「地域医療政策セミナー」研修報告

令和6年(2024)10月30日(水)、東京都都市センターホテルで開催された、全国自治体病院経営都市議会協議会主催の「第18回地域医療政策セミナー」に参加しました。

 

協議会会長の喜多浩一金沢市議会議長から挨拶があり、その後2件の講演を聴講した。

1件目は、厚生労働省大臣官房審議官(医政、口腔健康管理、精神保健医療、災害対策担当)(老健局、保健局併任)森真弘氏による「令和6年能登半島地震を踏まえて~災害時の医療体制構築と今後の地域医療維持、確保の課題~」の講演だ。

●自治体が災害が発生する前(平時)から医療施設等に備えて欲しいこと  ①避難に関する注意喚起を行う ②非常用自家発電設備(設備・燃料の確認等)、水や食料、医療資源等の備蓄状況の確認 ③医療機関の連携体制の構築・確認

●平時より地域の医療事情を知らねば、災害時に的確な支援はできない

●能登半島地震の後、これから  ①人口減少や高齢化の状況を加味した平時からの医療計画の実現 ②平時や災害時にとらわれない、地域のレジリエンス向上に向けた施策の継続

●災害医療の体制の見直し  ①DMAT・DPATの派遣や活動の円滑化や様々な保健医療活動チーム間での多職種連携を推進する ②災害時に拠点となる病院や他の病院が、その機能や地域における役割に応じた医療の提供を行う体制の構築 ③豪雨災害の被害を軽減するため、地域と連携して止水対策を含む浸水対策を進める ④医療コンテナの災害時における活用を進める

●災害拠点病院について  災害時に多数発生する傷病者、被災した医療機関の入院患者に対して、災害拠点病院を中心として、被災地内外の医療資源を活用できる医療提供体制の整備

●災害医療コーディネーター  医療コーディネーターとの連携、DMAT等の医療チームの派遣調整を実施する人材

●広域災害・救急医療情報システム(EMIS)  基本機能として、医療機関基本情報と被災医療機関の緊急情報他を有する

●事業継続計画(BCP)  病院機能の損失をできるだけ少なくし、機能の立ち上げ、回復を早期に行い、継続的に被災患者の診療を行うための計画 ①病院等における耐震診断・耐震整備の補助事業 ②医療施設非常用自家発電装置設置整備事業 ③医療施設給水設備強化等促進事業 ④医療施設浸水対策事業 ⑤医療施設等の災害復旧に対する補助金事業

●地域医療構想について(今後の展望)  地域ごとに必要医療数を見直さなくてはならない。医療需要の変化:入院患者数は 、外来患者数は、在宅患者数は

●「高齢者の急増」から「現役世代の急減」に局面が変化

●医師の高齢化も進む

以上を包括した新たな地域医療構想については、2024年ごろを見据え、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上人口の増大に対応できるよう、病院のみならず、かかりつけ医機能や在宅医療、医療介護等を含め、地域の医療提供体制全体の地域医療構想として検討予定

 

阪神・淡路大震災や東日本大震災に続く能登半島地震から導き出された、「救急医療と災害医療とはちがう。しかし、救急医療ができなければ災害にも対応できない」という視点での説明は、とても納得できる有意義な講演でした。

 

2件目は、まんのう町国民健康保険造田歯科診療所主任歯科衛生士の丸岡三紗しによる「県内一の過疎地域での挑戦!こどもも若者も高齢者も大事にするまちづくり~高齢者のためのお買い物ツアーや移動支援&児童館のないまちで取り組む子どもと子育て世代の居場所づくり」の講演だ。

香川県まんのう町琴南地区では、「人の健康を守るのは医療だけではない」を掲げて、医療関係者に民間を加えた在宅医療・介護の連絡会を設け、月一で集まってケース検討などを行っている。民間を入れることでフラットな運営ができることとなった。

ここでは「社会的処方」がフレイルの改善になることを活動の主眼に置いている。「社会的処方」とは、地域とのつながりを処方することで問題解決を図るというものだ。例えば、診察室で患者さんが「さみしい、日ごろ話す相手がいない」と言ったら「では、このサークルはどうでしょう」と地域の資源を紹介してその場で連絡を取る対応の仕方。

