慶應義塾創立150周年記念講演会

慶應義塾創立150年を祝う記念講演会が、5月25日(日)、高松のサンポートホールで開かれ、同大学現役の教授3人による講演が行われました。
現在の日本の経済と政治を語るには最高の方々です。
法学部教授 小林良彰氏。国政選挙にはテレビの政治番組によく出演しています。
同じく法学部教授 片山善博氏。前鳥取県知事で、鳥取自立塾では何度かお会いしています。
そして、同大学院メディアデザイン研究科教授 竹中平蔵氏。言わずと知た、小泉内閣で経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、総務大臣を歴任したあの方です。
小林良彰氏 『日本政治の行方』
ガソリン代高騰や道路特定財源、後期高齢者医療制度などの問題で、日本政治は混乱している。
政治に対する知識や情報はあるが、行動しないのが日本人だ。
なぜなら、行動して政治がよくなる経験がなく、意識も弱い。
創立者である福沢は、庶民が学ぶために義塾を作った。
学問とは生きた活動の一環で、市民社会を作るためにある。
日本政治の行方は、市民自らが学び行動し方向づけてゆくことだ。
片山善博氏 『地方分権改革は進んだか』
地方分権改革は進んだか?の問いに対し、少しは進んだがその実感は無いだろうと応える。
そのわけは、国から地方自治体への“権限移譲”や“国の関与の減少”、“財源移譲”など自由度は増したが、住民までは成果は及んでいない。
国の改革は進んでいるが、地方の構造改革はまだまだだ。
国の関与はかなりなくなり、市民が選んだ人同士で決定できるようになっているが、現実は自治体の権限が強くなっているだけに止まっている。
さらに前進して、首長や議員を市民がどう選び、いかにチェックし、リコールもしやすくして市民がコントロールしやすい方向にしなければならない。
“自分の力で考える市民が社会をつくる”そうなって初めて真の地方分権改革は進んだと言える。
竹中平蔵氏 『日本経済と改革のこれから』
日本経済の現状は、
①韓国のイ・ミョンパク大統領は、7%成長、年収4万ドル(日本は3万8千ドル)、GDP7位を達成する政策を明確にしている。韓国が日本経済を射程圏内に捉えたということだ。
②外資の排除などグローバル化に逆行しており、世界から見て日本経済はやるべきことをやらなくなっている。
③日本のCO2削減技術をもってすれば、全世界の65%のCO2を削減できる力を持っている。
これまで日本は財政健全化しながら経済成長してきた。
これからは、戦略的アジェンダ(行動計画)として期待感の持てる政策が必要だ。
たとえば、ボーリングのセンターピンのように、他のピンに影響し広がりの可能性がある政策のことだ。
具体的キーワードは、「羽田空港」 「交流人口」 「法人税引き下げ特区」 「東大民営化」などだ。
最後に、地方経済の改革と活性化のポイントは、「徹底的な地方分権」と「農業の徹底的改革(農地法改正とJAの改革)」だと提示がありました。
その場しのぎの水戸黄門的解決ではだめで、地方分権改革には制度や仕組みと、市民自らが変わることへの期待感が語られました。
やっぱり一流はすごい!!!!
同じ空気を吸っているだけで、未来への可能性に気づかされ、夢と希望が湧いてくるものなのですね。