公共施設再配置特別委員会 視察研修報告・2

三豊市議会公共施設再配置特別委員会の視察研修2件目の、茨城県古河市における研修の報告をします。

 

古河市は、平成17年に1市3町の対等合併で誕生した。現在人口は約14万人、面積123.58㎢で、茨城県の最西端に位置し関東平野のド・マンナカにあり、首都60㎞圏にある。

『公共施設等総合管理計画~ファシリティマネジメントの推進について~』を古河市財政部財産活用課から説明をいただいた。

公共施設の最適化の必要性は ●施設が大量に更新時期を迎える ●人口減少等で施設利用需要が変化 ●市町合併による類似施設保有増に対する整理が必要 などによる。

これまでの取り組みは、平成27年に古河市公共施設等総合管理(ファシリティマネジメント)基本方針を公表。平成28年に同基本方針[分野別施設方針]を公表。令和2年に古河市公共施設適正配置基本計画を公表。

ファシリティマネジメントの目的は、3つの改革目標にある。「行政改革」「量の改革」「質の改革」により ●将来へ負担を残さない行財政運営の実現 ●過不足ない公共施設サービスの提供 ●持続可能な社会基盤(インフラ)の安定管理 を求めるものだ。副市長をトップとするファシリティマネジメント推進会議で着手しており、庁内での意思決定プロセスは、各施設の管理部署で検討委員会や策定委員会、作業部会を組織し、会議を重ね統一を図っている。

古河市の公共施設の保有状況は189施設で約34万㎡であり、その内学校教育系施設が6割を占めているなど、人口減少の中で、これらの公共施設の最適化に向けてこれからどうするのか。①公共施設の配置や数量を最適な状態に見直すために、他の公共施設との複合化や集約化など、新たな手法をもって施設配置や数量を適正な状態にしていくことが必要 ②施設を見直しても市民サービスが低下しないように代替案を確保する ③地域全体を「面的」に見て施設が有効に活用されるように配置のあり方を検討する ④民間と協力することでサービスの向上や経費節減につながるよう行政と民間の守備範囲を明らかにする

公共施設の最適化に向けた事例として、複合化(機能の合体)による施設整備がある。老朽化した児童センターとコミュニティーセンターを、空き教室のある小学校を改修することで、3つの機能を持たせた複合施設とした。このことによるメリットは ●学校を地域づくりの拠点とすることでコミュニティが活性化 ●世代間交流の促進 ●色々な機能が集まって利便性が向上 ●学校は知名度が高くアクセス環境がよい ●公共施設の量を削減(財政負担の軽減) などがある。

市民との合意形成には、行政と市民との役割を認識して、公共施設のあり方を考えて進めることが重用だ。行政は ◎市民に説明責任を果たし、情報共有すること ◎市民が意見を述べる機会を設けること また、市民は ◎公共施設のことを「自分ごと」として考え ◎意見交換の場に積極的に参加し、意見・提案すること

実施例として、施設を利用する市民(ユーザー)と、費用を負担する市民(オーナー)が参加する機会を設定した。そこでは行政としての考え方を示したうえでサイレントマジョリティの意見をくみ上げることに主眼を置いた。

 

古河市の考え方と取り組みは、まさにその通りです。現時点で三豊市が直面している小学校廃校による統合小学校建設は、コロナ禍の失われた3年間による逼迫した工程で進まざるを得ない状況となっています。限られた時間で最善を尽くすよりほかに道はないことを自問した研修でした。