地域資源としての地元企業・9

今年最初の企業訪問は、三豊市山本町に店を構える まんが堂代表 大西正弘さんにお願いしました。
私が大西さんと始めて出会ったのは、おそらく35年も前のことだったのではないかと思います。
私は高校生で、原泰弘君という親友が通っていた塾の先生(故伊藤健二さん)の親族に大西さんがいて、しばしば遭遇していたのです。
その時から年齢不詳の 「不思議なおじさんだなー」 と思っていたのですが、気がつけば、子どもの世界では知る人ぞ知る、カードゲームや特殊玩具を扱う地域一番店の店主となっていて、今や不思議を通り越して 「カリスマおやじ」 になっているのです。
まんが堂は、玩具・節句人形販売店として昭和53年に創業し、30年余の歴史を刻んでいます。
平成4年に現在地へ新築移転オープンしてからは16年程になります。
この間、地域の子どもたちの集いの場所として賑ってきました。
年々子どもたちの遊び方が変化することに着目し、旧来のおもちゃからTVゲームへ、そしてミニ四駆やカードゲームへと比重を移してゆくとともに、単なるおもちゃ屋からお客さんとの人間関係を大切にするお店へと変化してゆきました。
この変化の中から見えることは、特にカードゲームのブームは、子どもたちがTV相手ではなく仲間(遊び競う相手)を求めだしたことにあり、子どもたちが一人遊びからコミュニケーションを求めだしたことにあるようです。
また、カードはTVゲームのように高価ではなく、子どもの小遣いで自分の判断で買いやすい価格であることにもよります。
ミニ四駆大会に始まった子どもたちの遊び競う催しは、今もカードゲーム大会として継続されており、年中毎週末に開かれるこの大会には、県内に止まらず県外からも噂を聞いた参加者が多く集い、子どもたちの交流の場となっています。
まんが堂は、子どもたちと、子ども時代をここで過ごしたお客さんによって、支えられています。
「2割の売り場面積で8割の売り上げがあり、2割の常連客が8割の売り上げに貢献している」とのことで、特に子ども時代を まんが堂 で過ごしたお客さんにとっては、
「まんが堂をつぶしたくない  つぶれると僕たちの行き場がない」
という思いが強いのだということです。
こんなお客さんが まんが堂 をつくっているのです。
大西さんの 
「子どもたちが、修学旅行から帰ってきたときや大学生になって帰省した時に、お土産を持ってきてくれるんだ」
と話すときの笑顔には、さすがに究極のサービスを提供してきた結果の証を見る思いでした。
まんが堂店主 大西正弘さんは現在63歳で、お客さんである子どもたちからすると、おじいちゃんといわれてもおかしくない年齢ですが、未だに まんが堂 のおじさんなのです。
私が初めて出会ったときはまだ20歳代後半であって、お兄さんといえる年齢だったのでしょうが、その時から歳をとったことをまったく感じさせない、私にとってはあの当時のおじさんのままなのです。
「子どもやお客さんが喜んで来てくれる間は、お客さんのニーズを素直に受け入れ、店を続けたい」
と抱負を語ってくれました。
サービスの原点と本質とは、人と人との心のふれあいによる、とびっきり上等の感動の提供なのだと、熱いものを感じる訪問でした。
皆さんも是非 まんが堂 に足を運んでいただき、店主とうだうだ話に花を咲かせてはいかがでしょうか。
店主に成り代わりましてご案内申し上げます。
大西さんには、うだうだの1時間、お付き合いいただきありがとうございました。