建設経済常任委員会視察研修報告・2

建設経済常任委員会視察研修の2か所目の訪問先は、大分県日田市です。合併以来の案件である水道料金統一を、いかに取り組んだのかの実践例を学ぶことが目的です。

日田市は「天領ひた」 「水郷ひた」と称され、古くから北部九州の政治経済の要衝として栄えた、歴史と伝統のあるまちです。平成17年3月に1市2町3村の市町村合併により、人口70,000人、面積666.19k㎡となっており、現在も変わらず、地域の中核都市となっています。

合併に伴い、上水道1、簡易水道55、給水施設7、飲用井戸11の計74施設を有することとなりました。合併協定では、『水道料金については、上水道は現行どおり、簡易水道、給水施設は合併後5年間(21年度まで)は現行のとおりとする。その後については、財政状況、維持管理状況、住民の負担公平を勘案しつつ、一本化に向けた検討を新市において行う。』となっています。そのため、平成21年4月に大分大学教授を委員長とする10名の委員による「日田市水道事業運営検討委員会」を発足し、計7回の委員会を開催してきました。

検討の主眼は、  ①利用者の公平な負担・・・38(現在は34)の料金体系と、最大4倍ある料金格差の解消  ②適正な料金水準の確保(財政運営の健全化)・・・毎年簡易水道に対して約3億円(うち基準外約1.7億円)を一般会計から繰り入れしていることの改善と、今後の施設更新費用の増大への対応  が、検討され、平成22年2月に検討委員会より答申が出されました。

【答申の概要】

・簡易水道、給水施設、飲用井戸施設の料金は統一する

・料金体系は「用途別」を「口径別」に統一し、基本水量は8㎥に引き下げる

・料金統一に際しては、上水道料金に合わせる

・料金統一実施時期については平成22年4月からの実施は困難だが、周知後においては早期に統一する必要がある

というものでした。

【付帯事項の主な項目】

・温泉旅館等については、料金統一をすると6倍から10倍になるため、現行の「湯屋用」(加水用)料金を適用することが望ましい

・料金負担の激変緩和のための経過措置を講じる必要がある

・方針決定の際には、早期に市民に周知し理解を得られるよう努力する必要がある

以上の答申に対して内部検討を行い、平成24年4月より複数案をもって計32回の市民説明を行いました。その中で出された意見は、「ゆるやかな経過措置の設定」と「温泉旅館等に対する特別用料金の要望」等でした。これらの意見を検討した結果、経過措置は当初案では5年間であったものを、負担が大きいとの要望で  〔激変緩和策として10年間の期間を設け、上限を設定した一定の上昇率(年/0.25ポイント) によって、11年目から統一料金とする〕こととしました。また、料金変化率が3.5倍以上となる市民の対応として、温泉の加水用途に対しては、湯屋用料金を適用するとともに、一般家庭で口径20㎜の場合は13㎜とみなすこととしました。このような緻密な計画によって、料金統一が市民の理解を得られ、平成25年3月議会において賛成多数で可決・成立し、本年10月から施行されることとなっています。

今回の研修で強く感じたことは、日田というまちの安定感と懐の深さです。市の市民に対するやさしさと気配りある施策等に対し、これに応えようとする市民の姿は、このまちの積み重ねてきた歴史と伝統から育まれた、信頼感なのではないかと感じたのでした。

信頼に足る政治。最高の命題です。

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