総務常任委員会視察研修・4

総務常任委員会視察研修報告は、2泊3日の4自治体訪問でようやく生駒市へたどり着き、最終回となりました。
奈良県生駒市では『入札制度の改革について』の研修を行いました。
当市は、奈良県の最北西部に位置し、生駒山を境に大阪府と接しており、大阪市内まで20分の通勤圏という好条件で、人口118,000人余の住宅都市となっています。
商工業地域である大阪のベッドタウンであるため、大きな規模の企業も少なく、市内建設業界の主要な仕事は公共事業に頼っているのが現状となっています。
当市の入札改革は、H18年に37歳の山下市長が誕生するところから始まります。
市長のマニフェストに「入札制度の抜本改革」を掲げており、
・18年度に入札制度改革検討委員会を設置する
・指名競争入札を縮小する
・入札手続きは、インターネット等による電子入札等を採用し、透明化を図る
とのことでした。
更に、当時、福島県、和歌山県、宮崎県で大型談合事件が騒がれ、生駒市もH19年に元市長・元議長による事件が発覚し、市長の「入札制度の抜本改革」に対する市・業者・市民の共通認識が芽生え、大きく前進することとなりました。
市長の入札改革早期実施の思いをこめた「生駒市入札執行等調査委員会」(構成:弁護士2名、公認会計士1名)が設置され、過去の建設工事の入札状況の調査・分析が行われました。
その結果、
・落札率が高率である
・95%以上の割合が著しく高い
・指名競争の各ランク内において、各企業が同様額でまんべんなく落札している
等が判明し、談合の疑いが浮上してきました。
原因として、
・市内業者優先で、過度に競争が阻害されている
・各入札における指名業者数が少ない
ことが指摘され、これらを踏まえた提言が次のようにまとめられました。
骨子として、
・市外業者の追加
・現場説明会廃止、郵便入札に切り替え
・指名業者名、数の事前公表廃止
・合理的な理由のない指名や指名除外をしない
・土木、建築、舗装業者別のランクの見直し
・制限付一般入札の導入
・入札監視委員会の設置
・良い工事を施工した業者への配慮
・談合企業、不良業者に対するペナルティー
等が提言されました。
また、同時に設置され進められていた、生駒市行政改革推進委員会「入札制度の改革」部会からも以下のような提言がされました。
・一般を原則として指名競争入札の実施基準の厳格化
・各ランクの業者数を増やすためのランク見直し
・総合評価落札方式の導入
・全面的な郵便入札・電子入札の導入
・変動型最低制限価格制度の導入(2.5%上下する)
・検査の強化(落札率の低下→工事品質の低下懸念)
・入札結果の情報公開
これらの提言を基に行われた入札制度改革によってH18~19の2年間で、落札率95%以上であったのが80%前後に低下し、約9億円の削減効果がありました。
この反面、工事品質の低下や地元業者との軋轢等が表面化していますが、「透明で公正な入札制度」と「地元企業育成」という両立し難い課題に対し、“市長の強い意志”で[入札改革の原点]に返り更なる改革に邁進しています。
《入札改革の原点=良い工事をより安く発注できること》
・出せるものは隠さず出す(情報公開・入札傍聴制度)→業者からの接触がなくなる→贈賄の原因の減少→透明性・公正性の向上
・入札参加業者がわからない仕組み(現場説明廃止、郵便入札と電子入札)
・入札参加業者数増(市外業者参加、ランク付けの変更)→業者を接触させない→談合がしにくくなる→競争性の発揮・公平性
・工事品質の確保(変動型最低制限価格、評定の公表・活用、抜き打ち点検、総合評価)→不良工事の危険性の低下→不適格業者の排除→工事品質の向上
今回の研修を通して改めて感じたことは、どのような政策・施策にも執行者と議会の“強い意志”とその実行力の重要性でした。
三豊市の現実を想い重ねることのできた実り多いものであったことをお伝えして、3日間の総務常任委員会視察研修報告を終わります。