地域資源としての地元企業・7

各地で秋の大祭が厳かに、そして華やかに執り行われ、一年を通して最も過ごしやすく、活動的な最高の季節となりました。
太鼓台や獅子舞などではじける若者たちも、地域とのかかわりを感じ、更に成長するものと思います。
来春に大学や社会に出る高校生の中には、これから、通勤や通学のための自動車運転免許の取得に追われる者たちもいると思います。
以前は、春休みや夏休みであったピークは、現在は12月・1月・2月となっていて、彼等を獲得するために自動車学校業界では、これから熱い生徒募集合戦が繰り広げられるようです。
今回訪問したのは、「香川県公安委員会指定 (株)高瀬自動車学校」の代表取締役社長 詫間敬芳さんです。
詫間さんは、現在高松に所在する(株)ソレイユの代表取締役として長く映画館の経営をしてきました。
昨年、高瀬自動車学校の前の社長であった前田幸一さん(元詫間町長)が亡くなられた後、突然、経営を引き継ぐこととなりました。
『現在、(株)ソレイユは高松の中心商店街に2スクリーンを有する映画館と、喫茶店及びタワーパーキングの経営を業務としています。
大型商業施設の出店によるシネマコンプレックスの進出で、競争が苛烈で、「よく生き残っているなア」というのが実感です。
突然経営を担わなくてはならなくなった高瀬自動車学校は三豊市にあるため、高速道路が整備され交通状況が良くなったとはいえ距離を感じています。
ソレイユでは、経営指針書をつくり経営の実態をガラス張りにし、オープンな経営を実践しています。
しかし、自動車学校は、株式会社であり完全な民間企業でありながら、まだまだ半官半民の体質が残っており、急ぎ社員とともに経営指針書作成に執りかかろうと考えていなす。
少子化が進む中で、香川県の自動車学校業界は2割以上のオーバースクールの現状だといわれ、生徒獲得競争が激しく、沖縄県に次ぐ低価格市場となっています。
正当な利益確保のために、それに見合ったサービスの提供を目指したいと構想を練っているところです。
自動車免許証を取得するということは、人生の中でも記憶に残る出来事だろうと考えています。
高瀬自動車学校で学んだ時が、人生の思い出になるような教習所づくりを目標としたいと思っています。
厳しい経営環境ではありますが、生き残りをかけ経営改革に取り組んでゆきます。』
これほどに厳しい経営環境の中、詫間町出身であったお父様が地元経済界の仲間と共同出資していた高瀬自動車学校の株を引き継ぎ、あえて火中の栗を拾っているように見えます。
三豊・観音寺地域には高瀬自動車学校を含め3校あり、生徒の獲得競争が苛烈を極めているとききます。
地方の自立のための、次なる社会の基幹となる営みとは何なのかを、改めて考えさせられるとともに、制度として組み込まれる業界のジレンマを感じる訪問でした。