エコノミック ガーデニング

2月5日の四国新聞に、先日この場で『Think Small First』(1月27日付)として書き込んだことと同様主旨の論評が掲載されていました。
山本尚史国際教養大学准教授の「地域の再生に向けて」と題した、“(企業)誘致より地元(企業)強化を”が主要テーマとして書かれたものです。
地域経済や社会構造を、五輪塔という仏教の五層の石段に見立て、地域再生の糸口を説くものでした。
五層の石段に書かれた宇宙の構成要素である「空、風、火、水、地」に、地域社会の再生に向けた多面的要素を重ね合わせて論じており、
「空」は人々の雰囲気を、
「風」は技術者や知識労働者を、
「火」は企業や農家を、
「水」は自然環境や公共施設や伝統行事を、
「地」は住民や自治組織であると言っています。
地域の活性化には雇用の場の確保が不可欠であり、これまでは外部からの“企業誘致”を優先したが、これからは“地元企業強化”がより重要な政策であるとして、米国コロラド州リトルトン市の採った『エコノミック ガーデニング』手法も一つの方向であると述べています。
『エコノミック ガーデニング』の原則は「企業家精神あふれる地元の中小企業が活躍できる環境を創出すること」にあり、言葉通りたくさんのきれいな花が咲く庭園を造るように手間暇を掛け地元の産業を育成することだと言います。
日本ではまだまだその社会環境にはないが、札幌中小企業支援センターの地理情報システムによる商圏分析での支援の類似例があると言います。
『エコノミック ガーデニング』の重視する産官学と市民の連携は「五輪塔」に見立てた要素と一致します。
地域再生に必要なものとして、
・地元企業「火」の成長
・大学や研究所「風」からの知識支援
・行政による生活インフラ「水」の充実
・地元の消費者「地」の参画と応援
・革新的な地域人によるリーダーシップとコーディネーター「空」
であると言い、中小企業庁が創設した「中小企業地域資源活用プログラム」を切っ掛けに、地域主導の『エコノミック ガーデニング』手法による地域再生を模索するときであると締めくくっています。
いかなる経済社会環境にあっても、「このまちと共に生きる地元中小企業」育成のために、『エコノミック ガーデニング』の原則をふまえた、中小企業憲章や中小企業振興基本条例などの法的整備も、民間活力の導入と同様に、急がなければならないと改めて思っています。