民生常任委員会の行政視察研修報告・3

民生常任委員会の行政視察研修報告の3件目は、岡山県総社市の「障がい者千人雇用事業について」です。

 

総社市は、岡山市の西、倉敷市の北に位置し、歴史に培われた吉備文化と高梁川の恵みによる、豊かな自然環境にある住宅・学園都市だ。人口68,000人、面積212㎢で、三豊市とほぼ同じの規模であるが、人口は増加傾向にある。総社市のセールスポイントは、内陸部であることで津波・地震のリスクが低いことと、最も近い島根原発から約118㎞にあり、福島第一原発から仙台市や山形市への距離より遠いことで、日本一安心安全なまちであるということだ。障がい者にとっても安心して生活できるまちを目指している。

「障がい者千人雇用事業」は、平成22年新設の県立支援学校の誘致合戦で隣の倉敷市に敗れたことで、それならば、「支援学校を卒業した後の働く場所は総社市が担う」という強い決意で、片岡市長のトップダウンで始まった。

平成23年「障がい者千人雇用事業」を開始。『就労支援ルーム』を全国で2番目に設置。「障がい者千人雇用推進条例」を制定。

平成24年「障がい者千人雇用センター」を設置(マッチングと生活支援の拠点)。

平成26年『就労移行支援金制度』の創設(福祉的就労から一般就労へ移行し、半年以上経過した方に、10万円を支給する独自施策)。

「障がい者千人雇用事業」を開始した平成23年時点で、市内の障害者は約3,000人おり、その内、就労期年齢者が約1,200人いた。その中の180名程しか就労していなかった。それが、平成28年現在では950名に推移している。

「障がい者千人雇用事業」の運営は、【三本の矢】と例えられる「総社市役所」「ハローワーク総社」「障がい者千人雇用センター」の、密接な連携体制で行われている。連携による協働として、「ハローワーク総社」内に、『就労支援ルーム』を設置し、〔福祉から就労〕に向けてのワンストップで付き添い型の密接な支援を行っている。また、「障がい者千人雇用センター」は社協に委託しており、ハローワーク職員が常駐し、市民であるか否かを問わず、登録者に対してマッチングから生活までマンツーマンでサポートを行うとともに、企業など就労先へのアフターケアも担当している。

現在、総社市では障がい者と触れ合える地域を実現するために、市役所の中庭を有効活用し、障がい者が提供するランチスペースに開放している。また、福祉的就労から一般就労へ移行した方に、市独自施策として10万円を支給する事業や、市内コンビニの店頭に商品を置かせてもらうなど、工賃アップのためのアイデアを市が提供できるよう取り組んでいる。

これからの「障がい者千人雇用事業」が目指すものとは、生涯を通した支援によって、障がい者一人ひとり自立し、安心して地域で暮らせる社会の実現により、「全国屈指の福祉先駆都市」実現の礎となることだ。

 

研修を受けながら感じたのは、強力なリーダーシップの存在でした。トップダウンで始められた「障がい者千人雇用事業」は、橋本龍太郎元首相秘書官であった片岡市長の熱いおもいが形となった施策なのです。その証は、「障がい者千人雇用センター」入り口に掲げられた市長直筆の看板の、力強い筆致に見ることができます。発想の原点は、日本一安心安全なまちなのだから、障がい者にとっても住みやすいまちになるに違いないとの思いからなのだと想像できます。熱き郷土愛こそが事業推進の力となることを、またここでも感じた研修でした。

 

以上で、3回にわたっての民生常任委員会の行政視察研修報告を終わります。

民生常任委員会の行政視察研修報告・2

民生常任委員会の行政視察研修報告の2件目は、愛知県豊田市立の「寺部こども園について」です。

 

豊田市はトヨタ自動車の本社があり、市内の製造業で働く人の約85%が自動車関連産業に従事しているという「クルマのまち」である。一方、市町村合併により、愛知県全体の17.8%を占める広大な面積と持ち、7割が田園と森林地帯である等、豊かな自然環境に恵まれた人口425,000人程の、日本を代表する地方都市だ。

 

研修先である「寺部こども園」は、本年(平成28年)4月に『豊田市立寺部小学校・寺部こども園』として、豊田市初の小学校とこども園の合築で移転改築された、まだ半年に満たない最新の施設の中にある。

