「地方創生、地域活性化にむけて」研修会報告 【基礎編】

地方議員研究会主催による「地方創生、地域活性化にむけて」の研修会が、福岡市で10月6日(火)に開催され参加しました。講師は、元武雄市長で現在樋渡社中CEOの樋渡啓祐氏です。市長であったとき、佐賀のがばいばあちゃんの映画の誘致や、市立病院民営化、100万人が来る図書館等、話題を発信することで武雄市の知名度向上に大きな実績を残してきました。

 

【基礎編】

平成18年36歳で市長になって感じたことは、市長には人事権と予算提案権位しかなく、決定権は議会にあり、ほとんど権限がないことだった。だから、私は議会と多くの時間を持つようにした。これまでの実績は、議会と団結したからできたと思っている。

市長就任当初は、武雄市は全国から見るとどこにあるのかすら知られていなかった。市民ですらこのまちには何もないと自虐感の中で生きていた。そこで、先ずブランド力をつけるために知名度を上げることから始めた。常に注目されるように仕掛けていった。そうすると、武雄市が知られることで人、物、金が寄ってきた。知名度が上がったから観光客が増え、地価も上がり、人口が増え税収が増えた。その取り組みの話をする。

知名度を上げる方法としてフェイスブックを最大限に活用した。市役所にフェイスブック・シティ課を設置し、徹底的に発信していった。それで何が起きたか。5万のアクセスが48億7,000万件になった。すると、本家本元のフェイスブック社から取材されるまでになったことで、さらに注目度が上がっていった。

一方、タブレットを小学校教育に導入し、はなまる学習塾の協力を得て飯の食える教育(自ら学ぶ楽しさ)に取り組んだ。民のノウハウを官に取り入れることで、全国から子育て世代が集まっている。武雄市は地方都市のため民が育っていないから、官が先ずやった。もう一つの例は、農業だ。官がレモングラスの苗を輸入し民である農家が栽培して特産品にした。すると軽トラックがレクサスになった。その後、イノシシ、アボガド、熱帯フルーツ等と広げていった。

これまでの取り組みでとってきた戦略が4つある。

戦略1. 『組む、組む、組む』 はやりものに手を出すことで、フェイスブックの波に乗った。旬の人と組み(ホリエモン、乙武、小泉進、橋下etc)話題性を高めた。HP×フェイスブックや市立図書館×CCCの組み合わせにずれ感があることが話題性を増幅させた。

戦略2. 『スピード』 市民は民が良いことを知っている。病院と保育所の民営化や、市立図書館をCCCに任せることを決定したのもスピードだった。CCCの増田社長に市長の私が直接アポをとった。2012・1・23代官山つたやで、樋渡「図書館をCCCさんにお任せしたいのですが」 増田「承りました」   2012・5・22 CCC×武雄市共同記者会見   2013・4・1 リニューアルオープン   後日談として、樋渡「なぜ武雄市と図書館事業をやろうと決めたのか」に対して、増田「あなたが最初に声をかけてくれたから」だった。増田「これからの社会に必要なものは、<病院><本屋><住宅>だ。民間が図書館を手掛けるには法的ハードルが高い。そこにあなた(樋渡)が来たからだ。」

戦略3. 『情報収集(テレビ)』 ネットが普及しているが、幅広い世代が情報を入手するのはテレビだ。旬の人と一緒にテレビに取り上げられることで知名度を上げることが最も近道だ。

戦略4. 『見える化とエッジ』 人は見えるものでしか判断できない。CCCに図書館運営を任せるにあたって、本の引っ越しから市民と一緒にやった。そのうえで、誰もが思い思いに図書館を楽しむことだ。事実、子どもの来館者が増え、起業家が訪れるようになった。人が寄ることで周囲にはマンションが2棟も建った。23万人の来館者が100万人になった。

大規模な自然災害で不幸な人やことが多くあり、これらに接していて気付いたことがある。地方創生は、〔共感すること〕〔応援すること〕〔実行すること〕ではないかと思う。もし、自らは実行できなくても共感して実行する人を応援することができるのが、地方創生につながるのではないか。

ふるさとスマホ(株)で ●糖尿病予防 ●高齢者の安否確認 ●地方創生(観光、商店街の活性化、通販・ふるさと納税)を柱にした地方応援事業を展開する。自治体スマホ連絡協議会を11月に立ち上げる。人の心が豊かなまちは活気があると誰もが知っている。ぜひ皆さんの自治体も参加してほしい。

ストーリーがヒストリーになる。ヒストリーのHはラテン語で「高める」ということだ。だからヒストリーは、過去の物語をより高め未来につなぐ歴史になるということだ。ストーリーをヒストリーに。物語語りが歴史になる。それをできるのが議員の皆さんだ。

 

‟感動するまちをつくる” こんなキーワードが頭に浮かんできたのでした。新たな活力を注入してくれた講演でした。次回は、【応用編】の報告をします。

 

 

 

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