会派視察研修報告・1

平成24年3月議会が終わって、年度変わりに行われるいつもの行事が、ゴールデンウイークを境に落ち着いてきます。
6月議会までのこの時期の一ヶ月程は、例年通り議員視察研修の多いころとなります。
三豊市議会三豊市民クラブは、5月9日(水)・10(木)・11(金)の三日間、首都圏方面へ会派視察研修に行ってきました。
9日は、神奈川県藤沢市を訪問し、10日・11日は、東京都都市センターホテルで行われた、日本自治創造学会第4回研究大会で研修を行いました。
初日の研修は、藤沢市での 「公共施設マネジメント白書」 に付いてです。
藤沢市は、東海道五十三次の第六の宿場町として賑わい、東京から50km圏にあることで、観光・保養地・住宅地として発展してきました。
近年は、商工業に加え大学等の教育機関が誘致され、人口40万人超、面積69K㎡の学園・文化都市の性格を持ち合わせた、湘南の中心都市となっています。
藤沢市には、550棟の公共施設があります。
この多くが、人口急増時期でもあった30年ほど前に建設が偏っており、老朽化と利用状況などの今後のあり方が問われてきました。
「公共施設マネジメント白書」 作成のきっかけは、少子高齢化の一層の進展と、市税等の自主財源の減少及び、義務的経費増大と投資的経費財源の不足でした。
一方で、社会資本整備の更なる必要性や、社会保障費の増大、労働人口の変化の課題がありました。
行政サービスの低下を招く恐れのある公共施設の一律削減を避けながら、これらの諸課題に対応するための方策を見極めなければなりませんでした。
取り掛かりとして、「保有資産の課題と検討」 と 「コストとストック情報の分析」 の実施でした。
「保有資産の課題と検討」 は、
・施設機能の見直しと複合化の検討
・既存施設の有効活用
・公共資産の有効性をチェックする仕組みが必要
・公設公営だけにこだわらない
「コストとストック情報の分析」は、
・コストと建物の状況
・利用状況
・運営状況
これらを総合的に分析し、有効性を検証した白書作成をおこなうこととなりました。
白書作成の目的は、
・施設の老朽化、設備や機能のマンネリ化
・利用者ニーズの多様化や人口動態の変化
・経済・社会情勢の変化
・厳しい財政
・計画的な施設の再整備や長期的視点からの回収計画・維持管理計画など、市民目線による検証が必要
の課題に対して、NPM(ニューパブリックマネジメント)の考え方を基本とした、公共施設のあり方についての議論を進めることが重要であり、市民とともに公共施設の再編と有効活用を考えるための基礎資料とすることです。
白書作成の取り組みは、
●H16年度 縦割りのため施設状況が一元的に把握されていないのを、白書作成のための統一資料を作成した
●H17年度 統一資料を基に、施設の現状や維持管理状況を整理した
●H18年度 資産の有効活用をテーマに、人件費を含めたすべての経費を把握し、コスト分析をおこなった
●H19年度 これまでの3年間の資料をまとめた(委託料945万円)
公共施設マネジメント白書の特色は、
単年度の視点ではなく、経営的要素を加えたことです。
*減価償却費相当額を加えたコスト計算
*施設の稼働率(公民館・市民の家)
*地域別の施設一覧
などです。
藤沢市では、1地区を約3万人として13地区に分け、地区ごとに市民センターと公民館を設置していることから、地区別公共施設一覧を作成しました。
各地区の年齢別人口が今後20年でどのように変化するのかや、施設整備状況、1日あたり利用状況(稼働率)等、13地区について同様に一覧表にして、市民が比較検討できるようにしました。
藤沢市は、地域主体のまちづくりを目指して、「地域のことは地域で決めて地域で実行する」 ための 【地域経営会議】 を設置しています。
市民センター・公民館を通して予算要求もできるようにし、このような新しい仕組みに加え、市民センター・公民館の事務事業を見直し、地域主権型・地域完結型のまちづくりに取り組んでいます。
【地域経営会議】 に対して、「公共施設マネジメント白書」 の内容を基にした利用実態の説明によって、市民の手による公共施設の有効活用とコスト意識の醸成の期待ができます。
また、市民が全体を把握することによって、優先順位による計画修繕の実施や、公平な修繕費の執行ができるようになっているようです。
現状の 「公共施設マネジメント白書」 は、教育施設や下水道、橋梁等の検討がされていないため、中長期計画・ビジョンの見直しにあわせ、今後取り組んでいくとのことです。
(上水道は県水、道路は定期的補修を行っているため含める予定はない)
次回は、「日本自治創造学会研究大会」 の報告をします。