豊田市の「こども園」事業は、国の定める「認定こども園」とはことなり、市独自の幼保一元化の制度として平成20年度から実施されている。現在、「こども園」としての一体的な運用対象は、認可保育所(市立:55、私立:15)と、認可幼稚園(市立:12)の82ヶ所体制となっている。

幼保一元化の「こども園」に至るまでの取り組みは、次のようになっている。

<平成13年> ●保育園と幼稚園を所管する部署を統一し、市長部局に「子ども課」を創設 ●市立幼稚園で保育要件を必要とする3歳児保育を開始 以降拡大する ●市立幼稚園で預かり保育を開始

<平成15年> ●「保育士」「幼稚園教諭」を総称して「保育師」とする

<平成17年> ●「とよた子どもスマイルプラン「豊田市次世代育成支援行動計画」を策定し、「幼保一体化の推進」を計画の重点事業として位置づけた ●組織改編により、子ども課は「子ども部」となり子育て支援施策を充実する

<平成19年> ●9月議会に施設名称の変更、保育料の統一に関係する条例の一部改正議案を上程し、可決される

<平成20年> ●保育園保育料と公立幼稚園授業料を統一 ●保育園及公立幼稚園の職員配置基準を統一 ●保育園と公立幼稚園の名称を「こども園」に統一

次に、市私立保育園と市立幼稚園の一体化施策については以下の通りだ。

(1)保育園における私的契約児の受け入れ  保育園で4・5歳児の保育に欠けない児童の受け入れを行っている。

(2)市立の幼稚園・保育所の人事交流と職名統一  幼稚園・保育園間の配置転換を始め、研修の合同実施を行っている。また、幼稚園「教諭」と保育園「保育士」の職名を、豊田市方式として「保育師」に統一した。

(3)保育カリキュラムの統一  0~5歳児までの保育期間全体にわたる計画として「豊田市保育課程・指導計画」を策定し、市立幼稚園と市立保育園及び私立保育園において本計画に従った保育が実施されている。

(4)所管部所の統一と施設名称の「こども園」統一  「子ども部」は、次世代教育課、子ども家庭課、保育課の3課となり、保育課が幼稚園と保育園を所管し、「幼稚園」「保育園」から「こども園」に施設名称を変更した。

(5)職員の配置基準を統一  幼稚園と保育園とで異なる職員配置基準を、保育の質の充実と受け入れ児童数の確保の双方の視点から、統一した。〔0歳児:3人、1歳児:5人、2歳児:5人、3歳児:15人、4歳児:28人、5歳児:30人〕

 

「寺部こども園」のある『豊田市立寺部小学校・寺部こども園』は、寺部こども園と寺部小学校が合築されている。その最大の成果は、豊田市が平成20年から取り組んできた「こども園」と小学校がつながることにより、幼保小の連携がハード面においても実現したということだ。

その概要は、児童数:380人、園児数:180人(0歳児:8人、2歳児:20人、3歳児:45人、4歳児:65人、5歳児:40人)となっており、施設内容はパンフレットの通り。

2階の『交流室2』は、小学校とこども園の連携を代表する取り組みが行われるスペースだ。ここには絵本があり、小学校の図書委員の有志が、子ども園児へ絵本の読み聞かせをするなどしている。また、地域ぐるみの教育の推進のための『地域支援室』を拠点として、地域との交流が活発に行われるよう計画されている。

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こども園と小学校のソフト面・ハード面による連携は、豊田市の幼保小の一貫教育の理想形が出来上がったのだと思います。こども園と小学校が合築された最新機能施設は、こども園が子どもたちの就学に向けての助走期間ともいえる大切な時期を担うことができると確信しました。小1プロブレムの解消に少なからず貢献し、子どもたちの健やかな成長につながっていくことにまちがいありません。市私立保育園と市立幼稚園を「こども園」と打ち出すことで、保育園児も幼稚園児も同じ豊田の子どもだという、当たり前のこと前提に取り組まれているのが、この事業の政策の肝なのです。シンプルであり、かつ、洞察のある豊田市の「こども園」事業であると納得しました。一筋の道が鮮明に見えた研修でした。

民生常任委員会の行政視察研修報告・1

三豊市議会民政常任委員会の行政視察研修が、平成28年8月17日(水)~19日(金)の3日間の日程で行われました。研修先と目的は、京都府京丹後市「市立久美浜病院の取り組みについて」、愛知県豊田市「市立寺部こども園について」、岡山県総社市「障がい者千人雇用事業について」の3件でした。