「健康を目的としたアプローチは本当の予防が必要な人には届かない」ということだ。

運転免許証を返納するとフレイル(虚弱)になるのか。足がないから買い物に行けなくなったストレスで痩せた事例が多くある。移動手段がないのは重要であることから、『週1で買い物ツアー』『無料通院バス(町からの補助)』を実施した。

唯一の中学校が廃校になる。そこを活用し地域住民が集えるコミュニティスペースを作った。需要は子育て世代にある。地元クリエイターと協力し、子育て世代のための居場所づくりを開始した。旧琴南中学校がみんなのコミュニティスペースとなった。今の時代の子育て支援に必要なことは「親御さんを楽にしてあげること」だ。

目の前の一人ひとりの困りごとを真剣に聞き、一つ一つ解決していく、その地道な積み重ねがまちづくりだ。

 

こんな近くに、こんなにクリエイティブでバイタリティのあふれた人がいたのに、気づいていなかったことに深く反省しています。「社会的処方」という視点は医療・介護・子育てなどの社会的課題を、地域資源をもって解決していこうとする、まちづくりの本質を射抜いています。市民ニーズと解決方法は、行政の中だけではない社会の中にあるという、当たり前のことを再認識させられた講演でした。

 

「地域医療政策セミナー」研修報告を終わります。

会派清風会視察研修報告(東北編)・2

会派研修の2件目は、岩手県盛岡市で開催された「第19回全国市議会議長会研究フォーラムin盛岡」の参加です。

大会テーマは「主権者教育の新たな展開」で、10月9日(水)と10日(木)の2日間の日程で行われました。

 

パネルディスカッションは、「地方議会の課題と主権者教育」をテーマに、コーディネーターを井柳美紀氏(静岡大学人文社会科学部法学科教授)が、パネリストに土山希美枝氏(法政大学法学部教授) 越智大貴(一般社団法人WONDER EDUCATION代表理事) 渡辺嘉久(読売新聞東京本社社会教育ネットワーク事務局) 遠藤政幸(盛岡市議会議長)で行われた。

コーディネーターから、全国都道府県・市・町村議会議長会で決議した『地方議会に関する地方自治法改正を踏まえた主権者教育の推進に関する決議』に基づく、主権者教育の推進の課題と方向性について示された。地方議会の課題として●投票率の低下 ●無投票当選の増加 ●議員の性別や年齢構成の偏り がある。推進の方向性は ◯議会に対する関心を高め、理解を深める主権者教育を一層推進する ◯出前講座や模擬議会など、議会自らが主体的に行う主権者教育の取り組みに対する支援を講ずる

パネリスト4名から ●「誰がための主権者教育か」を見つめ直すことが大切であり、議会が主権者教育をするべきか疑問がある ●政治や選挙・よのなかをおもしろく学びあい・みんなで創るシティズンシップ教育・主権者教育の研究実践と場づくり ●何が投票を促すのか。「政治とつながる」とは?「政治」は「未来」「政治とつながる」=「未来とつながる」「政治を考える」=「未来を考える」⇒「自分の未来を創造する」 ●盛岡市議会における高校生議会の開催によって市政の課題について意見交換し提言をまとめた。また、市議会が大学に「おでかけ」し、学生と意見交換を行う事業

 

課題討議は、「主権者教育の取り組み報告」として、コーディネーターに河村和徳氏(東北大学大学院情報科学研究科准教授)、事例報告者に白鳥敏明氏(伊那市議会前議長) 諸岡覚氏(四日市市議会議員:第83代議長) 服部香代氏(山鹿市議会議長)で行われた。

コーディネーターから、地方議会と主権者教育には総合学習的な発想が役に立つ。地域の課題を発見し、それを議論し、改善策を提言するサイクルが「政治」であるならば、地域の課題の棚卸をおこない、政策の進捗状況を調べることだ。

