平成26年第2回定例会 条例改正等議案報告

今回は、6月議会審議議案の内の補正予算関係以外の議案について報告します。

「議案第61号 三豊市つたじま渡船に関する条例の一部を改正する条例」  つたじま渡船を指定管理委託できるように改正

「議案第62号 三豊市税条例等の一部改正について」  地方税法施行令改正により、軽自動車税等税額変更の改正

「議案第63号 三豊市遺児年金条例の一部改正について」  就学前遺児の公平性を保つため、居住基準要件を見直すよう改正

「議案第64号 動産の買い入れについて」  情報システム機器等(ノートパソコン921台・サーバー2台他関連機器一式)を一般競争入札により、(株)富士通四国インフォテックと1億21,359,600円で契約

「議案第65号 財産の取得ついて」  山本地区新設統合小学校建設用地として、18,000㎡(1.8ha)を1億31,321,839円で取得

「議案第66号 工事請負契約の締結について」  ‟三野津中学校屋内運動場改築(建築)Ⅰ期工事” を一般競争入札により、(株)菅組と4億29,840,000円で契約

「議案第67号 市道の路線認定について」  高瀬町の2路線を認定

「議案第68号 新たに生じた土地の確認及び字の区域の変更について」  詫間町の2か所を新たに編入

全議案とも原案可決です。

なお、3月議会に上程され継続審査となっていた 「議案第40号 三豊市道路占有料徴収条例及び三豊市準用河川土地占有料徴収条例の一部改正について」 は、県内の全自治体が同時に改正すべきであり、その状況にないため時期尚早であるとのことで、否決となりました。

以上で、平成26年第2回三豊市議会定例会の報告を終わります。

平成26年第2回定例会補正予算

平成26年第2回定例会である6月議会は、6月9日から18日間の会期を終え26日閉会しました。補正予算は歳入歳出ともに13億81,020千円で、補正後予算額は326億61,020千円となりました。

主な歳入予算は次にとおりです。

【国庫支出金】 13,453千円  公的不動産活用検討委員会8,194千円、疾病予防対策事業費補助金4,639千円、他

【県支出金】 4,314千円  緊急雇用創出基金事業2,067千円、教育支援事業等、他

【財産収入】 850千円  物品売払収入(パッカー車)

【寄付金】 1,000千円  小学校費寄付金

【繰入金】 3億74,003千円  教育施設整備基金繰入金64,000千円、財政調整基金繰入金3億10,003千円

【諸収入】 3,900千円  自治総合センターコミュニティ助成金

【市債(合併特例債)】 9億83,500千円  火葬場建設事業債7億43,800千円、中学校施設整備事業債2億39,700千円

主な歳出予算は次のとおりです。

【総務課】 ▲11,687千円  支所管理事業▲15,877千円(賃金▲8,230千円、委託料▲5,262千円、宿日直手当▲2,021千円)、他

【管財課】 1,726千円  支所管理事業

【施設管理課】 4,366千円  たくまシーマックス管理事業2,392千円、他

【産業政策課】 1億円  産業政策一般管理事業(さぬき造船跡地購入)

【田園都市推進課】 8,194千円  公共施設再配置事業(本庁舎周辺整備計画検討委託調査)

【環境衛生課】 7億88,496千円  火葬場建設事業7億83,005千円(継続費:H27 5億22,004千円)、他

【水処理課】 3,010千円  し尿処理事業(手数料徴収事務負担金)

【健康課】 16,005千円  健康増進事業

【福祉課】 2,067千円  高齢者就労促進事業

【子育て支援課】 1,042千円  高瀬南部保育所整備事業854千円(プロポーザル)、他

【建設課】 18,330千円  市道維持管理事業11,330千円、市管理河川維持事業7,000千円

【教育総務課】 4億44,685千円  詫間中学校建設事業2億53,055千円(継続費:H27 1億68,704千円)、曽保小学校法面崩壊復旧事業1億7,346千円、山本地区新設小学校建設事業39,914千円、財田地区新設小学校建設事業33,290千円、小学校施設耐震化推進事業9,200千円

【学校教育課】 3,367千円  寄付金1,000千円、教育支援事業、他

【生涯学習課】 1,171千円  土曜日教育支援体制事業548千円、施設管理事業(宿日直廃止準備)、他

 