 

1件目の、京都府京丹後市「市立久美浜病院の取り組みについて」の報告をします。

京丹後市立久美浜病院は、国保診療施設として国民皆保険制度の発足に伴い設立され、平成16年の市誕生とともに「地域包括ケアシステム」の中核を担う、170床の医療施設として今日を迎えている。設立時から医師確保や経営面で「苦難の道のり」を歩んできた。しかし、この試練が「地域包括ケアシステム」を構築する原動力になっている。それは、限られた人材が知恵を絞り、連携し協働することにより展開される、「地域づくり」の歴史であるといえる。

先頭に立ちここまで導いてきた赤木重典病院長は、自治医科大学の1期生として、この地に赴任し情熱をもって地域医療のあり方を一貫して模索し続けた方で、この人があればこその実績の数々であるといえる。限られた人材が「連携」し「協働」することにより導き出される「地域力の創造(マンパワーの結集)」、この動きは「地域づくり」そのものだった。

僻地における地域医療の未来のために克服しなければならない課題が2点ある。1点目は、医師不足による人材不足 2点目は、市町村合併により拡大したエリヤ(コミュニティ)に地域包括ケアシステムの理念を生かしていかに浸透させるか だ。この課題対応に「連携」をキーワードに6つの視点から、これまでの取り組みをふり返る。

連携その1 『医師間の支え合い』  限られた人材が個々の守備範囲を広げた。診療科を問わず、当直医が小児の救急・時間外診療を担当した。一方、難しい症例には迷うことなく小児科医に相談することを確認した。並行して、医師の応援を気軽に依頼できるよう、緊急医療業務手当を創設した。医師を呼び出しやすい環境の整備が、協力体制による「精神的負担の軽減」を導き、連携や一体感の中で仕事ができているという自覚が「楽しさ」を実感させ、広い守備範囲をカバーできることが「充実感」をもたらし、住民の信頼が「モチベーションを高める」ことにつながっていった。結果、医師たちの定着が得られることとなった。『医師間の支え合い』は、医師を迎え入れるための環境整備の一つと言い換えることができる。

連携その2 『多職種の共通認識』  連携の範囲を病院全体に広げる。院内の多職種が、問題意識を共有して課題解決に取り組み、大きな成果を導き出すことができた。利用件数が減少した訪問看護を活性化させるために医師、歯科医師、看護部長、病棟看護師、訪問看護師、歯科衛生士、理学療法士、地域医療連携室、事務職員などの多職種に参加を求め、「在宅支援委員会」を設置した。訪問看護師と主治医が緊密に連携して在宅療養を支えていることが住民に理解され、安心を提供することにつまがっている。

連携その3 『病院と施設の協働』  連携の範囲を院外に広げ、病院と特別養護老人ホームが協力して誤嚥性肺炎の予防に取り組んだ。特養の入所者の重度化が進行するに伴い、誤嚥性肺炎での入院延べ日数が大幅に増加した。歯科医師が入所者の摂食嚥下状況を観察し、早期の発見と歯科医師と歯科衛生士により実施される口腔ケアと摂食嚥下機能訓練につなげている。「最後まで口から食べる」ことへのこだわりは、「施設看取り」を可能にする一つの要素であることがわかる。

連携その4 『多施設・多職種の集い』  地域包括ケアシステムの理念を市全域に浸透させる仕掛けとして、多くの施設の多くの職種が定期的に「顔を合わせる」ことができる「場」の設定をした。「京丹後市NST(栄養サポートチーム)研究会」を設立し、「地域」を意識して開催された。参加者の構成は多岐にわたり、相互理解が深まり、情報や知識の共有ができ、参加者間に「ネットワーク」が構築され、「顔の見える関係」が広がった。限られた人材が連携し、協働することにより「地域力」が創造されたといえる。

連携その5 『引き出し』  専門医を『引き出し』と表現している。必要な時に日本のトップレベルの医療技術を提供できるよう、全国の専門医との連携を密にしている。「患者が動くより医師が動く方が親切」をモットーにしている。多くの『引き出し』を持つことは、僻地の中小病院にとって、病院のレベルの高さを保証してくれるかけがえのない財産だ。