事例報告者から ●伊那市議会の事例として、若い世代、特に高校生に議会に関心を高めてもらうために、高校生の議会傍聴、高校生との意見交換等の企画を決定し実施した。成果として ①高校生からの意見・提案 ②意見交換に参加した高校生による請願の提出 ③高校生からの要望を執行部へ ●四日市市議会の事例として、「ワイ!ワイ!GIKAI」と名付けて高校・大学に出向いて出前型意見交換会や、生徒と議員の選挙ポスター作り、高校生議会等の実施 ●山鹿市議会の事例としては、なぜ小学校でのシティズンシップ教室に取り組んだのか。議論して最終的に意見を集約していく経験を子どもの時から経験しておくことが大事。企画から実施に至る検討と模擬投票の実践で大きな波及効果

 

「議会改革をしても投票率は上がらなかった」という四日市市議会の報告は、議会本来の在り方を考えさせられました。市民不在の改革では意味がないということであり、当たり前のことですが市民のための議会でなければならないということです。その取り組みは、それぞれの議会と市民との関わりによって形作られていくものなのだと感じた研究フォーラムでした。

会派清風会視察研修報告(東北編)・1

三豊市議会会派清風会の視察研修報告(東北編)をします。

令和6年(2024)10月8日(火)~10日(木)の日程で、宮城県仙台市にある(株)パナソニックシステムネットワーク開発研究所(PSNRD)と岩手県盛岡市で開催された、全国市議会議長会研究フォーラムに参加しました。

 

1件目の研修はPSNRDで、次世代ネットワーク技術開発の最前線を訪問した。無線通信、パワエレ・エネマネ、画像処理、スマート端末 を主テーマに未来のイノベーションに技術で応えるための開発研究を行っている。

説明をいただいた研究中の技術として ①6G ②肌分析エンジン ③60GHzミリ波Wⅰ‐Fⅰ端末 ④AI需要予測フードロス削減実証 ⑤太陽光・水素燃料、蓄電池等を組み合わせたRE100実証施設 ⑥スマートモビリティインフラ研究のための技術研究組合の設立 の6点だ。

 

いずれも、これらのテクノロジーが近未来で複合的に融合・連動し、世界を豊かにしていくのだと感じました。たゆまぬ開発・研究が、近い将来三豊市内ベンチャー民間企業とつながって、地域経済の活性化と豊かなまちづくりに貢献することを期待できる視察でした。

会派からの要望書

12月2日(月)三豊市議会令和6年第4回定例会の開会初日終了後、会派清風会8名から山下市長あてに「要望書」を提出しました。

 

「要望書」

1.公共施設包括管理業務委託の導入について

三豊市においては、人口減少、少子高齢化が加速度を増して進み、これに連動して市の基幹財源である税収や地方交付税も減少し、財源が日伯することが懸念されている。

一方で当市には合併を経て、用途を同じくする公共施設が多数存在しており、近い将来、これらの公共施設は老朽化が進み、維持管理や更新費用の肥大は避けられない現実として突き付けられている。

このような状況下、固定費の削減が当市に課せられた至上命題であり、事業の棚卸が進められている今、公共施設の包括的管理業務委託方式を導入し、施設管理業務の軽減による事務事業の効率化と専門性の向上を図り、市民サービスのさらなる向上と長期的な視点に立った、総合的かつ計画的な管理を推進するよう要望する。

 

2.公共工事での地元企業の育成、地元経済の活性化について

本市での公共工事で、下請施工を必要とする場合には、三豊市工事請負契約約款第7条第2項に定める地元業者への優先的な発注を徹底すると共に、施工に必要な各種建設資材の調達においても、地元資材(機械等の購入またはリースを含む。)の積極的な活用に努めるよう要望する。

 

3.土地改良事業(原材料支給事業)における物価高騰対策について

土地改良事業における原材料費においては、近年の諸物価が上昇傾向となる中で、代表的な生コンの1㎥当たりの価格は、3年前と比べて約23%も上昇し、今秋からさらに上昇している。

この状況は本市の基幹的産業である農業の発展や集落施設の共助・自助による維持管理に大きな影響を与えており、早急に対策を講じる必要がある。

本市の財政状況下、その財源の調達は困難であれども、万策を講じて財源を捻出し、当初予算の対前年度増額を要望する。

 