産業政策一般管理事業に対して、一部の議員から修正案が出されましたが、平成26年第2回定例会補正予算は原案可決です。

総務教育常任委員会の報告事項

6月定例会開会中に開催された、総務教育常任委員会に報告された事項についてお伝えします。

《教育委員会》

● 学校再編整備について  「第5回財田地区学校再編整備地域協議会」及び「第6回山本地区学校再編整備地域協議会」の協議報告がされた。

● 南部給食センターについて  造成工事は順調に進んでおり7月末に完了予定。建築・電気設備・機械設備工事入札は、8月下旬予定。厨房設備機器入札は、9月下旬予定。完成予定は平成27年9月30日。

● 讃岐遍路道について  国の文化審議会で、香川県内の文化財として ‟史跡「高松譲跡」” と ‟史跡「讃岐遍路道 曼荼羅寺道 根香寺道」” が、6月20日より追加指定される。

《政策部》

● 箱浦小学校跡地への研究機関立地について  産学官連携により、大阪府立大学の植物工場の研究機関を誘致する。事業実施主体は(株)四国電気システムが行い、契約期間は10年ごとに更新する。

● 平成26年度三豊市がんばる企業応援事業補助金について  13社(展示会事業4社含む)から応募があった。審査の結果、展示会事業3社を含む8社が採択された。交付決定額は10,180千円で、事業総額は26,390千円となる。

● 粟島芸術家村事業(粟島アーティスト・イン・レジデンス2014)について  若手芸術家を招聘し、地域の人々との交流を通して、地域活性化に取り組む。期間は7月1日~10月31日で2名の入村が決定している。事業費3,850千円。

● ART SETOUCHI(アートセトウチ)2014について  3年ごとに開催される「瀬戸内国際芸術祭」の未開催年においても常に誘客・発信の活動に取り組む。主催は 瀬戸内国際芸術祭実行委員会 で、平成26年4月1日~平成27年3月20日を期間とする。三豊市でのイベントは7月25日(金)と26日(土)を予定している。全額県費用。

● 観光PR事業(新浦島伝説 アート体験in箱浦)について  瀬戸内海国立公園指定80周年記念事業として、浦島伝説をキーワードにしたイベントを開催。7月19日(土)~21日(月)に、箱裏ビジターハウスで実施。事業費3,240千円。

● 観光基本計画策定業務について  三豊市ならではの観光資源を活かし産業振興に結び付けるため、観光の方向性を示すべく策定する。検討委員は市内の若手事業者15名程度を公募予定。

● 住宅リフォーム・地域経済活性化補助金事業受付状況について  予測を大幅に上回って339件の申し込みがあった。5月末で受付を締め切った。

《総務部》

● 三豊市危機管理センター等整備事業について  平成28年供用開始に向けて、10月工事着手する。1階:建設経済部・環境部、2階:教育委員会、3階:危機管理課を配置予定。また、水道局の移転予定場所である西館の改修工事は、平成28年度供用開始で27年度後半から着手予定。

 

6月補正予算及び他の議案については、追ってお知らせします。

 

「ミスター介護保険」の講演

現消費者庁次長の山崎史郎さんは、「ミスター介護保険」と言われているそうです。2000年、当時の厚生省・高齢者介護対策担当として、介護保険の制度設計をした生みの親だからです。6月8日(日)に、まんのう町の議員さんと一緒に、滋賀県大津市で開催された「チョウチョの会」に参加し、山崎さんの講演を聞くことができました。山崎さんは厚生省入省以来これまで、社会福祉分野を一貫して歩んできました。介護保険の成り立ちからこれからの課題など、ご自身の思いと考えを赤裸々に話していただきました。

 

「高齢者介護のこと」

高齢者医療福祉政策は、介護保険と「自立支援」の歴史だ。  〔1960年代〕高齢者福祉政策の始まり(高齢化率:5.7%)  〔1970年代〕老人医療費の増大(高齢化率:7.1%・老人医療費無料化)  〔1980年代〕社会的入院や寝たきり老人の社会問題化(高齢化率:9.1%・老人医療費の一定割額負担の導入)  〔1990年代〕ゴールドプランの推進(高齢化率:12.1%・高齢者介護と自立支援システムの研究会)  〔1995年〕介護保険制度の導入準備(高齢化率:14.6%・1997年介護保険法成立)  〔2000年代〕介護保険制度の実施(高齢化率:17.4%・介護保険施行)  〔2003~09年〕介護保険料と介護報酬改定(高齢化率:2008年22.1%)  その後も介護保険料と介護報酬改定が行われた。今から振り返ると、1970年代~80年代は高齢者医療福祉の暗黒時代だった。90年代からは、それまで家族を含み資産と考える「日本型社会福祉論」がおかしい、という考えが反映され自立支援へと向かっていった。

