地域資源としての地元企業(4)

今回で4社目となる地元企業紹介は、登録上の本社は観音寺市ですが、本社・工場機能を三豊市豊中町の陣山工業団地に構える(株)マルモ印刷です。
当社は、社長である奥田章雄さんの祖父の守冶氏によって、大正8年に観音寺市八幡町で「丸茂印刷」として創業されました。
昭和32年に、2代目社長である父の和広氏が(株)マルモ印刷所に改組・設立し、平成3年には現地へ移転しました。
平成13年に、章雄氏が社長に就任し(株)マルモ印刷となり、現在に至っています。
本年で創業90年、設立52期目を迎え、三豊観音寺地域を支える印刷・紙加工業界のリーダーカンパニーの地位を確立してきました。
会社敷地内へ一歩踏み入った感想は、整理整頓がされ隅々まで掃除が行き届いた、信頼感ある企業だと言うことです。
応接室へ通していただき奥田さんを待つ間に目にした、壁にかけられた「経営方針・目標」と「行動指針」は、それがなぜなのかを物語っていました。
中期経営計画を最重要指針として、過去を検証し、現在を分析し、未来(中期)ビジョンを社員と共有することで、一人一人の意識が社会を動かしてゆく大きなポイントとなることを中心に経営されています。
原材料高騰と市場競争激化の厳しい経営環境にあって、ここ数年、知的財産権獲得の取り組みを強化し、大きく業容を変化させてきました。
現在9億円近い売り上げの内、2.4億円は5年ほど前に開発した自社特許商品である「クリアDeファイル」のもので、この商品がなければ6億円ほどに低迷していたと予測され、会社の存続すら危うかったのです。
しかし、いつまでもこれに依存するのも限界があるとのことで、戦略方針に基づき更なる知財商品の開発に取り組んでいます。
その一つに、ある企業と特許使用契約締結を行った「3D」技術を駆使した、オリジナルブランド「geografia(ジオグラフィア)」シリーズを投入し、新分野の商品開発に力を注いでいます。
(株)マルモ印刷は、受注型印刷業から商品開発・市場創出型企業へ、そして業態変革によってオンリーワン企業へと、中期経営計画を拠り所に奥田社長を中心に全社一丸となって、更なる飛躍を目指しています。
未曾有の地方経済低迷にあって、地方である三豊観音寺のこの地域に、確かな中期経営計画を持ち経営ビジョン実現に向け、着実に事業化している企業の存在することに感激・感動するとともに、経営者の人格が企業の姿として表れることを再認識した訪問となりました。
機会を改めて、夢溢れる知財商品の紹介ができればよいと思っています。
本当に面白い商品ばかりで、私も思わず売りに歩きたいと思った位ですから。