以上3点について、三豊市役所特別応接室において山下市長に「要望書」を手渡ししました。

 

三豊市議会会派清風会 視察研修報告・3

3件目の視察研修は、衆議院会館会議室での総務省自治財政局財務調査課課長補佐 梅本祐子氏からの「地方財政の現状等について」です。

 

我が国の内政を担っているのは地方公共団体で、政府支出に占める地方財政のウエートは56%となっている。地方交付税は、所得税・法人税の33.1%、酒税の50%、消費税の19.5%、地方法人税の全額 が当てられており、種類は、普通交付税94%、特別交付税6% となっている。

令和6年度地方財政計画のポイントとなる新事業予算は次の通りだ。

【こども・子育て政策に係る地方単独事業(ソフト)】 ◯地方団体が地域の実情に応じてきめ細かに独自のこども・子育て政策(ソフト)を実施できるよう、地方財政計画の一般行政経費を1,000億円増額し、普通交付税で措置 ◯普通交付税算定に当たり、新たな算定費目「こども子育て費」を創設

【こども・子育て支援事業債の創設】 ◯地方団体が「こども未来戦略」に基づく取り組みに合わせた環境改善(ハード)を速やかに実施できるよう、新たに「こども・子育て支援事業費」を計上し創設 (令和10年度まで5年間8「こども・子育て支援加速化プラン」の実施期間)

【物価高への対応】 ◯光熱費の高騰や自治体サービス・施設管理の委託料の増加を踏まえ、一般行政経費に700億円を計上 ◯建設費の上昇を踏まえ、庁舎移転事業と公立病院の建設費における建築単価の上限を引き上げ

【地域脱炭素の一層の推進】 ◯脱炭素化推進事業債について、再生エネルギーの地産地消を推進するため、地域内消費を目的とする場合を対象に追加 ◯過疎対策事業債において「脱炭素化推進特別分」を創設

【消防・防災力の一層の強化】 ◯消防の広域化、連携・協力による、消防・防災力の強化のため「緊急防災・減災事業費」の対象を拡充するとともに特別交付税措置を拡充

【地域の経済循環の促進、地方への人の流れの創出・拡大】 ◯地域の経済循環の促進のため、ローカル10,000プロジェクトの地方単独事業に対する特別交付税措置を創設 ◯地方への人の流れの創出・拡大を加速するため、「地域活性化企業人」制度に社員の副業型を追加するとともに、地域おこし協力隊に係る特別交付税措置を拡充

【地方公務員の人材育成・確保の推進】 ◯地方団体において、少子高齢化、デジタル社会の進展等により複雑化・多様化する行政課題に対応できる人材を育成するとともに、配置が困難な専門人材を都道府県が確保するため、地方交付税措置を創設・拡充

経済財政運営と改革の基本方針2024(地方一般財源総額)から、主要分野ごとの基本方針と重要課題として、地方行財政基盤の強化がある。地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、2024年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保して、地域における賃金と物価の好循環の実現を支える地方行財政基盤の持続性を確保・強化する。

 

国の地方財政の概要と、常に変化する経済や自然環境・災害に対応する財政措置の情報は、今後の三豊市の事業展開の参考になりました。

以上で、会派視察研修の報告を終わります。

 

 

三豊市議会会派清風会 視察研修報告・2

2件目の視察研修先である長野県の(株)Growth Seeding Bloom は、代表取締役 松葉陽祐氏が農業DXを駆使して栽培から販売までを一人で運営する農業事業者です。当法人を視察先に選んだのは、先端技術をどのように利用して事業継続しているのか、本人の体温を感じながら農業に対する考え方と、その手法を自らの耳目で体感したかったからです。

 

経営理念は「誰もがみんな安心して Happyと笑顔になれる未来を創る!」で、そのためのビジョンは「農で『幸創・こうさく』する。」としている。事業内容は、◯小麦栽培 ◯大豆栽培 ◯さつまいも栽培 ◯シャインマスカット栽培 ◯水稲栽培 ◯農産物直売、加工販売 に取り組んでいる。現在の主力作物は「ハナチカラ」という硬質小麦で、全17ha作付けし反当たり収穫は430Kgの実績がある。今後もっと増収するための栽培方法を研究中である。