介護保険制度導入には、日本社会に対する発想の大転換が必要だった。基本理念を ● 「日本型社会福祉論」【自助】(嫁に世話をさせる)と ●措置制度(救貧施策)の高齢者福祉【保護】(予算がなくなるとサービスもなくなる)という既存概念を、【自立支援】に転換した。また、制度・支援体制は ●利用システム(行政処分として低所得者に限定)と ●質量ともに貧弱な支援サービス(公的な事業サービスに限られ、医療と福祉でバラバラのサービス)であったものを「社会保険方式の導入」により、本人の選択・契約方式として一般国民を対象にサービス選択のサポートをするケアマネジメントを導入した。そして、サービスの一元化と民間参入によりサービス拡充・市場活用を取り入れた。

65歳以上人口はこれまでの10年で4割近く増加し、要介護認定を受けている者は2.5倍に増えている。介護費用・介護保険の推移は、2000年に3.6兆円で2012年には8.9兆円となり、2.5倍になっている。それに伴い保険料の一人当たり月額全国平均は、第1期2,911円から第5期4,972円となっており、約2割高となっている。

介護保険の最大の問題は 認知症 だ。認知症高齢者数は、現在約300万人であるところが、10年後には430万人になるといわれ、40%増えると予測される。認知症ケアの課題の本質は、「ケアマネジメント」が機能していないことで、医療・介護・家庭の連携ができていないことに原因がある。ケアプランは何のためにあるのかを、しっかり理解した人材の育成が欠かせない。

 

介護保険の基本理念から制度を生み、これまでの制度改定を見続けたきた、全てを知るものだかこそ言える確信の言葉に触発されました。介護保険制度を基本から学び直そうと思っています。

 

会派啓明会 視察研修報告・Ⅱ-⑨(激論2)

会派啓明会視察研修報告の最終回となりました。前回に引き続いて 激論 の報告をします。

‟国家・日本の存続のために、東京一極集中が必要” だとの立場からの 激論 です。

「東京一極集中の必要性と日本の将来」 明治大学専門職大学院長 公共政策大学院ガバナンス研究科長

一局集中の是非を問うのはナンセンスであり、その必要性というよりも 必然性 であると思っている。

人口減少の続く自治体が、日本創生会議の調査公表で、2040年に約1800あるうちの896が消滅の危機にある。また、そのうち523が人口1万人割れとなる。大都市圏へ人口は移動する現状がある。都市の人口はますます増加し、地方は減少を続ける。

今までの国家運営の仕組みは、税金を地方へ地方から人を供給するという、都市と地方が持ちつ持たれつの依存関係にあったが、バブル経済崩壊によってこれまでの仕組みに機能不全がおきてきた。これに対応するために、選択と集中をせざるを得なくなった。統治システムは地方分権へ、経済メカニズムはグローバル化へ、国土計画はコンパクト国家へである。

これからの社会運営は、東京・名古屋・関東圏が日本のエンジンとなり、〔都市・地域⇔中央政府⇔地方〕 の関係になると考える。大都市への集中と開発軸は、東京・名古屋・関東圏から瀬戸内を通り北九州にかけてだ。

民間の都市戦略研究所の 世界の都市分野別総合ランキング結果 で、東京はロンドン、ニューヨーク、パリについで4位だ。東京・名古屋・関東圏を日本に世界を惹きつける核として、地域資源で稼ぐ地域社会の実現が、日本再興の戦略だと考える。テーマは4つある。

●社会像:世界を引き付ける地域資源ブランドを成長の糧とする誇り高い地域社会

●戦略分野:農林水産物・食品、6次産業、コンテンツ・文化等の日本ブランド選択と集中

●【農業】:農業・食料関連産業生産額100兆円を2020年に120兆円にし、うち6次産業の市場規模1兆円を2020年に10兆円とする

●【観光】:訪日外国人の国内での旅行消費額の1.3兆円を2030年に4.7兆円とする

がある。それぞれの地域にあったメニューがあると思う。どれを選ぶのかは地方自身だ。

東京は、世界で一番ビジネスのしやすい国際都市づくり特区で、日本の成長エンジンとならなければならない。そのキーワードは 〔外国企業が日本企業とビジネスしやすい環境づくり〕 〔24時間活動する国際都市としての環境整備〕 〔外国人が暮らしやすい都市づくり〕 の3点だ。

