会派啓明会 視察研修報告・Ⅱ-④

5月22日講演の4件目の報告をします。

「公共財産老朽化への対応━自治体(首長・議会)に求められる課題━」 根本祐二東洋大学経済学部教授

インフラ老朽化問題の実態は、1970年代にピークとなった急激なインフラ整備が、2020年には50年の耐用年数を迎えることだ。放置すれば崩壊し、無理な借金をすれば財政破綻、増税すれば国民負担増となる。現在のインフラをそのまま維持するだけでも年間8.1兆円で50年間必要だ。そのためには、年間8.1兆円確保する政策か、年間8.1兆円使わずに済むような政策のいづれかを決定していかなくてはならない。アメリカは増税を実施した。

老朽化による更新投資需要に対し、大幅な予算不足が発生する。公共施設の【3階層マネージメント】の考え方がある。利用者の範囲によってそれぞれに別々の処方箋を提案し、機能を維持しつつ負担は3割減にする方法だ。

1層は、自治体全体をカバーする庁舎、病院、博物館・美術館、中央図書館、文化ホール、大型体育施設などを『広域化』し、ワンセット主義を捨てて他の自治体と連担する。(中東遠総合医療センター、多摩六都科学館)

2層は、校区ごとにある学校、児童館、幼稚園・保育所、老人福祉施設、公民館、地区図書館などを中核コミュニティ施設として『多機能化』し、複合施設建設する。(千葉県市川市立第七中学校舎・給食室・公会堂・保育所・ケアハウス・デイサービス複合施設整備PFI事業、埼玉県宮代町役場議場多機能化、岩手県の「オガール紫波」公民合築、豊島区役所PFI事業)

3層は、住区の集会所や公営住宅を、民間施設や民間アパートの利用をする『ソフト化』のために、補助に切り替える。(三重県津市猪の倉温泉の民営化施設の公的利用、恵庭市のまちじゅう図書館、蔦屋書店函館店)

地元民間事業者や市民協働による対応の考え方もある。

予防保全包括委託による土木インフラの処方箋。(北海道清里町、東京都府中市けやき並木通り周辺地区道路等包括管理委託)

市民参加による検討会。(埼玉県鶴ヶ島市学校・公民館合築設計ワークショップ、埼玉県宮代町‟あったらいいなこんな場所”ワークショップ)

市民自治による維持点検。(長野県下条村生活道路舗装・道守事業)

国の政策として、インフラ長寿命化基本計画と公共施設等総合管理計画がある。平成25年11月に、インフラ長寿命化基本計画が策定され、平成26年度から行動計画の策定が始まる。予算不足の解消のために、計画に基づく公共施設の処分に75%の財政措置がある。

都市再生特別措置法改正で、立地適正化計画を作成することができるようになり、居住誘導区域と都市機能誘導区域を設定し、事業化ができるようになっている。にわかに、『多極ネットワーク型コンパクトシティ』構想が現実味を帯びてきた。

終わりに、まとめとして首長・議員の皆さんに肝に銘じてほしいことをお伝えする。 ①日に日に確実に問題は深刻化 ②特に、土木インフラの精査が必要 ③今までと同じ発想では問題は解決しない ④この機会に、まちづくりそのものの姿を考えよう ⑤公共施設等総合管理計画は絶好の機会 ⑥利用者に迎合しない 市民の真意を聞く耳を持つ

 

22日受講した4件目の講演の報告を終わります。

会派啓明会 視察研修報告・Ⅱ-③

5月22日講演の3件目の報告をします。

「国家戦略特区による地域経済の再生へ」 藤原豊内閣官房地域活性化統合事務局次長(国家戦略特区、構造改革特区、総合特区担当)

「国家戦略特区」のミッションは「世界で一番ビジネスのしやすい環境をつくる」ことだ。ビジョンは ●大胆な規制改革と税制措置 ●新しい技術やシステムによるイノベーションだ。これは平成25年4月14日に新藤義孝地域活性化担当大臣から発表されたものだ。その後、6月5日の安倍総理のスピーチに「国家戦略特区」の方向性が示された。

