会派清風会視察研修(東北編)報告・2

三豊市議会会派清風会の視察研修報告の2件目は、岩手県遠野市における「認定NPO法人遠野 山・里・暮らしネットワークについて」です。

 

遠野市は、岩手県の内陸部と海岸部の中間に位置し、古くから交通の拠点として栄えた。平成17年に遠野市に宮守村が加わり、現在の遠野市となった。人口約32,000人、面積825.62㎢となった。100年前に柳田國男により記録出版された『遠野物語』で「永遠の日本のふるさと」として、現在も輝きを放っている。東日本大震災発生時には、被災地に対する後方支援拠点となったことで、全国から支援に訪れたボランティアとの交流が広がり、地域資源を活用したまちづくりの追い風となっている。

認定NPO法人遠野 山・里・暮らしネットワークは、遠野郷を活動のフィールドとして、「資源を生かした都市住民との交流の深化と移住の促進」「伝統文化・芸能・技術・技芸の伝承と進化と応用」「里地・里山における循環的な生活スタイルの再興と実践」を柱に事業展開している。

2003年にNPO法人として設立され、『地域の学びの場 東北ツーリズム開校』や『企業と連携した遠野体感型合宿自動車免許』『東日本大震災後方支援活動』などを経て、2016年に「認定NPO法人」となった。

これまでの活動の中で、多様な地域活動団体やグループとのつながりが生まれ、「草の根型組織の水平連携」として、クラスター型の活動となっている。クラスター組織は、<遠野グリーンツーリズム研究会> <遠野民泊協会> <東北まちづくり実践塾>等、10数団体との連携体となっている。

認定NPO法人遠野 山・里・暮らしネットワークの活動の概要は、資料の通り。

NPO法人遠野山・里・暮らしネットワーク活動
NPO法人遠野山・里・暮らしネットワーク活動概要

活動の財源は、主に各種助成事業費からなっており、国や県、市が進めよとする政策のモデル事業を受託している。 ①遠野市委託:ツーリズム型交流推進事業 ②経産省:農商工連携等促進人材創出事業 ③3省合同:子ども農山漁村交流モデル事業 ④岩手県:都市農山漁村交流拡大モデル構築事業 ⑤内閣府:復興支援型雇用創造事業 ⑥遠野市委託:遠野市「域学連携」地域づくり事業 ⑦農水省:都市農村共生・対流総合対策交付金 ⑧農水省:農山漁村振興交付金 ⑨復興庁:「新しい東北」先導モデル事業 ⑩林野庁:森林・山村多面的機能発揮対策事業 ⑪公益財団法人大阪コミュニティ財団 ⑫岩手県:GT実践塾開催委託業務

長く活動していると本来の目的から離れそうになる。常に足元を見ながら、原点を忘れずに取り組んでいかなくてはならないと自問している。

 

説明していただいた、認定NPO法人遠野 山・里・暮らしネットワークの浅沼理事さんは東京出身で、学生時代から野生動物の勉強をしており、タンザニアでの青年海外協力隊での活動の経歴があります。野生動物好きの女友達3人組で、自然の中で暮らすため、この地に居を構えようと移住してきました。浅沼さんにとっては、研究対象が野生動物から「永遠の日本のふるさと」遠野の ”ごく普通の農村の風景や、小さな淵や池、道ばたの石碑に、物語を発見する” といった、日本の原風景とそこに生きる人になったのだと思います。自然や様々な人とのかかわりが、大好きなのであろうことが伝わってきます。しがらみのとらわれず、当事者たちが「自分のこと」として取り組み、「他人事」とならずに全力で取り組む人材こそが宝であることを、またしても痛感した研修でした。