連携その6 『医科と歯科の一体化』  平成16年に必修化された歯科医師臨床研修制度を先取りして、研修施設の指定を受けている。歯科部門の大きな転換点は、現在の堀歯科口腔外科診療部長と酒を酌み交わす機会に恵まれたことにある。かれの「住民の近くで医療がしたい」という熱い心に触れ、京都大学口腔外科学教室の理解をいただき着任が実現している。以後、口腔外科手術症例は右肩上がりに増加し、手術前精査や麻酔分野での医科・歯科連携が構築されていった。医科と歯科が連携し、一体となった取り組みを展開することにより、住民の期待に応えられることができる体制づくりが求められている。

 

次に、限られた人材が「連携」し、「協働」することにより導き出されるマンパワーの結集は「地域づくり」そのものであるが、京丹後市における医師確保の取り組み(人材確保)は、大きく分け4点ある。

1.京丹後市の医療確保奨学金制度  平成19年度より医学生、研修医を対象に設置:一般診療科は月額20万円(小児科・産婦人科希望者は月額25万円)

2.京都府立医科大学医学生の地域滞在実習  京都府北部の9病院で実施

3.京都府地域医療支援センター「KMCC 」が主導するキャリアパス  4年間の総合内科・総合診療科研修プログラム

4.京都第2赤十字病院研修医の受け入れ  平成23年度より2か月単位で受け入れ

成果として、現在奨学金受給者4名が久美浜病院で活躍中である。

 

終わりに、地方創生への思いがある。消滅可能性市町村からの脱却だ。その可能性はある。大都市部の40~50歳代の半数以上が田舎に住んでいいと考えているという調査結果があり、個人資産が流動化するような安心の政策が必要だと考えている。安心に暮らせる地域とは、地域包括ケアシステムが構築されているところだ。「何が求められているか」「何ができるか」「何をしなければならないか」を見極め、『ネットワークの構築』による『顔の見える関係の広がり』を確かなものとしたいと考えている。

 

「地域づくり」はマンパワーの結集だといわれますが、その核が不可欠です。地域医療にかける熱き想い、情熱を持って実行する人です。酒を酌み交わし、若き医師たちとも地域医療の素晴らしさを熱く語り合うことで、お互いを信頼し合うところから始まっているのです。赤木重典病院長とはそんな人なのです。

1件目の報告を終わります。

 

平成28年度閉会中の民生常任委員会・第4回

酷暑の日々が続いています。7月16日(土)の夜中の豪雨から約3週間、地面に染み込むような本格的な雨が降っていません。四国の水がめといわれる早明浦ダムの貯水量も減り続け、第1次取水制限が出されたようです。夏真っ盛りではありますが、暦の上では残暑お見舞い申しあげなくてはならないようです。

平成28年8月4日(木)に、三豊市議会民生常任委員会が開催されました。ここで行われた報告と協議についてお伝えします。

「健康福祉部」

●市内3つの保育所の現地視察  ①『社会福祉法人花みずき福祉会 小規模保育園つぼみ』 本年6月1日に豊中町に開園し、定員12名で生後3か月~2歳児を受け入れる。 *一時保育にも対応  ②市立豊中保育所  ③市立高瀬中央保育所

●三豊子育てライフガイド【こどもっと】の作成・配布について  子育て支援事業は複数の部課及び団体等に分散され展開されているため、子育てサービス情報を一冊にまとめたものをNPO法人すくすくに作成依頼をしていた。10,000部印刷し、9月1日に小学校以下の家庭へ配布予定。

「市民部」

●固定資産評価審査決定取り消し請求事件について  市に対して、太陽光発電設備設置に伴う評価に対する不服の訴訟が起こされていたが、7月6日高松地裁において原告の訴えを却下するとの判決があった。

「環境部」

●北部火葬場(仮称)実施設計の概要について  現七宝斎苑に4炉の施設建設を計画している。外壁を石張りにして維持管理コストを抑える設計を考えている。概算予算14億5千万円程(建築費:8億7千万円、電気:1億7千万円、機械:1億4千万円、炉:1億8千万円、外構:8千万円)。9月補正し、11月上旬入札予定。

●バイオマス資源化センター事業について  エコマスター社との契約内容をより綿密に検討したいため、弁護士との打ち合わせ回数を増やす費用を増額したい。

●地方公共団体カーボン・マネジメント強化事業について  環境省へ応募していた事業計画が、全国で54団体の一つとして採択されたため、7月28日補助金交付申請を行った。

