令和元年度 総務常任委員会行政視察研修 報告・3【防災】

【防災】 外囿災害対策官(防災訓練に向けた災害防災行政)

南海トラフ地震は、今後30年間でM8~9の地震が70~80%の確率で発生すると予測され、死者32万人、経済被害220兆円と想定される。

災害対策として耐震化を推進することによる、全壊建物棟数減の効果は大きい。現在の耐震化率79%で627,000棟が倒壊する言われており、90%で361,000棟の4割減、95%で240,000棟で6割減と推定される。また、津波による死者数は、約108,000人~約224,000人といわれているが、避難の迅速化や津波避難ビルにより約8,000人~52,000人となり最大で9割減となると推定される。

近年は、新たな気象状況で雨の降り方が「局地化」・「集中化」・「激甚化」しており、自然災害が多様化している。

市町村における防災対応の3原則は ①疑わしきときは行動せよ ②最悪事態を想定して行動せよ ③空振りは許されるが、見逃しは許されない である。対応を誤れば、住民の被害が拡大する。

地方公共団体における防災対応の検討として2点ある。 ●住民一人ひとりが防災対応を検討・実施するように、必要な情報提供を行ない検討を促すことが必要 ●住民一人ひとりが日常の中で地震への備えの再確認が基本となるが、津波避難に間に合わない地域等の避難のあり方や避難所の確保を検討する必要 である。

今後の水害・土砂災害からの非難に対する基本姿勢として目指す社会は、住民は「自らの命は自らが守る」意識を持ち、行政は住民が適切な避難行動をとれるよう全力で支援することだ。このような社会を実現するための戦略は3つある。 ①災害リスクのある全ての地域であらゆる世代の住民に普及啓発 ②全国で専門家による支援体制を整備 ③住民の行動を支援する防災情報を提供 である。これを実践するための方策がある。『学校における防災教育・避難訓練』や『住民が主体となった地域の避難所に関する取り組み強化』、『防災士と福祉の連携による高齢者の避難行動に対する理解促進』、『マルチハザードのリスク認識』、『住民主体の避難行動等を支援する防災情報の提供(警戒レベル1~5の理解等)』である。

市町村長が行うべき災害応急対策は、災害対策基本法により迅速かつ的確に行う責務がある。そのため、市町村長は自らが参加した全庁的な防災訓練の実施、庁舎の耐震化、防災情報システムの整備などを行い、災害時に備え万全を期す必要がある。

大規模災害時における業務継続計画は、行政が被災した中にあっても災害対応等の業務を適切に行うために必要だ。業務継続計画の重要な6要素がある。 ⑴首長不在時の明確な代行順位及び職員の参集体制 ⑵本庁舎が使用できなくなった場合の代替庁舎の特定 ⑶電気、水、食料等の確保 ⑷災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保 ⑸重要な行政データのバックアップ ⑹非常時優先業務の整理 である。

防災拠点となる公共施設等の耐震化の支援として、「緊急防災・減災事業債」や「公共施設等適正管理推進事業債」を、R2年度まで延長している。

終わりに、指定緊急避難場所と指定避難所の適切な指定の他、避難行動要支援者の避難行動支援に関する取り組みの指針などの説明があった。

 

総務省という国家運営の中枢にあり、全国の防災政策を取り仕切る担当者2名からのお話は、災害防災行政全般に渡るとともに、具体的な防災対策への意識向上と防災訓練の見直しの手掛かりとなります。三豊市の防災災害対策計画と備えを再チェックし、実効性のある防災対応とするべく、更に充実していかなくてはならないことを気付いた、意味深い研修となりました。

以上で、報告・3【防災】 の報告を終わります。