平成19年度カウンセリング講座

瀬戸内短期大学地域教育センター及び、日本教育カウンセラー協会香川支部と日本学校心理士会香川・高知支部の主催による、平成19年度カウンセリング講座が12月15日の午後にあり受講してきました。
この講座の趣旨は、“家庭・学校・地域において、子どもたちが発達途上に経験する適応・学業・進路に関する諸問題を解決し、その成長を支える予防的、開発的な相談・援助ができるようになるための研修をする。”となっています。
現代社会は、子どもたちにとってもあらゆる場面で、ストレスの多い社会であることを認めた上で、それならばどんな生き方に導いてゆけるのかを求めるものなのだと思います。
瀬戸内短期大学教授 草間徳康先生からは「少年法改正に伴う非行少年の扱い」を、観音寺第一高等学校教諭 岡田倫代先生からは「ピア・サポートの実践とその効果」の、講演をいただきました。
草間先生のお話は、本年11月1日施行の少年法改正で、少年非行(不良行為)の解釈の変化に関するものでした。
少年非行には (1)犯罪行為 (2)触法行為 (3)ぐ(虞)法行為 があります。
犯罪行為は、14歳以上~18歳未満の少年が犯した行為をいい、犯した者を犯罪少年といいます。
触法行為は、13歳以下の少年で刑法上は罰せられない者を触法少年といいます。
ぐ(虞)犯行為は、見過ごすと将来犯罪を起こすおそれがある者を、ぐ(虞)犯少年といいます。
特に、概ね12歳以上の触法少年に対する保護処分は、少年法改正により小学校においても警察の介入要請の可能性が生まれています。
このことによって、小学校での指導に大きな変化が生まれるとの指摘がありました。
岡田先生からは、『ピア・サポート』の定義や必要性を中心として、実践で気づいた『ピア・サポート』の問題点と今後の課題についてのお話がありました。
『ピア・サポート』とは、人が人を支援することであり仲間を支える活動です。
また、支援する訓練を受けている人を『ピア・サポーター』といいます。
今、『ピア・サポート』が必要とされる背景には、小学生時代の“遊び”の変化で子どもたちの成長の過程が大きく様変わりしたことにあります。
小学生のギャング・グループ(同一行動)の消失で、中学生のチャム・グループ(同一言語)の肥大化が生まれ、そこに長期間の“イジメ”が発生しているのです。
これらの流れの結果、高校で仲間関係の修正が必要となってきたのです。
高校生のピア・グループ(異質性)によって、お互いの違いを認め合い、「あなたはあなた、私は私、自立した者同士で協力してゆっこう」を求める活動となってきたのです。
ギャグとチャム時代をやり直すことが一つの方法として考えられ、“かくれんぼ”や“鬼ごっこ”をして、“遊び”の時間を取り戻そうとする試みが行われるようになってきました。
実践では、『ピア・サポーター』の募集と養成に始まります。
高校生の応募の動機は、「友達を作りたい」「人の役に立ちたい」「友達の力になりたい」「自分が必要とされる人になりたい」が、多くあります。
養成は、15回の養成講座を行いました。
サポートの一番の基本となる、しっかり相手の話を聞くスキルを習得し、生徒相互の関わり方(仲間の存在)を見つめます。
「できるだけ多くの人と挨拶や声掛けをすること」「笑顔を絶やさないこと」「話をたくさん聞いてあげること」「相手の良いところをできるだけ多く見つけてあげること」「相手の意見を尊重して聞くこと」などの、目標の設定をし実践します。
その中で、ほめ言葉(プラスのストローク)を贈られたときに心地よさを味わうことによって、見方や枠組みを変え(リ・フレーム)、相手理解とともに自己理解を深める体験をするのです。
これらの実践の結果、「自分の口臭や体の臭い」「生きる目的が見つからない」など、誰にも相談しない内容についても、生徒同士で自分たちを理解しようとする姿勢が見られるようになってきました。
今後の課題として、『ピア・サポート』活動中の『ピア・サポーター』の心のケアに関する問題や、教職員間の連携調整などの問題に対する、解決の道筋を求める必要があるとのことでした。
教育現場における、子どもたちへの法的対応の認識と、『ピア・サポート』によるカウンセリングの可能性を感じた講習でした。