《小泉内閣が始めた構造改革特区は、地方自治体から提案を受けて、一つ一つ古い規制に風穴を開けてきた。まさに規制改革の切り込み隊長となった。今回の「国家戦略特区」は、構造改革特区の考え方を、さらに面的なものへと進化させるものだ。》

「国家戦略特区」の目的は、日本再興戦略の3つの政策の『第3の矢』の要として、民間投資の喚起により「日本経済を停滞から再生へ」導くことだ。その戦略は総理主導の下、国を挙げて強力な実行体制を構築し、「国家戦略特区」を突破口として、大胆な規制改革を実行することだ。その手順は、①広く現場から提案募集 ②特区で先行実施 ③成果評価とデータ分析 ④分析を基に新制度へつなぐ という流れだ。これから一連の実行で望まれる成果は、 【世界に打って出る(国際競争力の向上:日本の強み、魅力を活かし潜在力を最大発揮)】 【世界を取り込む(資本・人材の呼び込み:アジアのビジネス拠点の形成、企業・人材・アイデア交流の場に)】 【変われる国日本へ(イノベーションによる生産性向上)】 【多様と自律の国日本へ(地域等の多様性を活かしたルール作り)であり、「国家戦略特区」のミッション「世界で一番ビジネスのしやすい環境をつくる」の実現をすることだ。

平成25年8月12日~9月11日に提案募集が行われ、242団体(地方公共団体:61団体、民間企業等:181団体)から応募があった。特区選定にあたって安倍総理からの指示で、政治的目的が明確となっている。 ●「国家戦略特区」は規制改革の突破口であり、世界から注目されるような画期的な規制改革を緊急に実現しなければならない ●提起された規制改革提案については、実現する方向で対応策を検討してもらいたい というものだ。

「国家戦略特区」で実現の方向で対応策を検討すべき規制改革提案分野は6つある。 1.医療 2.雇用 3.教育 4.都市再生・まちづくり 5.農業 6.歴史的建築物の活用 である。これらを3つの検討方針に集約すると ①『国際的ビジネス拠点の形成(世界から資本・人材を呼び込む国際的ビジネス環境の整備)』 ②『医療費の国際的イノベーション拠点の形成(イノベーションによる高度医療の開発及び実用化の促進)』 ③『革新的な農業等の産業の実践拠点の形成(農業等の改革による産業競争力の強化)』 となる。

今回選定された6つの特区から、日本では既得権益で不可能といわれてきたことを、岩盤を打ち破るドリルの刃で打ち破っていくこととなる。

【東京圏】 (東京都・神奈川県の全部又は一部、千葉県成田市) 国際ビジネス、イノベーション拠点

【関西圏】 (大阪府・兵庫県・京都府の全部又は一部) 医療等イノベーション拠点、チャレンジ人材支援

【新潟県新潟市】 大規模農業の改革拠点

【兵庫県養父市】 中山間地農業の改革拠点

【福岡県福岡市】 創業のための雇用改革拠点

【沖縄県】 国際観光拠点

この6か所の「国家戦略特区」では、具体的な事業計画について、早いものは本年の夏までに、国・自治体・民間が一体となってまとめることとなっている。

世界で一番ビジネスのしやすい環境をつくるために、アイデア募集を最低年2回行うことは決定している。全国から多くの応募が寄せられることを期待している。

 

22日に受講した3件目の講演の報告を終わります。

 

会派啓明会 視察研修報告・Ⅱ-②

会派の視察研修 22日の2件目の講演の報告をします。

「消費税アップと地方財政の行方」 宮脇淳北海道大学大学院教授(前地方分権改革推進委員会事務局)

