超会派議員団の行政視察研修報告・2

三豊市議会の会派を超えて結成された議員団による、行政視察研修の2件目の報告は、宮古島市における「エコアイランド宮古島について及び現地調査」です。

宮古島市は、糸満市のある沖縄本島から南西に約300㎞の位置にあります。大小6つの島から構成され、面積は204㎢、人口55,000人です。年間を通して温暖な気候であるため、各種スポーツイベントやプロ野球キャンプ、スポーツ合宿が行われて、島の特性を生かした集客に積極的に取り組んでいます。

 

2008年(平成20年)に ①循環型社会の構築 ②環境保全の推進 ③産業振興 を柱とした『エコアイランド宮古島宣言』をし、‟環境モデル都市宮古島”の実現を目指し取り組んでいます。この政策に至る背景には、宮古島の基本的な課題があります。

●離島県である沖縄県のさらに離島に位置する宮古島では、食料やエネルギー資源を島外依存。地産地消による資源循環が必要。

●ライフスタイルの変化や産業経済活動の活発化に伴う自然環境への負荷増大。生活の源となる水を始め、環境資源でもある自然環境の保全が必要。

●人口減少による地域の衰退。地域産業の振興による雇用の確保が必要。

山や川が無く水をすべて地下水に頼っているため、生活が豊かになるにつれ、島の自然環境への負荷は地下水汚染や海洋汚染の形で表れ始めました。これらの解決のために、サスティナブル・ディベロップメント(持続可能な成長)を基本理念とする取り組みが必要とされたのです。

『エコアイランド宮古島宣言』

1.私たちは、島の生活を支えるかけがえのない地下水を守ります。

1.私たちは、美しい珊瑚礁の海を守ります。

1.私たちは、みんなの知恵と工夫で、限りある資源とエネルギーを大切にします。

1.私たちは、ゴミのない地球にやさしい美(か)ぎ島(すま)宮古(みゃ~く)島(ずま)を目指し、一人ひとり行動します。

1.私たちは、よりよい地球環境を取り戻し・守るため、世界の人々とともに考え・行動し、未来へとバトンタッチします。

1.私たちは、緑・海・空を守り、すべての生物が共に生きていける環境づくりのため行動します。

宮古島市は、平成21年に政府から「環境モデル都市」の認定を受け、‟環境モデル都市宮古島”として、国内唯一の島しょう型環境モデル都市へと取り組んでいます。環境モデル都市行動計画でCo₂削減目標を定めており、2003年度32万トンを基準年として、約50年後の2050年度に9.9万トンにし、7割削減することとしています。この実現に向けて、平成23年に経済発展と低炭素の両立を目指して、各部門におけるアクションプランを策定しています。

地域新エネルギー・省エネルギービジョンでは、離島であるため公共交通が手薄であることから、自家用車の保有率が高く <電気自動車及びバイオ燃料を活用したクリーンエネルギー自動車の導入> に特化したアクションプランとしています。 ●電気自動車(EV)の普及による省エネルギーの促進 ●地域特性を生かした地球環境にやさしい新エネルギーの導入 の2本柱になっています。

一方、平成21年に資源エネルギー庁の認定を受けた『宮古島市次世代エネルギーパーク』では、島全体をエネルギーパークとして位置づけ、「エコパーク宮古」を中心として様々なテーマを持ったエリアを周遊しながら、新エネルギーを体感できる学習・視察コースを設けています。エコ体験の来島者は年間2,000人おり、宮古島だからこその差別化した展開に取り組んでいます。

今後の環境モデル都市の重点施策の展開は、低炭素社会の実現に向けた実証事業を進めるとともに、新たに、地中熱利用システムの実証事業と展示を行い、体感できる仕組みづくりに取り組むこととしています。

”環境モデル都市宮古島”として、これまでに様々な事業に取り組んでいます。「さとうきび等による自給自足のエネルギー供給」や「クリーンエネルギーによるCO ₂フリー化」「島しょう型スマートコミュニティ実証事業 ①宮古島市全島EMS実証事業 ②来間島再生可能エネルギー100%自活実証事業 ③小型電気自動車製作実証事業」「超小型モビリティ実証事業」が着手されています。その他エコアイランド宮古島の様々な取り組みとして、 *全日本トライアスロン宮古島大会におけるカーボンオフセットの実施  *集客施設等の観光関連施設へのEV用充電設備の整備  *EVを活用した移動図書館の実施  *エコハウスを活用したエコ啓発事業  によって、サスティナブル・ディベロップメント(持続可能な成長)なまちづくりに挑戦しています。

今後の展開は、 ●MICE誘致など、観光産業との連携強化 ●農業システムのゼロカーボン化 ●島内運輸部門のCO₂フリー化 ●天然ガスや海洋エネルギーなそ、未利用資源の有効活用等、沖縄の優位性を活かし、国内外に発信できる島しょう型低炭素社会の構築を目指していきます。

【現地調査】

1.宮古島バイオエタノール生産設備   宮古島市の基幹作物であるサトウキビの製糖残渣を原料としたバイオエタノール利用や残渣液の土地への還元による、島内のサトウキビのカスケード利用での循環型社会構築を目指したいます。そのための施設が『宮古島バイオエタノール生産設備』です。この施設は、国の実証実験が修了の後、市が払い下げを受けたもので、運営は民間委託事業者である日本アルコール産業(株)が行っています。E3燃料のバイオエタノールや、副産物を利用した堆肥や飼料を製造しています。

2.地下ダム資料館   宮古島は、河川がなく農業用水の確保が困難で不安定な農業を営んできました。水無農業からの脱却を目指し、透水性の高い琉球石灰岩の地下に止水壁で貯水ダムを建設し、水源確保しています。

 

自らの住む地域のここにしかないものに気付き、それを大切にして全力を投入することで、未来を切り開いていこうとする、生活の実感が伝わってくる研修でした。

 

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