●平成28年度潟満地区農業集落排水施設機械設備更新防食被覆工事について  240万円程の追加工事費用が必要となるため、9月補正を予定している。

●三観衛生組合し尿処理施設解体工事について  解体工事中に発生した塩素ガスによる作物被害(対象46名)で、40日程工事がストップしていたが、予定通りの工期で完了の予定。

 

以上、閉会中の民生常任委員会報告を終わります。

平成28年6月議会一般質問報告・3

平成28年6月議会の、一般質問3件目である「預かり保育の充実について」の報告をします。

「預かり保育の充実について」

【質問】 三豊市は、これまで子育て日本一のまちを目標に、近隣自治体よりも積極的に施策を打ってきました。しかし、待機児童対策が国家的課題となった今となっては、自治体間競争の中保育士確保競争の渦に飲み込まれている。この状況を改善するための、攻めの政策を提案する質問とする。

幼稚園は、学校教育法で定められる学校の一つで文部科学省が所管し、3歳児から5歳児が就学するまでの幼児を教育する(半日)ための施設だ。一方、保護者は終日の保育希望が強く、市立幼稚園においても預かり保育が実施されている。ところが、合併以来、市立幼稚園の預かり保育制度の運用が平準化されていない。

幼稚園の預かり保育が、保育のみに止まらない就学に向けての学習となるような質の向上により、保育所の保育士確保にゆとりができることによる子育て支援と、幼児教育の両面からの政策効果を視野に入れた預かり保育制度の充実の考えを問う。

【答弁】 三豊市就学前教育・保育検討委員会が策定した、就学前教育・保育に関する報告書では、全幼稚園で3歳児の預かり保育を行うことが望ましいと報告されている。しかし、3歳児は初めて集団生活を経験する園児も多く、長時間にわたる預かり保育は子どもへの心身の負担が大きくなる恐れがあり、その実施には十分な配慮が必要であると示されている。乳幼児の時期には親子で触れ合うことが子どもの心身の発達に大変重要であるということを認識しながら、預かり保育の在り方について、慎重に検討していく必要があると考える。

今年度、就学前の保育の在り方について、地域にあった保育とはどういったものかを検討することとなっている。提案についても、議論の中で出てくる一つの選択肢であろうと思う。

幼稚園の預かり保育は、保育者に資格を求めていない。地域の子育てや幼児教育支援に関わる各種団体に、教育委員会と積極的に連携してもらうよう働きかけて、昔のように子どもたちが家庭や地域の中で育つような環境になるよう努める。

 

以上で、平成28年6月議会における、私の一般質問報告を終わります。

 

平成28年6月議会一般質問報告・2

平成28年6月議会一般質問報告の2件目は、「マスタープランの都市計画と農業振興地域の整合性について」です。

「マスタープランの都市計画と農業振興地域の整合性について」

【質問】 市の定めた都市計画マスタープランの将来都市構造図に示された主要県道及び幹線道路周辺は、まちに賑わいをもたらし新たなまちづくりの起点となる可能性がある。ところが、現状は都市計画区域内の主要幹線道路周辺が農業振興地域に指定されているところがあり、市民の活発な有効な土地利用に支障をきたしている。

都市計画区域と農業振興地域の指定及び運用は、それぞれの法律によって執り行われていることから、市の進めるまちづくりの基本構想である都市計画と農業振興地域の整合性について質問する。

先ず、市内において農業振興法と都市計画法の役割は、現下の社会情勢においてもなお有効に機能しているといえるか。次に、地形図及び都市計画図と農業振興地域図を重ね合わせた、将来都市構造図の作成はできないか。そして、都市計画と農業振興の縦割り行政の国に対する解消運動の取り組みの考え、を問う。

【答弁】 農業振興地域からの除外は、あまりにも厳しく、県等に改善要望をしたこともあるが、土地の無計画な利用に歯止めが利かないことから、改善されていないのが現状だ。

田園都市三豊として、住環境に配慮しながらの田園地帯の維持と、地元住民同意に基づく開発も必要であると考える。構造図については、それぞれの地域を生かしたものであることを第一に考えている。3図を重ね合わせた図面ならば、作成可能だ。市民が自分の土地がどのような位置づけになっているのかを確認ができるので、今後、作成に向けていきたいと思う。

究極の地方自治は、法律の上書き権を持つことだと思う。現状の法律の中には、今の時代にそぐわないものがある。議会と一緒になって、古いl硬直化した法律を改めるべく、国と戦っていこうと思っている。

 