消費税アップは、地方交付税問題に大いに影響する。消費税増税の目的は、社会保障である年金や介護、医療、子育てに充当することとなっている。2015年10月に10%税率に引き上げる。その配分は、国が6.28%、地方分が3.72%(地方消費税2.2%、地方交付税分1.52%)で、社会保障施策に係る諸経費に使えることとなっている。増税額地方分は10兆円(地方消費税5.9兆円、地方交付税4.1兆円)となるが、地方の実態に合った柔軟な使い方ができるのかはっきりしていない。

消費税増税で行政コストの見直しが必要となる。上下水道や公立病院等の公営企業会計分の支出増加や、公共施設使用料や公共サービスのアウトソーシング等の委託料の見直しなどが考えられる。このことで、消費税引き上げの目的である社会保障改革と社会保障の安定との、せめぎあいの議論が避けられない。

地方財政計画との関係では、財務省と総務省の地方財政計画総額問題や、法人住民税の国税への移管で、自治体間調整が必要となり、自治体間の対立が生まれる可能性がある。

地域元気創造事業が設けられることとなっているが、政策誘導とも取れる成果指標型事業が含まれているため、地方財政の自由度をそぐのではないかと心配する。

終わりに、消費税増税分の社会保障目的税化による地方間配分問題が考えられる。65歳以上人口推移の調査では、今後、関東・中部・関西の高齢者は2030年以降も増加し続けるが、その他の地方は2020年代を境に減少に転じていく。このことから、高齢者人口が増加する都市部と減少する地方では、地方交付税配分において、自治体間格差が拡大する。さらに、地方都市においてもそれぞれに違いがあり、政策立案力による差が明確な時代となる。これからはもっと広範囲な地方全体の底上げが欠かせなくなる。その対策の考え方の一つに 【連担(れんたん:シティー・リージョン)】がある。それぞれの自治体がその地域の中で役割分担し協力体制をつくっていこうというものだ。消費税増税が、財政健全化なのか社会保障に向かうのか、地方交付税が地方財政に大きく関係するため、動きを見定めつつ地域ごとのしっかりとして政策を立案していかなくてはならない。

 

22日に受講した2件目の講演の報告を終わります。

会派啓明会 視察研修報告・Ⅱ-①

三豊市議会会派啓明会の視察研修の2か所目は、5月22日(木)と23日(金)の2日間東京都千代田区の明治大学を会場にして開催された、第6回2014年度日本自治創造学会研究大会です。今回のテーマは 「変わる地域社会、変わる自治体・地方議会~自治、自立、分権~」 で、激動する世界情勢の中にあって国の形と地方自治のあり方について、盛りだくさんの講演を受講することができました。数回にわたって報告します。

先ず、「見える議会、わかる議会~参加型議会への展望~」 と題して、中邨章明治大学名誉教授の講演です。

 

地方政治の課題として、議会が一大転換期を迎えていることだ。議会基本条例等を制定し議会改革を掲げ議会自身が変わろうとしてきた。しかし、議会改革の内容や有権者の関心度等評価はまちまちで、限界が見えてきた。議員報酬と定数の課題の根本的なところからの検討が必要だ。 1.報酬はどこまで下げても住民は高いという 2.定数はどこまで削減しても有権者は多いと判断する 3.所得保証がない中、優秀な人材は確保できるか? 4.活動の広い地方行政を少人数の議員でどう監視するか? 5.地方議員は個人商店、それを議会制度として改革する などの点がある。アメリカの都市に比べると定数は多いといわれるが、アメリカの自治体の仕事は『ごみ』『道路』『税と用途地域』の3分野に限られる。これに比べ日本の自治体は何もかもで仕事量が多い。だから、報酬と定数の連動で予算上限を決め800万円位にする考えもある。また、議会人になることへの壁を下げ勇気を後押しすることだ。たとえば、●40代の参加促進 ●サラリーマン議員の可能性 ●「職業としての政治」の定着 ●所得保証 ●個人商店からの脱却 がある。

