
総事業費は約16億3千万円で、18年度までに4億7千万円、19年度は2億8千万円が組まれ、19年度以降は8億8千万円の予定となっています。
負担内訳は、対象事業によって多少変わりますが、概ね国55/県30・市10・地元5となっています。
4.県営単独緊急農道整備事業(県営農道・豊中町桑山地区)
延長2,020メートル・受益面積64ヘクタールをみこんだ計画で始まりました。
工期は、平成11年~平成19年で、本年で全工事完了します。
総事業費は7億9千万円で、18年度までに約6億8千万円、19年度で約1億1千万円となっています。
負担内訳は、国50・県30・市20の事業です。
どの事業の現場も、立派すぎるほどのすばらしい道路の完成が想像できます。
現地視察で改めて感じさせられたことは、事業規模と財源の負担割合から伺える、国と地方の歪な関係のことです。
国が合併推進の時に言った、「地方が自立し自主決定自己責任でやってください」というのも、裏を返せば「もう面倒見切れん!」と言うことなのです。
地方の自主財源(自分のお金)ならばここまでやるだろうか?
この構図がよくわかるのが、農林水産関係の補助事業制度の負担割合に見られるのでした。

フルーツ王国みとよ

「フルーツ王国みとよ」プロジェクトが、佐藤室長を中心に動き出しています。
先日開かれた建設経済常任委員会において、その方向性が説明されました。
この件は、4月28日にお知らせしました。
私は、「フルーツ王国みとよ」の目的は、三豊市の財政再建と自立に繋がる方向を導き出すものでなくてはならないと思っています。
農業のまちである三豊市が、従来の企業誘致策に止まらず、地域資源である農業を活性化することで、経済基盤を強化し、財政力向上を図るためだと解釈しています。
ブランド、PR、消費者ニーズ、流通の調査研究は大切なことです。
さらに、基本的で重要なことは、農産物をどのように生産し安定供給するのかということです。
そのためには、「フルーツ王国みとよ」は、三豊市の農業のあり方を根本から考えるきっかけにしなくてはならないと思います。
実体のないブランドなどありはしないのです。
「フルーツ王国みとよ」は、“三豊市の農業のかたち”を模索するところからの発想が基本です。
日本経済新聞に “農地取得 株式と交換で” の大きな見出しがありました。
政府の経済財政諮問会議がまとめた、農業の競争力強化のための改革案が明らかになったとの記事でした。
5年をめどに、耕作放棄地(遊休農地)をなくすることを目標としています。
日本全国で耕す見込みのたたない遊休農地は、2005年に38万6千ヘクタール(三豊市は、耕地面積5,075ヘクタールに対し、1,175ヘクタール)に達するといいます。
そこで、農業の大規模効率化を促す提案が出されたのです。柱として次の二つです。
1.農家が企業に農地を譲る代わりに株式を受け取る制度
農地を手放したい人が、企業に農地で出資できるようにし金融資産として配当収入や相続税の軽減のメリットも見込めると言うことです。また、資金のない企業でも、土地の取得がしやすくなります。
2.農地の定期借地権制度
農地を手放したくない農家が、企業に農地を貸しやすくするために、20年以上の定期借地権制度を設けるとしています。
「ゆめタウンみとよ」が出店し、地産域消を促進し流通環境が良くなったとしても、三豊市自身に良い商品を安定継続供給できる、生産体制がなければ意味をなしません。
「ゆめタウンみとよ」は、目に見える具体的目標であって、その出店があろうがなかろうが三豊市の農業のあり方の調査研究をすることは当然のことです。
その方向は、農業の経営改善を推進する施策が基本であると思います。
農業の法人化や一般企業の参入、若手経営者の育成など、農業の組織経営を後押しするのも一つの方法だと思います。
「フルーツ王国みとよが」、実体のないブランド戦略に終わらないよう、方向を見極めてゆかねばなりません。

