青少年育成全国大会と中央研修会・2

2日目の28日は、「青少年育成施策推進体制充実強化中央研修会」として、4つの分科会と全体研修が行われました。
第一分科会では、(社)青少年育成国民会議 副会長 上村文三氏をコーディネーターとして「これからの地域の青少年の在り方」について、話し合いが進められました。
青少年健全育成活動を行う上で、現在考えられる問題点が拾い上げられました。
*地域行事への参加者が少ない
*夢がない
*携帯電話やインターネットの有害情報
*家庭の教育力低下(関わって欲しい保護者ほど参加しない)
*学校・家庭・地域の連携が困難
*大人をどのようにして変えるか
*指導者の育成と引継ぎ
など、その他様々な視点から出されました。
これらの根底にある問題は、少子化と超便利社会であり、青少年の育つ力、人間力、社会力の減退によるところが大きい。
原因として、家庭の教育力の問題と社会の教育力の問題が言われている。
更に、青少年育成のための国の予算の削減にも一因はある。
欧米のどの国にも、インベストイン・ユース・チャイルド(青少年と子どもに投資する)という考えがあるが、日本にはこの考えと仕組みがあまりにも弱すぎる。
との指摘がありました。
第二分科会では、「青少年のかかえる様々な課題に応答する自然体験活動」をテーマに、NPO法人くりこま高原・地球の暮らしと自然教育研究所 理事 佐々木豊志氏をコーディネーターとして行われました。
野外教育で子どもたちが「ハッ!」と気づくことの大切さのお話がありました。
自然学校では冒険教育を行っている。
未知であり結果が保証されていない世界へ立ち向かうことで、心地良いところから飛び出すことが冒険だ。
子どもたちを見ていて気づくことは、自立できないのはあまりにも体験不足であるということだ。
奉仕する、努力する(奉仕するための勉強をする)、不屈(投げ出さずやり続ける)の精神を養うことの重要性が語られました。
第三分科会では、「相談助言の効果的進め方」について、首都大学東京 教授 永井徹氏をコーディネーターとして研修が行われました。
本人の動機づけが先ず一番であり、問題意識を植え付けることから始めなければならない。
ただし、相談に来る人の1/3は子どもだけではなく、親に問題があることが多い。
相談員が、できるだけ各専門機関との連携をとりながら、てじっくりと関わり続けることが大切だとのお話がありました。
第四分科会では、「引きこもる若者の心理的形成過程からみた相談助言」を課題に、関西大学 教授 石田陽彦氏をコーディネーターに進められました。
子どもの成長には、「関わりながら待つことが大切だ」との指摘がありました。
ニートの80%は子育ての過程に問題の起因があり、どのように育てられ、どのように育ってきたのかという、成育史とその後の環境に大きな原因があるといえる。
たとえば、発達障害の子が学校で受けることは、児童虐待を受けた子と同じ状態になる、ということがある。
包括的地域支援教育臨床の報告では、子どもの育成史を知るとともに、成人になっても関わり続ける適応支援の必要性が述べられました。
そして、非行の子には信用する大人がいない。
大人は信用できるんだということを知らせることだ。
子どもが信用できる大人になりましょう。
のメッセージで締めくくられました。
全大会のまとめとして、“青少年育成施策推進体制充実強化”の主催者として、内閣府の森さんからこれからの施策方針のお話がありました。
「若者自立塾」が実施されているが、すべての問題に対応できない現状もあり、教育者と心理学者、医師など、これまでできていなかった連携の仕組みが、全国各地でできるよう推進してゆく。
ユースアドバイザーと呼ぶ、地域を知り、専門領域を持ち、連携できる人の必要性を認識している。
「適応指導教室」の義務教育段階の不登校児童・生徒だけの支援で終わるのではなく、高校生、専門学校生、大学生になっても、社会に適応できるまで必要なときに必要な支援が執れる、連携と継続の仕組みを検討してゆく。
省庁を横断した施策立案を役割とする内閣府の、今後の動きに期待したいと思います。
コミュニケーション能力の低下で、不登校、引きこもり、ニートになったといわれる青少年にとって、「適応指導教室」で終わらない「包括的地域支援教育」の充実に向けた施策が、全国的に展開されることの意味の大きさと、重要性を気づかせてくれた2日間の研修でした。