関心を呼ぶ議会とするために、これから落とせない施策がある。 ①国土強靭化計画を基にした安全安心のまちづくり ②コンパクト・シティによる高齢化社会への対応 ③第6次産業の創出で地域経済の活性化 などがある。これらの議論の場となる 「見える議会、分かる議会」とならなくてはならない。最後に、そのために求められる議員像を5つ上げる。

1.国・首長に立ち向かう議員

2.‟Look Around”=外部志向のつよい議員

3.ICTを駆使できる議員

4.勉強する議員、族を目指す議員

5.若さを保つ議員、女性・子どもに優しい議員

 

庶民的で地方議会の抱える問題の現実を見極めた内容で、議会改革には、現状に甘んじることなく変わっていこうとする、弛まぬ努力と姿勢が不可欠であることを、再認識することができた講演でした。

平成26年度議会閉会中の総務教育常任委員会(第2回)

急ぎの案件が発生したとのことで、6月議会を前にして慌ただしく閉会中の総務教育常任委員会が、5月26日(月)に開催されました。協議及び報告された案件は次の通りです。

【総務部】

●「本庁及び6支所の宿日直の見直しについて」 宿日直業務廃止にともなう、本年10月1日からのカギ管理等について案が示されました。業務廃止により、教育委員会事務局の入っている豊中支所の自動扉開閉装置改修費用が、本年度のみ90万円余発生しそうだとのことですが、これまでの年間維持管理費36,259千円が8,600千円に削減される見込みであるとのことです。

●「陣山工業団地法面対策工事について」 本年3月14日に発生した伊予灘の地震で、状態が急激に悪化したため、当初予算1億4千万円の範囲で早期着工するとの報告がありました。

【教育委員会】

●「学校訪問について」 国では教育制度改革の議論が喧しくなっており、教育委員会の在り方が問い直されている現状の中、議会として義務教育現場の実態を知る必要があることから、常任委員会として教育委員会の学校訪問と同行して、市立の幼小中学校を訪問することとしました。1年をかけ、6月29日の三野津中学校をはじめに全9か所訪問する予定です。

●「財田小学校の基本計画案について」 内部で検討が続けられていた財田新設小学校の基本計画が提案されました。

●「学校給食の異物混入について」 高瀬町給食センター調理の給食に異物混入したことに対する、原因説明と改善策が報告されるとともに、三野町給食センターの件についての概要報告がされました。

●「上高瀬小学校補強工事(耐震)について」 新耐震基準以降の建築であるが、耐震強度が著しく悪いことが判明していました。新耐震基準以前の建築物件を優先して耐震工事をしてきましたがほぼ完了したため、本年度補正予算提案することで、上高瀬小学校の耐震補強事業を進めたい意向である、との報告がありました。

【政策部】

●「住宅リフォーム補助金の経過報告について」 住宅リフォーム(一般)分について、予算の120件分を大幅に超えた200件余の申し込みがあってため、5月末日をもって受付を締め切ります。当面、住宅リフォーム(空き家バンク)分と若者定住促進・地域活性化分で対応したいとの報告がありました。

 

色々出てくるものです。是是非非で取り組みます。

 

会派啓明会 視察研修報告・Ⅰ-②

視察研修報告の2件目は、 〔自治体総合フェア 2014〕 の自治体トピックセミナー:地域包括ケアシステムセミナーの2件目です。

【講演Ⅱ】 「横須賀市における在宅療養連携の取り組み~最期まで住み慣れた場所で~」 横須賀市健康部地域医療推進課 課長補佐 川名理惠子氏

横須賀市は、面積100㎢ 人口約41万人の中核都市です。高齢化率約27%で年間死亡者数約4,500人で、人口ピラミッドからの予測で、10年後には5,300人程に増加するとされています。平成25年に実施した、介護認定を受けていない65歳以上の市民1,000人余を対象としたアンケートでは、60%が自宅での療養を望んでいる結果となっていますが、現状は死亡場所が自宅であるのが20%となっています。また、これまでの10年間の死亡場所別死亡数の推移では、病院での看取りは増えていないのに対し、自宅は1.8倍に増加しています。