東京出身のサラーリーマンで農業経験のない松葉氏がなぜ所縁のないこの地に移住してまで農業をしたかったのか。一定の成功を収めていたサラリーマン生活であったが「とにかく社長になりたい」と思いが強くなる中、雇用、過疎、遊休農地、住環境等の地域課題(こまりごと)の解決に取り組むという目的が明確になってきたからだ。

松葉氏は農作物の栽培から販売までを一人で行っている。大規模栽培することでJAの先の卸業者と直接取引できるようになった。農業機器等の導入は、国の担い手補助金を活用した。先般、長野県名物の おやき の会社をM&Aした。原料作物と最終商品の製造に着手し、経営の安定を目指している。

先端技術をフル活用するとともに地域の5つの福祉事業所と連携することで、事業展開の可能性が広がった。福祉事業所からは、販売方法等で助言があったり多様な作業に対して、施設利用者の適性を引き出してくれたりする支援員の力は経営に大いに貢献している。

最後に、行政に言いたいことは「新規就農者」の本気度の見極めをしっかりしてほしいことだ。助成金があるから安易に制度を利用されると、まじめな就農者にまで風評被害が及んでしまうからだ。もう一つは、食に対する消費者教育を推進してほしいということだ。正直な農業者が評価されるようにならないと、日本の安全・安心な農業と食は心もとない。

今後の目標は、農家を守るために販売を強力に展開していくことだ。自分で値段をつけ、お客さんに商品の良さを直接伝えることができることによって、農業の活力が持続できるからだ。

 

まさに今、私が実践しているモリンガ栽培と商品化によるエンドユーザーの声を聞く経営に、確信を得ることができました。「少子・高齢社会」「健康」「環境」が現代を象徴するキーワードだと思います。日本の地方ができる課題解決は、耕作放棄地対策を根幹業務として、農業をいかに活性化することより他ないと考えています。「やって見せねば人は動かない」どこかで聞いた言葉ですが、それをだれがやるのか?私がやります!

 

以上で2件目の報告を終わります。

三豊市議会会派清風会 視察研修報告・1

令和6年7月2日(火)から4日(木)の3日間の日程で行われた、三豊市議会会派清風会の視察研修報告をします。研修先は、富山県立山町の交流ステーションと長野県の民間農業事業所、東京都議員会館での勉強会でした。

 

1件目の視察研修先である富山県立山町「元気交流ステーション『みらいぶ』」は、【高齢者も、赤ちゃんも、だれもがみんな、快適に安心して利用できるように。】を目的に、立山町社会福祉協議会など保健福祉の総合的な機能を集約し、立山図書館や交流センターなど暮らしに役立つ公共施設と富山地方鉄道五百石駅が一体となった福祉施設だ。

以前から分散していた保健福祉機能を集約する保健福祉センター構想があった。人口減少が著しい中で立山線の廃線の危機があり、現町長になりその存続を掲げて駅との一体建設が実現した。

総事業費は19億円で、まちづくり交付金(現:都市再生整備計画事業)等を活用し、設計から2年ほどの超短期間で2012年5月に竣工した。駅舎に関する建設費及び維持管理費は町が負担し、冨山地方鉄道の費用負担はゼロで、光熱費等の経費負担のみとしている。行政エリアの管理は、地元事業者でつくる「商業協同組合」が5,000万円/年 で指定管理者となっている。

施設内容は、1~3階が交流ゾーンで駅改札口や図書館などの各スペースにつながっている。1・2階は図書館ゾーンで「改札口を抜けるとそこは図書館だった。」で表現されるような配置とされ、一般書・児童書がそろっている。3階は保健・福祉ゾーンで、子どもを持つお母さんお父さんの悩みから介護の相談など、保健福祉で気になること・知りたいことにワンストップで対応できる。

 

