会派清風会の行政視察研修報告・1

10月4日(火)から6日(木)の3日間、三豊市議会会派清風会の行政視察研修に参加しました。訪問先は、長野県伊那市役所と栃木県佐野市「認定こども園 あかみ幼稚園」、東京都衆議院会館大野敬太郎事務所、都内のNPOふるさと回帰支援センターの4か所です。

1件目の訪問先である、伊那市「子育て支援策について」の研修報告をします。

長野県伊那市は、平成18年に旧伊那市を含む3市町村が合併し、人口7万余、面積667.8k㎡で県内第3位となり誕生しました。中央・南両アルプスに抱かれ、天竜川・三峰川の扇状平野に町並みが形成され、古くから歴史の舞台として登場するとともに、豊かな自然と共存し栄えてきました。現在の伊那市は、本来の自然と、自然とともにある、持続可能な循環型のくらしを今も「実感」できる場所として、「日本一子育てしやすいまち」であると評価されています。

 

「子育て世代にぴったりな田舎部門」2年連続日本一の評価をいただいている。なぜ「日本一子育てしやすいまち」なのか?自己分析すると、<子育てのしやすさ> <価値ある取り組み>が認められている結果ではないかと考えている。

<子育てのしやすさ>  子育て世帯に対する市営住宅の家賃の軽減制度、総合病院や産科・小児科の立地、出産祝金の支給や保育料の軽減、子どもの医療費補助、高校生の通学費補助など、子育て支援て支援策が充実している。

<価値ある取り組み>  「自然や遊びの中から学ぶ保育」や小中学校での「暮らしのなかの食」など、伊那市でしか体験できない価値のある取り組みが高い評価を受けている。

この評価を支えているのは、【切れ目のない子育て”支援”と”環境”の充実】を目指してつくられた事業の数々だ。

『切れ目のない支援策』  ●産前・産後サポート:ハッピーバースデー講座(両親学級)、妊婦さん訪問・赤ちゃん訪問、助産師による育児・母乳相談への助成、ママヘルプサービス、小児科・産科・助産所の多様なサポート ●子育て支援センター:育児の悩みには、保健師、助産師、栄養士、歯科衛生士などが対応して子どもの成長を一緒に支える ●オリジナル出生届:伊那中央病院、菜の花マタニティクリニックで発行 ●ウッドスタート・ブックスタート:地元木工職人がつくった木のおもちゃ一つと絵本を一冊プレゼント ●保育料の減免:多子世帯の軽減、ひとり親世帯の軽減、3歳以上の延長保育料を半額 ●出産祝金:過疎地域への若者の定住促進や人口増対策のため祝い金を支給。旧町村地域は第1市から、その他の地域は第3子以降から ●ファミリー・サポート・センター:地域の中で子育ての助け合いを有償で行う ●福祉医療給付金:子どもの医療費負担を軽減するための医療費の助成

『充実した子育て環境』  ●遊びの中から学ぶ保育:保育園では、自ら面白がる、試してみたがるなど、意欲を持って行動できる子どもを「がるがるっ子」と名付け、自ら遊ぶ(学ぶ)力を育むために、地域の豊かな自然体験を活かし、遊びの中から学ぶ保育に取り組んでいる ●シンボルツリー:保育園に植えられている親しみのある木で遊び、四季を感じる体験を積み上げ、知恵や意欲を育てる ●園庭の芝生化:芝生の上を裸足で走り回れる園庭づくりを計画的に進める

次に、市が抱える課題を資源と捉え取り込むことで、まちの抱える課題解決に結び付けようする事業を紹介する。

市営住宅を活用した〔子育て支援「子育て住まいる事業」〕は、市の課題である市営住宅の空き住戸対策と子育て支援策の両方がかみ合った、複合施策となっている。始めは、市営住宅の空き住戸を少しでも解消したいと計画した。家賃を1~2割程度値下げしたが、既存入居者は喜んだが新規入居には効果がなかった。そのため、本年(平成28年度)4月より子育て世代の入居推進に焦点を当てた「子育て住まいる事業」に着手した。 ①子育て世代、若者世代の入居要件緩和 ②子育て世帯の家賃2割軽減  するものだ。

事業概要と目的は、(1)旧2町村の過疎対策として、市営住宅(その他住宅)を活用し子育て世帯を誘導することにより活性化を図る (2)子育て世帯の入居の要件緩和をすることにより、入居者を増やし空き住戸の解消を図る (3)子育て世帯に対し、家賃を減額し生活支援を行う

事業内容は、①子育て(若者)世帯の入居要件の引き下げ ●対象世帯:中学生以下の子どもの要る世帯 また 入居者と同居者のいずれもが40歳未満の世帯 ●内容:子育て(若者)世帯の入居所得要件を「月額123,000円以上」に基準を引き下げる(一般世帯は月額158,000円以上)  ②子育て世帯の家賃軽減 ●対象世帯:中学生以下の子どものいる世帯 ●内容:家賃を2割軽減 ●軽減期間:平成28年4月から平成33年3月まで(5年間)

本年(平成28年)4月の事業開始からまだ7か月の結果だが、すでに18世帯の入居があり、退去世帯を差し引いても14戸の空き住戸が解消している。前年度の同時期(入居9、退去8で解消1)と比較してもその効果は鮮明だ。

 

伊那市の取り組みは、自らの住む地域の魅力や特性を自らが知ることで事業展開する、まさにこれこそが政策というに、相応しいものです。私が会長を務める、三豊市子ども会育成連絡協議会では、昨年度より組織と活動内容を大幅に見直し改革してきました。本年度より市が所有する自然豊かな公園を舞台にした、新たな催しの事業を企画し実施しています。このような関わり方から、三豊市型の【切れ目のない子育て”支援”と”環境”の充実】に貢献できるものと信じています。

三豊市の掲げる「子育てするなら三豊が一番」の重点施策も、私たち自らがわがまちをより深く、より広く知り、より強く愛することで、ここにあるものすべてを資源と捉えることから進めていくことの大切さを再認識した研修でした。

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