これらのことから、●在宅での療養や看取りを希望する市民は多い ●在宅での看取りが増加すると予想される ●在宅での看取れる体制を作らなければならない  の課題が見えてきたのです。その目指す方向は、「住み慣れた我が家で療養したいという方が、在宅での療養・さらには看取りという選択ができるように地域医療の体制づくりを進める」ことでした。「私たちは、病院に任せることに慣らされてしまっている。市民がやれるシステムをつくっていこう。」と決め、平成23年度から在宅医療の体制づくりに着手してきました。

これまでの取り組みは、準備段階の平成22年度に、医療・福祉関係者へのヒアリングを行い、在宅での療養生活ができるための、連携による緩和ケア体制を促進するための基本計画を策定しました。スタートの年である平成23年度は、医療・福祉の多職種が同じテーブルについて話し合うことで、「みんな、誰もが利用者のために何とかしたいと思っている」ことを知りあうことができました。このことで相互の理解を深めることができ、在宅療養連携会議が発足したのです。平成24年度は、在宅療養連携会議のメンバーが増え、ワーキングチームを設置しました。また、幸運にも厚生労働省の在宅医療連携拠点が、市内で2か所採択されたのです。平成25年度は、市内を4ブロックに分け在宅医療ブロック会議を設置し、4つの中核病院をブロック拠点として、在宅医の増加と協力体制を構築していきました。さらに、医師会に在宅療養センター連携拠点を設置し、ブロック拠点の情報交換の開催によって、多職種連携を図っています。

ブロック会議の目的は、「横須賀の在宅医が一人でも増えるように、地域内で診療所のネットワークづくりを進める」ことです。目指すのは、市民・在宅医・病院・多職種の関係者みんながWⅰn-Wⅰnになれるネットワークづくりです。

今後の課題として、平成27年度以降に地域支援事業が市に下りてくるといわれていますが、国の制度や組立が明確でないため、財源の継続に不安があることです。このような状況にあっても、横須賀市の地域特性を理解し お・も・て・な・し (お:想いを伝える も:目標を共有する て:できることから始める な:何も正解はないと知る し:市はコーディネーター)の心で、このまちに相応しい地域包括ケアシステムの構築を進めていきます。

 

川名さんは、地域包括ケア担当になる前は、図書館勤務でした。介護のかの字も知らないずぶの素人でした。それがこんなに素晴らしい事業を創り上げてきたのです。真っ白なところからの真っ直ぐな取り組みがみんなの心をつなぎ、実を結んだにちがいありません。三豊市でも必ずできると確信しました。

会派啓明会 視察研修報告・Ⅰ-①

平成26年5月21日(水)~23日(金)の3日間、東京都内において三豊市議会会派啓明会の視察研修を行いました。21日は、東京ビッグサイトで開催されていた 〔自治体総合フェア 2014〕 に、22日と23日は(財)日本自治創造学会の研究大会に参加しました。

先ず、 〔自治体総合フェア2014〕 の報告をします。‟安心と活力ある地域社会の実現~協働・情報・減災~”のテーマで出展された各社ブースで説明を受けた後、二つの自治体トピックセミナー:地域包括ケアシステムセミナーを受講しました。

【講演Ⅰ】 「世田谷区における地域包括ケアシステムの取り組み~住みなれた地域で、安心して暮らし続けられるために~」 世田谷区高齢福祉部高齢福祉課 課長 瓜生律子氏

世田谷区は、面積58.08㎢ 人口87万人余 65歳以上人口は17万1千人余で20%近くを占め、75歳以上人口は8万5千人余で10%に届こうとしています。区内を5区域に分け総合支所に福祉事務所を置き、日常生活圏域となる27地区にまちづくりセンターを設け、そこには地域包括ケアセンターを配置しています。

