会派啓明会 視察研修報告・Ⅱ-⑥

日本自治創造学会2日目である5月23日の講演の報告を、引き続き行います。6件目の講演です。

「アベノミクスと日本経済のこれから」 小林慶一郎慶應義塾大学教授

財政再建が経済(景気)成長になるとの考えだ。しかし、アベノミクスはその逆で、経済成長によって財政再建を図ろうとしている。その手法として、金融緩和・機動的な財政再建・成長戦略の三本の矢を掲げている。そこには3つのリスクがある。

①デフレ脱却が実現したら「出口」は?  問題は国債の買い手が続くか否かだ。なぜ日本国債がこれまで買われ続けたのか?それは円高とデフレで海外資産よりも日本国債のほうが魅力的だったからだ(低金利でも安全)。ところが円安とインフレが起きると、日本が低金利のままなら、海外資産を買うほうが得となり、日本国債を売り海外資産を買う。日銀が国債を買い支えればインフレの高騰となる。また、日本が高金利になれば国債は売れるが高金利で政府の負担は雪だるま式に膨張し、景気回復による税収増があっても足りなくなり、高金利が高騰し厳しい不況になる(信用不安で高騰)。

②「成長が先で、財政再建が後」は成り立つか?  公的債務の累積が経済成長を押し下げるならば、成り立たない。先に成長したくても、公的債務の重荷のため成長できない。成長戦略と同時に、財政再建にも着手すべきだ。

③成長戦略の「痛み」に耐えられるか?  市場の制度改革が成長戦略となる。 ●日本の株式リターンを世界平均とする ●資産運用会社の収益を管理手数料から成功報酬とする ●株主(年金基金や運用会社)の役割の改革をする などで、株式市場と年金基金などの規制改革を行う。

それでは、財政再建に必要なコストをいかにして確保するのか。包括的な政策プランとして、 1)2%のインフレ率を実現する 2)高齢者の医療費窓口負担を20%とする 3)年金給付の代替率保証(現役年収の半額)を外す 4)政府の経常経費を1%削減する を行う。消費税は段階的に32%まで引き上げ、その後17%まで引き下げる。さらに、根本的な世代間のコミットメントできる新しい政治システムが不可欠だ。 ●財政再建とは、「世代を超えた投資」 ●地球温暖化対策 ●原発の使用済み核燃料の最終処分建設 などにコストをかけるなどの、将来世代の利益を反映する政治システムの構築が求められる。

しかし、現代社会では利己的かつ合理的個人の社会(かつての宗教や伝統文化などの非合理性によって世代間のコミットメントが実現していた)となっているため、実現が難しい。

それではどうするのか。世代間のコミットメントができない前提で、社会設計すべきであり、新しい政治哲学による財政破綻に備えたプランが必要なのだと考える。

 

6件目の報告を終わります。

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