東京・名古屋・関東圏の集中こそが、日本の生き残りになると信じて疑わない。

 

以上で、会派啓明会 視察研修報告の全12回を終わります。お疲れ様でした。大変な刺激をいただいた講演の数々で、勉強になりました。議員活動に活かしていかなくてはなりません。

会派啓明会 視察研修報告・Ⅱ-⑨(激論・1)

ついに会派啓明会の東京都内での視察研修報告が、終わりに近づいてきました。研修から帰ってからこれまでの一か月余りの間、6月定例会が開会され、間を見て報告を重ねてきました。5月21日の 〔自治体総合フェア 2014〕 における地域包括ケアをテーマとした2件の講演に始まり、22日・23日の日本自治創造学会の8件の講演の報告を終えています。最後にお二人からの 激論 の報告をします。

‟地方が元気でなければ日本の繁栄はない” との立場からの 激論 です。

「東京一極集中と分権~課題と展望~」 古川康佐賀県知事・全国知事会地方分権推進特別委員会委員長

安倍内閣における地方分権改革は、地方分権改革推進本部を設置し、平成25年4月に地方分権改革有識者会議を発足させたことから始まる。いくつかの事務を地方へ移譲したが、さらなる分権改革の進め方として『提案募集方式』を決定し、地方が手を上げれば権限を移譲できるようにした。これからの方向性は、【岩盤規制に、じっくり取り組む】ことと、【自分の地域に必要な権限移譲】の2点をコンセプトとしている。

東京一極集中と地方分権改革は、東京に行かなくても問題解決できるようにしたいため、平成5年に地方分権推進に関する国会決議から始まった。まず、政治・行政上の決定権限を地方に分散し東京一極集中に歯止めをかけた。次に、自立した地方が互いに連携しつつ、地域それぞれの個性や資源を結びつて、世界各地域と交流・交易することで、地方に競争力が増し、活力を持った日本となることを目指した。ところが、平成5年以降も東京一極集中は続いており、特に2000年以降は地方経済や雇用状況の悪化で若年層が地方から東京へ人口移動している。出生率の高い地方から、出生率の低い東京へ若者が移動するため、人口再生産の意味から、日本の人口減少に拍車がかかるのではないか。

ゆとりと豊かさを実感できる地域社会をつくっていかなくてはならない。そのために分権があり、地方分権の考え方の一つに <地方分権型道州制> がある。国の役割を限定し、都道府県を廃止し同州を設置することで地方の役割を拡大させるものだ。

権限移譲・規制緩和と道州制で東京一極集中と地方分権改革が実現できるのだろうか。地方に活力がわき、ワクワク、ドキドキする楽しい地域にならなければならない。そうならなければ若者たちはそこの止まらないし、人口減少は収まらず、日本の衰退は明らかになる。佐賀県武雄市は、市立図書館をカルチャー・コンビニエンス・クラブ(蔦屋書店)に委託した。佐賀に 「代官山」 をつくった。これができるのも権限委譲・規制緩和の成果だ。ちょっとおしゃれな若者たちが図書館&カフェに集まるようになった。東京に行かなくても楽しい空間をつくっていくことは、地方にとって非常に重要なことだ。

 

翌日の5月24日(土)に、蔦屋代官山店を訪問しました。古川さんの言うことがよく理解できました。とても楽しく豊かな空間でした。

 

会派啓明会 視察研修報告・Ⅱ-⑧

日本自治創造学会での研修を終え一か月になります。いまだに全ての報告を終えていません。8件目の講演報告をします。

「教育委員会改革と首長・議員の役割」 村上祐介東京大学大学院准教授

2011年に発生した滋賀県大津市いじめによる自殺事件を発端に、教育委員会の責任の不明確さが大きな問題となり、教育委員会改革の必要性が強く言われてきた。そこで、地方教育行政法改正が検討されてきた。

改正案の概要は、

(1)現行の教育委員長と教育長を一本化した新『教育長』を創設し、首長が議会の同意を得て直接任命・罷免する。新『教育長』の任期は3年に短縮する。

(2)首長と教育委員会で構成される総合教育会議を新設する。総合教育会議は首長が主宰し、大綱の策定、重点とするべきものと緊急の場合の措置を協議・調整する。

(3)首長は、総合教育会議で教育委員会と協議を行い、教育基本法に基づき教育の振興に関する施策の大綱を策定する。

(4)児童生徒等の生命または身体への被害の拡大や発生を防止する緊急の必要がある場合に、文部科学大臣が教育委員会に対して指示ができることを明確化するため、基本法の 是正の支持 を見直す。

