市町村議会議員研修会・2

「市町村議会議員研修会」の2日目は、太田正先生の「基礎から学ぶ、自治体の公営企業」を受講しました。
地方公営企業とは何か、どのような役割と目的を持って設けられているのかの、基本的なところから学ぶことができました。
【「地方公営企業の定義」とは、
1. 地方自治体自らによる経営であること・・・別法人は地方公営企業ではない
2. 住民の福祉の増進が目的であること・・・公営ギャンブルは地方公営企業ではない
3. 企業的(独立採算的)経営を原則とすること・・・経常経費の7~8割を収入により賄う
ことである。
次に、地方公営企業の法律適用関係は、特別法優先の原則となっており、各事業法があり地方公営企業法が適用順にある。
全体をカバーする形で、地方自治法・地方財政法・地方公務員法がある。
地方公営企業法の全部適用の主な効果は、
・ 設置条例の制定
・ 管理者制度の導入
・ 特別会計の設置と利用料金の徴収
・ 経費負担区分原則にもとづく独立採算制の適用
・ 企業会計原則(発生主義・複式簿記)の適用
・ 弾力的な予算とその執行
・ 一般行政職とは異なる労働関係
これらの7つがある。
地方公営企業の範囲は、地方公営企業法の適用を受ける事業となる。
強制適用は、「水道」 「工業用水道」 「交通(軌道・自動車・鉄道)」 「電気」 「ガス」 「病院」がある。任意適用は、「交通(船舶)」 「簡易水道」 「港湾整備」 「市場、と畜場」 「観光施設」 「住宅造成」 「公共下水道」 「介護サービス」 「有料道路」 「駐車場整備」 「ワイン製造」 などがある。
そして、強制適用事業すべてと任意適用事業のうちの一部に、地方財政法の適用がされる。
設置条例と議会の関与及び責任は、地方公営企業法の第4条に 「地方公営企業の設置及びその経営の基本に関する事項は条例で定めなければならない。」 とあり、議会の議決なくしては地方公営企業の存在はありえない。
議決判断の主な点は、
1. 経営の基本を明らかにした上で、団体意思の明確化を図る。
2. 経営の基本原則として独立採算制がとられている。
3. 経営が仮に赤字となり維持困難となっても、税金を投入しても存続する価値のある事業かどうか。
が、考えられる。
地方公営企業の予算と決算の特徴は、
1. 特別会計の設置
2. 企業会計方式の導入(発生主義と複式簿記)
3. 予算制度の採用(収益的収支予算と資本的収支予算があり、決算報告においても予算が決算書類の中に書かれる・・・自治体行政の一部であるため、事業計画の予算化が必要)
地方公営企業の財務諸表は次の5つある。
1. 決算報告書・・・予算と決算の対照
2. 損益計算書・・・経営成績の表示
3. 剰余金計算書(欠損金計算書)
4. 剰余金処分(欠損金処理)計算書
5. 貸借対照表・・・財政状態の表示
他に、「資本的収支(3条)と収益的収支(4条)の相互関係」 「施設整備事業とその財源のあり方」 「発生主義と計画赤字」 「借入資本金制度と造成資本会計」 「不完全な独立採算制と経費負担区分」 「公営企業繰出金のしくみ」 「外部効果の適正評価と公費負担」 「料金算定のプロセス」 などの考察が必要だ。
地方公営企業会計は、一般会計に対して専門性が必要であったため、これまでは議会においても大きく議論されてこなかったのではないか。
しかし、これからは議会もしっかりと専門性を身につけて、地方自治体財政健全化に向け議論を重ねて欲しい。】
報告内容が多すぎて、すべてをお伝えできませんが、地方公営企業とは何か、地方公営企業会計とはどのような仕組みなのかが、今更ながら理解できたことは、かなりの自身になることはお伝えできます。
2日間を通して地方自治体の財政と仕組みを学ぶことができた、非常に有意義な研修でした。