家族とちょい出

4連休初日の5月3日に、久しぶりに家族四人で徳島方面へ、ちょっとふらりと出てきました。
高校2年生の娘と、中学3年生の息子の歴史の勉強にもなるか(たまには父親らしいこともしてよ!と言われています)と、勝手に思い目的地に決めました。
はじめに、美馬市脇町の“うだつの町並み“へ。
次に、鳴門市にある 映画「バルトの楽園(がくえん)」 の板東俘虜収容所ロケ村~歓喜の郷~を訪問。
その後、近くの藍住町にある「歴史館 藍の館」を訪れました。
“うだつの町並み”は、30年近く前に一度訪れたことがありました。
今の町並みは当時と同じ場所とは思えないほどに、生まれ変わっていました。
昭和63年に重要伝統的建造物群保存地区の選定を受け、整備されてきたのでした。
この脇町は、江戸から明治の時代にかけ、藍の集散地として栄えたところです。
この商いで成功し富を築いた商人たちは、競って“うだつ”を上げた立派な家を造りました。
“うだつ”は防火壁とも言われ、財産を類焼から守るための防火の役目をしており、自らを自らが守る力の象徴ともいえます。
このことから、一向に出世せず一人前にならないことを“うだつが上がらない”という諺が生まれたと言われています。
地元主婦の皆さんによる食改善グループのお店で、手作り豆腐とコンニャクの田楽を食べました。
古民家のわびの雰囲気と空腹も手伝ってか、子どもたちも食べ歩き番組のリポーターのごとく、「うめ~」のリアクションでした。
保存地区の東の端に、哀愁を感じる建物がありました。
平成8年に西田敏行主演で映画化された「虹をつかむ男」の舞台となった、脇町劇場(オデオン座)です。
「レンタルで観よう」と言いながら脇町を後にしました。
“バルトの楽園~歓喜の郷~”は、映画ロケ地としての魅力が十分に伝わる観光資源としての仕掛けを作っていました。
それは単にロケ地と言うだけではなく、史実に基づいた地域の底力とそれに支えられた観光ボランティアの活躍があるのは間違いのないことです。
第一次世界大戦のドイツ人捕虜約1,000人と、松江所長や板東の人々との心温まる交流など、学校の歴史教育では教えられない事実があったことを、ガイドの皆さんが地域の誇りとして語っていたからです。
第二次世界大戦は日独伊の三国同盟だったのは記憶にあったのですが、一次大戦が日英同盟であったことはすっかり忘れていました。
過去を振り返ることによって、記憶から消された事実に再び気づく作業は、時代が変わるほどに重要なことだと改めて思ったのでした。
「歴史館 藍の館」では、阿波藍の歴史と藍染めに触れることができました。
阿波の国が藍の産地になったのは徳島藩蜂須賀家の奨励があったことによりますが、そもそも吉野川があればこそのことでした。
藍は連作のきかない作物ですが、収穫時期後におこる吉野川の毎年の反乱によって、栄養分の高い土が堆積し連作が可能となっていたのです。
「藍住町歴史館 藍の郷」となっている、旧奥村家などの隆盛が長く続いたものの、明治後期にドイツからの大量の安価な人造藍が輸入され、たちまち衰退していったのです。
現在は、自然・住環境や健康問題と歩調を合わすように、天然藍が見直されています。
不思議なことに、板東俘虜収容所も藍もドイツ因縁の地だったのですね。
さらに、この歴史と文化は地域住民の力と融合し、独自の魅力を醸しているのです。
ふと、三豊市の「フルーツ王国みとよ」を思っていました。
私が常に思っている考えは、地域ブランドの育成には生産地としての情報発信ほか、地域の力(地力)の基盤強化を促す方策が必要だと言うことです。
農業参入に広く門戸を開き、農業の組織経営で起業する若手経営者の育成支援が求められる施策だと再認識したのでした。
わが子たちも勉強になったかな?
「虹をつかむ男」と合わせ、「バルトの楽園」のDVDも借りて観ようと話しています。