『みらいぶ』のある富山地方鉄道五百石駅は800人/日の利用があり、多くは高校生で時間待ちが自分の居場所づくりとなっています。また、電車・バスの結節点の機能が向上したことで、人の流れが変わったとのことです。三豊市では、高校生が主要な利用者であるJR四国高瀬駅(1,1000人/日)の改修計画が進められようとしています。駅舎そのものの建設計画に加え駅前の民間活力導入による最適活用の検討の必要性を強く感じた研修でした。

以上で1件目の報告を終わります。

総務常任委員会行政視察研修 報告Ⅲ

3か所目の訪問先である富山県南砺市では、「移住・定住の取り組み」について南砺で暮らしません課 他から説明をいただきました。

 

南砺市は、人口46,000人余(うち外国人1,000人余)、面積668.64㎢、富山県の南西部に位置している。4つの町と4つの村が合併し誕生し、令和6年11月1日に20周年を迎える。

 

「南砺市の移住・定住施策について」 南砺で暮らしません課

南砺市の移住ガイド『なななんと』の冒頭のコピーは次のように語りかけている。「特色のあふれるそれぞれの地域には、美しい四季の中で受け継がれてきた古き良き伝統が息づいています。豊かな自然に囲まれた里山での暮らし、歴史や文化がぎゅっと詰まった情緒あるまちなかでの生活、その両方が存在しており、自分に合ったライフスタイルがきっと見つかります。あなたが思い描く理想の暮らしを南砺市で実現してみませんか。」

南砺市は「田舎暮らしの本」宝島社の2024年2月号で、「住みたい田舎」ベストランキングの北陸エリヤにおいて、総合部門で2位となった。南砺市の良さを感じ移住する人が増えている。暮らしやすさと県内トップレベルの充実した移住支援策で、UIJ ターンを支えている。

南砺市が評価されているポイントは ①世界遺産など伝統や文化の宝庫 ②就業、通勤、企業のどれもが良い環境 ③移住を希望する方への支援制度が充実 ④移住定住希望者へのトータルサポート

移住希望者に対し、移住や定住に向けた国や県、市の施策をパッケージ化し、手続きや情報提供をワンストップサービスでサポートすることで、移住への支障を解消している。また、潜在的な都市部の移住希望者へ様々なチャンネルを通して移住情報を伝え、その人の移住希望の実現を支援している。

その仕組みは、【知る・伝える】*情報発信事業 ⇒【体験する・受入れる】*移住準備事業 ⇒【移住・定住へ】*定住サポート をワンストップで提供しており、住まいの補助金として『住みたい南砺応援金』や『定住奨励金』の制度を充実している。

 

「関係人口に着目した南砺市応援市民制度について」 政策推進課

南砺市には「応援市民登録制度」がある。南砺市の考える応援市民(関係人口)の姿は、短期・中期に市民とともに地域を守り、盛り上げていくパートナーとして、長期としては「できれば南砺市に住んでもらいたい」。移住は無理でも継続的な関係を深めていくことだ。

「南砺市の人口ビジョン」を策定している。社人研推計では2060年23,000人弱と予測されているところを30,000人の目標とした。そのために応援市民の目標を5,000人とした。平成28年10月から登録開始し、令和6年3月末現在の登録者数は1,149名の実績となっている。

課題と近年の取り組みについて、そもそも南砺市応援市民の認知度が低いとか、応援活動への参加者が少ないとかの課題があり、その対策として金沢大学と連携し、「学生サポーター」を募集した。現在は、学生が南砺市内で様々な活動を展開している。

「学生サポーター」活動による効果は、若者が活躍することで南砺市でなら何かできそうな雰囲気が生まれ、出ていった若者も南砺市が気になり、戻ってみようかなという機運の醸成へとつながっていく。「若者に寛容なまち」「若者から選ばれるまち」を目指し、新しいことへのチャレンジを応援する。「寛容性」にあふれた地域社会を構築し、人口ビジョンの達成とまちの将来像の実現を目指す。

学生の参加と新たなアイデアで地域に変化を!を実現しようとしている。

 

