『玄牝-げんぴん』 上映会の企て

河瀬直美さんというドキュメンタリー映画作家がいます。
これまでに 『萌の朱雀』 や 『火垂』 、 『垂乳根-taratine』 、 『もがりの森』 で、数々の国際的映画祭で受賞を重ねており、最近では2010年に 『玄牝-げんぴん』 がサンセバスチャン国際映画祭で国際批評家連名賞を受賞して話題になっており、ご存じの方も多いと思います。
私が河瀬監督に関心を持つようになったのは、ちょっとミーハーですが、娘の通った大阪の専門学校 「ビジュアルアーツ」 の修了生であったことによります。
実はそれまで、河瀬直美という名前位は聞いたことはあったのですが、退屈な憂鬱な(私が勝手にそのように思いこんでいた)ドキュメンタリー映画など、まったく興味がなかったのです。
ところが、娘の学んだ学校の先輩ともなると、浅はかにも急に、誇らしいやら神々しいやらで大好きになっちゃったのです。
人間とは(自分のことを棚に上げて一括りにするな)感情の生き物なのだと、自らの心の軽々さに呆れたりしていますが、何がきっかけだったとしても、すばらしい人を身近に感じることができたことは、私にとって最高の幸せです。
河瀬監督の撮る映像は、日常の中にある 「人の生きる姿」 を淡々と追うことで、 “生” と “死” を捉えているように感じます。
特別な感動を演出するでもなく、過激さをひけらかすでもなく、ただ撮りたい現実を感性の趣ままに収めていくのです。
日々の生活の中に、いつも “生” と “死” が背中合わせにあると言うことを。
であるが故に、見る者の心を掴み振るわせるのだと。
「人は、人の涙を見て泣くのではなく、人の涙をこらえる(生きる)姿を見て泣くのだ」
と、どこかで聞いた覚えがあります。
私は今、密かに考えていることがあります。(ここに書いたら密かにはならないが・・・・・)
子どもたちやその保護者を対象とした
「出産をテーマとした 渾身のドキュメンタリー映画 『玄牝』」
 
の自主上映会を企てたいと考えています。
“死” と背中合わせだからこそ、生き生きとして生きている美しい “生” 、を感じて欲しいのです。
河瀬直美監督が愛知県の吉村医院に1年かけて通い詰め撮影をした、あるがままに、命と向き合う人々の物語を。(“河瀬直美監督 最新ドキュメンタリー自主上映会映像貸出しのご案内” 引用)