流域治水について
質問
豊中町本山地区の治水対策について、本年6月議会で貯水池の整備を計画する際、大雨時の流量の調査が必要であるとの課題があることが示された。それは、昨今の激甚化する豪雨が大きな要因であるからだといえる。河川改修や遊水地といった点での対策だけでは限界があり、近年の学術研究では流域全体で雨水を溜め、遅らせ、浸透させる流域治水の考え方や、農地、森林、都市緑化の多面的機能を活かす分散型の取り組みの重要性が指摘されている。
こうした取り組みを進めるためには、市単独ではなく国・県の補助制度を最大限に活用することが不可欠だ。
次の4点について質問する。
①本山地区の治水対策について、従来の改修や遊水地整備に加え、流域の考え方をどのように取り入れていくのかを問う
②水田や農地を雨水の一時貯留機能として活用し、森林整備や住宅エリヤの雨庭など多機能を組み合わせた取り組みを進める可能性について問う
③住民、研究者、企業との共創による治水対策を進める方針について問う
④国・県の助成制度について、市として流域治水計画を策定し、複数の省庁にまたがるパッケージ提案を行う姿勢について問う
答弁
一点目の質問に対しては、本山地区の治水対策として、現在、市河川である加奈子川の改修計画により、地域の安心安全の確保に取り組みを進めているところだ。流域治水については、行政だけでなく周辺自治体、民間事業者、地域住民など多くの関係者が連携して水害を防ごうとするものだ。その理念や方向性は十分理解している。昨今の短時間集中豪雨が発生する中、抜本的な解決方法の模索のため、今後取り組んでいく必要性についても強く感じている。
二点目の水田や農地、森林、宅地部の雨庭といった自然環境の持つ多面的な機能を活用することは、近年の気候変動に対応した新たな治水手法の一つとして注目されている。自然の機能を活かした治水の在り方についても、今後の気候変動への対応や持続可能なまちづくりの一環として国・県の動向を注視していく。
三点目については、行政だけではない地域住民や研究機関、企業などの多様な主体と連携し、共創によって進めていくことが重要だ。そのためには、制度的な整備や地域の合意形成、役割分担の明確化などの検討が必要だ。地域に根差した防災力向上や学術的知見、技術力を活用した新たな治水手法の導入により、幅広い可能性を有している。
四点目については、流域治水の考え方が広まる中、国・県においても補助制度や支援策が整備されつつある。市の実情に適する制度であれば、選択肢の一つとして活用を検討していく。豊中町本山地区だけでなく、市内の他の浸水地域も踏まえた計画策定が必要だ。
流域全域を対象とした抜本的な治水効果を、国・県とも緊密に連携しながら、加えて民間の知見を導入し成し遂げたい。
再質問
4点について再質問する。
1.香川県では、西讃ブロック流域治水プロジェクトを立ち上げ、関係機関が連携した流域治水対策を進めている。そこを足掛かりとして、民間の知見を取り入れた総合治水対策に発展させていくことはできないか。
2.農地、森林、雨庭などの多面的機能の活用について、例えば、農地の一時貯留機能を検証する試験的事業や、公園や公共施設に雨庭を設けるなど、先進事例を調査研究し、モデル事業に着手するい考えはあるか。
3.住民、研究者、企業との共創について、行政だけでは流域治水は実現できない。市としてリーダーシップを発揮する考えはあるか。
4.国・県補助制度の獲得と流域治水計画の策定について。複数の省庁にまたがるパッケージ提案を行う考えはあるか。
再答弁
一点目の西讃ブロック流域治水プロジェクトは、県、市町、四国森林管理局、気象台等、行政を中心とした取り組みだ。市内では主要な県河川である高瀬川流域、財田川流域が対象だ。市の役割である小河川の河川改修に取り組んでいるところであり、このプロジェクトにおける関係機関との情報共有や流域治水に必要な対策の検討を強化し、総合力による治水対策の実現を図る。
2点目の多面的機能の活用は、農地の洪水抑止機能を積極的に説明していく。森林整備や雨庭は、全国の先進自治体では公園や公共施設への雨庭導入が進められている。事例を調査研究し、実証的な取り組みを模索していきたい。
3点目の共創の具体的実施については、県とも連携し、西讃ブロック流域治水プロジェクトに基づく具体的な計画の準備を進めるとともに、地域とともに持続可能なまちづくりを進めていく。
4点目の流域治水計画策定については、西讃ブロック流域治水プロジェクトに参画し、役割を果たしていく。市としても、水害対策を推進する重要な機会だととらえ、国・県の補助制度の活用を視野に入れ、関係機関と連携しながら具体的事業を提案していく。
まとめ
流域治水の技術のベースにあるのが、自然の機能を強化するという理念であるグリーンインフラだ。流域全体の多様な人々の協力が不可欠であり、洪水を防ぐだけではなく、生物多様性の保全や地域経済の発展など、様々な地域課題も解決しながら一緒に洪水防御していくという手法がふさわしい。
まさに、三豊市独自の地球温暖化対策であるともいえる。