そこで、首長・議員の役割と期待したいことが3点ある。

(1)首長と教育長・教育委員会との円滑な連携・協力による教育行政運営  総合教育会議では、首長は自らがビジョンを示し議論を活発に行いつつ、首長・教育長・教育委員の連携・協力を進展させる場とすることで、適切な支援を基礎とした教育行政が行われることが望める。その結果、有権者や子どもにとって実りある地域教育が実現できる可能性がこれまで以上に高まる。

(2)議会による教育行政への適切なチェック機能の強化  教育長・教育委員の人事同意の際に、候補者が議会で所信表明と質疑応答を行うなどして、丁寧な審査を行うこと。また、大綱的方針や職務執行に対するチェック機能が強化できる。

(3)喫緊の教育課題(家庭教育費負担、教師の過重負担など)への対応  家庭の教育費負担や子どもの貧困、教員の長時間労働と過重負担といった問題の改善が、教育の質の向上につながることもあり、政治の役割が重要となる。

平成27年4月1日から始まる。首長・議会の皆さんに期待している。

 

議会の教育に対する関わりがこれまで以上に直接的になることで、役割と責任の重要さに気付くことができました。地方自治体ではなかなか見つけ出せなかった新たな道の模索ができることに、動くかもしれないという期待感を感じることができました。サァー、はじめましょう。

8件目の講演の報告を終わります。

会派啓明会 視察研修報告・Ⅱ-⑦

引き続き、日本自治創造学会2日目である5月23日に行われた、7件目の講演の報告をします。

「地方議員の必須条件・変わる地方議会」 穂坂邦夫日本自治創造学会理事長・地方自治政策研究所理事長

社会環境の激変とともに 「高齢化社会の加速・人口減少・消費力の低下・シャッター通りと買い物難民の増加や、専門家に対する疑問と不満」 が増幅され、住民意識が大きく変化した。このような変化に対して、地方議会は地方政治のエリートの自覚を持ち、住民が求める議会・議員の役割をしっかりと認識し、前例を変え自治体を変えていかなければならない。そのような中にあって、議会が政策提案する時代になっているはずなのに、議会がなぜ政策立案できないのか。

地方議員の必須条件を7点挙げる。

(1)長期戦略力と短期戦略力 「両立させる2つの力」

(2)プレゼンス力と提案力 「個性を活かす」

(3)職員コミュニケーション力 「職員の立場を理解する」(自分の意思を通し達成するためには、力を借りればいい)

(4)会派マネージメント力 「議員の特長と十分な意見交換」

(5)議会交渉力 「損して得取る」

(6)政治環境洞察力 「必ず変わる中央政治」

(7)選挙常勝力 「ビジョンと心と行動力」(基礎力を培い、住民要望は即日実行する)

これからの地域社会は、地方議会の活躍にかかっているのだから、これらを駆使して社会環境の激変と住民意識の変化に応えることのできる、地方議会に変わることを期待する。

 

7件目の報告を終わります。

会派啓明会 視察研修報告・Ⅱ-⑥

日本自治創造学会2日目である5月23日の講演の報告を、引き続き行います。6件目の講演です。

「アベノミクスと日本経済のこれから」 小林慶一郎慶應義塾大学教授

財政再建が経済(景気)成長になるとの考えだ。しかし、アベノミクスはその逆で、経済成長によって財政再建を図ろうとしている。その手法として、金融緩和・機動的な財政再建・成長戦略の三本の矢を掲げている。そこには3つのリスクがある。

①デフレ脱却が実現したら「出口」は?  問題は国債の買い手が続くか否かだ。なぜ日本国債がこれまで買われ続けたのか?それは円高とデフレで海外資産よりも日本国債のほうが魅力的だったからだ(低金利でも安全)。ところが円安とインフレが起きると、日本が低金利のままなら、海外資産を買うほうが得となり、日本国債を売り海外資産を買う。日銀が国債を買い支えればインフレの高騰となる。また、日本が高金利になれば国債は売れるが高金利で政府の負担は雪だるま式に膨張し、景気回復による税収増があっても足りなくなり、高金利が高騰し厳しい不況になる(信用不安で高騰)。

②「成長が先で、財政再建が後」は成り立つか?  公的債務の累積が経済成長を押し下げるならば、成り立たない。先に成長したくても、公的債務の重荷のため成長できない。成長戦略と同時に、財政再建にも着手すべきだ。

