自治体病院経営セミナー

11月22日と23日の二日間、近藤久志議員と共に東京の都道府県会館で開催された「地方議員のための自治体病院経営セミナー」へ行ってきました。
お二方の講師の講演がありました。
お一人は、夕張市立総合病院の再建に、アドバイザーとして係わっている、城西大学経営学部助教授 伊関友伸氏で、もうお一方は、社会保険病院の経営改革を進めてきた、全国社会保険協会連合会理事長であり、医療研修推進財団理事の伊藤雅治氏でした。
伊藤氏のお話も興味深く、参考になることも多かったのですが、三豊市に近いテーマとして伊関氏の講演の報告をします。
「夕張市立総合病院の経営破綻とその再生」のお話でした。
今、200床あった病床を171にし、250人いた職員を今年中に100人にする計画が進められ、様々な改革が取り組まれています。
(概要)
決算    :医業収益 15億1千6百万円
        医業費用 18億6千百万円
        医業収支比率 82.9パーセント
        他会計繰入金 1億2千百万円
        
診療科目 :内科・整形外科・皮膚科・泌尿器科・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・リハビリテーション科・歯科・透析室(外科・小児科は医師不在のため当面休診)
病床数   :171床(一般 131床 ・ 療養 40床)
職員数   :正職員 107人、臨時職員51人、非常勤職員13人
当病院は、破綻した夕張市の市立病院であり、市の破綻と同様、当病院も倒産自治体病院という状況になった。
夕張市の破綻への経緯の話から入る。
最盛期には24か所あった炭鉱が次々と閉山し、12万人いた人口が13.600人にまで激減した。
その間に、観光振興に取り組んだが次々と失敗した。
負債の多くは「一時借入金」(276億円)が占め、15年ほど前から単年度決算を「黒字」にするために、前年度決算を整理する「出納整理期間」(4月1日~5月31日)に一時借り入れを毎年行い、決算上の収支不足を補っていた。しかし、長期の地方債より金利が高く、借り換えを繰り返すうちに借金が膨らんだ。
この結果、市の実質負債は500億円を超え、標準財政規模である約45億円の10倍以上となった。
夕張市は、財政再建団体の指定を受け、再建の緒に付いたところである。
夕張市立総合病院は、毎年3億円程の実質的な赤字で、金融機関からの一時借り入れ金で賄っていた。又、累積欠損金の解消を目指し、負担金積算額を超える金額を市の一般会計から繰入していた。
累積赤字は39.4億円になっており、市の破綻と共に病院も資金ショートし、倒産病院という状況になった。
夕張市の異常に大きな額の一時借入金は、地方公営企業法の趣旨を逸脱しており、本来病院事業に資金投入すべきを怠り、観光事業などに投資してきたことの市の責任は重大である。
一時借入金の問題は夕張市だけの問題ではない。
市立病院を持つ全国の700ほどの自治体(事業体)にも、一時借入金を行い病院を維持しているところが相当数ある。
健全な自治体病院経営のために、不当な一時借入金をやめるための経営改革をやらなくてはならない。
官から民への一つの方法である指定管理者制度を導入し、公設民営を目ざす中で、人件費の削減や診療科目の整理(特化・専門化)、医師不在の解消を図ってゆくことも一つの方法である。
最後に、早くことの重大さに気づき、現実から目をそらさず取り組むべきです。財政再建団体になってからでは遅いのです。再建への自己裁量権を奪われて取り組まなくてわならない改革と、自らの力と決断で取り組む再生とは、比較にならないほどの違いがあるのは誰もがわかっていることです。皆さんのまちの首長に、この決断を促し推進してゆくのは、議会の皆さんの責任でもあるのですから。
三豊市に置き換えればどうか?市民の皆さんに本当に求められる市立病院の実現に向け、着実に積み上げてゆかなくてはならないのは勿論です。これからの活動の足がかりとなったと思います。