次回は、3件目の報告をします。

平成28年6月議会一般質問報告・1

平成28年6月議会において、「空き家等対策について」と「マスタープランの都市計画と農業振興地域の整合性について」「預かり保育の充実について」の3件の一般質問を行いました。先ず、1件目の「空き家等対策について」の報告をします。

 

「空き家等対策について」

【質問】 私は、空き家問題がこれから迎える社会の重要な政治課題の一つであると考え、平成20年(2008年)から『空き家・廃屋対策』に関する質問をしてきた。その中の市からの答えとして、実態調査をし条例まで検討していく方向性が示された。そして、その後空き家バンク制度の創設に至った。

昨年、国において 空き家等対策の推進に関する特別措置法 が施行され、地方自治体においても実効性のある対策が打ち出される可能性が生まれた。

そこで、今年度の取り組みについて質問する。先ず、空き家等対策計画の策定及び実施に向けての協議会の設置と、組織をどのようなものにするのか。次に、空き家条例の制定の予定について、どのように施策展開をするのかを問う。また、空き家バンク情報の全国一元化に向けての対応の考えを問う。

【答弁】 空き家等対策計画の策定と協議会は、今年度、早急に関係課で構成する『空き家等対策取り組み検討委員会』を設置し、具体的な取り組み方針を策定するとともに、具体的な施策の実施に必要な 空き家条例 や 補助金交付要綱 の制定に取り組む。

平成29年度に協議会を設置し、市独自で定めるべき事項やその内容についての検討を行う。また、空き家等の実態を把握するための実態調査を行い、その調査結果を踏まえ『空き家等対策計画』を策定する予定だ。しかし、丸亀市など近隣自治体が先行して実績を上げていることもあり、年度区切りに限定せず、スピードアップして取り組み結果を出したい。

空き家バンクの情報一元化については、国土交通省が地方自治体の空き家バンクの情報を一元化し、全国の物件情報を検索できる仕組みを取りまとめるようであり、市としても全国情報の一元化に期待をしている。

 

次回は、2件目の報告をします。

公共施設再配置実行計画の現状

三豊市は、合併により466の公共施設を保有しています。使用目的が重複したり老朽化により役割を終えたものや、児童数減少による小学校の統廃合等、公共施設のあり方が検討されてきました。

これまでの取り組みの成果として、平成28年度から4校を統合した山本小学校と2校を統合した財田小学校が開校するとともに、学校給食施設を集約した南部学校給食センター及び、既存施設老朽化に対応した南部火葬場が稼働しています。これに伴い、発生する役割を終えた施設跡地の有効利活用に向けて検討が重ねられてきました。

廃校となった6小学校についての利用計画は、平成28年8月1日現在、次のような状況となっています。

【山本地区】  辻小学校:障害者支援施設NPO法人  河内小学校:地元有志設立の法人   大野小学校:山本地区放課後児童クラブ   神田小学校:再公募中

【財田地区】  財田上小学校:運動場ーイチゴ栽培企業、校舎ー木製品加工企業   財田中小学校:猪鼻トンネル工事ゼネコン現場事務所として平成31年8月まで貸出

 

また、市から示されている公共施設再配置実行計画(平成28年度)では、市内全域の全分野の施設が検討されています。平成28年6月20日現在、次の通りです。

高瀬町農村環境改善センター:高瀬町公民館として利用できるよう一部を改築

高瀬町公民館:機能移転の後取り壊す

高瀬町図書館:図書館再編基本計画を策定

詫間庁舎(北館)、詫間福祉センター、詫間勤労会館:再配置を進めるため住民対話を行う

三野庁舎、三野町文化センター:再配置を進めるため住民対話を行う

仁尾町総合福祉会館:老朽化のため機能移転の後閉鎖した 平成29年度に取り壊す

市民センター仁尾(仁尾庁舎):市民センター条例を制定した

仁尾町公民館(木造):老朽化のため機能移転の後閉鎖した

高瀬町学校給食センター(高瀬地域農産物利用促進センター):売却手続きを進める

豊中町学校給食センター:売却手続きを進める

財田町学校給食センター:機能移転した後閉鎖した

七宝斎苑:北部火葬場を整備のため取り壊す

豊中斎場:取り壊した後売却手続きを進める

香田火葬場:取り壊した後売却手続きを進める

山本財田斎場:取り壊した後駐車場として整備する

高瀬南部保育所:老朽化のため建て替える

三野方面隊第3分団屯所:消防団再編計画に従い建て替える

クリアプラザ、環境衛生会館:再配置を進めるため住民対話を行う

片山団地跡:駐車場として整備する

城下団地跡、香田団地跡、父母団地跡:売却手続きを進める

財田庁舎、財田町公民館:再配置を進めるため住民対話を行う

豊中庁舎:平成29年度から医師会へ貸し出す

三野ふれあい産直市:払い下げた

元神原職員官舎:取り壊した後売却手続きを進める

高瀬町武道館:老朽化のため機能移転した後閉鎖した 平成29年度に取り壊す

詫間町体育センター:耐震診断を行う

仁尾町体育センター:耐震診断を行う

 

