会派視察研修報告・3

会派視察研修報告の最後となる3件目は、島根県邑南町(おおなんちょう)における定住促進の取り組みです。子育て支援の充実や食にこだわった産業おこしで、地域の活性化に成果を上げています。

邑南町は、平成16年に石見町、瑞穂町、羽須美町が合併し誕生した、面積419.22㎢、人口約11500人余の農林業を主な産業とするまちです。先に研修報告した2件の訪問先同様中国山地にあり、島根県の中央部の世界遺産石見銀山の南に位置する山間部にあります。近年、自動車道整備によって広島経由で都市部との交通の便が良好となり、交流が活発になっています。

「邑南町における定住促進対策・日本一の子育て村の取り組みについて」 の研修を行いました。

 

邑南町のまちづくりの理念は 『持続可能なまち』 を目指すことだ。「日本一の子育て村構想」 を立ち上げ取り組んでいる。このまちも全国の地方同様、人口は右肩下がりだ。それを少しでも緩やかにしたい。平成23年度に 『攻めと守りの定住プロジェクト』 で、制度として取り組み始めた。 ①‟攻め”のA級グルメ構想(5年間) ②‟守り”の日本一の子育て村を目指して(10年間) ③徹底した移住者ケア の3本柱だ。

目標を0~18歳人口の増加・定住とし、その人口目標を平成22年:1,660人であるところを、平成28年:1,700人に、平成33年:1,800人とすることとした。そのために、「日本一の子育て村を目指して ~子育てするなら邑南町で~」を掲げることで、若者定住施策を充実させた。

医療、保健、福祉、教育、就労、定住支援、生活環境、生活情報、結婚等、の各分野で徹底的に事業化した。すべてを網羅して 【日本一の子育てに関するガイドブック】 として、誰にも分るようにまとめている。(概略版は全戸に配布、詳細版は希望者に配布) *資料は概略版

これまでの取り組みによる人口動態の推計は、合併10年目で初めて自然減を社会増が上回って、20人増となった。子育てしやすい環境は整ってきており、定住者数は平成22年:22人(内子ども3人)、平成23年:30人(4人)、平成24年:42人(7人)、平成25年:56人(10人)の実績となっている。たが、まだ出生率は上がっていない現状で、今後の課題だ。

これまでの取り組みで 「日本一の子育て村構想」 が目指す理念である、『地域で子育て 未来を創る みんなが笑顔で暮らせるまち』 の更なる実践が効果を上げることを確認できた。

徹底した移住者ケアは、日本一の子育て村推進本部を中心に、定住支援コーディネーターと定住促進支援員の連携で、UIターン者や定住者の声をくみ上げ反映している。新規施策として、子育て支援ポイント付与制度(さくらカード)を始めた。子育てサービスを利用するだけでポイントが貯まり、町内のお店で買い物に利用できるというものだ。たとえば、4か月検診を受けると20ポイント(夫婦で行くと40ポイント)もらえ、他の健診や子育てサロンに行くことでもポイント付与される。また、出生を祝うアルバムプレゼントや赤ちゃん誕生のお知らせ、地元キャラクター使用のベビー・イン・カーのシールなどを取り入れた。

‟攻め”のA級グルメ構想と連携した、行政と民間の協働による婚活イベントを活発に行っている。

これからも、様々な新しい事業や企画で 「日本一の子育て村」 に挑戦し続けていく。

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今回の研修テーマは、定住対策と子育て支援の取り組みであったため、‟攻め”のA級グルメ構想にはほとんど触れていませんが、「香木の森公園」を核とした食材の本当の美味しさ・魅力を伝えるA級グルメ発信拠点の取り組みや、「ハーブを利用した人と環境にやさしいこだわり米 特別栽培米『石見高原ハーブ米』」の取り組みも、大変興味深いものでした。このテーマだけでも再度研修に訪れたいものです。邑南町の攻めと守りの定住プロジェクトを起点とした 「日本一の子育て村構想と定住促進」 は、【日本一の子育てに関するガイドブック】 に収められたこれでもかといった施策の数々でできています。今回研修で学んだ邑南町の事業を、先ずは三豊市において取り入れるのも一つの手だと考えています。邑南町の研修は勿論のこと、いづれの研修も有意義なものでした。これからの活動に活かしていかなくてはなりません。

以上で、3回にわたる会派視察研修報告を終わります。

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