地域科学研究会 セミナー研修報告・第1部

令和2年1月27日(月)に、東京都千代田区にある剛堂会館で開催された、「地域公共交通計画制度とその運用の改革」をテーマにしたセミナーに参加しました。4名の講師から、それぞれの立場からの専門的な講義をいただきました。4部に分けて報告します。

 

第1部  国土交通省総合政策局地域交通課長 原田修吾氏(代理) から、「地域の移動を担う交通手段の確保・維持に向けた国の動向について」の講義があった。

人口減少、超高齢社会の本格到来となった。人口は2008年をピークに減少局面に入っている。三大都市圏においても人口減少に入るが、都市と地方の人口格差は拡大する。人口構造の推移をみると、2025年以降、「高齢者の急増」から「現役世代の急減」に局面が変化する。高齢者の免許非保有者、免許返納の数は、大幅に増加する。高齢者を中心に、公共交通がなくなると生活できなくなるのではないか、という声が大きい。自動車運転事業は、労働環境等の影響で若者が敬遠し、運転手不足が深刻化している。市町村における地域公共交通の組織体制も専任担当者が不在の市町村は約8割で、人材不足が課題だ。このような中で、国としても自治体が地域交通の確保(地方バス、離島航路支援等)に関する「特別交付税交付額(地方負担分の8割を交付)」は毎年増加傾向にある。

平成19年に地方公共交通活性化再生法を制定、平成26年に改正し①まちづくりと連携し、②面的な公共交通ネットワークを再構築するため、「地方公共交通網形成計画」を規定した。しかしながら、人口減少の本格化、運転手不足の深刻化で、地域公共交通の経営環境は悪化し、路線廃止が相次いでいる。このため、持続可能な地域の旅客運送サービスの提供を確保することを目的とする、地方公共団体による「地域公共交通計画」の策定を努力義務化し、国が予算・ノウハウ面の支援を行うことで、地方における取組をさらに促進する。

地域の実情に合わせた交通手段の見直しは、地方公共団体、交通事業者等の地域の関係者の協議の下で、路線バスについては、生産性の向上を図るとともに、地域の実情に合わせてダウンサイジング等(車両の小型化、運行経路やダイヤの見直し)を行いつつ、公的負担によるコミュニティバス、乗り合いタクシー等の運行を検討する。また、自家用有償旅客運送の活用、スクールバス、福祉輸送等の積極活用により、地域の暮らしや産業に不可欠な移動手段を確保する。

MaaSへの取り組みが急速に進められている。MaaSとは、スマホアプリにより、地域住民や旅行者一人ひとりのトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスだ。新たな移動手段(シェアサイクル等)や移動目的に関連したサービス(観光チケットの購入等)も組み合わせることが可能となる。MaaSの円滑な普及のための措置として、①MaaSに参加しようとする交通事業者等は、MaaSの実施にかかる事業計画の申請を行い、国土交通大臣の認定を受けることができる ②認定された事業計画に定められた交通事業者(鉄道・バス・フェリー)が運賃・料金の届け出を行う場合、共同で行うことができる ③都道府県または市町村は、MaaSの実施に関し必要な協議を行うための協議会を組織することができる これらの措置によって、運賃届け出手続きのワンストップ化と、交通事業者のMaaS関係者の協議・連携の促進が図られることとなる。

 

国の地域交通政策を立案する中枢の担当課からの講義を聴講できたことは、三豊市が挑戦していこうとしている、豊かさを実感できるまちの実現に向けての具体的政策への取り組みの裏付けにもなり、実に有意義な時間となりました。地域の移動を担う交通手段の確保・維持に向けた国の施策の方向性を確認できたとともに、広くて居住地が分散するわがまちの、未来の交通手段の考え方が整理できました。