今後、市からの報告があり次第、お伝えしたいと考えています。

平成28年度 三豊市社会教育委員会

三豊市生涯学習推進計画策定委員会が、昨年度一年間をかけて検討した 『第2期三豊市生涯学習推進計画』 が、本年平成28年3月に完成しています。策定委員会委員は、香川大学生涯学習教育研究センターの清國先生を会長として、各種団体の代表及び市民の公募委員3名を含む、17名で構成されていました。私も社会教育委員会所属そして名を連ねていました。生涯学習と一口で言いますが、その領域は幅広く多種多様であることを、改めて実感しながらの参加となりました。

平成28年7月19日(火)に、平成28年度三豊市社会教育委員会が開催されました。開会の冒頭に、これまで長年にわたり会長をしていただいた植岡さんの退任報告があり、後任に互選により私が会長となりことが決定されました。植岡さんには、市が関係する各種委員会や協議会等の委員や長をお引き受けいただいていたことに感謝しています。ご苦労様でした。

次に、完成した 『第2期三豊市生涯学習推進計画』 に対する疑問や意見、言葉の解釈等について、3名の委員から提言をいただき討議が行われました。限られた時間でしたが、これからにつながる、実に野心的で生涯学習とは何かを深耕する取り組みであったと感じました。行政のつくる計画書の類は、全国どこにでも当てはまるような差しさわりのない言葉で埋められたものがあり、計画書を創ることそのものが目的となっているように感じる場合があります。丹精込め策定した推進計画ですから、しっかりと生涯学習活動に活かしていかなくてはなりません。

社会教育は、教育基本法12条(社会教育)で、「個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって推奨されなければならない。」 とあり、生涯学習をどのように展開するのかによって、そのまちの社会教育水準が計られるのだともいえます。

教育基本法3条(生涯学習の理念)では、「国民一人ひとりが、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことができる社会の実現が図られなければならない。」 とあり、三豊市社会教育委員会において、【豊かさ】 とは何かを問う時が来ているのだろうと考えています。

バイオマス資源化センター 上棟式

三豊市が処理することを義務付けられている生ごみを含む可燃ごみである一般廃棄物は、家庭系と事業系を合わせて年間10,800t排出されています。三豊市では、これを燃やさずに、地球環境にやさしい処理方法を実現するため取り組んできました。

平成28年7月21日(木)、三豊市山本町神田にある『バイオマス資源化センターみとよ』建設地におて、上棟式が行われました。市では、これまで「ごみはすべて資源である」として、可燃ごみの再資源化を目指し、民間の資金と技術を活用した『バイオマス資源化センターみとよ』の整備を推進してきました。

その技術は、微生物の力で燃やせるごみをエネルギーに再資源化する、トンネルコンポスト方式です。バイオトンネルとバイオフィルタを組み合わせた、煙も臭いも水も出さない、 〔ヨーロッパでは普通で、しかし、日本初!〕 となる画期的なシステムです。事業者は、パブリックとエビス紙料が出資したエコマスター社で、平成24年に三豊市と協定書を交わしこの日を迎えました。

建設場所が決定した2年半前の平成26年始には、本格稼働開始時期を平成28年4月としていましたが、国のごみ処理技術認可とそれに伴う補助金交付採択の遅れもあり、まる1年遅れとなっています。今後の予定は、本年11月完成しテスト運転の後、平成29年4月から本格稼働となります。

土地、建物、設備のすべてが民間によるもので、総事業費16億9,000万円程で、その内国からの補助金は約3億7,000万円余となるようです。

ヨーロッパに普通にあるごみ処理技術が、ついに三豊市に 【日本初!】 として実現します。建設工事が何事もなく無事に進行し、順調に稼働することを祈願しています。

バイオマス資源化センターみとよ