三豊市民クラブ 視察研修・2

三豊市民クラブ会派の視察研修2日目に訪問したのは、3・11東日本大震災で甚大な災害を被った宮城県の現地視察と、自らが被災したにもかかわらず、三陸沿岸の津波で壊滅した市町村の後方支援を行った登米市です。
都召し登米市は、宮城県北東部の内陸部にあり、人口85,000人、面積536K㎡で、北上川が市内に横たわり広大な肥沃な土地で、県内有数の穀倉地として 「ササニシキ」 「ヒトメボレ」 の産地として有名です。
研修の目的は、社会インフラの中でも最重要である水道事業の被害と復旧状況及び、災害時に備えるべき対応を学ぶためです。
登米市には7ヶ所の浄水場があり、3月11日の本震及び4月7日の余震で、すべての施設が停電破損し停止しました。
また、5月11日、8月13日の2回の余震においても、主要浄水場で保呂羽浄水場はその都度取水ポンプ故障が発生しました。
現在も、この浄水場のポンプは修繕中で、仮設取水施設で対応しています。
他の6ヵ所の内4施設は復旧済みですが、2施設は未だに復旧着手中です。
4ヵ所ある配水池は、緊急遮断弁の作動はしたものの、本震ですべての施設が何らかの被害を受け、破損漏水しました。
1ヵ所を除いて未だに復旧中です。
主要管は、本震と余震でほとんどが影響を被り、漏水が発生しました。
一部復旧はしているものの、ほとんどを仮設対応しています。
また、一般給水管では701ヵ所の漏水があり、復旧済みが632ヵ所、仮設30ヵ所、工事中39ヵ所となっています。
震災発生以来既に7ヶ月以上過ぎたこの時点においても、完全復旧にはまだまだ時間を要します。
これまでに水道関係の災害復旧に要した額は、3月22日の専決処分から臨時議会と6月・9月の3回の補正を合わせて、11億円以上となっています。
着手中の工事や仮設から復旧にかかる今後の事業費は、大幅に増加するものと考えられます。
水道料金は、基本料金を2分の1に減額し、使用が不能な市民に対しては、3月11日職権休止しており、給水開始申し込みがあるまで請求しないこととしています。
減免金額は、6,800万円を超えています。
また、給水装置工事は、罹災証明書に基づき、金額を減免しています。
その額は、3,000万円ほどです。
次に、今回の大災害を教訓としての震災対策についてです。
(1) 施設の耐震化は計画的な整備が必要であり、特に取水施設の耐震化は速やかな市民生活再生の根幹であるために、重要事業です。
(2) 過去発生した浄水場濁水事故で、災害訓練を実施していました。
平時の想定された事故に対する訓練が大いに役に立ったとはいえませんが、訓練していたことによって大きな混乱にならなかったことから、日頃の訓練が有効でであると考えられます。
(3) 水道事業所の職員だけでは、すべてに対応するのは不可能でした。
ただ、当市では 「水道事業料金徴収等管理業務委託」 を行っており、この受託業者及び管工事業協同組合と、災害応援協定を結んでいます。
さらに、本年4月1日から委託予定であった浄水施設管理運転業務受託者とも協定締結の予定であったため、人数の確保ができました。
他にも、災害協定を結んでいない事業者からも応援がありました。
これらのことから、大規模な断水発生時には人数の確保が必要であり、職員及び協定業者の震度5での自動召集も採用しています。
平時の召集・情報伝達訓練では、防災無線などの電源を必要とする通信手段が使用できますが、停電した場合まったく用を足さなくなります。
このような場合にも情報のやり取りができる方法(携帯メールや広報車など)を備えておく必要があります。
(4) 平時の災害マニュアルでは、市全域での断水は想定されていなかったため、給水活動が動き出すまでに混乱しました。
その解消のために、新たに1tタンクを20基常備しました。
自らも被災する中、南三陸町へ給水車を派遣し給水応援するなど登米市は後方支援拠点自治体として役割を果たしてきました。
研修の対応をしてくださった田口議長はじめ市職員の皆団には、未曾有の大災害などなかったような活力を感じました。
被災地での研修にたいして、出発前には賛否の様々な意見もありました。
しかしながら、研修の終わりにあった 「この現実を全国の皆さんに是非見に来て欲しい」 との言葉で、この地を研修先に選んだことが間違いではなかったことを確信しました。
登米市での学びを、三豊市の災害対策に活かし、無駄にしないように活用しなければならないと思います。