介護給付費の推移と高齢者の状況は、平成12年度と24年度の比較において、高齢者数1.36倍(高齢化比率1.23倍)、要介護認定者数2.39倍、給付費2.73倍と大きく増加しています。また、介護保険の要支援・要介護認定者約34,700人のうち、認知症が約18,000人で、平成20年以降毎年約1,000人づつ増加しているとともに、85歳以上の6割以上が独居であるという状態にあります。このようなことから、85歳以上の高齢者と認知症高齢者に対する医療的ケアや、生活支援の見守りの必要性が増加してきたのです。

平成25年度実施した介護保険実態調査では、高齢者が介護を受けたい場所は自宅が65%を越えており、その希望を叶えるための取り組みとして、2つの方針をたてることから始めました。 ●地域の豊富な資源やネットワークを最大限活用して、区全体で地域包括ケアシステムを構築 ●身近な地区における相談体制の充実のために、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように、障がい者・子どもを含め支援に取り組む。地域の活動を地域包括ケアシステムに生かすために、区役所と地域包括支援センター、地区社協を同一の場所に整備する。 この最大の狙いは、「利用者と仕組み(介護事業所や見守り・住民活動等)をつなぐ 《マッチング》」 なのです。

点と点をつなぐ世田谷区の地域包括ケアシステムは、5つの柱で展開されています。 ●医療 医療関係者やケアマネ等で構成する「世田谷区医療連携推進協議会」による在宅医療・介護の連携の推進の取り組み(医療と福祉の顔の見える関係づくりで、情報の共有化を図るための連携シートを作成) ●介護 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の実施。小規模多機能型居宅介護(お泊りや訪問)などの新たな事業展開 ●予防 一次予防事業、二次予防事業の実施。喫茶店や大学等の社会資源を生かした居場所づくり ●住まい 認知症グループホームの整備や特養に都市型軽費老人ホームを併設する。サーブス付高齢者住宅の整備 ●生活支援 住民同士の支えあい活動、配食サービス、移送サービス、見守り、ボランティアのよる買い物支援のモデル事業実施

新たな取り組みとして、「認知症の人の早期対応体制の確立や、医療・福祉の連携推進、実務的な人材育成、家族支援の充実、情報発信等を行う専門的かつ中核的な拠点」である、 『認知症在宅生活サポートセンター構想』 があります。平成26年度に準備担当を置き、サービスの質の向上と人材育成を充実していきます。

世田谷区では、これからも区長が掲げる 「点と点をつなぐ《マッチング》」 で、「いつまでも住み慣れた地域で暮らしたい」の思いをかなえるために、地域包括ケアの推進に努めていこうとしています。

講演で、多様な分野がつながりあった 《マッチング》 の三豊市型の地域包括ケアシステム構築のためには、実態の確認と分析が重要なのだと、改めて気づくことができました。

次回は、研修1日目の講演②の報告をします。

人口減少時代は女性の時代

人口減少時代は女性の時代なのだと、改めて気づく報道が目に留まりました。「消滅可能性都市」と「女性活用企業を優遇」の文字でした。

「消滅可能性都市」とは、約25年後の2040年に若年女性(20歳~39歳)の数が2010年対比半減する地方自治体のことをいっています。現在、全国に1,800余ある地方自治体のうち、半数の896自治体がその危機にあるというのです。「消滅可能性都市」と判断される重要な指標が【若年女性人口】の推移で、この世代人口減少に伴う出生数減による人口減はもとより、都市への移動が問題とされています。女性がいなくなることでまちが消滅するのです。

「女性活用企業を優遇」とは、国が6月にまとめる成長戦略に、 ‟女性の活用が進んでいる企業を公共調達で優遇する” を入れ、公共工事の入札などで、女性の活躍度合を評価ポイントに加えるというものです。入札制度を変えることで、女性の社会での活躍や管理職登用の支援をし、働き手を確保しようとするものです。女性の更なる社会進出がなければ、社会基盤の維持すら危ういのです。