「市内企業の人材不足解消に向けた取り組みについて」 商工企業立地課

「若者の希望にあう就業への支援」を推進していくため、若者が地域に定着できる「仕事づくり」を戦略的に取り組む。南砺市の「課題」や「特性」を整理した上で、まちづくりと一体となった若者定住に向けた企業立地施策等を定める「企業立地戦略」を策定した。計画期間の設定を、令和4年度~11年度とし、第1段階を4年度~8年度、第2段階を9年度~11年度とした。

策定委員会では、 ①市内企業の市外流出による就業機会の減少 ②市内企業が十分に知られていない ③若者、女性の希望に沿う就業機会が乏しい の3つの課題に整理したうえで、3つの基本方針を定めた。 基本方針1:市内企業の定着及び成長促進  基本方針2:雇用確保に向けた市内企業の魅力発信強化   基本方針3:市の特性を踏まえた企業誘致 とした。次に、市の強みと弱みを拾い出し、現状を整理することで市の特性を示した。それらを分析しながらそれぞれの基本方針について事業プランを立てていった。

プラン立案には3つの基本方針のそれぞれの背景の見極めが重用だ。 基本方針1:●特に若い女性の人口流出に歯止めがかからない ●市内に一人暮らし向けの賃貸住宅が少ない  基本方針2:●市内企業の魅力が知られていない ●大学進学で地域とのつながりが希薄になる  基本方針3:●子育て世代を含めた女性の就業機会が少ない ●転出した若者を就職等で呼び戻すことが必要 ●市外からの企業誘致の実績が少ない  これらの背景を踏まえた事業プランの事業が創設され、まさに展開中である。

今後の推進体制については、事業プランの取り組み状況の評価、検証を行い、社会情勢の変化を踏まえ、適宜見直しを行う。(産業振興会議等に専門家を加えることを想定)

 

私が、興味を持つと併せてぜひ三豊市(行政がやるかどうかは別として)でも取り組む必要性を強く感じたのは、基本方針2の事業の一つである「若者と企業のつながり支援の中のインターンシップ開催事業」です。高・大生が地域の事業者がどんな思いで企業経営を行っているのかを、知る機会がこれまで皆無であったのです。企業は人手不足であえいでいるにもかかわらず、地元の若者は働く場がないから外へ出ていくという、ミスマッチが生まれていたのです。その原因は、若者が生まれ育った地元企業の本質を知る機会がなかったからです。重要なのは、お互いを知る方法を誰が展開するのかということです。若者たちにとって地元企業が働く場だと気づけば、それは地域の魅力であり、強み・資源になり輝きを発するのだと確信した研修でした。

 

以上で、3回に渡る総務常任委員会行政視察研修の報告を終わります。

 

 

総務常任委員会行政視察研修 報告Ⅱ

2か所目の訪問先である新潟県上越市では、「上越市の防災の取り組み」について、危機管理課他から説明をいただきました。

 

「『令和6年能登半島地震』における上越市の対応状況等について」

今回の能登半島地震は、日本海調査検討会(2014)による波源断層モデルにおける能登地域のF43が動いた。当市には30分位で津波が来ると予測されていたため、速やかにその対応を行った。午後4:35頃に第1波が関川を遡上。市内で確認した河川の津波遡上は、関川から約5㎞、関川の支流の保倉川で約1.6㎞まで確認された。関川河口における津波の高さは3.2mで、遡上高は船見公園の5.8mが記録された。

津波ハザードマップでは、避難支持の発令は津波発生時は市が避難指示を発令する時間的猶予がないため、『大津波警報・津波警報・津波注意報』をもって、市からの避難指示の発令としている。

市の情報発信は、防災行政無線や防災ラジオ、安全メール、市公式SNS、市HP及び報道機関を通じた周知など、様々な手段を用いている。今回の興味深い発信の手法として、発災日である1日には3回防災行政無線によって、市職員の肉声で津波からの避難と火災防止を周知した。人の声での発信は効果的であった。