③成長戦略の「痛み」に耐えられるか?  市場の制度改革が成長戦略となる。 ●日本の株式リターンを世界平均とする ●資産運用会社の収益を管理手数料から成功報酬とする ●株主(年金基金や運用会社)の役割の改革をする などで、株式市場と年金基金などの規制改革を行う。

それでは、財政再建に必要なコストをいかにして確保するのか。包括的な政策プランとして、 1)2%のインフレ率を実現する 2)高齢者の医療費窓口負担を20%とする 3)年金給付の代替率保証(現役年収の半額)を外す 4)政府の経常経費を1%削減する を行う。消費税は段階的に32%まで引き上げ、その後17%まで引き下げる。さらに、根本的な世代間のコミットメントできる新しい政治システムが不可欠だ。 ●財政再建とは、「世代を超えた投資」 ●地球温暖化対策 ●原発の使用済み核燃料の最終処分建設 などにコストをかけるなどの、将来世代の利益を反映する政治システムの構築が求められる。

しかし、現代社会では利己的かつ合理的個人の社会(かつての宗教や伝統文化などの非合理性によって世代間のコミットメントが実現していた)となっているため、実現が難しい。

それではどうするのか。世代間のコミットメントができない前提で、社会設計すべきであり、新しい政治哲学による財政破綻に備えたプランが必要なのだと考える。

 

6件目の報告を終わります。

会派啓明会 視察研修報告・Ⅱ-⑤

日本自治創造学会 研究大会の初日である5月22日講演の4件の報告は、前回で終わりました。今回からは2日目の23日講演の報告をします。

「ICTの活用による地域経済の活性化」 猿渡知之総務省地域政策課長

地域経済の現状と課題は、公的年金と国からの再配分された交付税や補助金等の財政的資金が大きく支えている現状で、今後、大都市部における高齢化率の急上昇で、地方は経済・財政の自立化の必要性が加速する。よって、地方は税収を生み出す基盤を作らなければならない。そのために、地域密着型企業の増加・生産性向上と地域全体での効率的なまちづくりが欠かせない。そのツールとしてICTがある。

自治体とICTの関係は、【自治体の経営最適化のため自治体クラウドの推進】 【経済活性化・地域経済基盤のため社会クラウドの推進】 がある。自治体情報化の流れは ①1960年代大型コンピュータ ②1970年代ホストコンピュータ ③1990年代クライアントコンピューター ④2000年代Webシステム~自治体クラウド となっている。ICTの活用で地域経済の活性化の時代だ。

(1)自治体クラウド : 所有から利用へ、共同化・集約化

(2)地域経営型包括支援クラウド : 電子自治体の基盤を活用しながら、様々な主体が活用できる支援システムを整備し、住民サービスの向上と官民通じた業務の効率化を図る

(3)公共クラウド : 地方自治体の情報システム基盤とクラウド技術を活用して、システムの統合化・集約化を図り、行政データを公開することを通じて、民間事業者を含む様々な主体が共同で利用できる情報インフラ

(4)自治体の経営最適化 : 共通業務を標準化し共通の情報処理システムの構築と運用でコスト削減  システム管理やメンテナンスをすべて事業者委託できる  きめ細やかなニーズに対応することで各自治体の裁量権が拡大  パソコンだけに限らず携帯端末の活用が見込め現場での対応枠が広がる

(5)社会クラウド : ①データの標準化検索スピードの大幅な性能向上(医療統計情報データの実証実験) ②予防医療・介護基盤(業務の簡素化と必要なデータの一覧性確保) ③金融決済基盤(地方自治体や企業が個別に持つのではなく金融機関のソリューションシステムを活用) ④教育支援コンテンツ創造システム(教育水準確保と生徒側からのオンデマンドの教材作成が可能) ⑤企業支援システム(・地域全体の企業の生産性向上・関連データの検索機能を活用し、潜在的な販売ルートの発見や地域にある原材料供給源の発見) ⑥公共施設のオープン・リノベーションを核とした地域再生事業(公共施設のオープン・リノベーションで地元に住みたくなる空間を━地元に代官山の出現:佐賀県武雄市図書館の場合、20万冊蔵書×雑誌が買える図書館×映画音楽×文具×検索ITソリューション×カフェダイニング×ノウハウ×Tカード×開館時間の掛け算)

ICTは道具だ。地域で生き続けることができる経済基盤強化に活用してほしい。

 

5件目の講演の報告を終わります。