縮小する社会には膨張する社会とは明らかに発想の異なる社会構造の構築が必要です。人口減少時代は女性の時代です。女性が輝く社会の実現なくして、成長はおろか持続すらないのです。

三豊市子ども会育成連絡協議会 総会

私が、三豊市子ども会育成連絡協議会の会長を、前会長の前川さんから引き継いで何回目の総会になるのでしょうか。合併して三豊市は9年目に入っていますので、7~8回になるのかもしれません。5月17日(土)、市民交流センターで三豊市子ども会育成連絡協議会総会が開催されました。

会長となってからのこの間、テレビゲームからスマホなど、子どもたちのコミュニケーションの方法が様変わりしてきたようです。回を重ねるごとに、この時期の子どもたちにとっての子ども会活動は、とても重要性を増していることを感じるようになってきており、三豊市型の子ども会活動の充実に向けて、新たな一歩を踏み出さなくてはならないと思っているところでした。

折しも、三豊市内の公立幼稚園や保育所、子育て支援センターの先生方が作成した 『ななつのたから』 という乳幼児教育の手引書ができたとの知らせが届いたのです。三豊市の自然・文化・歴史・伝統を活かした 「三豊らしい」 子育てを、若い世代に広げたいとの願いで編集されたのです。現状のままではダメだという思いは同じのようで、子どもたちも大人たちもみんな一緒に三豊にある山や海、川、里の自然環境の中で思いっきり遊んで、 ‟旬の美味いもん” を収穫して食べて、もっとシンプルに楽しく子育てすればいいのに、との思いがいっぱい詰まっています。

今回の総会の講演の講師は、香川県子ども会育成連絡協議会 専門委員 横山喜一郎さんで、具体的活動の指針となるお話をいただきました。『里山や森林で 生き生きと 子ども会活動を』 の演題で、「子どもに体験や経験をさせないからいつまでたってもできないのだ。危ないからといってやらせない前に、使い方ややり方を教えないといけない。」の言葉は、当たり前すぎるがゆえに、意識から消えてしまいそうなことを思い出させてくれました。

この日集まってくれた保護者の皆さんに、三豊市の自然環境の素晴らしさに気付いてもらい、子ども会活動に活かしてほしいと願っています。スマホより楽しい、すり傷と笑顔の絶えない三豊市型子ども会を目指していかなくてはならないと心新たにしています。

 

県道本山停車場線の要望書提出

ゴールデンウイークも終わり、本年度事業もいよいよ本格的に動き始めました。休み明け早々の5月7日(火)、三豊市豊中地域の幹線県道である県道本山停車場線の道路改良工事の要望書を、三豊市建設経済部建設課に提出しました。市を経由して県へ早期の事業化を要望するものです。

この路線は、国道11号線と県道観音寺高瀬線を結ぶもので、豊中町中心街を貫いており、四半世紀以上も前から「道幅を広げて欲しい」と願う意見が多くありました。さらに、数年前に松下電子工業跡地に大型商業施設ゆめタウンを誘致したことを契機に、大型スーパーやディスカウントストア等の出店が相次ぎ、近年交通量が急激に増えていました。

今回提出した要望区間以外の区間については、すでに昨年地元からの要望書が提出されており、これにより、県道本山停車場線全線の改良計画検討のスタートラインに立つことができたものと思います。家屋が密集しており相当な時間と費用が必要と思われますが、沿線住民の皆さんの同意書を添付しての要望書提出ですので、何年かかろうが必ず実現していかなくてはならないと考えています。

匿名の市民の方から、3年余前 『高瀬局 23 1.25』の消印の投書をいただいていました。そこには、県道本山停車場線と本山橋の拡幅の ‟お願いと応援” の文字がしたためられていました。決して忘れてはいません。着実に一つ一つ実現していきます。

20140510-1