香川県高松東倫理法人会特別講演会

昨夜、高松国際ホテルで上甲晃先生の講演会が「”今こそ志高く” 日本人の品格」の演題で開催されました。
私にとって講師の上甲先生は、14年間松下政経塾塾頭として日本の未来を担う人材を育成されてこられた方であるだけに、ぜひお話をお聞きしたかった方でした。期待どうりの心洗われるすばらしい御講演でした。
近況のお話から
5月の連休には毎年バングラディシュに行くのです。それも一人ではなく家族や知人の子どもたちと一緒に行きます。その中には、松下政経塾出身の中田横浜市長の御子さんもいます。なぜ行くのか。行けば日本人が忘れてしまっていることを思い出させてくれるからです。
「日本人は貧乏を忘れた」ことです。
今の日本には、有り余る物とサービスがあります。それなのにもっともっとと欲しがります。バングラディシュは、日本から見ると不潔で物がなく貧乏です。それにもかかわらず、国際的な満足度調査では、世界中で満足の実感が一番高い国となっています。日本人は便利になりすぎて贅沢病になったのです。
このことを知っているだけではだめで、どうすればよいのか行動出来る人間にならなければなりません。
松下政経塾を辞してからの10年の活動で実感したことの話
松下電器という大企業を退職して、吹けば飛ぶよな”志ネットワーク社”という零細企業を経営して忘れていたことを気付かされました。
知らない間に大企業病にかかっていました。会社とは何のためにあるのか?仕事とは何のためにするのか?そして、声を掛けてくれる(仕事をくれる)ことのありがたさに気付いたのです。それは、「初心を忘れていた」と言うことでした。では、それを取り戻すためにはどうすればよいのかと言うことです。
*どんなに小さなことでも真心をこめて取り組む。ありがたいの心が手抜きできないという気持ちになる。気付かないうちに仕事の選り好みをしていたということだった。
*いつも全力を尽くす。明日を想い煩うのなら今、この時を全力を尽くす。”すべての滅びは自分の心の滅びにある”。
そして、初心を忘れないためのエピオードとして世界のトヨタの経営者も松下の経営者も言うことは同じでした。経営理念(原点に帰る)が身に沁みていなければならないということです。
*細かいことにうるさい。なぜなら細かい仕事の積み重ねが大きな仕事だからだ。小さい仕事の出来る人に大事を任せる。
*ひつこい。松下の高橋さんは社員に嫌われようが馬鹿にされようが、経営基本方針しか言わなかった。その人は会長まで上り詰めた。
*銭つこたらアカン。ないものを嘆くな有るものを生かせ。金を使うな心を使え(金力有限・心力無限)。どんなに平凡なことでも徹底的に取り組む。平凡なことであればあるほど「そこまでやるか」と言わせるまでやることで差がつく。大事は誰も全力でやるから差が出にくいが、小事は誰も軽く扱うから丁寧に扱うことで差が出る。
まとめとして
このような人育ての活動をしているのも、日本の若者に爛々と輝くような目の力がなくなっていると感じるからです。高い目標を持ち、高邁な精神を持った日本人に育って欲しいのです。司馬遼太郎は戦後の日本を評し「昔あった日本の庶民の公的精神が失われた」と嘆いています。実話として、明治の日本人(和歌山の漁民)は自分たちの衣食を提供し危険を顧みず難破遭難したトルコ人を助けたのです。日本はイラク戦争のとき取り残された日本人を自力で助けられなかったのです。その時、トルコは昔のトルコ人が受けた恩に報いるために救助用の軍用機を差し向けたのです。明治の日本人に助けられたトルコの国民は、平成の今も民族の受けた恩を忘れていなかったのです。
国やお金など関係のない当時の日本人には当たり前の行動であったのです。
これこそ「日本人の品格」です。
人を育てる仕事に携わり、松下政経塾の14年と、独立してからの10年間あわせて約四半世紀が過ぎようとしています。この間にわかったことは、”他人を変えることはできない、自分しか変えることができない”と言うことです。
皆さん、少なくとも自分を変えようと決めさえすればれば今すぐにも変わることができます。そのような人が一人でも増えることを願っています。
真に凛々しい方でした。
帰り際に、先生の著書を購入しました。「志を教える」という題名です。
三豊市の進むべき方向の切り口の一つだと思っています。