有吉佐和子 没後30年の報に思う

少子高齢化と人口減少社会の到来とともに、消滅可能性都市の公表が衝撃となっています。出産適齢年齢とされる20~39歳の女性の人口推移が指標となっています。人口減少の根本的問題は、女性が自らの人生において子どもを産み育てながら、活き活きと豊かに生活できる社会を構築していかなくてはなりません。

一方、労働人口不足解消のため、女性の社会進出には大きな期待が寄せられており、より仕事がしやすい環境整備が急がれています。そこでは、女性が仕事を通して確かな個人として生きることができ、その中で自己実現できる環境が整うことが求められています。

有吉佐和子という作家がいました。没後30年を迎え再び光が当たっているそうです。高齢者介護を取り上げた 「恍惚の人」 や、子どもの食生活の危機感から 「複合汚染」 の作品を残しています。有吉さんは、このような社会派作家のイメージとは別に、実は、働く女性を通して女性の生き方を問いかけた、現代にも通じる先駆的な作家なのです。少子高齢化と人口減少が女性の生き方に大きく影響されているのは紛れもない事実です。有吉さんは、半世紀近くも前に 「恍惚の人」 で高齢者介護を題材にし、家庭生活で培った 〔女性の視点〕 が生かされており、現代における、女性にとって家庭と仕事が絡み合ったものであることを、いち早く察知していたのです。有吉さんが今の時代に生きていたならば、働く女性の視点と生活者の目線で、どのような作品を執筆していたのでしょうか。

私の住む地域に、今月15日(金)から介護施設が増設オープンされました。また、今日の新聞(16日)では、近所にあるのと同じコンビニエンス(ローソン)チェーンが、来年から埼玉県で介護と健康サービスを扱う事業を始めるとの報道が目に映ります。私たちの生活は、少子高齢化による人口減少によって、思わぬところから、しかし、確実に変化しているのだと感じます。

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