会派清風会の行政視察研修報告・3

 

会派清風会の行政視察研修の3件目の訪問先である、東京都衆議院会館大野敬太郎事務所での研修報告をします。環境省地球温暖化対策課と内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局兼内閣府地方創生推進事業事務局から、2点の説明をいただきました。

 

「地球温暖化対策の現状と課題について」

1880年の産業革命以降、130年間に世界の平均気温は0.85℃上昇した。放置すれば今世紀末までに5℃近く上昇する。パリ協定は、温度上昇を2℃以下にする世界共通の目標を設定した。パリ協定は、「京都議定書」に代わる、2020年以降の温室効果ガス排出削減のための新たな国際枠組みであり、歴史上なじめてすべての国が参加する公平な合意だ。

地方自治体の役割と政策   国全体の温室効果ガス排出削減のためには、地域レベルでの取り組みが基礎となるため、地域の自然・社会条件に応じた低炭素地域づくりが重要だ。たとえば、地域特性に応じた再生可能エネルギーの選択や過疎化の進む農村部での集住促進が考えられる。昔ながらのコミュニティ、水と緑のネットワーク、歩いて暮らせる街、にぎわいのある中心市街地、公共交通の利便性向上、LRT次世代路面電車、BRT(バス・ラピッド・トランジット:バス高速輸送機関)、自転車道、太陽光、廃熱利用、風力発電等の活用・構築の考え方がある。低炭素地域づくりに向けた取り組み策の例がある。  *再開発を機会とした地域冷暖房の導入  *地域の未利用資源であるバイオマスエネルギーの活用  *コミュニティ・サイクルやカーシェアリングの導入  *コミュニティバスのEV車導入

推進のための環境省からの支援策   ①実行計画策定の手引きや研修等を通じたソフト支援〔地方公共団体温暖化対策実行計画(区域施策編)の策定促進、地方公共団体職員向け研修等の実施〕    ②各省と連携し、地域の拠点や特性を生かした低炭素化〔鉄道や駅舎の低炭素化支援(国交省連携)、農村における最エネ導入支援(農水省連携)〕  ③自治体の設備導入支援:太陽光発電やバイオマス熱供給等〔地方公共団体実行計画(事務事業編)とこれに基づく取り組みの大胆な強化・拡充を支援、地域の自然的・社会的条件に応じた再エネ事業であって導入拡大を阻む課題に適切に対応をする自治体に対し事業実施を支援〕

地方公共団体が自ら率先し取り組むことで、区域の事業者・住民の模範となることを目指し、『地方公共団体実行計画事務事業編』を策定し、実施する。パリ協定の目標をクリアするために、と方公共団体の取り組みの大いに期待している。

 

「地方創生に対する財政措置について」

地方の支援には『地方創生版・3本の矢』がある。

1.情報支援の矢  ①地域経済分析システム(RESAS)●官民が保有する産業・人口・観光等の地域経済に関わる様々なビッグデータを見える化 ●ワンストップで、広報・普及、活用支援、開発・改善、利便性の向上を推進

2.人材支援の矢  ①地方創生コンシェルジュ●相談窓口を各府省庁に設置  ②地方創生人材支援制度●応募期間の長期化、民間人材の募集拡大  ③地方創生カレッジ●地方創生を担う専門人材を官民共同で確保育成

3.財政支援の矢  ①「地方創生推進交付金」〔28年度1,000億円(事業費ベース2,000億円)〕●平成28年度予算として新型交付金(「地方創生推進交付金」)を創設し、官民協働、地域間連携、政策間連携等の促進、先駆的、優良事例の横展開を支援  ②「まち・ひと・しごと創生事業費」(地方財政措置)●地方公共団体が地方創生に取り組み、きめ細やかな施策を可能とする観点から地方財政計画に27年度1.0兆円、28年度1.0兆円を計上(全国に交付税で一般財源として配分) ③地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)●地方公共団体が行う地方創生の取り組みに対し寄付を行う企業に対し、税額控除の優遇措置

次に、平成28年度二次補正予算案(地方創生関連)〔総額(国費):914.7億円〕は以下の通り。  ●地方創生拠点整備交付金(道、汚水処理施設、港の公共事業(30.2億円)含む):900.0億円 ●地方創生カレッジ運営事業:7.0億円 ●RESASの拡充・DMOクラウド:3.3億円 ●小さな拠点・地域運営組織の形成拡大支援:0.6億円 ●「稼ぐまちづくり」の実現に向けたシティ・セールス手法の検討:0.2億円 ●地方創生インターンシップ事業に関するシンポジウム等:0.5億円 ●地域産品魅力発信事業:1.1億円 ●交付金効果検証分析:2.0億円

その中の多くを占める、地方創生拠点整備交付金900億円(事業ベース1.800億円)の事業イメージは、●ローカルイノベーションに資する公設試験研究機関の改修等 ●地域経営の視点に立った観光地域づくりに効果的な観光施設の改修 ●地域全体としてのブランディング戦略の確立に資する収益施設(6次産業化施設含む)の整備 ●生涯活躍のまちの推進に資する多世代交流の拠点施設(既存施設の改修を含む) ●移住定住促進のために行う施設の改修 ●小さな拠点づくりに資する地域コミュニティ組織の日常的な活動の場として機能する基幹的な拠点施設の整備(廃校舎、旧役場、公民館等の改修を含む) だ。

最後に、地方創生応援税制「企業版ふるさと納税」についてだ。制度のポイントは、●志のある企業が地方創生を応援する税制を創設する(地方公共団体が行う地方創生の取り組みに対する企業寄付について、税額控除の優遇措置) ●企業が寄附しやすいように税負担軽減のインセンティブを2倍にするとともに、寄付額の下限は10万円と低めに設定  ただし、交付税の不交付団体への寄付は対象外であるとともに、本社が所在する地方公共団体への寄付も対象外だ。

 

国政の中核での研修は刺激的でした。足元にある地域資源をフル活用し環境と地方創生の複合施策で邁進していかなくてはならないと、気持ちを新たにすることができました。

 

 

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