津波からの避難の基本的な考え方として 【浸水想定区域内:直ちに指定緊急避難場所などの高台へ避難】 【浸水想定区域外:安全な建物の中にいれば、原則、避難しなくてよい 自力での避難が難しい人については、屋外に出ることで余震や交通事故などの二次災害のリスクが高まるため、自宅等に留まることを推奨】

能登半島地震連絡調整会議における有識者からの提言として、これまで自動車での避難を否定していたが、自動車での避難方法を詳細に検討する段階にきていることに対して、市の方針は「原則、徒歩による避難」とするが、「避難行動要支援者等に限定した自動車による避難」を選択肢の一つとした。

次に、生活環境課から能登半島地震による、一般家庭から発生した災害廃棄物の処理について説明があった。災害廃棄物処理計画に基づき迅速な対応を行う必要もあり、一時的に市民から受け入れた災害廃棄物を集積する仮設置き場を、上越市クリーンセンター(市の燃やせるごみ焼却施設)敷地内に設置した。1月5日~5月2日まで開設した。この期間中は、処理手数料は減免とした。現在、災害廃棄物は、順次排出作業をおこなっている。

 

上越市では、津波被害想定区域のデータ情報の制度が格段に向上していることから、市民一人一人の生活・住環境を考慮することで、最良な避難手段を導きだそうとしています。これも、能登半島地震の経験と体感から生まれた示唆なのだと思います。この生きた学びを、三豊市の防災に活かしていかなくてはならないと再認識した研修でした。

総務常任委員会行政視察研修 報告Ⅰ

令和6年7月9日(火)~11日(木)の3日間、三豊市議会総務常任委員会の行政視察研修に参加しました。研修先は石川県金沢市と新潟県上越市、富山県南砺市の3か所です。

1か所目の訪問先である金沢市では「金沢市の防災の取り組み」について、危機管理課他から説明をいただきました。

 

「『令和6年能登半島地震』における金沢市の対応状況等について」

令和6年1月1日(日)午後4時10分、石川県能登地方(輪島東北30㎞付近)で、マグニチュード7.6規模の地震が発生した。金沢市は震度5弱であった。人的被害は負傷者9名死者なし(帰省先の能登で死者あり)、建物被害9,095件、道路被害2,653件、河川被害101件、がけ地被害184件、水道被害1,100戸、下水道被害約36㎞

災害対策本部は4時10分設置(3月31日をもって解散)し1月1日か~7日に7回開催された。避難状況は避難所124か所で、津波情報のため1日の午後9時30分時点で避難者数10,259人となった。

「能登被災地支援本部」を4日に設置。延べ3,973件を受け入れた。「能登被災者受入支援本部」を10日に設置。輪島市南志見(なじみ)地区から最大314人を受入れ。受入れ支援は金沢市社協が主催し『あつまらんけ~のと!』を開設して【カフェ】【支援物資配布】【相談窓口】を実施している。

能登半島地震関連予算として、能登地域の復興キャンペーン事業や市内経済団体等と能登の団体との連携事業支援制度創設、「銀座の金沢」展、能登工芸作家情報発信支援費、応急仮設住宅入居者に対し災害救助法の対象とならない生活家電の購入費用を助成、食事の提供のない宿泊施設の避難者に食事に使えるプリペードカードの配布、市内で避難所生活を送っている被災者に食事券を提供、「被災宅地等復旧支援事業費補助」、「被災木造住宅耐震改修等事業費補助」等を実施。復旧・復興に向けた取り組みとして、「金沢市被災地区復旧技術検討会議」「金沢市能登半島地震課題検証会議」を設置。現在も、復旧・復興のため取り組んでいる。

次に、「防災」と「景観・観光」「安全・快適」の面で効果が期待できる【無電柱化】の取り組みについて、土木局道路建設課無電柱化推進室から説明があった。

続いて、現地視察で無電柱化事業の事例として主計町(かずえまち)を視察し、備蓄品等を収納する防災倉庫のある金沢スタジアム:防災拠点広場を訪問した。

 

発災時から刻々と移り行く現実の速やかな対応の記録は、臨場感あふれるものでした。また、速やかな復興・復旧に向けた、多面的かつ多様な視点での予算措置の在り方に気付くことのできた研修でした。